神と呼ばれた少年は平穏な日常を夢見るか   作:さとう

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前回までのあらすじ
仮面の皆さんと遊んだ。
五年生になった。



第二章 物語の裏で彼は何を思う
第十四話:脳内リサさんの言うことは大抵嘘


僕の10歳の誕生日にあったあれこれから数ヶ月。季節は回って春になった。

小学五年生になってクラス替えもあったが、一番仲が良いといえる黒崎姉妹とまた同じクラスになれたのは嬉しい。知らない人ばかりだと○人組になれと言われたときに困るのだ。

ともかく。僕は特に問題もなく、五年生最初の一ヶ月を過ごしたのだった。

 

最近、お父さんが怪しい。

目つきや服装はいつも怪しいのだが、そうではなくて。

僕は、お父さんが駄菓子屋の店番をちゃんとしているところを見たことがない。なのに最近、誰かが店に来るたびにすっ飛んで応対するのだ。しかも、三日に一回来るか来ないかの客が、最近は二日に一回程度に増えている。

今日も、お客さんが来たとテッサイさんに呼ばれる前に、お父さんは立ち上がって店へと向かっていった。

誰も言及しないところを見ると、お父さんたちを陥れたという男の件を進めているのだとは思うが。しかし脳内リサさんが何度も『愛人やろそれは。ああいうタイプは巨乳に飽きて貧乳や男に走るんよ。あたしにはわかる』とほざく。脳内リサさん……。

そんなわけないとは思いながらも不安に思った僕は、一向に帰ってこないお父さんを見に行った。

 

「おい浦原。これはいくらだ」

「つうか、こんな駄菓子屋の店先で話してていいのかよ」

「だぁいじょうぶですって! 全く二人とも心配性なんスから〜」

そこには、貧乳と男がいた。

う、嘘だ……。そもそもお母さんとお父さんは結婚どころか付き合ってすらないけど、だからって貧乳や男が好きとは聞いたことがない。僕がリサさんから押し付けられたエロ本をあげたときも、胸の大きい人が表紙のほうが嬉しそうにしていた。表情はずっと焦ったような困ったようなものだったが、僕の目は誤魔化せない。つい先日もそうだったから、きっと性的嗜好は変わっていないはずだ。

「なあ、そこの。何してんだ」

じっと見て考えていたら、男の方が声をかけてきた。男は、景気の良い明るいオレンジ色の髪の毛をしている。他に特筆すべきは目つきの悪さだろうか。他は普通の高校生らしい。制服を着ているから、少なくとも学生なのは間違いないだろう。

じゃあお父さんは高校生に手を……? 

『そりゃあ高校生に手くらい出すで。100年以上生きてたら高校生の一人や二人、小学生の三人や四人普通や』

脳内リサさんがまた何か言っているが、さっきのこともありうっかり信じてしまいそうだ。いやいや輝夜、お父さんをよく見ろ。そんなことしそうに見えるか? ……見えるから困るのだ。

 

「おい、大丈夫か?」

「うわあ!」

気づいたらオレンジ頭が目の前にいた。驚いて飛び上がった僕を見て、奥にいるお父さんが笑っている。殴りたいのを我慢して、正面の男に向き直った。

「……あの、そこにいる人とはどのようなご関係ですか」

「ブッ」

つい頭が真っ白になってしまい、思っていることそのまま口から出た。吹き出したお父さんはあとで絶対殴る。ジン太が。

「は? いや、普通の客だけど」

あーでも、普通ではないっつーか……。

うまい言い方が思いつかないのか、そう言いながらその派手な頭をガシガシ掻いた。普通ではない。普通ではない……? やっぱりそれって、と思ったとき、ひとしきり笑い終えたお父さんがこっちに来た。

「この人は対死神のほうのお客さんだよ」

扇子で隠しているが、まだ目は笑っている。よく見たらうっすら涙の膜まで張られていて、どれだけ笑ったのかが窺えた。

「俺は黒崎一護。よろしくな」

くろさきいちご。聞き覚えがあるがどこで聞いたのか。身近な女の子が言っていたような……。雨じゃなくて、遊子、夏梨……?

「あーー! 『いちにい』さんだ!!」

「な、なんだ? その足したら6になりそうな名前は……」

思い出した。黒崎姉妹のお兄さんとしてたびたび話に挙がる人だ。目つきが悪くて、オレンジ頭で、よく喧嘩を売られやすい。見た目も聞いた通りで、逆になぜ気づかなかったのかと思うくらいである。

「で、お前はなんなんだ」

「僕は浦原輝夜って言います。遊子と夏梨とはクラスメイトで」

「浦原……って、もしかして」

『いちにい』さんは、元々しわの多い眉間をさらにひそめて横を見る。

「そうなんスよ〜! 実はこの子、アタシの自慢のむす」

「他人です」

即答した。




脳内リサさんとは:輝夜の脳内にある矢胴丸リサの情報に基づいて、本人が言いそうなことを予測したときに生み出された存在。本人との同一度は不明。
勘違い回です。本当はお父さんの敵かもしれないから慎重に接しようとする輝夜を書きたかったのですが……。どうしてこうなった。
うっかり『お父さん、やっぱり貧乳と男捕まえて愛人にしてる!!』って叫ばなくてよかったですね。お前自分の子供に何見せてんだって怒られちゃうので。

原作突入しました。大体こういう、お父さん何かやってんな〜という目線で進みます。というか進みません。お母さん一週間も帰ってきてないなとちょっと寂しくなるだけで、普通に黒崎姉妹と遊んだり仮面の皆さんと遊んだりすると思います。何にも考えていないので予定変更するかもしれません。とにかく、次回もよろしくお願いします。
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