Infinit Fall :Re   作:刀の切れ味

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相も変わらず不定期更新ですが、引き続き楽しんでいただければ幸いです〜
読んでくださったみなさんに感謝!


Log51 作戦ロケーション:海!

 IS学園からバスで遥か遠くまで。辿り着い場所は海沿いの旅館、花月荘。今日から三日間続く特別実習期間、一年一組と二組の両名が世話となる。

 しかし、特別実習とはいえ、実際に実習が始まるのは二日目から。初日である今日は自由時間である。そして、海に来て自由時間となれば、やることは一つである。

 

「「「海だ〜〜!」」」

 

 海水浴、それに限る。むしろ、ここまで来て泳がないという選択肢があり得るのか。否、彼女たちにそんな選択肢は元より存在しない。

 

「うーん、この感じ、久しぶりだぜ」

 

「お、おおぅ……」

 

 海パンに着替えた一夏と俺は、真夏の太陽に熱せられた砂浜に足を踏み入れる。一夏は数年ぶりの海水浴と言っていたが──実のところ、海水浴なんて俺には全く初めての経験だ。

 そして、海パン一丁というこの格好にはまだ慣れない。どうにも落ち着かないというか、どうにも周りからの視線が気になってしまう。

 

「……おい、人の体をマジマジと見つめるんじゃない」

 

「いや、俺も結構鍛えてる方だと思ってたけど、レイはなんというか……鍛え方に一切の無駄がない? って感じだ。いや、凄いな」

 

「そうか? 最近は割と弛んでるほうだがな」

 

 パイロットという人外じみた身体能力を手にする為に、俺の身体は鍛えに鍛え抜かれていた。この世界に来てからも、最低限の鍛錬は怠っていない。

 まあ、ここ最近はちょっとサボりがちだったから、また鍛えなさないとない──ん? なんだなんだ、皆んなして俺の方を見やがって。俺の体がそんなに変か? 

 

「わぁ……オルタネイトくん、これはちょっと目に毒なレベルだよ……」

 

「凄い筋肉……触ってもいい?」

 

「うおぉ……っ!」

 

 色とりどりの水着で健康的な肢体を陽光の下に晒すクラスメイトたち、俺は思わず目の前の光景に生唾を飲む。

 前にも言ったかもしれないが、このクラスの女子は皆、アイドルやモデルと遜色ないレベルの美人ばかりだ。そんな女子たちが、今日はいつもとは違う水着姿なのだ。可愛いくないはずがないじゃないか! 

 

「ま、待て……やめろ! つつくな! くすぐったっ……ああもう、こんなところに居られるか!」

 

「あ、逃げた!」

 

「待てー! もう少し触らせろー!」

 

 四方から二の腕やら腹筋やらを突かれる状況には、色んな意味で我慢できなかった。俺は自慢の脚力でその場から駆け出し、逃走を図る。

 

「おわー、待ってよレイレイー」

 

 逃走した俺の後を追うのは、水着というか着ぐるみ? に身を包んだ本音。しかし、その足取りは絶望的に遅い。

 ここで足を止めるとクラスの女子たちに捕まってオモチャにされそうなので、俺は本音を置いて白波立つ海へとダイブするのだった。

 

(こ、これは……IMCがばら撒いた廃棄物に汚染された海とは段違いの透明感! 日本の海、すげぇ!)

 

 少し濃い塩気を含んだ海水は、どこまでも透き通って海底の砂までハッキリと見える。こんな風に泳いでて気持ちいいと感じるのは初めてのことだ。

 それからしばらくは緩やかな波に揉まれながら、俺は心ゆくまで海を満喫するのだった。

 

「待ってください、本音さん。泳ぐ前に、まずは準備体操をすべきだと聞いています」

 

「お〜」

 

「サラの言う通りだね……でもラウラ、その格好じゃ何もできないよ? ほら、恥ずかしくないから」

 

「…………」

 

 俺が海面から顔を出して砂浜の方は視線を向けると、ワンピースタイプの水着を着たサラと、オレンジのビキニのシャルロットの姿が見える。

 そしてその横には、変わらず着ぐるみ姿の本音と──数枚のタオルで全身をぐるぐる巻きにした何かがいた。

 

「なんだ、そのタオルおばけは」

 

「わ、私はおばけではない……」

 

 一夏が当然の疑問を口にするが、そのタオルおばけから返ってきた声に、一夏は驚いた顔を見せる。どうやらタオルおばけの中身はラウラのようだ。

 しかも、その声色は、いつもは堂々としているラウラからは想像できないほど弱々しいものだった。

 

「レイに見られるのが恥ずかしかったんだって」

 

「そりゃまたどうしてだ?」

 

「師匠にこのような軟弱な姿を見られるわけにはいかん! 軍人としてあるまじき姿だ……!」

 

「でも、レイだって海パンだぜ……っていうか師匠ってなんだ」

 

「そうだよ、みんな同じような格好してるんだから。それに、レイはラウラの水着姿のことをとやかく言ったりしないと思うよ……それより、いつの間にレイの弟子になったの?」

 

「師匠は師匠だ! それ以上でも以下でもない!」

 

 タオルおばけの姿のまま、俺が自分の師匠であると主張するラウラ。しかし、格好が格好なので、まるで締まっていない。

 それからもシャルロットがタオルを取るように言うも、ラウラは頑なに水着姿を見せようとはしない。そして、痺れを切らしたシャルロットは、遂に最終手段を取る。

 

