神と呼ばれた少年は平穏な日常を夢見るか 作:さとう
輝夜に斬魄刀(?)を持っていかれた。
輝夜は案外すぐに見つかった。家から程近い空き地でぼうっと佇んでいるのを、夜一サンが見つけていたのだ。輝夜に目立った外傷はなく、周りの建物にも被害は見受けられなかったためにひとまず胸を撫で下ろす。しかし、明るい月の光に照らされたその姿はどことなく正常ではないように見える。なんにしても、早くなんとかしなければ。
「おいおい、こりゃどないなっとるんや……」
自分たちが到着して間もなく、平子サン、ひよ里サン、そしてテッサイが順に駆けつけた。
平子サンが空を見上げて独り言のように呆然と呟く。なにせ、
現在自分たちを煌々と照らす月は、本来見えるはずのないものなのだ。
輝夜の、あるいはその斬魄刀の仕業だと思って良いだろう。天候を操る能力か、風を操る能力か。雲も水であるから、水を操れるかもしれない。
「なんだ、もう来たの」
つまんない。そう言って振り向いた輝夜は、右手に持った刀を軽く振ってくつくつと笑った。
「
「でしょうね。たぶん、斬魄刀に同調している」
同調とは、斬魄刀を扱い慣れてない死神が刀に近付いてしまうことだ。自分が尸魂界にいたころにもこの事例は良く聞いたが、斬魄刀の性格によっては事件に発展することもあり危険である。それも、始解の能力がわからないから特に、だ。
「どうするんじゃ、喜助」
「そうっスね……。気絶させて拘束、が一番良い案だとは思うんスけど、それができるかどうかってとこスかね」
相手の手の内がわからないとどうとも言えない、が本音だ。ほとんど不死身のために弱い技では死なないとは思うが、下手に攻撃して倍返しされないとも限らない。
「とにかく、今は様子見やな。被害が出そうになれば防ぐっちゅーことで」
「ハア!? どう考えてもさっさとなんとかすべきやろ!」
「ひ、ひよ里サン、相手は吸血鬼ですよ!? 純血でこそないですが先祖返りで──」
「うるさい! ウチは行くで」
一発殴って連れて帰る! そう言い切ったひよ里サンは輝夜のもとに走っていった。輝夜はそれを一瞥して、それから彼女を
飛ばしたとなると、やはり風を操れると考えていいのだろうか。ひよ里サンは無事だったが、鬼道で助けなければ建物にぶつかって大怪我になるかもしれなかった。警戒して然るべきだろう。
思考を一旦整理して新たに対策を考えていると、輝夜であってそうでない彼が『あのさあ』とこちらに呼びかけた。
「どんな能力か気になるなら普通に聞けば良いじゃん。なんで聞かないの?」
「教えてくれるんスか?」
「んー、気分による。今はいいよ」
彼は間延びした喋り方をして首を傾げた。頭が重いかのように。合わせて動いた刀身が月光に反射してきらりと輝く。
「僕は『
名乗りながらおもむろに手を挙げる。そして、空に浮かんだ月を指差した。逆光になって見づらいが、その指先には赤い何かが付いているように見える。
「──
パァン。破裂音が聞こえると同時に強風が襲う。これは……爆発!?
目を開けることも叶わない状況で、なんとか輝夜の霊圧を確認する。場所は動いていない。己の能力を煙幕や閃光弾のようにして逃げるつもりかと思ったのだが。
「別に君たちに酷いことしようなんて思ってないよ。いい加減雨にも嫌気がさしたから晴らしたかっただけさ」
あ、でも。閃いたように手を叩いた彼は、脚を浦原商店とは反対に向けて足踏みした。そしてこちらを振り返る。
「やっと解放してもらえたんだ。僕だって遊んでもいいと思わない?」
「遊ぶ……?」
「うん。だからさ──僕と君たちとで、鬼ごっこしようよ」
月夜烏。明るい月夜に嬉しくなって鳴いちゃう烏のことらしいです。転じて夜遊びにうかれ出る人。イメージは気分屋で月が大好きな子供です。のんびりしてるけど、あっちのほうが楽しいと感じたらさっさとその選択肢を選んでしまう、みたいな。
輝夜も両親に影響を受けてか快楽主義者の気がありますけど、レベルが違うのであまり仲良くなれないかもしれませんね。輝夜、根が真面目だし。
今回、ついにタイトルに行き詰まってテンプレから変えてみました。全部変える予定です。毎回頑張って考えていたのでもったいないですが、突然傾向が変わるのも変な感じなのでもう一回頑張ります。
追記:全部タイトル変えました。