Infinit Fall :Re   作:刀の切れ味

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タイタンフォールにあるフルオートのショットガン『EVA-8』。現実にもAA-12という似たようなショットガンがありますが、あっちはドラムマガジンを装備すれば30発以上も装填できるのだとか。
まさに鉄の嵐、フルオートで食らったら文字通りのミンチにされそうです。


Log.49 パイロットのパーソナルデータの更新

「ねぇ! オルタネイトくん! あれは一体どういうこと⁉︎」

 

「オルタネイトくんってデュノア社と関わりがあったんだ! そういえば、フランス出身なんだっけ……」

 

「じゃあじゃあ、デュノアさんとは、以前から知り合いだったとか?」

 

 朝からクラスメイトたちに質問攻めにされる俺は、いちいち答えるのも面倒なので適当に返事をする。何故こんなにも質問責めにされているなこといえば、それは今朝のニュースが関係している。

 そのニュースの内容は、『世界で三人目の男性IS適合者の登場は誤報⁉︎実際には世界で二人目の男性適合者が、デュノア社のテストパイロットとして着任していた!』である。

 世間は再び蜂の巣をつついたような大騒ぎになり、経営が下向きになる一方だったデュノア社は、良くも悪くも脚光を浴びていた。

 

(いやぁ……さすがは楯無だな。一体何をしたのかは知らんが、なんだか上手いこと話が進んだようで。アイツが協力してくれてよかった)

 

 フランス政府からは特に干渉もなく、隣国も批判するだけで目立ったアクションはない。裏で一体どんなやりとりが行われたのか、それを知るのは楯無だけだ。

 

「レイレイ〜、今日は教室が騒がしいね〜」

 

「そうだな……あと、暑苦しいから引っ付くな」

 

「えぇ〜〜? だってレイレイ、目を離したらすぐ何処かに行っちゃうんだもん」

 

「何処へ行こうと、俺の勝手だろう……ええい、離さんか!」

 

 腕にしがみ付く本音を無理やり引き剥がそうとする俺に、質問攻めにしていたクラスメイトたちの興味の対象が変わる。

 元々本音にはこう……懐かれてはいたと思う。しかし、ここ最近は何かとスキンシップの多いのだ。それを見たクラスの女子たちは、あの手この手で探りを入れてくる。

 

「おやおやぁ? これは一体、二人の間に何があったのかなぁ?」

 

「もしかして……大人の階段登っちゃった、とかっ⁉︎」

 

「えへへ〜、この前一緒に寝ただけだよー。ねー、レイレイ〜」

 

「ぶっ……!」

 

「い、一緒に……寝た……⁉︎」

 

 一緒に寝たというワードに過剰な反応を示すクラスメイトと、思わず吹き出してしまう俺。そこに本音は、更なる爆弾を投下していく。

 

「うん、私がねー、レイレイをぎゅってしてあげたの〜」

 

「ぎゅって……何を⁉︎オルタネイトくんのナニをぎゅってしたのっ⁉︎」

 

「やめろやめろ! 意味深な言い方するなぁっ!」

 

「レイレイもねー、私にこう……ぐあーって押し倒すような感じでねー」

 

「お、おお押し倒すっ⁉︎そこまで積極的な感じに……⁉︎」

 

「ちょっ……本音! お前はもう喋るな!」

 

「わぷっ──む〜」

 

「ははっ、今日も騒がしいな」

 

「あぁ⁉︎」

 

 俺がジロリと隣の席に視線を向けると、そこには面白そうに騒ぎを眺める一夏がいた。いつもは自分が大変な目にあってる分、俺が揉みくちゃにされているのが面白かったのだろう。

 

「いやぁ、笑っちゃ悪いってのは分かってるんだけどな。なんていうか……お前もやっぱり、そういう面もあるんだな、って思ってさ」

 

「てめぇ……今度模擬戦する時、覚悟しろよ。此間のトーナメント戦の借りを返してやる」

 

「あ、いや……すみませんでした」

 

