九条空の怪電波   作:九条空

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20191106 執筆


【鬼滅の刃】転生したら九尾になったアホの子が鱗滝左近次を妖怪仲間だと勘違いする話【1/5】

 

 転生したら狐だった。

 

 な、何を言っているかわからねーだろうが私も何を言っているのかよく分かっていない、いや言ってることはわかるけども状況がなんやねんこれ。

 

 思わずエセ関西弁がでてしまったが、驚くべきは狐に転生したことだけではなかった。

 

 なんと狐ではなく妖狐だったのである。

 

 私は、いやあ転生しちまったならしょうがねえな! 前世の私全然徳積んでないし、そりゃあ畜生にもなりますわァ! とわりとすぐ納得した。

 

 そしてのんびり野山を駆け巡って兎とかをバリムシャアする人間であった頃は考えられない野性的生活(的、どころか野生なのだが)を続けていたところ、問題が発生したのだ。

 

 突然尻尾がふたつになった。

 

 な、何を言っているかわからねー(以下略)

 

 私は生前、特に動物博士ではなかったので狐の寿命など知らなかった。

 そして山を駆け巡るだけのあまり代わり映えのしない生活の中で、時の流れというものをほとんど感じていなかった。

 

 たしかに、兄弟やあとから生まれた親戚的な狐たちが色んな理由(けして寿命だけでないのが野生のつらいところである)で死んでいくのを見ながら、あれ? 私だけちょっと長生きすぎねえか? とは思った。

 

 思ったが妖狐になってるとは思わんだろ。

 思わんだろー!!!!

 

 でもまあなってしまったものはしょうがないので生きるしかないのだ。

 私の長所は切り替えが早いところだって就職活動でも言ってた気がする。

 人間は適応する生き物なのだ! 今狐だけどな!

 

 尻尾がふたつになったことで妖力的なサムシングが増したのか、ついでとばかりに筋力も増した。

 そんな私は兎どころか、ときたま熊などもバリムシャアしながら野生生活を続けていた。

 そうしていたら案の定、新たな問題の発生である。いやこれは問題というよりは嬉しい事柄だった。

 

 人間に化けられるようになった。

 

 やばないですか? 私はやったー! と喜びのあまり野山を駆け巡った。もちろん全裸で。

 そして久方ぶりの二足歩行に慣れていなかったので派手に転けた。転けた上に崖から落ちた。崖から落ちたらその先が川だったので流された。

 

 いや不運重なりすぎだろ私そんなに徳積んでなかったか???? と真顔になったが冷静に考えると徳は積んでない、だって山で野生生物やってただけだもの。狐だもの。みつを。

 

 こりゃいかん、人間になれたことだし私は徳を積んでいかなきゃと思いましたとさ。

 

 物語の終わり風に言ってみたが私の人生はここで終わらない、むしろ始まった。

 

 川をどんぶらこっこと桃太郎よろしく流れていった先で、なんとそれこそ桃太郎よろしく老夫婦に拾われたのである。

 

 それからはまあ紆余曲折あった。

 ま〜じで色々あった。

 

 私が転生したのが西暦3桁くらいのクソ大昔だったことが判明したりだとか、私の人間姿が不可思議な力によってどうしてもその時代に合わせた美女になってしまうがために阿呆のような量の男を誑かしてしまったりだとか、まあ色々である、色々。正直、徳を積む所ではなかった。

 

 私は自分の美貌が故に国を傾かせかけて陰陽師的な人達にぶち転がされそうになって以来、あっこれあんまり人と関わらない方がいいんですね!? と学んだ。学ぶのが遅すぎるとか言うな、妖怪の寿命が長すぎるが故に性格がどんどんのんびり屋さんになっていくのだ。

 

 というわけで私は現在、神様をやっている。

 

 突然何言い出したんだこいつと思わないで欲しい。神様って言い方があれなら妖精さんと言い替えてもいい。

 要するに、人に見られないように善行をしているのだ。

 

 どこかで迷っている子どもがいれば、姿を隠しながら「そちらを右に曲がるんだよ」と教えてあげたり。

 飢えた人がいればこっそりと食べ物や作物の種を分けてやったり。

 人を襲う野盗がいれば死なない程度に痛めつけてやったり。

 

 傷ついた子猫がいれば助け、飢えた熊にその身を差し出———すのは無理だったので逃げた。

 

 それはもう徳を積みましたともさ。

 ごめん殺生しない主義なので肉食獣は助けてあげられない食われるの嫌だし。

「おまいだったのか、ごん」とならないように細心の注意をはらいながら、自分にできる限りの徳は積んできた。

 

 そんな私の最近の悩みを聞いてくれ。

 

 

 寂しい!!!!!!!!!!!