「しょうがないなぁ……レイー! ちょっと来てくれないかなー!」

 

 シャルロットが俺の名を呼ぶ。どうやら最終手段は俺のことのようだ。俺は泳いで浜辺に戻ると、濡れた髪をかきあげてタオルの塊の前に立つ。

 

「実はね、ラウラがレイに水着姿を見られるのが恥ずかしいってごねてて……何とか説得してくれないかな?」

 

「やれやれ、仕方ないな……ラウラ! タオルを解いて出てこい! さもなくば、お前は破門だぞ!」

 

「──っ!」

 

 俺が鶴の一声で命令を下すと、それを聞いたラウラは反射的にタオルを脱ぎ去り、背筋を伸ばして敬礼する。

 しかし、すぐに自分が俺の前で水着姿を晒してしまったことに気づくと、自分の体を隠すように縮こまって顔を赤くするのだった。

 

「ISと同じ黒の水着か、中々似合ってるじゃないか」

 

「〜〜っ、せ、世辞はいらん!」

 

 ふんだんにレースをあしらった黒の水着を着たラウラは、いつもそのまま伸ばしていた銀髪も、鈴と同じような感じに両サイドで束ねてある。

 こうやって皆と同じように水着を着ていると、そこらの女の子と変わらない。いや、これが本来のラウラという少女なのかもしれない。

 

「そう照れるな。まあ、鈴やサラと同じで、少々寂しい体つきなのが……」

 

「兄様? 何か言いましたか?」

 

「おっと、つい口が滑ってしまった……待て待て、顔が怖いぞ、サラ」

 

 ゆらりと背後に真夏の太陽にも負けないくらいの憤怒の炎を揺らめかせるサラ。俺は弁明しながら後ずさるが、その怒気に肌が灼けそうである。

 しかし、そんな後ずさる俺の後ろから、誰かが抱きついてくる。背中に感じる艶かしい感触に少したじろぐも、俺はすぐに抱きついてきた──本音を引き剥がそうとする。

 

「うおー、捕まえたよレイレイ〜」

 

「お、おい、離れろ! 暑苦しい!」

 

「ねーねー、みんなでビーチバレーしようよー、ねー」

 

 着ぐるみ水着という謎の格好をした本音のビーチバレーをしようという提案に、みな賛同して早速チームに分かれていく。

 チーム分けは、俺、本音、シャルロット、ラウラのチーム。そして、一夏とサラに、近くにいた鈴とセシリアを交えて、4対4の勝負となった。

 しかし、相手チームになったサラと鈴だが、シャルロットの一件で再び寮の部屋変えがあった際に二人は同室になったらしく、最近は中々にに仲がいい。

 だからか、先の俺の発言に二人とも怒り心頭であり、もはや殺気すら感じられる程である。

 

「それでは、行きますわ!」

 

 セシリアのサーブで始まる10点先制ルールのビーチバレー。セシリアも国家代表候補生、身体能力も十分に優れている故、中々強力なサーブを打ち込んでくる。

 しかし、それはこちらのチームも同じこと。シャルロットが難なくサーブを拾い、本音がのほほんとボールを追いかけ、俺がトスで上げて、ラウラが見よう見まねのスパイクを決める。一人役に立っていなかった気がするが、きっと気のせいである。

 

「甘いのです!」

 

「あんた、覚悟しなさいよ!」

 

 ラウラのスパイクを拾って繋げるサラに、猫のように髪の毛を逆立てる鈴がスパイクに備えながら俺を睨みつける。しかし、トスでボールを高く上げようとしていた一夏は、何故かぼんやりとしたまま顔面にボールをぶつけてしまう。

 

「いてっ! ……あっ」

 

「バカ一夏っ! 何してんのよ!」

 

「何故そんなにぼんやりしていたのですかっ!」

 

「いや、それは、だな……」

 

「大方、女子の揺れる胸が気になってたんだろ」

 

「「「「っ‼︎」」」」

 

 俺がそう言い放つと、ラウラ以外の女子が反射的に自分の胸を隠す。一夏は慌てて否定するが、実のところは図星に違いない。何故かって? 俺も気が散っていたからだよっ。

 セシリアや本音はもちろん、シャルロットも飛び跳ねると、それに呼応するようにまた別のところも飛び跳ねていた。男子としては、ついつい視線がいってしまうというもの。

 

(中には揺れない奴もいるが……それはそれで、いいもんじゃないか)

 

 そんな事をぼんやりと考えていると、心でも読んだのかサラと鈴がジロリと俺を睨む。シャルロットも何となく俺が考えていた事を察したのか、呆れたようにため息を吐く。

 

「レイは一夏と違う意味でデリカシーがないね……」

 

「そうだな。その自覚はある──というわけで、後はお前たちで楽しんでくれっ!」

 

 言い終わるや否や、俺は再び海へと逃げ出す。そして、その後を追ってくるサラと鈴。普通の人間なら全力疾走のパイロットには追いつけるはずもない、しかし、二人はそれを怒りで凌駕した。

 海に飛び込む直前で追いついてきたサラが、俺の足に飛びついて逃亡を阻止。そして、俺の後頭部に鈴のドロップキックがめり込むのだった。




タイタンフォールZッッ!(レーザーコア、オンライン)


最近、オリジナルの小説を少しずつ書いております。
一から物語を作るのってとても難しい
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