 若干の殺気を滲ませて睨みつけると、一夏はすぐさま頭を下げて謝る。しかし、それでも含み笑いが抑えられない一夏に、俺は青筋を立てるのだった。

 

「みんな、何してるの?」

 

「あぁ⁉︎……ああ、シャルロットか……気にするな、下らん話だ」

 

「……あまりそうは見えないんだけど。どうしてそんなに布仏さんとくっついてるのかな?」

 

「え? あ、いや、これは……」

 

 ついしどろもどろになりながら本音を離すが、逆に今度は本音が俺を離してくれない。そして、俺を見つめるシャルロットの視線がどんどん冷たいものになっていく気がする。

 

「た、大変だよデュノアさん! 布仏さんがオルタネイトくんをぎゅっとして……ぐあーって押し倒したんだって!」

 

「蜜月な関係っていうの? これでオルタネイトくんが織斑くんと違って、肉食系だってことが判明したね!」

 

「ぎゅっとして……お、押し倒して? それに肉食系って……」

 

「おい、シャルロット? 頼むからお前まで感化されないでくれよ?」

 

「…………」

 

 一体何を想像したのか、シャルロットは顔を真っ赤にして俯いてしまう。それを見てまた変な勘違いをされた事を察した俺は、必死にシャルロットの名前を呼ぶ。

 

「シャルロット! お前はきっと盛大に勘違いしてる! 俺はそんな野蛮な狼じゃないぞ⁉︎あの時だって何もしなかっただろ!」

 

「あ、あの時……」

 

 即ち俺と大浴場で遭遇した時のことである。きっと今この瞬間、あらぬ想像で顔を真っ赤にしていたシャルロットの脳裏に、あの時のやりとりが蘇ったのだろう。

 

「レ、レイのえっち!」

 

「えぇ……⁉︎」

 

 赤らめた頰を抑えながら走り去るシャルロットに、俺はぽかんと口を開けたままになってしまう。

 周りのクラスメイトたちはそれをニヤニヤしながら見ていたが、一夏だけはよく理解しておらず、俺と同じようにぽかんとしていた。しかし、俺はゆらりと一夏の方へ向くと……

 

「……一夏ぁ」

 

「へっ? お、おい待てよ! 俺は何もしてなっ──痛ててっ⁉︎」

 

「うるせぇ! 大体こういうのはお前の役目だろ‼︎ラッキースケベはお前の専売特許だったじゃねーか⁉︎」

 

「な、なんの話だよっ⁉︎つーか頭割れる! 中身出る!」

 

 八つ当たりでヘッドロックを極められ、痛みに悶絶する一夏。その理不尽な仕打ちに、抗議の叫びをあげるのだった。

 なお、この後一夏はヘッドロックから解放されるも、箒の木刀による面打ちと、織斑千冬の拳骨という制裁を食らった哀れなレイに、さすがに同情したという。

 

 

 ──

 

 

「待ってください、師匠」

 

「その呼び方やめろ、ってさっきも言っただろ」

 

「ふむ……では、マスター」

 

「結局同じ意味だろ、それ……」

 

「ならば……隊長、は違う……ボスはどうですか」

 

「……」

 

 お昼の食堂が混み合うころ。俺は後ろからついてくるラウラと、先程から同じようなやりとりを繰り返していた。完全に会話が堂々巡りのまま、一向に終わる気配がない。

 そもそも、ついこの間までは氷のような冷たい視線で睨まれていたはずなのだ。それが今は、強い決意と熱意を感じさせる目で俺を見上げてくる。

 

「あのな、ラウラ。俺はお前の師匠になったつもりはないし、なるつもりもない。大体、お前には織斑千冬という教官がいるだろうに」

 

「教官は教官であります。師匠は師匠、また別です」

 

「だから、師匠じゃないって」

 

「……どうすれば私の師匠になってくれますか?」

 

「だから、ならないって言ってるだろうが」

 

「そんな……部下を導くのは隊長の役目! それをお忘れですか!」

 

「だからっ! ……あぁ、もう……大体なんで、そんなに俺に弟子入りしたがるんだ」

 

