神と呼ばれた少年は平穏な日常を夢見るか 作:さとう
前回までのあらすじ
弟っぽい兄ができた
ある日。夏休み中ながらいつもの時間に起こされた僕──浦原輝夜が、目を擦りながらダイニングへと向かったときのことだった。
庭がとんでもなくうるさいのだ。基本的に浦原商店をうるさくしている原因であるところのジン太は今目の前にいる。なら、誰が……?
「だあああ! もっかいだ!」
「一護さん!?」
「あ? 輝夜じゃねえか」
何故か、うちに一護さんがいた。今までも何度か朽木さんとかいう女の子と一緒に店に来たことはあるが、がっつり家の敷地に入っているのを見たのは今日が初めてじゃないか?
「黒崎サン、修行中なんだよ〜」
ついさっきまで一護さんとやりあって(一方的に叩きのめして?)たお父さんがスッと横に現れて軽くよろける。……というか、え!?
「しゅ、修行!? あの!?」
「どの、かはわからないけど……ま、それだよ」
ほへーという気の抜けた音が口から漏れでる。そんな、某ジ○ンプ漫画でよく見るような単語をまさか現実で聞くとは思わなかった。
一護さんは、黒い和服を纏い大剣を持っていた。この服が例の死覇装か。
「あれ、でもなんで? 急に主人公の器に目覚めたの?」
「なんだよそれ……。ルキアが連れ去られたんだよ」
それを連れ戻すためにやってんだ、とこっちに来た一護さんが言う。普段より眉間に皺を寄せているように見えるが、かなりとんでもないことを言っているような気がするのは僕だけだろうか。
「連れ去られ……え、一国の姫だったりするんですか」
「ちげーよ!」
「はっはっは、あながち間違ってもないっスけどね」
「俺のせいで犯罪者にされちまったんだ。俺が絶対助けなきゃいけねえから頑張んねえと」
一護さんが拳をぐっと握り込むのが見える。自分のせいで他人が被害を被るのは、自分がそうなるより辛い。一護さんは顔と喋り方は怖いが内面は優しいから、特に心にくるのだろう。
「でもそれなら、こんなところで呑気に特訓なんかしてないで早く行かないとダメなんじゃ……」
「今行っても一瞬でやられて終わりっスからね〜。ちゃんと瞬殺されない程度には鍛えないと」
誰に攫われどこに行ったのかすらわからず、当然そこにどんな人がいるのかもわからないけど、お父さんが言うならその通り、一護さんには朽木さんを助けられる力がまだないのだろうが。はたして敵は待ってくれるのか?
しかしなるほど、己の実力が足りないからすぐに助けに行けないのも一護さんがイライラしている理由の一つ、というわけだ。
「さ、輝夜は朝ごはんを食べないと」
「そうだった」
言われて初めて思い出す。それと同時にお腹がきゅうと鳴いて、修行がどんなものかもう少し見たかったなあと後ろ髪を引かれつつも本来の目的地へと向かった。
……あれ。もしかしたら僕も朽木さんを連れ戻しに行くことになるかもしれないのでは? 回復能力はあるし、斬魄刀とやらもある。お母さん相手にも通用した魅了だってあるのだ。そうなってもいいように特訓──修行したほうがいいのだろうか。
朝ごはんを食べながらちょっと考えてみるとしよう。
輝夜は朽木さんとは接点がほとんどありません。『一護さんの隣にいがちな背低い女の人』『浦原の息子らしい少年』どまりです。一護さんは妹と遊ぶ上で接点も増えるんですけどね。
今回は試験的に、プロット書いて慎重に書いています。あと文体を変えてみました。それ関係でちょっと輝夜がふざけ気味ですね。一護さんがツッコミに回ってくれるからかも。
次回は出発になるんじゃないかな。いつものごとく本編は一文字も書いてませんが。それではいつになるかわかりませんが次回もよろしくお願いします。