風が吹き、目の前で歩いてる彼女のワンピースが揺れる。
都会の雰囲気には似つかわしくない白のワンピース。
どちらかというと草原などの自然な風景にいるのがお似合いな格好だ。
そしてショートカットで茶髪の彼女は他の人の目を少しばかり気にしてるようだ。
目を引くのはどうやらあまり慣れてないみたいだ。
「おい、あの子って」
「ああ、もしかしたら『萩原 雪歩』じゃね?」
そんな噂が聞こえる度彼女は少し体を揺らす。
どうやら正解みたいだ。
それほど有名な人になってるのに変装用の格好はしていない。
せいぜい白色の帽子を被っている程度だ。
そして今回、俺が『スカートめくり』のターゲットに定めた少女でもある。
どこかへ向かっている彼女の後を、俺はこっそりと追跡していた。
「ねぇ、行きませんか?」
アイドル好きの同僚にチケット片手に話しかけられる。
「それって人気のアイドルグループのチケットだろ? よく取れたな」
「PCの予約開始まで画面前でずっと粘って、幸運なことに開始2秒で予約を受けゲットできたんですよ」
なるほど。
確かに人気あるアイドルのコンサートのチケットは予約開始数秒で終わることもあるらしい。
この同僚はそのために粘ったんだろうが……仕事もこれぐらいの情熱を向けてほしい。
「それほど苦労して手に入れたチケット、俺が相手でもいいのか?」
「もちろんですよ。今までは会社外の友達としか行かなかったんですが、ついに会社でもアイドル趣味に目覚めた仲間が出来たんですよ。その友達もチケットを取れたみたいだし、親睦を深めましょうよ」
……ついにアイドル趣味に目覚めたと受け取られてしまったか。
まあ確かにDVDも借りたりしてるし、忍びの漫画も貸してもらった恩もある。
この同僚の友達からもDVDなどを借り受けてる。
そのお礼を直にいういい機会かもしれない。
「分かった。で、そのチケットはいくらだ?」
「いやいや、今回は無しっすよ。せっかくの仲間を誘うのに」
「いや、苦労して手に入れたチケットなんだろう? その苦労の結晶をタダで受けとるなど、俺の気が済まん」
俺がきっぱりと言うと、同僚は感動したような目で俺を見ている。
すごく懐かれたなぁと思いつつ、友達が出来るのは悪いことではない。
まあさすがに自分の趣味に時間を使うときは使わせてもらうが。
「……俺は感激してるっす。こんなにも素晴らしい友が出来たことに」
「いやそこまで感激してもらわれるとさすがにこっちが困惑するよ」
なんとか同僚を宥め、チケットを受け取る。
そしてそのアイドルのチケットを手に入れたのはいいが、アイドル自体知らないのは大問題だ。
そこで予習として自発的にDVDを借りてライブの様子を見ているが……なるほど、これはすごい。
予約が数分で完売するというのも頷けるというものだ。
しかもこのチケット、ネットで調べてみたら相場の7倍以上の額で転売に出されている。
(彼の情熱……見習わないとな)
このアイドルのチケットを取るためにPCの画面とにらめっこしサーバーダウンに負けず予約を取った同僚の情熱をすごいなと思い、ある意味尊敬に値した。
そしてふと自分も負けてられないなという謎の情熱がみなぎってきた。
その情熱を向ける先が『スカートめくり』なのだが……誰に知られても失望されそうだし、知られるわけにはいかない。
まあそもそも漫画の世界に潜り込めるなんてまず誰も信じやしないだろうし、もしスマホで撮影してるスカートめくりの様子を誰かに見られても、ただ単に二次元作品の動画を漁りダウンロードしただけだろうと思われるだろう。
だがまあ、昂った心は抑えられない。
俺はその心を発散させるべく、漫画を読んでターゲットにした女の子のスカートをめくるべく、漫画の世界へと飛び込んだ。
そしてターゲットである萩原さんは前を歩いている。
ワンピースが歩くたび揺れ、目を惹かれる。
にしても……なかなか胸が大きい女子がワンピースを着るとは大したものだ。
ワンピースというのは胸が大きい女子が着用すると、胸から下に余裕の隙間が出来て、それが腹の肉に見られてしまうらしい。
だから太ってると周りから見られてしまうらしいが、萩原さんはワンピースを着て歩きつつも出るところは出て引き締まるところは引き締まっている体つきをしている。
可愛い顔に良い体つき。
アイドルになるにはこういった人をひきつける見た目が大事なのだろう。
さて、そんな子のスカートをめくるのだが。
彼女は男性とはまともに会話することすら難しい男性恐怖症だ。
まず見知らぬ男である俺が話しかけた時点で警戒されるのは当然だし、スカートめくりなんてもってのほかだ。
後ろから有無を言わさずめくろうにも……
