「いやーっ、今日もパンがうまいっ」
青色のチェックスカートを揺らし、おそらくランチパックであろうパンを咥えたサイドテールの明るい髪の色の女子高生が歩いている。
天真爛漫で元気いっぱいな彼女は歩き食いをしていても絵になっている。
そして俺はそんな彼女をじっと物陰から見つめていた。
これだけ見るとただのストーカーのようにしか見えないが……まあ今までも似たようなことはしてたし、今更だろう。
彼女の名前は『高坂 穂乃果』。
今回の『スカートめくり』のターゲットに決めた子だ。
始まりは数日前にさかのぼる。
「いやー、いいもんっすねぇアイドルってのも」
会社の同僚がたまたまチケットが余ったからと言い、俺をアイドルのライブに誘ってきた。
さすがに年齢20代後半の男がアイドルのライブに混じっていたら違和感あるのではないかと思い断ろうとしたが、なんでも本来は彼の友達のチケットだったのだが、生憎友達が風邪をひき来られなくなったという。
チケットを余らせてしまうのももったいないということで、俺を誘うことにしたらしい。
「他の奴でも誘えばどうだ?」
「いやいや、いつもお世話になってるっすから……そうだ、ライブが終わったら食事でもおごりますよ」
……うぐっ。
こいつ、なんとも俺が好むワードを。
「……たかってやるからな」
「はーい」
そして案の定食いついた俺を見てにやーっと笑っていた。
……少しどつきたくなる気持ちもあったが、なんとか大人としてこらえた。
そしてアイドルのライブに出向いたのだが、俺の予想と反して俺よりも年上の男がいたり、お子様連れとデコイをして本格的にはまってるおばさんがいたり、色々な年齢層がいた。
そして何より、歌で何かを届けようと熱心になってるアイドルの姿は、見てて悪いもんのでもなかった。
ただの食わず嫌いだったんだなぁと痛感しつつ、ライブを楽しんでいた。
「いやー、よかったでしょ?」
ハンバーグをほおばりながら俺は無言で頷く。
事実、あそこまで楽しんでおきながら否定するというのは嘘をつくことになる。
「今度からチケット、多く取っておきましょうか?」
「いや、いい。ただ……また誘ってもらえれば、嬉しいかな」
俺がぽつりと呟くと、同僚は『堕ちたな……』とでも言いたげな表情でニマニマ笑っていた。
ああそうだよ悪いかよ。
そして今まで興味がなかったアイドル物の漫画にも手を出すことにした。
数日後、本屋に出向き色々な漫画本を買いあさった。
「……ん」
そんな中、一人の少女に目を奪われた。
なんでも廃校寸前となってる高校を救うため、アイドル活動をして学校の名を有名にすれば廃校を免れるだろうということで頑張ってる子がいた。
「…………」
ドジな所もあるが、元気いっぱいに目標に向かっていく。
そんな彼女の明るさに憧れ……明るさは影を生む。
早速その世界へと入り込むことにした。
穂乃果さんは歩きながらパンを食べ終わり、ニコニコと笑顔になっていた。
学校の活動も終わり、多少なりとも疲れてるはずなのに。
パンを食べたことで笑顔になったのか、それとも自分のしてることが苦労だと思ってないのか。
どちらにしろ、眩しい笑顔だなぁと思う。
そして今からそんな笑顔を羞恥に染めるのが、俺のやろうとしていることだ。
「あのー、すみませーん」
俺は背後からそんな彼女に声をかける。
「ん、どうかしましたか?」
彼女は見ず知らずの異性である俺に対しても特に物おじせず、キョトンとした顔で見ている。
「実は道を尋ねたいんですが」
俺はこの世界で買った地図を穂乃果さんに見せる。
事実、この世界の細かい場所なんて全く分からない。
「どこですか?」
そして彼女は俺が指さした場所を見ると、ふむふむと頷く。
「ここなら分かりますよ。えっとね……良ければ、案内しましょうか?」
「いいんですか?」
「もちろん!」
……本当に人が良い子だ。
そんな彼女のスカートをめくろうとしているわけだが……いやいや、今までも何度も良心の呵責はあった。
だが、その呵責を乗り越えてこそ初めて良い『スカートめくり』を行えるのだ。
「行きましょうか」
俺がそんな邪なことを考えていることなど露知らず、歩き出した。
「あれー、こっちだったはずなんだけど」
道案内された先は、人があんまり来ないような路地裏だった。
何の変哲もないビルを指さしたのは俺だが、まさかこんな場所で迷子になろうとは。
そういやこの子って、ドジな所がある子だったっけ。
でもまぁ、これは幸運だ。
俺は胸ポケットに仕込んだスマホの録画ボタンを作動させる。
「ごめんなさい、ちょっと道を間違えちゃった」
穂乃果さんは勢いよく頭を下げる。
「いやいや、気にしなくて大丈夫ですよ。ここまで道案内してもらったのなら、なんとか出来るでしょうし」
俺は彼女が手にしていた地図を優しく受け取りなおす。
「でも」
だが彼女は乗り掛かった舟は最後まで、というタイプなのだろう。
まだ道案内できていないことで罪悪感が一杯なのだろう。
ならその罪悪感を、塗り潰してあげるとしよう。
「じゃ、せめてお詫びとして……」
「何ですか?」
「パンツ見せてもらうね」
ぴらっ。
軽く右手を跳ね上げ、穂乃香さんのチェックスカートをめくりあげる。
チェックスカートの下には太ももと……オレンジと白の縞々パンツか。
彼女の見た目の印象ととてもよくマッチングしてる、可愛いパンツだ。
「きゃあああああああああっ!」
そしてスカートをめくられたことで顔を赤くし、反射的にスカートを抑える。
だが、もうすでにスカートを抑えたところで遅い。
「女の子にそういうことしちゃダメだよーっ!」
穂乃果さんが顔を赤くして追いかけてくる中、俺は全力でその場から逃げ出した。
「……はぁ、疲れた」
なんとか元の世界に戻ってくることが出来たが……元気いっぱいな子はスカートをめくると、反撃しようと追いかけてくるんだった。
今まではその隙をついて2度目の捲り行為を行うのだが……予想以上にあの子の足が早かったので隙がなかったのが今回の不覚だった。
それは反省点として、報酬を見るとするか。
道案内できなくてしゅんとして申し訳なさそうな顔をしている穂乃香さん。
そんな彼女を前に少しかがみ、軽くスカートをめくりあげる。
ミニスカートがあっさりと翻り、オレンジと白の縞々パンツが露となる。
そして彼女はみるみる顔を赤くし叫び声をあげた。
間違いなく道案内できなかったという罪悪感は塗り潰され、羞恥に染まっていただろう。
そういうリアクションを見れることこそが『スカートめくり』の醍醐味なのだ。
一種の満足感を得つつ、ベッドで横になるのだった。