あれから…私がこの世界に来てから1ヶ月ほどたった。
月日が巡るのは結構早いものだ。
年を取るにつれ、時間が流れるのが早くなっているように感じる。まだまだ私は若いけどね。
ここでの生活だが、クエストを受けモンスター討伐に行ったり、ギルドで酒を飲みながら冒険者仲間と語り合ったり、ウィズとお茶を飲みながら談笑して過ごしたりとそれなりに楽しく過ごしている。
私が混血というのは、隠し通せている。
まぁ、ウィズが普通に暮らせている時点で大丈夫だろうと高は括っていたが…
後で知ったんだが悪魔と神は敵対関係にあるらしい。
なんであの駄女神は何も言わずに、私を転生させたんだろうか。女神様(笑)の考える事はわからん。
さてこの1ヶ月の間に私のレベルもそれなりに上がった。
が、しばらくはこの街にいるつもりだ。
もちろん、魔王を倒せっていう転生者としての大義名分を忘れたわけじゃない。
しかし魔王とやらの情報もほとんどないし、どうしようもないというのが現実だ…
どうしたものか…と思考しながらもモンスターの討伐を終える。
今後のことはその時考えればいい…とひとまず結論付けた私は、アクセルに続く街道を辿った。
そんなこんなでクエストを完了した私は、食事のためいつも通り酒場に向かう。
何気なく酒場を見渡した際、視界に衝撃的なものを捉えた私は思わず2度見した。
…んんん???
そこには水色の髪をした少女…忌まわしき駄女神そっくりの人物がいた。というかアレは例の女神その人じゃないか…?
どういうことだ。
ウエイトレスがそこに向かっていった。注文を取るためだろうか。
「ご注文は?」
「あの……今考えてます」
「ごゆっくりー」
よくよく見れば一緒に座っている男もファンタジー世界に見合わぬジャージを着ている。
顔つきはどう見ても日本人にしか見えない。
「おいどうしよう、いきなりつまづいた。
普通は最低限の装備が手に入ったり、生活費だってどうにか手に入るものなんだけど…不親切だぞ」
「いきなり頼りがいがなくなったわね、まぁしょうがないわね。ヒキニートだもんね」
「ヒキニート言うな」
もしかして、あれか。金がなくて登録すらできなかったパターンか。
不親切というのは同意だ、私はたまたまお金をくれた親切な人がいたからよかったものの。
それがなければどうなっていたやら…
あからさまに困っている人を放っておくのもアレだし、話しかけてみるか。
何より…こんな面白そうなことを放っておくわけにはいかない
「そこの君たち、何かお困りかな?」
「えっ、は…はい」
少年は緊張した面持ちで若干上擦った声で答える。あからさまに女性に慣れていないといった反応だ。
いじったら楽しそうな子だな、年下をからかうお姉さんの気持ちがわかった気がする。
「プークスクス!カズマさんったら赤くなっちゃってこれだからヒキニートは…」
「ヒキニート言うな!すみませんうちの馬鹿が…、それであなたは?」
駄女神が少年を煽っているやっぱこいつろくでもなかったな。私の勘は正しかったわけだ。
「私はトワ、見ての通りのきれいなお姉さんさ。さっきから見てたが手数料がないんだろう?
人間は助け合いが大事だ、それくらいのお金なら出してあげるよ」
「いいんですか!?ありがとうございます!俺はサトウカズマです、こいつは…」
「私はアクア。アクシズ教団の崇めるご神体、女神アクアよ!」
「そうなのかい、凄いね」
「信じてよー!」
適当に返事をしたが、やはりあの駄女神で間違いなかったようだ。
転生特典として持っていく
使えるかどうかは別として…
しかし私に何も言わないとは私が転生者ってことに気づいていないのだろうか。自分が送ったやつすら覚えていないとは。
恨みごとの一つでも言ってやろうかと思っていたのに…
というかきれいなお姉さんに関しては無反応だし…
まぁいいか。
「それじゃあほら、二千エリスある。登録してくるといい。終わったら戻っておいで、せっかくだご飯もおごってあげるよ」
「「ほんとすみませんありがとうございます」」
声をそろえて礼を言った二人は受付に向かった。
なんだかんだ言ってたがあの二人仲いいんじゃないか?
しばらくすると無事登録を終えたようで、二人そろって戻ってきた。なんかカズマはへこんでいたが…
「何から何までほんとすみません。飯までおごってもらっっちゃって」
「別に構わないさ。私も登録の時、同じように助けてもらってね。君たちも困っている人がいたとき同じように助けてあげてやってくれ」
お金をくれた人も私に同じことを言っていた。冒険者の伝統の一つのようなものらしい。
カエルのから揚げを食べながら、私たちはそんなことを話している。
どうやらカエルのから揚げということでカズマは口をつけるのを躊躇しているようだ。
目の前の女神(笑)は躊躇なくモリモリ食べているが…
口いっぱいにカエル肉を頬張っていたアクアだが、口の中のものを飲み込むと何かに気づいたようにこちらを見る。
「それにしてもあなた何か邪な力を感じるのよね。何か隠してるんじゃ…痛、痛いっ!」
「せっかく親切にしてくれた人に何を失礼なことを言ってんだ!ほんとすみません!」
そんなことを口走った。
邪な力とは、悪魔のことだろう。しっかりと隠していたつもりなのに勘づくとは…腐っても女神ということか。
カズマに引っ叩かれて止められていたが…
どうやら確信はしていないようだ、まだ疑っている段階なんだろう。
隠せるならそれに越したことはない。
敵対しているはずの女神自身に送られた転生者の悪魔なんて、ばれたらろくなことにならないし。
「それじゃ、私は行くよ。君たちの冒険者としての活躍を願っているよ」
「何から何までありがとうございました。俺たちも頑張ってみます」
「何か困ったときは言ってちょうだい!女神としてあなたを助けてあげるわ!」
二人と別れて適当に街をふらつく。
同郷の後輩冒険者に、連れられた女神…あの二人の旅路がどうなるものか、実に楽しみだ。
「彼らの辿る道行きに花の祝福があらんことを」
ようやくカズマと絡んだ
今作は一応原作をなぞっていくつもりです
続くといいね
1話2000文字前後で投稿中ですが、くっつけられそうな話はくっつけるべきか
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このまま現状維持
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合わせて長めにする