神と呼ばれた少年は平穏な日常を夢見るか 作:さとう
プロローグ:少年はしばしば夢を見る/第一話:少年は起床する
物心ついた頃から、あるいはそれよりも昔から、同じ夢を何度も見る。厳密には同じ夢ではない、同じ少女が主人公の夢だ。
少女は大抵同じ部屋にいた。家具はそこそこあるが、少女以外誰もいない部屋。刀らしきものも部屋にはあった。
少女はいつも豪奢な着物を着ていた。重そうな服に苦しそうな帯だが、少女は特に気にすることもなく生活している。
幼い頭にはよくわからないが、現代というよりは江戸時代だか大正時代だか、そんな雰囲気の世界だった。
少女はいつも、本を読んだり舞を舞ったり、刀に話しかけたりしていた。僕のように、ゲームをする様子はなかった。それでも、少女はそこそこ楽しそうだった。
しかし、たまに見る夢では少女は辛い顔をしていた。大丈夫?と声をかけてやりたいが、いつも僕は声を出せない。夢の中には僕はいないのだ。
少女の気持ちが流れ込んでくる。どうやら、父親がどんどんおかしくなっているのを自分のせいだと思っているらしい。それはそんな表情をしているわけだ。
僕のお父さんはいつもふざけてはお母さんや他の家族に怒られているが、普通のお父さんだ。おかしいと言ったらちょっとオタク気質だというだけだが、それも嫌であるわけではない。
もしもあのお父さんが突然、この少女の父親のように狂気と殺意に満ちた目で接してきたら、なんて、想像すらできないが、それがあまりに辛く悲しいことだということだけはわかる。この子の痛みが自分のことのようにわかるぶん、なんとかしてやりたいと思うのは当然だろう。
歯痒い気持ちで彼女を見る。
少女の口は、『たすけて』と動いた気がした。
目が覚めた。
カーテンから光が漏れ出ている。この感じは朝だろう。寝ぼけている頭を起こすように伸びをした。
「
「はあい!」
下の階から、よく響く低音が聞こえる。テッサイさんだ。
テッサイさんはお母さんでもお父さんでもないが、あの二人よりもお母さんらしくお父さんらしい。僕がまだ服を満足に着られない頃、服を着せる役割はテッサイさんだった。ご飯も作ってくれるし、僕と遊んでくれるし、叱られたことも片手では足りない。背が高くて怖い顔をしているが普段は温厚なテッサイさんは、しかし、怒るとビジュアルに違わぬ迫力がある。ジン太のせいで何度怒られたことか。
このまま二度寝をしたいが、そんなことをしたらまた『学校に遅れてしまいますぞ』とビリビリする声で怒られるだろう。ここはとっとと起きるのが吉だ。
「おはよう、テッサイさん」
「おはようございます」
今日の朝ごはんは、白飯に焼き鮭、味噌汁だ。絵に描いたような理想的な日本人の朝ごはん。朝起きるのは辛いけど、テッサイさんの作る朝ごはんのためならどうってことないくらいに美味しい。
「お父さんは?」
「浦原殿は夜一殿と共に出かけられました」
「そうなんだ、珍しいね」
僕のお父さん、浦原喜助は朝に弱い。僕が小学校に行く時間になっても起きてこないこともざらにある。お母さん、四楓院夜一は自由人で、猫に変身してはそのあたりを散策して帰ってくる。
変人二人でどこに行ったのやら。どうせ聞いても適当にはぐらかされるだけだから詳しく聞くことはない。しかし、もし二人がいつもの服で行ったなら、職務質問されたり不審者として通報されたりされないか心配だ。
ジン太と雨はもう起きて掃除などをしているようだ。いつものように二人が言い争っている音が聞こえる。たまにほうきの音もするから、テッサイさんがすぐに助けに行くだろう。
朝ごはんを平らげたら、顔を洗って歯を磨いて、服を着替えて家を出る。小学四年生の僕、浦原輝夜の日常だ。
「行ってきます」
「いってらっしゃいませ、輝夜殿」
「おー!」
「いってらっしゃい……!」
・浦原輝夜
この作品の主人公。
自分が拾われたことを知りません。しかし、両親と顔が似てない気はしているので、ほんのり疑惑は持っています。養子だとしてもはぐらかしてうやむやにされそうだから言わないけど。
10歳手前にしては大人なような、まだまだ子供なような、大人に囲まれて育った故の変にませた性格をしています。仮面の方々にも7歳頃からお世話になっています。
主人公の輝夜は専らツッコミ役。いじられたり天然でボケられたり。
顔立ちはつり目ですがきつい印象はあまりなく、ぱっちりおめめでかわいいです。女の子みたいって言われることもあるけど本人的にはそこまで気にしていません。みんなと違って目が赤いのが少しコンプレックス。
髪型は全体的に長めで大人しい男の子って感じです。格好もインドアっぽく長袖長ズボンがデフォルト。
見切り発車で書いてみたのですが、1話ごとに1000字以上って大変ですね。プロローグと第一話がつながってしまいました。既にストックがない、やばい。書いてる人すげえや、が初めて投稿した感想です。