「よいしょっと」
ベッドの上に寝転がり、天井を見上げる。
いつも見慣れた天井であり、もうちょっと生活が豊かになればアパート生活から脱出出来るのだろうか?
いや、住めば都とも言うし、そもそも今さら引っ越しとか考えるのは面倒くさい。
だけども実際将来のことを考えると……いや、今は未来のことを考えるのはよそう。
漫画の世界の中に飛び込める力はあるが、漫画の世界の中で生きていくのは大変だと思う。
バトル漫画とか、3日も経過しないうちに新たな強敵とか出てきて強くなるのに一生懸命になり、それ以外の趣味がおろそかになりそうだ。
そもそもこの力はそんなに長居できるのか、ということをまず試したことはない。
なんだかんだでずっと漫画の世界の中に逃避しないから、この現実も悪くないと思っているのだろうか。
ああ、もうやめやめ。
これ以上難しいことを考えても疲れるだけだ。
どうせ疲れるのなら満足しながら疲れたいところだ。
というわけで……今回はこの漫画の世界に潜り込むとしよう。
「おはよー」
「うん、おはよう」
今回も無事に漫画の世界の中に飛び込んでいる。
そして格好を確認したが、さすがは現代に近い学園物。
ブレザーであり、俺の学生時代の時に来ていた学ランではない。
まあ世界によっては別に学ランもあったりするけど、まあそれは漫画を描く作者の趣味という物だろう。
「おはよう」
そしてとある女子生徒が通りかかったとき、数名の男子の目がその女子に向く。
彼女の顔だちもよく、胸も大きい。
髪の毛も艶やかな黒色であり、濡烏のような毛というのは彼女のためにある言葉と言えるのかもしれない。
名前は『北島 小夜』。
この漫画の世界では彼女は『グラビアアイドル』をしており、そのスタイルの良さで学園内で結構注目を集めている。
その男子生徒の目は当然彼女の顔と、数名は胸に向けられている。
そして北島さんはそんな男子の目線に慣れているのか、特に気にした様子もなく校舎内へと向かっていく。
さて、今回のスカートめくりのターゲットは彼女だ。
グラビアアイドルということで水着とかそういった薄着には慣れているだろうが、まさか男子にスカートめくりされるというような、いわゆるAVのような行為はさすがにされたことはないだろう。
どのような反応をするか、今から楽しみでしょうがない。
さて、学生に紛しているんだからさっさと学校の中へと入ろう。
そして隙を伺い、彼女のスカートをめくるのだ。
学校内で数時間授業を受けたのだが、この学校はどうやら理系の頭の良い学校みたいだ。
今までの人生で習ったことがない数式を学ばされる羽目になり、頭が相当疲れてしまった。
こんな疲れた頭を癒すには……そう、小夜さんのスカートめくりしかない。
……まあ疲れてるからそんな発想しか出ないのだろうと思うのだ、うん。
とはいっても。
小夜さんはなんだかんだで学校の友達付き合いは大切にしているのか、休憩時間は大抵女子生徒と楽しそうにお話をしている。
まあグラビアアイドルの仕事というのは大抵忙しいだろうし、こうやって学校に来れるのも本当は稀なことなのかもしれない。
だったらその空いた時間で友達と楽しそうにお話をするのは年頃の女子としては当然のことなのだろう。
にしても、ああいったグラビアアイドルとか男子の目を引く女子生徒は同じ女子生徒から嫌われてそうなイメージはあったが、小夜さん自体が良い子なのか、誰も彼女を嫌っている様子がない。
それもまたグラビアアイドルとして魅力的な所なのだろう。
そんなことを考えている間に休憩時間が終わってしまった。
さて、次の授業は……げ、漢文か。
学生時代のころからあんまり得意じゃなかったんだよなぁ。
そしてなんだかんだでお昼休みになった。
漫画の世界に潜り込む際、基本的に食事を持ち込むなんてことはしない。
大抵漫画世界の現地で何かしら調達して食べている。
現実世界に戻ってきた時に食べたものが無になったりはしない。
