神と呼ばれた少年は平穏な日常を夢見るか   作:さとう

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前回までのあらすじ
聞いちゃいけないことを聞いた。



第三十七話:一人と一匹で得られるものもあるってこと

翌日。僕は真子さんに頼んで、黒崎家にしばらくお泊まりさせてもらうことになった。昨夜のこともあるが、単純に『夏休みお泊まりしよう』という約束を遊子としたからだ。

僕が複雑な心境を必死に隠しているのを白さんが『変な顔ー』と一発で見抜いたのは、白さん特有の不思議パワーだと思いたい。真子さんの目がめちゃくちゃ疑いの光を放っていたような気もするが、全て気のせいである。

 

さて、今朝までのことは置いておいて、今の説明をしよう。

一心さんはお仕事。夏梨と遊子はお夕飯の買い物に出かけた。一護さんは言うまでもなく朽木さんの救出。

……何をして囚われているのかもどうやって救出するのかもわからないが、うまくやれているのだろうか。巻き込まれ体質そうな一護さんのこと、やたらでかい案件に巻き込まれている気もしなくもないが……。

なんて、お母さんと一緒に行ってるんだから、楽勝とまでは行かずともみんな元気に帰ってくるだろう。

話が逸れた。

僕が言いたかったのは、黒崎家にお泊まりしに来たらみんないなくなってしまったということなのだ。

いや、みんなではない。一人と数えるのも躊躇われる者が、まだ家にはいた。

「俺様を一人と数えねえでなんて数えんだよ!!」

「なんだろう……一匹?」

「まあたしかに、今の見た目的にはそうだな。いやでも最近はよく一護の身体に入るから……なんなんだ?」

勝手に自問しているこのぬいぐるみはコン。なにやってんの。

中身はぬいぐるみではなく人造人間的なものらしい。よくわからないけど、この世界がなんでもありなことは身をもって知っているからもう何も考えず受け止めることにしている。

「おい! 輝夜、お前変な顔してんぞ。何かあったのか?」

「そんなわけないじゃん。コンのほうが変な顔だし」

「な、なんだとーー!!」

テンパっている状況でも声に動揺を出さず相手を自分のペースに乗せて操れるなんて、流石は浦原喜助の息子。コンが乗せやすいだけとも言う。

しかしこのぬいぐるみ、なかなかどうして侮れない。おバカかと思ったら鋭いところを突いてくるぞ。それもこれも誤魔化せたからもう関係ないんだけど。

「で?」

「ん?」

「何かあったのかって聞いてんだろ」

ダメだった。

白さんみたいに不思議パワーを持ってたりするの? 有り得ないと言い切れないのがこのなんでもありな世界の怖いところである。

 

「なるほどな」

仕方ないから全部説明したが、血神などの話をしても良かったのだろうか。

「狂犬……ええと、さっき言った僕の祖先で今は刀になってるんだけど、その狂犬は、本当に昔すごい吸血鬼だったらしいんだ。だから反応としては間違ってないし、僕自身死神みたいな能力を持ってるのもあって、未知数として恐れられるべきではあるんだけど……」

「寂しい、か?」

「ちが、……いや、違くない、のかな」

僕を見上げるその顔が、いつものおちゃらけたそれとは違って真剣だった。ぬいぐるみのくせに、愛嬌を振りまくだけじゃないのか。

「俺様はな、生まれたその日に廃棄が決まってたんだ」

廃棄。人工的に作られたものだから廃棄と呼んでいるが、それはつまり、動物でいう殺処分ということではないか。昔の吸血鬼と、昔の僕と同じ。

「ああ。それが嫌で逃げようとして、逃げられなくて。でもいろんな手違いと優しさがあって、俺はここにいるんだ」

「そうだったんだ……。大変だったんだね」

「おうよ! 俺様の言いたいこと、わかったか?」

「え、わかんない」

コンが見事にずっこけた。でもしょうがないじゃん、なんで説明もなく急に過去の話をするんだよ。どこに注目したらいいかわかんないじゃないか。

「だから! 俺様が言いたかったのは、『要らないと思うやつもいれば、いてほしいと思うやつもいる』ってことだ!! 現に、俺は姐さんと一護が守ってくれてここにいる。お前もあの下駄帽子たちが守ってんなら、それが答えだろ」

「捨てる神あれば拾う神あり、みたいなこと?」

「よくわかんねーけど、まあそういうことだ!」

「そっか……」

僕がどれだけ危ない存在だって、脅威になる危険性がある存在だって、お父さんもお母さんも我が子のように育ててくれているのだ。

それに、真子さんの言葉には『輝夜がもし俺らの敵になったら』という条件がついていた。つまり、今のままなら大丈夫だということ。

疑いを持たれているからなんだ、今までのように仲良くしてほしいなら変に強くならなければいいだけのことじゃないか。……強くなろうと思って強くなれるかは置いておいて。

「ありがと!」

「こら、ばか、ちょちょちょ、形が変わっちまう!!」

「揉んでよりかわいくしてあげよう」

「もうマックスかわいいから遠慮するぜ〜〜!!!」





コンさんと輝夜。
実は似た者同士の真逆同士で、とても相性がよいです。いらない子だと思われていた過去はあるけど今は楽しく暮らしている、甘やかされて生きてきた輝夜とお兄さんぶるコンさんという。


久々の更新です。シリアスが辛いのもあり、実生活がはちゃめちゃ忙しいのもあり……。
次もいつになるやらわかりませんが、のんびり書いていこうと思います。よろしくお願いします。
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