Infinit Fall :Re   作:刀の切れ味

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長かったシリアスモードがようやく終わった!
これからは砂糖マシマシだ、ギャグもマシマシだ!

なお、ギャグセンスは無い模様


Log.64 新規ミッションの発令 ①

 

 臨海学校での騒動から早一週間。あっという間に過ぎ去った一学期もあと少しで終わり、生徒たちが待ちに待った夏休みが近づいてきていた。そんな中、俺は未だに授業に参加することも出来ずに、部屋に押し込められていた。

 というのも、俺は『度重なる校則違反と複数の生徒を巻き込む危険行為に及んだことへの厳罰処分』を学園に言い渡され、二週間も自室謹慎するハメになってしまったのだ。

 まあ、あれだけの大事件を起こしたのだ。このまま謹慎処分だけで済むとは思えない。何故なら、国際IS委員会や自慢のISを台無しにされたアメリカとイスラエルが黙っちゃいないだろうからだ。

 

(はぁ……リーゼが起きてくれないと、外の情報もろくに入ってこない。俺はこれからどうなるんだろうか……)

 

 学園から追い出され、何処かの国で実験動物にでもされるのだろうか。それとも、監獄で鎖に一生繋がれるのだろうか。しかし、どれも『死ぬ』よりはマシだろうさ。

 

(だが……どんなものでも辛いものは辛い。我慢にも限界があるんだ……だから、誰かこの状況をなんとかしてくれないか?)

 

「はい、あ〜ん」

 

「……」

 

 お粥を木匙で掬って俺の口の前に持ってくるのは、何故か満面の笑みの本音。俺が口を開けるのを渋ると、本音は更にずいっと迫ってくる。

 

「あ〜ん」

 

「……あ、あのな、本音。さすがに飯ぐらいは一人で食えるって……もう怪我はなんともないんだぞ?」

 

「……あーん」

 

「人の話を聞いて──むぐっ!」

 

 半ば無理やり俺の口の中にお粥を押し込んだ本音は、一変してむすっとした表情になる。

 

「レイレイの一人で何とかなるっていうセリフはねー、基本的に信用ならないんだよね〜。いっつもそんなこと言って、無茶なことばっかりしてるでしょ? 臨海学校でも、私の知らないところで酷いことになってたって、サーたんから聞いたよ」

 

「むぅ……」

 

 お粥を咀嚼しながら唸る俺をよそに、本音はまた木匙でお粥を掬って差し出してくる。どうせ抵抗しても無駄なのだろう、俺は少し躊躇しながらも大人しく口を開いて食べさせてもらうのだった。

 

「次は梅干しもいる?」

 

「いやちょっと待て……やっぱりこの……あーん、ってやつは勘弁してくれ……」

 

「むー、またそんなこと言ってー。何が嫌なのさー」

 

「は……恥ずかしい、だろ。俺たちは、その……恋人同士でもあるまいに」

 

 俺が恥ずかしいと感じてることをアピールし、本音にも結構恥ずかしいことをやってると自覚させる。恋人同士というワードで強調したから効果は抜群だろう。これであーん攻撃を封じたはず──

 

「……えへへ、恋人同士か〜。だったら何も恥ずかしいことなんてないのだよー」

 

「おい、やめっ……! くっつくな、暑苦しい!」

 

「嫌だよ、サーたんからも言われてるんだもん。レイレイから目を離さないでー、って」

 

「くそっ、効果抜群かよ、違う意味でっ……! あぁ、分かったよ! じゃあ大人しくしてるから飯を食べさせてくれ、あーんでも何でもしてくれ……だから抱きついてくるんじゃない!」

 

 急に抱きつこうとしてきた本音を必死に押しのけると、本音はまたお粥を掬った木匙を差し出してくる。結局何も状況は変わらなかったよ、畜生っ。

 それから暫くは渋々本音に飯を食べさせてもらっていたのだが、部屋を間違えて入ってきた一夏に、その恥ずかしい場面を見られてしまうのだった。あの時の一夏のニヤけた面は決して忘れない。今度模擬戦をする機会があれば、ボコボコにしてやる。

 

 

 ──

 

 

 慌ただしい昼食を終え、すっかり外の日差しも傾き始めたころ。相変わらずベッドの上でぐったりとしていた俺は、ぼんやりと携帯でニュースを眺めていた。

 しかし、報道されているのは、やれタレントが浮気しただの政治家が不正をしただのと、下らないトピックばかりだった。少なくとも、この間の臨海学校のことなんてカケラも情報は出回っていない。

 まあ、ニュースなんて所詮は大衆向けに脚色された下世話が殆どだ。表沙汰にできないような大事件なんて、そう簡単に報道できるはずもないだろう。

 

『国会議事堂前で起きたデモについてですが、引き続き参加者たちはISの軍事利用について抗議の──ニュースの途中ですが、たった今速報が入りました』

 

(あぁ、このまま箱詰めにされ続けるのは勘弁願いたいなぁ……んっ?)

