神と呼ばれた少年は平穏な日常を夢見るか 作:さとう
実家とけりをつけた。
今回は、本編とは関係ないが時間軸はこの辺なので本編に挟まってるだけのギャグ回です。
「なあ輝夜、あのうさんくさ下駄帽子と一緒に暮らしてて本当に大丈夫か?」
「なんですか突然。ついに職質三桁の大台に乗ったとか?」
二桁もされてんのかよ。と引き気味で自身の身体を抱くように腕を巻きつけたこの人は、黒崎一護。僕の同級生であり友達の遊子と夏梨のお兄さんだ。人間ながら死神のお仕事もしているらしく、死神相手に商売しているお父さんのお得意様でもある。
いつものように朽木さんとうちに買い物しに来た帰り、僕を見つけた一護さんが冒頭のようなことを言ったのだ。
うさんくさ下駄帽子とはもちろん僕のお父さん、浦原喜助のこと。大変怪しい雰囲気を纏ってはいるが、すぐ抱きつくのと研究のために何徹もする以外は困ったところなど特にないのだけど。やばいのはむしろお母さんのほうだ。
何があったのかと話を聞こうにも、一護さんは言いにくそうにもごもごするだけだった。耳を澄ますと、実の息子にこんなこと言っていいのか? などと呟いているのが聞き取れた。……本当に何をしでかしたんだ!?
「あー、いや……。この前浦原さんが自分のことを『ハンサムエロ店主』って言っててよ。雨とかお前とか、危なくねえかなって」
「ハンサムエロ店主」
僕は頭を抱えた。どうやったら高校生相手にそんな自称を披露する機会があるというのか。ハンサムエロ店主って? セクハラからの流れでしか言えないでしょ。
というか、目の前で人の姿になったお母さんになんの反応もしないお父さんしか見たことなかったじゃん! エロ本をあげても困った顔でお母さんやテッサイさんに助けを求めていたものだから、むっつりなんだとばかり思っていた。ハンサムエロ店主ならエロ本もらえるとわかった瞬間喜びを表現した舞を踊っても良いくらいなのに。流石にそれはしないと思うけど。あと、エロ本をもらって踊るお父さんを純粋に見たくない。
「まあ、大丈夫そうならいいんだ。悪いな、変なこと言って」
「変なこと言ったのはお父さんだから気にしないでください! すみませんでした」
じゃあなと爽やかに手を振る一護さんを見送り、ため息を一つ。……高校生に迷惑どころか心配されるようなことをするなよ、何百歳。
「黒崎サンと何話してたの?」
「あ、ハンサムエロ店主」
「え?」
一旦部屋に行ってまた居間に戻ると、お父さんがいた。うっかりさっき聞いた謎の肩書きで呼んだ気がしたが、気のせいだろう。お父さんが聞こえるはずのないものを聞いたときのように目をぱちくりさせている。何があったんだ。
「な、なんで輝夜がそれを……?」
なぜか生まれて初めて見るレベルで動揺している。それってなんのことだろう。
「そんなことより、はい!」
「ええ、何かくれるの!? ありがとう一生大事に」
するね、とは続かなかった。理解の追いつかない表情で僕と包装のほとんど剥がれかかったそれを交互に見つめる。
「あれ、気に入らなかった? この前リサさんにもらった『つゆだく爆乳学園〜教師も生徒も──」
「よ、読まなくていいから!」
顔を赤だか青だかに忙しなく染めるお父さんが半ば叫ぶように言って口を塞ぐ。ハンサムエロ店主ともあろうお方が、まさか恥ずかしがっているというのか。
「ごめん、こっちのほうが良かったか。ええと、『電車に乗ったが運の尽き 初めてイタダキマス』」
「悪かった、ボクが悪かったからもうやめて!」
手で顔を覆ったのを見て、流石に可哀想になってきた。息子のAVタイトル音読はいろんな意味で刺激が強すぎたらしい。ぐったりと床に突っ伏して動かなくなったお父さんに喋りかける。
「もう変なセクハラ発言しない?」
「しない……」
「高校生に迷惑かけない?」
「かけない……」
うん、わかった。意地悪してごめんね。そう言って頭を撫でてあげた。
それから、AVは僕に渡した本人に突き返し、お父さんは変な肩書きを名乗ることをやめたのだった。その後しばらくお父さんの一護さんへの当たりが強くなったのは、また別のお話。
未成年の方はきちんと年齢制限を守ってアダルトな作品を読まないようにしましょう。見せた大人が怒られちゃうからね。
というわけで、輝夜は実際中身を見てはいないし、リサさんも『どうせ父親に渡るだろうな』と思いながら渡しています。やめなよ……。本当は英才教育させたい……ってコラ!
浦原さん、原作でも二人子供がいるのにエロ店主とか言って大丈夫なんでしょうか。名字も違うし戸籍上親子じゃないからいいのかしら。でも輝夜がいたらまずそうですよね。輝夜がいないところで適当に口走ってバレて引かれるという即オチ2コマが見える見える……。
次は決まってません。うっかり一年とか二年とか過ぎるかも。更新も一週間開いたらすみません。今のうちに謝っておきます。頑張りますのでなにとぞよろしくお願いします。