九条空の怪電波   作:九条空

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20201109 執筆


【鬼滅の刃】射精しないと出られない部屋/風柱【怪力主】

 

「こういう搦め手、最初から使いたかったな……」

 

 隠による調査によって、怪しい楼主が存在する遊郭を見つけ調査に来た次第である。

 まあ調査とは名ばかり、ほぼ確定で鬼がいるだろうと、十数人の隊士を引き連れた大規模任務だ。

 

 そもそも居場所が掴めなかったから、こういった作戦は難しかったのだけれど。

 この出られない鬼、自分の足の速さを利用して、普段の活動場所とはかなり離れた場所で屍肉を食っていた。

 

「それじゃあよろしくお願いします、風柱」

「あァ」

 

 風柱とは何度か顔を合わせたことがあり、任務にも同行したことがあるので慣れたものだ。

 日輪刀を抜くと、風柱はためらいなく自分の腕を斬った。

 

「ウワッ! 痛そう!」

 

 自分に対しても手加減ないのかこの人。そんなざっくりいく必要ある?

 

 稀血の匂いが広がる。

 鬼にとっては飯テロだろう。突然うな重の匂い嗅がされたみたいな。

 

「来たぞォ」

 

 風柱の言葉に、私と他10人ほどの隊員は日輪刀を構えた。

 

「私と一生ここで暮らしましょう」

「何とち狂ってんだ」

 

 狂いたくもなるし狂ってるのは今の状況である。

 え、いっぱい隊員いたじゃん! なんでピンポイントで私と風柱を部屋に!?

 いや最悪風柱は部屋に入ってもいいけど私だけは逃せよ(外道)

 

 もうやだー! 出られない部屋もうやだー!

 

 私は拾った紙をぐちゃぐちゃに握りつぶした。

 

「今無事に部屋を出る方法を必死で考えてるので待ってください」

「あァ? なんでテメェだけで考えてやがる、さっさと紙見せろォ」

「いや絶対私だけの方がうまく切り抜けられるので」

「バカにしてやがんのか」

「は? 私よりバカな鬼殺隊士がいるわけないだろ!」

「どこに自信持ってンだ」

 

 紙を握りこんだ手を開かせようと風柱が掴みかかってきた。

 

「イヤーッ! ダメですって絶対後悔しますよもう少ししたら多分きっとめちゃめちゃいいアイディアが降ってくるから待って待って待って!」

「うるせェさっさとしねえと鬼が逃げるだろうが!」

 

 せ、正論〜!

 握力では私の方が勝ってると思うが、紙を握り込んだのは片手だったので、風柱に両手使われたらあっさり負けた。

 二倍の握力使うのずるいだろ! 私に最初から両手で紙を握るという発想はなかったんだぞ! バカだからな!

 

 紙に書かれていたのは『射精しないと出られない部屋』である。

 私に男性器はついてないんだよ! どうしろっていうんだよ!

 

 風柱は紙を見つめながら固まった。

 私はすごく嫌な予感がしたので、そっと尋ねた。

 

「風柱、勃起不全だったりします?」

 

 首への衝撃とともに私は意識を失った。

 そりゃまあ首に手刀叩き込まれても文句言えない失礼をぶちかましたけど緊急時だから許してくれても良くない?

 

 恐ろしく早い手刀、見逃しちゃうね。

 当身と実弥で韻が踏めるね。

 

 この後めちゃくちゃ首を痛めた。

 

 

※ ※ ※

 

 

 起きたら蝶屋敷のベッドの上だったので、隠が運び込んでくれたのだろう。

 しばらくして風柱が見舞いに来た。

 

「一太刀浴びせたが逃げ切られた」

 

 そのときの風柱の顔はいつもの五割増で鬼への増悪にまみれていた。

 つうか追えたんだ。てことは紙の内容やったんだ。結構速やかに。知りたくなかった。

 

「あの鬼ィ、また別の部屋に閉じ込めやがって……!」

 

 風柱可哀想すぎる。

 次に閉じ込められたのがなんの部屋だったのか聞くのも怖い。

 

「いいか、気絶してるお前には誓って指一本触れてねえ」

「そんなことする人だと思ってません……」

 

 仮にやってたとしても怒れるわけないだろ。

 風柱にとってご褒美になるならいくらでも触っとけよそんなん……。

 可哀想すぎるだろ、人間の尊厳を大切にさせろよ。

 鬼殺隊は死ぬ覚悟はしてても性的な方面で尊厳を失う覚悟はしてねえだろうが。

 

 風柱に同情して思わず泣きそうになって目頭を抑えると、風柱はぎょっとした様子だった。

 

「おい、泣くんじゃねェ」

「そうですね、泣きたいのは風柱ですよね……」

「なんで俺が泣くンだよ」

 

 酷い目に合わされたけど気丈に振る舞う被害者にしか見えなくなってきた。

 純粋なさねみくんが鬼に汚されてしまった……。

 

 セックスしないと出られない部屋と子作りしないと出られない部屋はうまく切り抜けられたのに!

 そんな思いが余計に私の胸を締め付ける。

 

「風柱がお婿に行けなくなったら私が責任とります……」

「お前の思考回路どうなってやがる」

 

 

※ ※ ※

 

 

「個人的に今回が一番私の心が傷つきました」

「鬼殺隊の被害も今回が一番大きいですよ」

 

 あやっぱり?

 

「人海戦術で失敗ですか。次の手をどう考えます?」

「まあ一応考えてるのはありますよ。次一緒に来て欲しいのはしのぶさんなんですが……しのぶさんの毒で血鬼術の部屋の壁を崩せるかもしれませんし」

「嫌です」

「シンプルな拒絶」

 

 しのぶさんは笑顔のままだが、圧を感じる。

 私はそっと顔色を伺いつつ、交渉する。

 

「ほ、ほら、次は大してエグくない部屋かもしれないじゃないですか」

「嫌です」

「頑な〜!」

「私は部屋に閉じ込められて廃人になりかけている隊士たちを世話するので手一杯ですから、鬼の討伐はあなたにお願いしますね」

「廃人になるかもしれない場所にためらいなく私を向かわすな」

 

 他の隊員は廃人とか言っちゃうほどの精神的ダメージを!?

 まずい、出られない鬼によって鬼殺隊が崩壊するかもしれない。

 強すぎるだろ冗談抜きで。

 この血鬼術で童磨と猗窩座閉じ込めたら猗窩座が怒りによってパワーアップして下克上達成できるんじゃない? その結果上弦欠けないかな。

 

「たいした心の傷もなく戻ってこれたのはあなたと、あなたと共に部屋に閉じ込められた隊士だけなんですよ」

「それはまあ私の心は筋肉で覆われているので……」

「はい?」

 

 あ、これは意味がわからない時の「はい?」じゃなくて、とりあえず黙れの「はい?」ですね。

 

「対処法が思いつきやすいというのは確かにあります。これ進研ゼミで見た! ってやつなので」

「はい?」

 

 やべえ、仏の顔ラス1になっちゃった。

 

「嫌だ〜! 行きたくねえ〜! 私はともかく同行者の心を折ってしまいそうになるのが嫌だ〜!」

「それなら解決策があります」

「え!? 本当ですか!?」

 

 しのぶさんは大層美しく微笑んだ。

 

「心を折ってしまっても罪悪感を抱かない人を同行者にすればいいんですよ」

 

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