 

 ニュースキャスターが神妙な面持ちで速報を告げると同時に、即座に画面が切り替わる。地震が何かの災害か、そう思って特に注目していなかった俺だったが、切り替わった画面に映ったものに、思わず携帯を取り落としそうになった。

 

『先日、アメリカ・イスラエルが共同開発していたISの軍用試作機が、稼働試験中に暴走する事件が発生しました。暴走した試作機は日本の排他的経済水域に侵入したのち、近辺で課外実習中だったIS学園の生徒によって鎮圧された、とのことです』

 

「お、おいおい、この映像はっ……⁉︎」

 

 ニュースで報道されるその画面には、二機のISが海上で激しい戦闘を繰り広げる様子が映し出されていた。そして、それは俺とリーゼが福音のシステムをハッキングしに出向いた時の戦闘の映像だ。

 それから場面が切り替わり、今度は第二形態移行を果たした福音と、それを追い詰める一夏たちが映し出される。こんな映像がどこから流出したかも気になるが、何より気になるのは映像の編集だ。

 

『映像のように現場では激しい戦闘が行われ、生徒の一人が重傷を負う深刻な事態にありました。日本政府はアメリカ政府に暴走した原因の究明を求めるとともに、厳重に抗議する姿勢を──』

 

(な、なんだこれ……まるで俺も暴走した福音を止めるために戦ったみたいになってやがる……実際にはその逆だろ、福音を暴走させたのは俺なんだぞ?)

 

 誰かが情報操作しているとしか思えない報道に、俺は頭の上に大量のクエスチョンマークが浮かぶ。いくら楯無でも、ここまで大規模な情報操作は難しいだろう。なにしろ、俺が福音を襲撃した際に、周辺を警備していたアメリカ海軍にしっかりと姿を見られている。こんな嘘八百な報道を、彼らが許すはずもない。

 

「まさか束が……? いや、それこそあり得ないか。アイツがわざわざそんな事を……」

 

「いえ、正解よ。束博士が見事に引っ掻き回してくれたわ」

 

「ああ、そうなのか。アイツは本当に面倒事しか起こさな──うおっ⁉︎おまっ、楯無⁉︎いつの間に部屋に入ってきた‼︎」

 

 気づけば、俺の横には椅子に座って足を組む楯無がいた。本当にいつの間にやって来たんだ? ノックぐらいしてくれよ。

 

「ノックならしたわよ……」

 

「そ、そうか……それより、どうしたその顔は? 随分とやつれてるが……もしかして、この件に関してか?」

 

「ええ、その通りよ。後始末の面倒事を片付けるのは……本当に苦労したんだから」

 

「その……すまない、俺と束のせいでこんなことに……」

 

「何を謝ってるのかしら? これは私たちの契約の一環でしょう? 私たち学園は貴方の立場を保障する、そう約束したわ。私はその約束を果たしただけよ……」

 

 珍しくやつれた表情をする楯無は、肩を落としてため息をつく。コイツがここまで疲れ切った様子を見せるなんて、俺には想像もつかないほどの激務だったみたいだ。

 

「それよりも、そのニュースを見てどう思ったかしら? 随分と都合良く事実が捻じ曲げられてると思わない? ちなみにだけど、その動画を巷にリークしたのは篠ノ之束博士よ。本当は彼女の三時間もある自慢話も収録されてたんだけど……」

 

「ロクでもないことしやがって……アメリカはどうしたんだ? 特に軍部が黙っちゃいないだろ、これは」

 

「はぁ……篠ノ之束博士は秘密裏に新規製造したISコアを譲渡することで、アメリカを黙らせたのよ。コアそのものは束博士にしか製造できないのだから、その価値は何にも代え難いわ。自分達のメンツと秤にかけた結果が……この報道というわけよ」

 

 新規製造のISコアを餌にするとは、随分と豪華な釣りだ。俺への処分が随分と軽い理由はそういうことらしい。

 だが、この一件で俺は間違いなくアメリカに目をつけられた。表立って声を荒げていないだけで、きっとかなり根に持っているに違いない。

 

「まあ、間違いなく快くは思われていないでしょうね。けど、そればかりも気にはしてられないわよ。貴方たちが福音と戦闘を繰り広げていた時……亡国機業のISが近海に現れたわ」

 

「亡国機業、だと……⁉︎」

 

「今回は手は出してこなかったけど、外部の人間も出入りできる文化祭のような大きな行事には必ず仕掛けてくる。私たちはそれに備えなければならない。貴方にも当然、働いてもわうわ……言いたいことは分かるわね?」

 

