神と呼ばれた少年は平穏な日常を夢見るか   作:さとう

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前回までのあらすじ
一護とコンと仲良くなった?



第十七話:犬も怖けりゃ母も怖い

「わん!」

「あー、もう! くっつかないでよ!」

「わんわん!」

「だーかーらー!」

生ぬるい湿った舌が顔を這う。背中には一匹、足元には二匹、そして胸にも一匹。小型ではあるが、犬が二匹も身体にひっついていると重くてしょうがない。あと怖い。

足も動かせず、落とすわけにもいかず、しかたなくお母さんに助けを求めた。

「だっはっは、大人気じゃのう」

……これだからお母さんと一緒に出かけたくないんだ。

今僕がどこにいるかというと、普通に道路だ。具体的に言うと、ペットショップへの道中の、特筆すべき点のないただの歩道だ。強いて言うなら、この辺りにしては若干歩道が広くすれ違いやすいくらいか。

それなのになぜ、僕がすでにペットショップ並みの数の犬に群がられているのか。それは、僕の体質のせいだ。そしてそれをなんとかするために、僕は今こうして犬に囲まれていたのだった。

 

昔から、犬に好かれやすかった。大型犬に襲われて大泣きし、お父さんに剥がしてもらったこともある。おかげで今でも大型犬は大の苦手だ。

それが、最近になって酷くなったような気がするのだ。気がする、なんて軽いもんじゃない。鳥も猫も虫も関係なく近寄ってくる。

そして先日、なんで突然犬以外も集まってくるのかと烏にたかられながら思ったとき、狂犬が言った。

「ああ、それは赤目が原因ね。また血を飲むようになって力が戻ったみたい。今まで以上に動物も人間も惹きつけるのは当たり前よ」

あっさり、なんでもないふうに。狂犬にはこの目に浮かぶ涙が見えていないらしかった。

とにかく、原因がわかれば当然治す方向へ話が進む。僕だって動物に纏わりつかれるのはこりごりだ。治せるものなら治したい。

隠しきれず口の端を上げながら『どうしたら』と狂犬に聞いた。

わからないと言われた。

それきり、なんの反応もなくなった。ふざけんな純血の吸血鬼なら解決策知ってるだろとまくし立てても、酷いよ僕のこと大事に思ってないんだねと泣いてみても。狂犬は都合が悪くなると黙るのだ。わからないのは能力を当たり前に制御できていたからだろうけど、小学生の子孫の前で小学生みたいなことをしないでほしい。

そして、結局暇そうにしていたお母さんに助けを求めたら『能力を使わんようにするには、逆に使ってみたらどうじゃ』とそれらしい解決策を出され、僕は嫌々ながらも外に繰り出したのだった。

目指すはペットショップ。ふれあいコーナーで犬に目を合わせて命令し、従わせるという練習をするために。

 

「す、すみません! いつもは言うこと聞いてくれるんですけど……」

「大丈夫、です……犬に好かれる体質らしくて」

犬たちの飼い主のお姉さんに笑いかけようとしたが、無理な体勢をとっていたのもあって乾いた笑いにしかならなかった。それを見て、ようやくお母さんが助けに来てくれる。まったく、これからペットショップに行くっていうのに今ふれあっててどうするんだ。

「これじゃキリがないのう。こうなれば強硬手段じゃ、捕まっておれ」

僕に乗っている犬を降ろしては別の犬が乗るのを繰り返してストレスが溜まったのか、お母さんは大きく息を吐いて僕を抱える。お母さんに抱えられるのなんて何年ぶりだ。じゃなくて、え? もしかして、話に聞く瞬歩ってやつをするつもりじゃ。

親にお姫様抱っこされる恥ずかしさを感じる暇もなく、首に手を回した。その瞬間、とてつもないGを感じる。目なんか開けられない。こんなことをいつもやってるのか!?

そういえば、さっきの人からは僕たちが消えたように見えたのかもしれない。大丈夫なのだろうか。

現実逃避にも似た考えが過ぎったところで、やっと顔にばしばし当たっていた風が止む。

「到着じゃ」

整った顔でニッと笑うお母さんに、怒る気も失せた。




輝夜は犬が苦手です。道端で散歩中の犬にびびってガン見してしまい、飛びかかられる。それが日常ですから、そりゃ苦手になります。猫はそんなに苦手意識ないんですけどね。お母さんの基本スタイルが猫だし、猫はあまり目を見ないから能力が効かないのもあります。
白蛇時代は初対面の大人にも効くのに幼少期の輝夜は同世代と犬にしか効かなかったのは、飲んだ血の量が関係しています。月に何度も飲んでいたころと年単位で飲まなかったころの違い的な。


一護が死神代行になってからルキアが連れていかれるまでって2ヶ月もあったんですね。イメージより長くて驚きました。この間に赤目の暴走とかを解決していきたいな。
次はいつになるかわかりませんが、よろしくお願いします。
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