 

 

 寂しすぎる、この生活! むりぽ!!

 コミュニケーション! コミュニケーションがなさすぎる! 会話させて! 人間じゃなくてもいいからァ!

 

 あっでも人を食べる妖怪はノーセンキューですあいつらくっせえんだマジで、会話以前に鼻が曲がるので出会ったら速攻逃げている。

 人を食おうとしている場面であれば、人の方を連れて逃げるか、鼻をつまみつつ妖怪を引っ掴んで人から離れたところに放流するかしている。

 今まで出会ってきた妖怪はみんな私より弱いので、暴れるのを押さえつけて放流するくらいはわけないのだった。

 

 いくら肉食妖怪といえど殺生はだめです。

 せっかく積んだ徳がなくなるので。

 

 私は来世なんかすごいのに転生するのが夢なのだ。

 人間→妖狐ときたら次はなんだろうか、それこそ神様? 今はエセ神様ムーブをかましているが、実際なったらそれはそれで苦労しそうだな、人助けるのめっちゃ大変だもの。やってて本当にそう思うぞ。

 

 

 ところで話は妖怪のことになるのだが。

 人を食わない妖怪に私は未だ会ったことがない。ずっと探しているのにである。

 

 なぜ探しているのか?

 理由は明白である。

 

 

 友達になりてえんだよ!!!!!! 妖怪妖怪ウォッチッチ!!!!!!!

 

 

 人間相手では私の美貌に男女構わず狂わせてしまうかもしれない。さらに寿命が違いすぎるので仲良くなってもすぐ私が置いていかれてしまう。

 

 だから同じ身の上の妖怪仲間が欲しいのだ。

 

 だがいないのだ。全然いないのだ。つらたん。

 会うやつ会うやつみんな鬼を自称する人喰い妖怪なのである。なぜなのか。

 

 

 善良な妖怪を探し続けて長らく。

 私の尻尾が9本になってからウンじゅ.......いやウンひゃく年? たった頃だからまじで長らくたった頃の話。

 

 ふらりと立ち寄った山で休んでいたところ、山に入るものの気配がしたのだ。

 

 時間は夜。新月で、電気などないこの時代、あたりは真の暗闇である。

 そんな時間に歩き回る人間などいない、いたとしたら迷子か、はたまた根城でも探す野盗か。

 どちらにしろ私案件であるが故、そのひとのところに立ち寄った。

 

 そうしたらなんと、そのひと、ひとじゃなかったのである。

 

 ながーい鼻。ぞうさんじゃないぞ。だって人型だもの。

 

 ひとのかたちをした長い鼻の生き物なんてひとつしかない。

 

 

 天狗である!!!!!!

 

 

 しかもこの天狗、人を食った妖怪特有の鼻の曲がる匂いがしない。

 つまり善良な妖怪。私と同じ。私がずっと探し求めてた存在だ!

 

 やっべえどうしよ、いざ出会うとどういう風に声掛けていいかわからん。

 私ははちゃめちゃに焦った。

 

 第一印象って大事だよな、どういうスタンスで話しかけるべきか、あっそもそももしかしてこの山ってこの天狗さんの縄張りだったりするのか!? そしたら私侵入者じゃん印象最悪じゃんやっべえ!!

 

 とか思ってたら向こうから話しかけられた。

 

「何者か」

 

 存在がバレてると思ってなかったので心臓が口からまろびでるかとおもった。

 

 だって透明になって木の上から眺めてたんだぞ! 言ってなかったが私透明になれます妖怪なので(なんでも許される魔法の言葉)。

 あっでも妖怪だったらそんくらい看破できるかそうですよね、今まで自分しかまともな妖怪見てこなかったので「妖怪だから」で許されるの自分だけだと思ってましたごめんなさいやべえ私侵入者である上に不躾に天狗さんをじろじろ眺めているクソ野郎と化しているのでは!? オワタ!!

 

 ここは素直に謝罪するしかない。誠実が1番だよな!

 

 私は木の上からすとんと降りて、天狗さんの目の前で深々とお辞儀をした。

 

「此度の不躾な態度、お詫び申し上げる。私と同じものと出会うのは初めてだったので、驚き故にどう話しかけて良いか迷ってしまい」

 

 敬語自信ねえ〜! あんま人と喋らんし今何時代かよくわかってないから言葉遣い自信ねえ〜!