 ラウラは少し考え込むもすぐに背筋を伸ばして、まさに軍人といった風に姿勢正しく、その理由を話し始める。

 

「私は……教官のようになりたいと願い、ひたすらに強さを求めてきました。しかし、この学園で師匠と織斑一夏に教えられたのです。他人をいくら真似ようと、結局はその人になれるわけではない、と」

 

「……」

 

「私には私なりの強さというものが必要なのです。そのためには私はもっと己を知らなければなりません……ですが、まだ私には手本となるものが必要です」

 

「それが俺だと?」

 

「はい。私と師匠はすでに互いの心内も知れています、織斑教官に次いで私のことを理解してくださるのは貴方だけでしょう。どうか、私に師事していただけないでしょうか」

 

 そう言ってわざわざ頭を下げるラウラに、俺はどうしたものかと考えあぐねる。先日のドイツとのいざこざもあって、色々と複雑な心境なのだ。

 しかし、頑として動かないラウラは、お断りしてもまたお願いしてきそうである。それに、クラリッサとの約束もあるしな……

 

「あぁ……分かった、分かったよ」

 

「では……」

 

「ああ、お前は今から俺の弟子だ、喜べ」

 

「……! はい!」

 

「いいか、軍隊と同じく上官の、そして師匠の命令は絶対だぞ。分かっているな!」

 

Jawohl(ヤヴォール)!」

 

 びしりと敬礼するラウラ。それを見た俺は、ニヤリと笑いながらある命令を下す。

 

「まず一つ目、俺のことはレイと呼べ、敬称などはいらんぞ。それに付随して二つ目、俺と話すときはタメ口で話せ」

 

「えっ……」

 

「そして、三つ目。自分のやりたいことが何か、自分が何をすべきか、それは自分で考えろ、以上だ……返事は!」

 

「ヤ、Jawohl(ヤヴォール)!」

 

 戸惑いながらも返事をするラウラに、俺は満足げに頷きながら食器を返しに行く。しかし、やはりラウラは俺の後を付いて、食器を返しに行こうとする。

 さながら親猫に付いて行く子猫のようである。周りの生徒も、小柄なラウラがとことこ付いて歩く様を、なんだか朗らかに眺めているのだった。

 

「……やっぱり付いてくるのかよ」

 

「私は忠実に命令を実行している、私は私のやりたいことをしているのだ。私はまず、お前に借りを返さねばならない」

 

「借り?」

 

 俺が聞き返すと、ラウラは少し周りの目を気にするように見回す。すると、ISのプライベートチャンネルで俺に話しかけてきた。

 

『私のISからVTシステムを消去したのはお前だろう? お陰で国際IS委員会も、あれ以上干渉してくることはなかった。証拠不十分で、私が責めを負わされることはないそうだ。礼を言おう』

 

『……そりゃよかった』

 

 命令通りにタメ口で話すも、結局やることが変わらないラウラに、俺は呆れたようにため息を吐く。

 タメ口で話させない方がまだ可愛げがあったかもしれない、後からそう後悔するも、無闇矢鱈に命令するのは気が引けてしまう。

 

「ふん、まるで憑き物が落ちたみたいじゃない」

 

「そうですわ、少々無責任ではなくて?」

 

「……人の話を盗み聞きするのは趣味が悪いな」

 

 俺が食堂を出ようとした所を、近くの席にいた鈴とセシリアに絡まれる。ついこの間まで刺々していたラウラが急に大人しくなったのが気に入らないのか、二人はラウラを睨んでいた。

 

「あれだけ一夏を毛嫌いして、レイにも突っかかってたくせに……どういう風の吹きまわし?」

 

「転入初日、一夏さんを叩こうとしたこと、忘れたとは言わせませんわ」

 

「すでに過去のことだ、水に流せ」

 

「おい、一応はちゃんと謝ってやれよ」

 

「分かった、あの時は不快な思いをさせてすまなかった」

 

「「……」」

 

 俺の一言でぺこりと頭を下げるラウラに、毒気を抜かれる鈴とセシリア。なんだか納得いかないといった感じではある。

 

