翌日、午前中のうちに昨日と同じカエルの討伐クエストを達成した私は、このアクセルの町を散策していた。
なんでもこの街は駆け出し冒険者の街と呼ばれているらしい。その名の通り、周辺には弱いモンスターしかいない。
相当治安も良く、公共施設も整備されている。大衆浴場なんかはその最たる例だろう。
そういった理由で住みやすく住民も多いせいか、この街相当な広さがある。
すごく…大きいんだよ…マジで
冒険者向けの店も多く存在しているとのことなので、特に目的もなくフラフラと街を見て回ることにしたのだ。
あてもなく数十分ほど歩き回っていたわけだが、ふと一軒の建物が目に留まった。
『ウィズ魔道具店』と書かれた看板のある小さな店だ。
「いらっしゃいませ、ウィズ魔道具店へようこそ!」
扉を開けると、入店を知らせる小さな鐘の涼しげな音がなる。
その音に合わせてウェーブのかかった長い茶髪の女性が声をかけてきた。
私を出迎えてくれた女性は、ウィズというらしくこの店の店主だそうだ。
美人だしいい人そうなのだが…なんだろう、この違和感は。
「トワさんはお探しなんですか?」
「いや何か面白いものはないか、見せてもらいたくてね」
「そうですか、じゃあぜひゆっくり見ていってください」
お言葉に甘えて色々物色させてもらうことにする。
日本生まれの私からすれば、魔道具というものは完全に未知の世界だ。
店内を見回して適当なものを手に取る。
「あっ、それは強い衝撃を与えると爆発するので気をつけてくださいね」
「ヴェッ、あっぶな」
慌てて瓶を元あった棚に戻す。代わりに隣の瓶を手に取るが…
「それはふたを開けると爆発するので…」
先ほどと同じように瓶を戻し、別の瓶を手に取る。
「これは?」
「水に触れると爆発します…」
「ここってもしかして爆発物専門店だったりする?」
「魔道具店ですよ!わかりやすいようにそこの棚は爆発シリーズを並べているんです!」
その後ほかにも見せてもらったわけだが、これで食っていけてるのか…と疑問に思うほどひどい品ぞろえだった。
利点と欠点のバランスが取れていない使い物にならないアイテムばかりなのだ。
どれも使い方次第では輝きそうな力はあるが値段がばかにならない、駆け出し冒険者には無用の長物だろう。
疑問は尽きないが、こうして店をやれているということは生計を立てられてられているんだろうが…
さすがに(ガラクタばかりとはいえ)色々見せてもらって何も買わずに出ていくのも良心が痛む。
私は別に冷やかしに来たわけではない、ひとまず使えそうな回復ポーションを1個買うことにした。
…まさかこれだけで大喜びされるとは思わなかったが。
本人曰くなぜか客が来ないし、来ても商品を買ってくれないから貧乏らしい。
理由は明白な気がする…
「こちら回復ポーションになりますね」
「うん、ありがとう」
店の奥から出てきたウィズにポーションを手渡される。
なんか手冷たくないか。先程感じた違和感が脳裏をよぎる。
「ねぇウィズ、聞きたいんだけど君って人間?」
「人間ですよ…?なぜそんなことを?」
「不快にさせたならすまない。なんとなくそう思っただけだよ。まぁ私の気のせ…」
「どうして私がアンデッドだと分かったんですか!?」
「…いではなかったようだね」
どうやらウィズはノーライフキングとも言われる最高位のアンデッド、リッチーらしい。
なんでこんな所でアンデッドが店をやってるんだとかは聞くだけ野暮だろう。
自分もマーリン…夢魔と人間の混血となったことで感覚的に彼女の正体を見抜いた…のだと思う。
第六感って奴だ、多分。
ウィズの正体を知った私だが、見逃すということで店を後にした。
そもそも私自体他人にどうこう言えた義理ではないからね。
一方的に知っているのも不公平なので、
似た境遇のウィズ相手なら大丈夫だろう、基本的には隠しておくつもりだが。
結果的にウィズとは友人になることができたので私の判断は間違っていなかった…と思う。
「ウィズとは今後とも良い関係を築いていきたいものだね」
日の沈む中、私はなんとなく軽い足取りで家路を辿った。
アクアとウィズ、バニルなどの会話から人外同士なら互いに気づくんじゃないかなって思ってる
続くといいね
1話2000文字前後で投稿中ですが、くっつけられそうな話はくっつけるべきか
-
このまま現状維持
-
合わせて長めにする