だが現実からお金を持ち込まないといけない時もあるのでそのやりくりが少し大変だったりするが。
というわけで購買でパンを買って体育館裏近くに向かう。
教室で食べないのは……そもそも自分は本来この世界の住人ではないイレギュラーだ。
だから教室にいても一人ぼっちで食事をしなくてはいけない。
誰かの中で一人ぼっちというのは結構さみしい物なのだ。
そもそも皆が真面目に勉学に励んでいる中、一人だけスカートめくりについて考え込んでいる奴がいるというのもどうかと思うし。
そんなことを考えつつもソーセージマヨパンの袋を開け、一口齧る。
「はい、小夜です」
そんなことをしていると、小夜さんが校舎側からこちらにやってくる。
自分は体育館裏の戸側にいたからか、彼女は自分の存在に気が付いていないみたいだ。
それに誰かとスマホで通話してるみたいだ。
「仕事ですか……はい、分かりました。次は……海岸で撮影ですね、分かりました」
どうやら仕事のお話をしているらしい。
どうやらプライベートと仕事は分けて考えているみたいだ。
だから校舎裏のように誰もいないところで仕事のお話をしているのだろう。
しかし、これは大チャンス到来というやつではないだろうか。
自分の存在に気づいていないということは、スカートめくりの隙も当然あるというわけだ。
パンを急いで口の中に放り込み、さっさと飲み込む。
いくら漫画の世界の中とはいえ、食べ物を粗末にするなど自分にとってはありえないことだった。
奇跡的にも喉に詰まらなかったし、幸いなことに彼女はまだ電話をしている最中だったので息も整えることが出来た。
「はい、では失礼します」
彼女が通話を終了させている間に自分はスマホで撮影する準備が出来た。
そして彼女は自分がここにいることに気づかずまっすぐ直進してくる。
というより来た方向から戻ればいいと思うのだが、まあチャンスだから何も言わない。
そして彼女が自分の近くに来た時、いきなり彼女の前に飛び出す。
「はい、では今からスカートめくりの様子を撮影させていただきまーす」
過去最高に頭の悪いことを言いながら両腕を振り上げ、目の前にいる小夜さんのスカートをめくりあげる。
虚を突かれびっくりしてる彼女が当然反応できるわけもなく、スカートはまるで暖簾のようにあっさりと捲り上がる。
グラビアをしていて健康的な彼女の太ももとその上にある下着は……な、なな黒の紐パン!?
高校生でありながらこんな破廉恥な下着をつけてるなど……グラビアアイドル恐るべし……
と、そんな風に見とれていたのが悪かった。
「な、な、やあああああああっ!?」
顔を真っ赤にし涙目になってる小夜さんが思いっきり俺の股間を蹴りあげた。
あまりにも強烈な蹴りを食らい、一瞬意識が飛びかけた。
だが、彼女が何度もポカポカと胸辺りを殴ってきて追撃してきたおかげで意識が戻り、よろめきながらもなんとかその場から逃げ出すことに成功した。
そして逃げ出した先で股間の痛みに悶えていると、いつの間にやら見慣れたアパートの天井が見えていた。
こ、今回は完全な不意打ちとあまりにも予想外な破廉恥下着のせいで『スカートめくり』という行為を堪能できた感じがない。
と、とりあえずスマホを確認してっと。
少し斜め前方から歩いてくる彼女の前にいきなり飛び出し、俺の両腕が彼女のミニスカートをめくりあげる。
きょとんとしていた彼女の顔とそれに見合わぬ破廉恥な黒下着がスマホの画面に映り、そしてみるみるうちに小夜さんの綺麗な顔が真っ赤になっていく。
そしてスカートが降りると同時に彼女の蹴りが炸裂し、蹴りと同時に黒下着がパンチラしていた。
丸見えもいいが、こうやってパンツがチラ見えするというのまたそそるというものだ。
股間に強烈な一撃は喰らいはしたものの、並みのグラビアなんてものともしない素晴らしい作品が撮れた。
さてと、世の中の男性がグラビアを見てやっているように、俺もベッドにこもってこの唯一無二の作品を堪能するとしよう。