「まあ、確かに……終わったことを掘り返しても仕方ないけどさ。それより、あんたがそんな簡単に認めちゃっていいの?」

 

「そりゃどういう意味だ?」

 

「弟子云々の話よ。またサラや、あんたのルームメイトにとやかく言われるんじゃない?」

 

「あと……シャルロットさんも、最近はよく貴方と一緒にいる所を見ますわね。本音さんが貴方とくっ付いていると、横で面白くなさそうな顔をしてらっしゃいましたが……」

 

「ふむ……レイはどうやら、モテるようだな」

 

「……」

 

 思い当たる節がない……訳ではなかった。確かに最近は、周りとの関係のことで頭を悩ませてはいた。

 タッグトーナメント以来、女子生徒として再転入を果たしたシャルロットとは、食事を共にしたり他愛ない話をしたりすることが度々あった。

 本音とは相変わらずだが、最近はスキンシップが多くなっていた。そして、それを見たサラが、心なしか以前よりも甘えてくるようになったのだ。

 今朝の教室でのやりとりもあり、俺も一夏のことをとやかく言えなくなってきたのかもしれない。つまりはそういうことである。

 

「ま、あんたは一夏と違ってそこまで鈍感じゃなさそうだけど」

 

「お気遣いどうも……そうだ、忠告してくれた礼に、いいこと教えてやるよ」

 

 先程の教室でのやりとりを思い出して、俺は悪そうな笑みを浮かべる。ラウラが俺に借りを返すと言うように、俺もアイツに借りを返してやらなきゃな。

 

「来週から郊外特別実習期間の臨海学校が始まるだろ? 自由時間は海で泳いだりできるそうじゃないか」

 

「それがどうしたのよ」

 

「箒がなぁ……明日、水着を買いに行くらしい。それも一夏と一緒に、二人っきりで、な」

 

「「……っ⁉︎」」

 

 レイの言葉にぴしりと固まる鈴とセシリア。思った通りの反応を見せる二人に、俺は満足気に頷く。

 

「そう、二人っきりで出かけるらしい。まるで……デートみたいだな」

 

「……二人っきりで……」

 

「……デート……」

 

「それじゃ、頑張れよ」

 

 神妙な顔つきで何か思案し始めた二人を他所に、食堂を後にする。横でラウラは何故あんなことを言ったのか不思議そうにしていたが……まあ、わざわざ他人の恋路の邪魔をするようなことしていれば、そう思われるよな。

 

「一夏はな、この前のホームルームで言ってはならないことを言ったからな……その仕返しだ」

 

「言ってはならないこと?」

 

「俺とシャルロットが、その……大浴場で鉢合わせになったって話だよ……。アイツが余計なことを言ったせいで、酷い目にあったんだ……あの時は、お前がいてくれて助かったよ」

 

「なんて事はない。師匠の身に危険が迫っていたのだ、手助けするのは当然のことだ」

 

 そう言ってドヤ顔で胸を張るラウラに苦笑しながら、俺はため息混じりに肩を落とす。

 そう、この学園の目玉イベントの一つである臨海学校、それが来週から執り行われるのだ。要は海上でのIS運用訓練に行くついでに、ビーチで羽を伸ばそうってことだ。

 実は明日、俺もサラや本音を連れてショッピングに行く約束をしてしまったのだ。まず間違いなく、水着を買いに行くのだろう。

 

(ラウラまでついて行くとか言い出したら、シャルロットにも来てもらうしかないか……俺一人じゃ面倒見きれんぞ)

 

 チラリとラウラの方を見れば、ラウラは小柄な体を真っ直ぐに伸ばして俺を下から見上げている。観察でもしてるつもりなのだろうか。

 しかし、そのじっと見上げる仕草がどうにも可愛らしく見えてしまい、俺はついラウラの頭を撫でてしまうのだった。




エイペックスにもそろそろ新ショットガンが欲しいです…と思ったけど、現時点である程度種類は揃ってるからダメかなぁ

モザンビークヒアッ!
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