神と呼ばれた少年は平穏な日常を夢見るか 作:さとう
特訓をする一護さんを見た。
「出発したぁ!?」
「ハイ。昨夜のうちに」
朝起きると重大な作戦のメンバーに置いていかれました。(タイトル)
え、昨日いつ出発するか聞いたら翌々日だって言ってたよね? 日々可愛い大好き愛してるとか愛を囁いてる僕に嘘を教えたというのか。
「ハイ。嘘っス」
絶句するとはまさにこのこと。何も言えず空気ばかり吐き出す僕に、お父さんは冷ややかな目を向けた。
なんで嘘なんか。来てほしくないなら来るなって言ってくれればいいじゃん。
「いやあ、可愛い輝夜にお願いされたら負けそうだったから……ね?」
「え、ええ、でも、それなら先にはっきり言ってよっ……み、みたいな?」
お父さんに少し生意気な口調で話すのはこれが初めてでもないのに、初めてこんなに緊張している。目が怖くて咄嗟に誤魔化してしまった。いつもみたいに笑っているように見えて、なんの感情もこもっていないような目。
「だぁって、輝夜に傷ついてほしくないんスもん」
お前は足手まといだ、なんて言えません。
お父さんは、冗談めかしているのに嫌に冷めた声でそう言った。
「あ、ぶなかった……」
「そんな顔するくらいならそのまま言えばいいじゃろうが。『輝夜まで行ったら心配で心配で仕事が手につかないから連れてはいけないんだよ〜行かないで〜』とか」
「あのねえ、だからボクはそんなんじゃないですって」
輝夜と話したあと、自室に入るや否や扉に背を向けてへたり込んだボクを、映像付きの電話を勝手に部屋に繋いだ夜一サンがここぞとばかりにからかってくる。心配しているのが主な理由ではないとそのたびに返しているのにこうしてまた懲りずにからかいに来るのは、無視しているのか忘れているのか。歳なんじゃないのか?
「あ?」
「なんでもないです」
「儂が何度もこういうのは、なにもからかいたいからというだけではない。なーにが『回復要員はすでにいるし、魅了がきちんと効くかもわからない。斬魄刀だってまだまだ使いこなせないはずです。それを除くと一般人よりも弱いから輝夜は連れて行けないっスね〜』じゃ!」
全く似ていない物真似で再現された。悪意が節々に見えるが、ボクそんな言い方しました?
「……でも、その通りでしょう」
「まあの」
じゃが、と真面目な顔に戻り前置きをする。
「さっき輝夜が言っておった言葉を覚えておるか」
「さあ、なんでしたかね」
本当は覚えている。
『僕は弾除けになれる。他の人だと死んじゃうかもしれないけど、僕だったらちゃんと再生する……と思う。そりゃ、足手まといかもしれないけど、守ってもらわなくても大丈夫だよ。本当は僕も行ったほうが良かったんじゃないの!』
怒ったようにそう言われた瞬間、目の前が真っ暗になった。すぐに景色は戻ったが、ボクはショックを受けたことにショックを受けたのだった。
「情けないのう、子供にあんなことを言わせるなんて」
「ボクが言わせたんじゃないっスよ。ボクには思いつかなかったんだから」
「言っとる割には凹んどるのう。儂も同罪じゃから、人のことは言えんがな」
……どうしてあの子はあんなことを。嘘をついたのは悪かったと思っている。でも、あそこまで怒ることなのか?
「そんなに行きたかったんスかねえ、尸魂界に」
「頼られたいお年頃なんじゃろうよ」
「……はあ。我が子であれど情には左右されない自信があったんスけど」
「お、認めおったなこの頑固者が」
浦原さんの愛には作者もにっこり。敬語のときは他に人がいるか取り繕ってるかという非公式書き分けしてます。輝夜も薄々気づいてるんじゃないかな。
そんな感じで原作には参加しません。小学生を連れてはいけんでしょう。
輝夜は次回も現世でのんびり過ごす予定です。いつものようにいつ更新になるかはわかりませんが……。とにかく頑張ります、ほどほどに。