「あぁ、分かってる、分かってるとも……臨海学校の時のようなことは二度と繰り返さない」

 

「……本当に分かってるのかしら?」

 

 そう言って楯無は俺と鼻先が触れ合うほどの距離まで顔を寄せると、吸い込まれそうな紅い瞳で俺を射抜く。

 

「臨海学校の事件、貴方はあの時……一度死んだのでしょう?」

 

「……っ⁉︎どうして、それを……?」

 

「織斑先生から話を聞いたわ。貴方にとっては知られたくない秘密だったかもしれないけど……幸いなことに、私には見分けがつかないわ。目の前にいる貴方が、二人目の貴方だって言われてもね」

 

「そうかい、だからって俺が一度死んだという事実は変わらんだろう……」

 

「あら、せっかく慰めてあげたのに……そうでもしないと、貴方は()()()()()()だと考えて前以上に無茶をするようになる……と危惧していたのだけれど」

 

「……」

 

 楯無の言葉に何も言い返せず、俺は黙りこくってしまう。もし、自分の命を投げ出すことで皆を助けられる状況になったなら? 楯無の言う通り、前以上に躊躇なく、そうしてしまうかもしれない。

 きっと俺はまた死んだとしても再生できる。相棒がいる限り、束が望む限り、何度でも。だが皆は一度っきりだけ、もう俺とは命の重さが違う。だから──()()()()()()じゃないか。

 

「まったく……いい加減に気付かないのかしら。貴方が無茶をするたびに、貴方の周りにいるあの娘たちや、貴方を頼りにする彼がどれだけ心配すると思ってるのよ?」

 

「そんなこと……俺も分かってる……」

 

「いいえ、分かっていないわ。現にこの私だって……いくら対暗部組織なんてものを率いてる私だって……部下や仲間が死ねば、流石に寝覚めも悪くなるのよ……」

 

 そう言って俺から視線を逸らす楯無だったが、すぐに扇子を取り出して口元を隠してしまう。まるで照れ隠しでのようでもあるが、一瞬見せた表情は、今までのどんな時よりも悲しそうな表情だった。

 

「とにかく、二度目はないわ。いいわね?」

 

「ああ……肝に銘じておく」

 

「ふぅ、その返事が聞けてよかったわ……これで気兼ねなく、指導を始められるわね♪」

 

「……はぁ?」

 

 くるりと口元を隠していた扇子を裏返すと、そこには『指導』と達筆で書かれていた。ついでに、いつもの笑みも復活していた。これはもしかして──嵌められのだろうか? 

 

「今後しばらくは、貴方は実戦に出さないわ。私が良いと判断するまで、更識流スペシャルトレーニングに励んでもらうわ」

 

「す、スペシャル……トレーニングぅ?」

 

「ええ、これまでの貴方の働きぶりは十分なものではあったけど、まだまだ欠点も多いわ。それを克服しないと、これからのやってくる危機は乗り越えられないわよ」

 

「……で、そのトレーニングとは何だ? 俺に何をさせるつもりだ?」

 

「うふっ、そう焦らないの。言ったでしょ、二度目はないって……このトレーニングを完了した時、貴方はどんな状況からも生還する究極のサバイバリストになれるわ」

 

 ふむ、つまりは生存能力を高める訓練ということだろうか? 確かに、生きて帰ってこれるのなら再生に頼る必要もない。楯無の言う通り、俺に必要な能力かもしれない。

 しかし、意地悪い楯無のことだ。きっとえげつないトレーニングを考案していることだろう。

 

「まずは一つの課題を出すわ。自宅謹慎中でも取り組めるものだから、今日からしっかり励んでね」

 

「……分かった、そのトレーニングに誠心誠意取り組むと約束しよう」

 

「それは重畳。じゃあ、さっそく課題を発表するわよ……ジャッジャジャーン!」

 

 妙にハイテンションになった楯無は、何処からともなく大きな巻物を取り出すと、それを豪快に開いて見せる。しかし──そこに書かれていた課題は、俺が全く予想だにしないものだった。

 

「課題その一……貴方にはまず、彼女を作ってもらうわっっ‼︎」

 

「はぁ……彼女を……つく、んんっ⁉︎なんじゃそりゃあ⁉︎」

 

 俺は空いた口が塞がらず、目を見開いで驚愕した表情のまま固まってしまう。楯無はそんな俺を見て、くすくすと心底楽しそうに笑うのだった。

 

「男の二言は無い、って言うでしょ? 今更撤回なんて認めないから。さて、貴方は誰を選ぶのかしらね……結果を楽しみにしてるわ♪」

 

 




ガンダムでよくあるフルアーマーにカスタムするやつ、あるでしょう?
タイタンもフルアーマーにして両手にガトリングとか両肩にレールガン載せたいー
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