「?」
彼女は何度か後ろを振り返り、首をかしげている。
どうやら後ろから付いてきてる俺の気配を察知しているのかもしれない。
恐怖症のあまり勘も良くなってるのだろうか。
後ろからのスカートめくりはそもそも無粋だと思っているが、それすらも難儀しそうな娘だ。
だからこそ、めくりがいもあるというものなのだ。
そして男性恐怖症である彼女にだって、スカートをめくる隙はあるはずだ。
アイドル好きの同僚がPCに張り付きチケットをゲットしたんだ。
好きな事のためには執念を見せる。
俺だってやってやる。
そして後ろを歩き、しばらくして振り返られては隠れる。
幸い距離を話して物陰から様子を伺っており、今までで培ってきたスピードで隠れてるのでなんとか見つかってはいない。
しかし、見つかるのは時間の問題だろう。
見つかって近寄ってきたところをスカートめくりするという手もあるが、それは隠れてるのがバレて逆ギレしたみたいで俺の気が済まない。
「あっ」
少し強い風が吹き、萩原さんは反射的にワンピースの裾を抑えた。
だが、被っていた帽子は風に吹き飛ばされ、俺の近くにあった樹に引っ掛かる。
これは千載一遇のチャンスだ。
「あ……もぅ」
萩原さんは慌てて帽子を取りにやってきた。
そして高い樹に引っ掛かったのを見て困った顔をする。
彼女が何回かジャンプするが、惜しくも届かない。
さて、そろそろか。
スマホを起動させ、物陰から出ていく。
「どうかしたんですか?」
萩原さんに俺が声をかけると、彼女はびくっと体を震わせる。
「あ、あの……あれ」
そして萩原さんは樹に引っかかっている帽子を指さした。
「少し届かなくて」
「そうなんですか。よし」
俺が手を伸ばし、ジャンプする。
なんとか樹の枝に指が引っ掛かり、もう片方の手を伸ばして帽子を枝から跳ね飛ばす。
帽子は枝から離れ、地面にぱさっと落ちる。
「これでいいかな?」
「あ……」
萩原さんはぺこりと頭を下げ、帽子を拾いあげる。
「あ、ありがとうございます」
拾ってもらった帽子をかぶり、にこっとはにかむ。
その可愛らしさに一瞬ドキッとするが、心を落ち着かせる。
「白くて分かりやすい帽子で良かった。白いワンピースも着てるし、可愛いね」
ここまで言ったところで瞬時に屈みこむ。
「もしかしたら、ここも白なのかな?」
ブワサッ!
萩原さんの白いワンピースの裾を掴み、瞬時にめくりあげた。
彼女のワンピースの裾を彼女のおへその上辺りまで持ち上げたことで、ワンピースの下に隠れていたパンティが露になる。
さて、果たして白なのか……?
おお、水色のリボンが付いた白のレース付きパンティ!
白い太ももと白のパンティ。
名前に雪と就いてるだけあって、ここまで白とは……
「やああああああっ!」
さすがアイドルをしてるだけあって恥ずかしがってる叫び声は大きいな。
そして顔を真っ赤にして涙目になり、ワンピースを両手で抑え、丸見えになっていた白パンティが再び隠されてしまう。
だがすでにスマホでそのリアクション含めて撮影済みだ。
「うぅ……穴があったら入りたいですぅ」
……えっ?
顔を赤くした彼女がいきなり穴を掘り、すっぽりと入ってしまった。
いや穴があったら入りたいって、確かことわざみたいなものだよね?
まさか実際にそれをやる子がいるなんて……そういや漫画の世界だから、そんな非現実的なことも出来るのか。
ある意味アイドル以上の個性なのかもしれない。
予想外の様子も見れたが、萩原さんは穴の中から涙目で俺を睨みつけてくる。
……反撃されないのなら、ここから去るか。
彼女に背を向け、とりあえず走り去っていく。
後ろを少しだけ振り返って……やはり穴の中に埋まっている。
うーん、シュールだなぁ……。
現実世界に戻ってきて今回の映像を確認する。
帽子を拾ってもらえて男の人に対する少しの恐怖心が薄れ、にっこりとはにかんでいる。
そして帽子とワンピースに注目され可愛いと言われ少し照れている。
だが、そこで俺が屈みワンピースのスカート部分をめくる。
白い太ももと水色のリボン付きの白のレース付きパンティが丸見えになる。
そして照れて少し赤くなっていた顔が真っ赤になっており、涙目になって慌ててワンピースの裾を抑えた。
そして……あれ?
いつの間にか穴が出きてその中に埋まってる?
…………うーん。
スカートをめくれていいリアクションも撮影できたが、それ以上に奇妙な光景が……うん、この部分には目をつむろう。
目を見開いてガン見するのは萩原さんのパンティだけでいいよね。
そう結論付け、萩原さんのワンピースがめくられる様子を何度も再生し、色々な所を興奮させていた。