神と呼ばれた少年は平穏な日常を夢見るか 作:さとう
失神したが、お父さんが迎えに来て帰った。
「……原因を聞いても?」
帰り道では心配したよとしか喋らなかったお父さんが、家に着くや否や単刀直入に言った。静かに頷いて了承の意を示す。
一心さんには言いづらかったが、僕の正体を知っているお父さんが相手だ。なにより、家族に自分が倒れた理由を言うのは当たり前だから。
「街であの人を見かけたんだ」
「あの人……?」
「僕の本当のお父さんだよ」
詳細を話すと、お父さんが目を見開く。
あのとき見たのは、僕の昔の父親。あの人を見間違えるわけがない。なんたって、僕が白蛇だったころに一番長く接してきた人で、僕を殺した人だ。
最後に見たときから全然変わっていなかった。僕の記憶から出てきたと錯覚するほどに。少しくらい髪型を変えるとかしてくれれば、僕もあんなに動揺することはなかったかもしれないのに。
それに、隣にいたあの子供はなんなんだ。
「輝夜には妹や弟はいるの?」
「いないよ。……聞かされてないだけかもしれないけど」
当時の僕は監禁されていたから、親から伝えられなければ何も知り得なかった。父親が僕の能力を危惧して兄弟と会わせなかった可能性も充分にある。あの子は僕の兄弟だと思ったほうがいいな。
しかし、あの背丈。同年代の平均より低い僕と同じくらいだった。僕が殺される前に産まれていたら今の僕より肉体的には年上になるが、そうなると12歳以上であの身長は病気を疑われかねない。ならば、僕が殺された後か同じくらいに産まれたと考えるのが妥当か。
産まれた年は上でも肉体的には下なんてやりにくすぎる。喋ると決まったわけではないけど、向こうから話しかけられることも考えなければならない。
「これからはボクが送り迎えするよ」
何をしてくるかわからないからね。僕と同じように考えごとをしていたらしいお父さんが突然そう言った。
たしかに、相手からすれば殺したと思った人が目の前に現れたようなものだろう。監禁されていた僕が特殊なだけで、血神でも隣町になら行っても良いのかもしれない。今まで奇跡的に出くわさなかっただけだというほうが自然だ。
また昔のように怯えながら過ごさなければならないのか。そう考えると今から気が滅入る。次会ったときも同じように失神してしまったら。刃を向けられてしまったら。
それだけじゃない。僕は吸血鬼にしては力は弱いけど、目だけで人間を殺せるという話なのに。動揺して力が暴走してしまったらということも考えなければならないのだ。
つい、縋るようにお父さんを見てしまう。
「だぁいじょうぶ! お父さんがついてるんだから」
「……うん、そうだね。ありがとう」
「い〜え!」
お父さんは扇子を広げて満足そうに笑った。それだけで、身体が少し軽くなった気がした。失神も暴走も、しないしさせない。僕は覚悟を決めて、その日を終えた。
知ってた。
血神の村は空座町のおとなりなので、そりゃあ交流というか交通というか、そういうのはありますよね。でもかなり閉鎖的な村で往来はごく少数です。空座町の人たちからそんな村あったのと驚かれそう。
うーん。やはりシリアスになると筆の進みが遅いです。スマホのタップが遅いです? 内容はほとんど決まっているのですが……。
それに、そろそろ忙しくなりそうなので、一週間一回更新くらいを目安にしたほうかいいのかな。そんな感じでのんびり頑張ります。