 

 状況と心情は正直に全部言ったけど反応どうですか!?

 おこですか!? お詫びに腹切るくらいならしますけど、そのくらいでは死なないので! 痛いけど!! 食べられるのの次くらいに嫌だけど!!!

 

「同じ、とは.......貴殿について、おれは聞き及んでいないが」

 

 ちょっと待って!?

 なにその言い方、お前みたいなのがいるなら知らんわけないけどって感じですよね!?

 

 もしかして善良な妖怪同士のコミュニティとかあるんですか!? なにそれ私知らんのだが!? おいハブかよ! ハブなのかよ!?

 ショックなのでそんな事実あって欲しくないのだが!? 違うよね、言い方がそんな感じになっただけで私だけ取り残された妖怪仲間グループがあるわけじゃないよね!?

 

 いやまって聞きたくないわ正解聞きたくないわやめとこまずこの天狗さんと仲良くなることだけを考えよう、うん、話逸らそう。

 

「この山はあなたの縄張りでしたか? だとすれば許可なく訪問したこと、申し訳なく」

 

 不法侵入まじめんご!!

 

「いいや。鬼が出ると鴉から聞き、参上しただけのこと」

 

 不法侵入じゃなかったやったぜ!

 

 てかちょっと待って鴉ってなに.......鴉天狗!?

 見るにこの天狗さんに羽は生えてないし、自分の事じゃないのは文脈的にも明らかである。

 

 やっぱいるんじゃねえか別の妖怪!!

 いやでも天狗仲間ってことで私がハブられるのは当然かそうだよな凹むな私!!

 

 そして説明していなかったが、私がこの山にやってきたのは、ここには鬼が出るとの噂を聞きつけてであった。

 もしかしたらあのくっさい人喰い鬼じゃなくて、いい鬼かもしらんし、と思ってやってきたのである。いなかったけど。

 

「私の探した限りでは、ここに鬼はいませんよ。代わりに天狗はいましたが」

「.......そうか。たしかに、においはしない」

 

 私の軽いジョークはスルーである。うんわかったクールタイプだな、下手に冗談言わない方がいいやつだな理解した。

 

 やっぱ天狗さんもあの悪い鬼共のくっさい臭いはわかるらしい。鼻長いから嗅覚もいいのかな。

 

「しかし、念の為におれも調べる」

 

 真面目かよ。

 えっいや、それとも私の言うことが信用出来ないパターン…….?

 

 どうすっかな、真面目であってくれ頼む。ここで友好築けなかったら、次に善良な妖怪と出会えるのが一体何百年後になるかわからんのです。

 ここは肉食系女子となってガツガツ行くしかねえ! 実際は今は草食です! 殺生は徳的にダメだからね!

 

「それではお供させていただいてもよろしいですか」

「なんのためだ。お前はすでにこの山に鬼はいないと確信しているのだろう」

 

 これ嫌われてます? えっもう無理?

 いや私は諦めんぞコノヤロウ念願の同族だぞ!

 

「あなたと語らってみたいのです」

「なぜ」

 

 いやこれ嫌われてるでしょもう無理です。

 なぜなにって理由聞きまくるって大した理由ねーならくんじゃねーよってことでしょ。泣きそう。しぬ。

 

「仲良くなりたいと思ったのです」

 

 まじに泣きかけて声が震えた。

 もういいよ、素直にどっかいけって言ってくれよそしたら諦めるよ私は切り替えが早いことが長所なんだ。

 

 すると天狗さんからは思いがけない答えが返ってきた。

 

「.......わかった」

 

 わかった!? なにを!?

 私の友達ゼロ人オーラでも見抜きました!?

 

 天狗さんはそのままスタスタ歩き出してしまった。

 えっこれなに、えっ。ついてっていいやつ、だめなやつ、どっち?

 

 天狗さんの背中を見つめていたら、くるりと振り返った。

 

「.......共に行こう」

 

 その瞬間私の脳内に鳴り響くBGM。

 

 えんだああああああああああいやああああああああああああいすおーるうぇいずらびゅううううううううぅうう!!!!!!

 

 これはもう友達だよな!? な!?

 共に行こうだぜ!? なんならプロポーズだよなァ!? 共に人生を行こうだよなァ!? 妖怪だから妖怪生か!?

 

 いやそれは飛躍しすぎですねすみませんお友達から始めさせてくださいよろしくおねがいします末永く、それはもう末永く! 1000年くらい!!

 

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