神と呼ばれた少年は平穏な日常を夢見るか   作:さとう

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前回までのあらすじ
輝夜の斬魄刀が暴れてる。



第三十三話:やったね輝夜、兄弟が増えるよ

ゲーム終了15秒前。果たして、月夜烏はあっさり捕まった。4分間たっぷり苦戦していたようだったのに最後の1分でどうやったのかというと、普通に鬼道を使ったのだった。

しかし、その使い方は普通ではなかった。

月夜烏を捕まえるには少々心許ない『這縄』を、広範囲に緩く張り巡らせたのだ。次に適当に追って、彼にその縄でできた網を見つけさせる。だが、そのまま網を締め上げるのでは彼の能力で簡単に崩されてしまう。だから夜一サンは工夫をした。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

彼はその網を見て最初にこう言った。

「わあ、何これ! 面白そう」

直後、鬼ごっこをしていることさえ忘れて網に乗ったり跳ねたり登ったり、夢中になって遊びはじめたのである。罠だと警戒もせずに。

なんということはない。要は逃げたくなくなれば良かった。元々彼は遊びたくて鬼ごっこを提案したのだから、より面白そうな遊びを提案しただけ。鬼ごっこなど5分もすれば飽きるのだ。

 

「さあて、輝夜に意識を渡してもらおうかの?」

「ちゃんと元に戻れるんやろうな」

疑いの眼差しを向ける平子サンに、月夜烏は首根っこを掴まれながら大丈夫だよと言った。

「僕はあの子のお兄ちゃんだからね」

お兄ちゃん。輝夜が血神として産まれた頃から一緒にいた彼にとって、輝夜はまだまだ小さい弟なのだろう。……精神年齢は置いておいて。

目を閉じて少しすると、月夜烏が眩い光に包まれる。同調した死神が斬魄刀から完全にわかれるときに発生する光だ。

ゆっくりと光が消え、輝夜が目を開く。

「あれ、ここは……? ていうかなんでみんな」

「良かった! 戻ったんスね〜〜!!」

「うわ、ちょっと……!」

ちゃんと声のトーンや口調が輝夜だと確認して、ふざけたふりで抱きしめた。反応や霊圧などで本人かどうかの最終確認も兼ねて。同調した死神が戻らなかった例はほとんどないが、今回はイレギュラーなのだ。流石に少しは心配もする。

それは自分だけではなく、平子サンやひよ里サン、テッサイが輝夜を取り囲んで良かったと口々に言っている。なんとも暑苦しい光景である。自分はとっとと抜けたので高みの見物なのだが。

「えっと、よくわかんないけど……ただいま?」

人騒がせな彼の弟は、そう言って頭にはてなを浮かべたまま笑った。

 

「──ってことがあったんだよ」

あの夜の翌朝。お父さんが、記憶のない僕にことの顛末を教えてくれた。知らない間に何やらまたとんでもない事件が起きていたようだ。しかも僕の霊力が作り上げたとかいう刀がその犯人で、彼が今も刀の中にいると聞いて、我ながら訳の分からない経歴を持っているつもりだが全く話についていけなかった。

まあ、今はその刀に狂犬みたいな種類の存在が宿ってるという理解でいいと言われたので、なんとなくわかっていれば良いのだろう。刀の姿でないと調子が狂うと言っていた狂犬も元に戻してもらって、万事解決である。

そして数日後、やっと斬魄刀とやらの本質を理解することになる。

「ねえねえ、輝夜。遊ぼうよ〜」

「あのね、今宿題してるの! それにどうやって遊ぶんだよ」

「輝夜の身体を貸してもらって、またみんなに遊んでもらう! この前は楽しかったなあ。特に最後の網なんか、こっちにはないんだもん」

「輝夜を困らせたら承知しないわよ。あ、こら、待ちなさい!」

頭に直接流し込まれているらしく、こんなにうるさくしても周りには全く聴こえていない。それゆえに誰も助けてくれないのが大変困るのだ。狂犬だけは助けようとしてくれているが、より騒がしくなるだけというか……。

結局刀は僕の管轄になってしまったし、これからはこの二人とも上手くやっていかなければならない。幸い、お父さんたちもそれぞれの斬魄刀を持っているそうだから、コツを聞いて試行錯誤していくしかないだろうけど。

「じゃあ、それが終わったらおしゃべりしようよ。それだけなら良いでしょ?」

「ま、まあ……。終わったらね」

この強引さが、故郷の妹を思い出させる。春陽よりは聞き分けも良いが、話に聞くところだと自分を僕の兄だと表現していたそうで。これではどっちが兄だかわからない。

しかたない。家にいる間くらいは話し相手になってあげようじゃないか。

「はいはい、終わったよ」

「やったー! この前の僕すごかったんだよ、ばーんってね」

「ちょっと、話を盛らないでよ」

「それでね、それでね。あ、あれしようよ。精神世界で鬼ごっこ!」

「せ、精神世界……?」

「うん。目を瞑って力を入れたら行けるはずだよ」

「輝夜にこっちに来いって言ってるの!? だめよそんなの」

「えー、なんでだめなのー」

……話を聞いてあげると約束したのは、早計だったかもしれない。





月夜烏は輝夜には比較的従順ですが、面白いことを思いついたらその限りではありません。またボケ担当が増えちゃって本当はボケたい輝夜が常にツッコミせざるを得ない状況に陥ってますね。
あ、月夜烏の具現化した姿はまだ考えていません。精神世界での姿と具現化した姿は違うものっぽい? のでその辺もいろいろ考えていきたいなあ。


斬魄刀編はこれにて閉幕です。次は尸魂界編、ルキア奪還ですね。しかし輝夜は行きません。今回『例外だから心配』とか言ってたけど本当は『我が子だから心配』だった過保護お父さんが許してくれないので。
なんて、次回まだ書いてないのでわかりません。もしかしたら『番外編:藍染惣右介と浦原輝夜』かもしれないし。ということで、次回もお楽しみに。
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