神と呼ばれた少年は平穏な日常を夢見るか   作:さとう

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前回までのあらすじ
父親が変な自称を高校生相手にしていた。



第二十八話:さようなら、狂犬(語弊)

雨続きのある日、扇子の形になっている狂犬がおもむろに呟いた。

「うーん、なんだか落ち着かないのよね」

喉に小骨が刺さったような不快感が声色から伝わってくる。ほんの少しの違和感も、ちりも積もればなんとやららしい。

表情がわからない狂犬だが、もとより感情表現がオーバー気味だったのだろう。声のトーンや間の取り方で細かいニュアンスもばっちりこちらに伝達される。

「いつから?」

「そうね……」

去年の今頃はそうでもなかったから、としばらく悩んで、とうとう顔を上げた。ように聞こえた。

「刀じゃなくなってからよ! やっぱり何百年もあの姿だったから、あれが一番落ち着くのね」

「そういうものなの……?」

まあ、そういうことならお父さんに直してもらおう。持ち運びが楽だからと扇子の形にしてもらったのは僕だから、少し罪悪感もある。……しかし直せるのだろうか。

直せるにしてもそうでないにしても、僕が考えてもわからないことだ。とにかくお父さんに相談してみよう。そう決めて扇子片手にお父さんの部屋をノックした。

 

「できますよン」

「あら、じゃあお願い」

できるんだ……。

にこにことマイ扇子で口を隠して笑うお父さんに狂犬を手渡す。そもそも刀が残っていたことが驚きだ。てっきり木っ端微塵に砕いて狂犬の血を取り除いたものだと思っていたんだけど。

明日には元通りの狂犬サンをお渡ししますね、とピースしながら自室に消えていった。

刀に戻ったらこっそり学校に持って行くことができなくなるのか。いつも鞄に入れていたからなんとなく心細く感じるが持っていないと死んでしまうほどではないし、そのくらいは我慢しよう。お気に入りのぬいぐるみを手放せない幼児でもあるまい。

そういうわけで、今日は久々に狂犬のいない部屋で一人眠るのであった。

 

「ねえ、貴方」

「なんスか?」

「何か隠しているでしょう」

ほう、とわざとらしくとぼけてみる。別に隠しているわけでもないのだけど、この扇子は勘がいいらしい。流石は死神の間で最も恐れられた吸血鬼だ。なんて、恐れられる本人(本鬼か?)も知らない事実無根の話もあるだろうが。

「ああ、嘘です嘘です言いますよ」

「ふん、もったいぶらないで早く言いなさいよね」

下手な口笛を吹いていると無言になった扇子から大量の殺気を感じ、慌てて手近な机に置く。気取ったお嬢様のような口調だが、案外気が短いのだ。700歳は超えていると聞いたのは気のせいだったかもしれない。

「何から話しましょうかね。……じゃあ、あの刀」

何百年も貴方の身体だったそれですが。

 

()()()()()()()()()()()()?」




狂犬がやったと言われている出来事はまあ大抵濡れ衣なのですが、そのほとんどは本当は同族がやったものです。
少女の姿でとても強いというのは人々の記憶に残りやすいものなので、何人かの死神の頭ではすでに吸血鬼=狂犬という数式が成り立っていたからです。また、変身能力のある個体が警戒されにくい少女に化けて人を襲ったことが原因の濡れ衣も少なくないです。かわいそう。
しかし、実際に狂犬がやろうと思えばできるものばかりなので恐れるのは正しいと言えます。短気ですが頭も回るし周りも見えているので全盛期に敵に回すとかなり厄介です。狂犬が主役の話を書いたらタグに「オリ主最強」「チート」を付け加えなければなりませんね。


お久しぶりです。え、3日も更新してなかったんですか? こう表記するとそんなでもなさそうですが。
ま〜今回はどこを書こうか悩みました。一応ネタのストックはあるし、浮竹家との繋がりを明らかにした以上尸魂界に早く連れていきたいのですが……なかなか進みません。まずは狂犬の話を片付けないとですからね。
次回はまだ一文字も書いていませんが多分解決します。問題が起きる予定はありません。……ないよね?
では、いつになるかわかりませんがよろしくお願いします。
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