グラップルデュエル-忘却されし街の機士-   作:EXIA00Qt

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4話です。タイトルの通りですのでご期待ください。
今回は3弾機体はまだ出てきません。


グラップルデュエル、開幕

謎に包まれた漆黒の無人機によるCF拠点への襲撃から一月ほどー

 

ついに、「機関」の主催する"グラップルデュエル"の幕が下されようとしていた。

 

フィールドとなるのはNCC、FC双方からほぼ等距離にある無人区画、「SCRAP VALLEY」…大戦による被害が大きく復興が不可能と見做された区域であった。

 

その一角にステージが設けられている。その上に立つ「機関」のイメージカラーである群青のスーツに身を包んだ司会者がこう叫んだ。

「さあいよいよ始まります、"グラップルデュエル"! 司会はこの私、Mr.Dが務めさせて頂きます!

 記念すべきその初戦は、チーム戦部門第一回戦リーグ、876カンパニー対トレジャートレイサーです!」

 

その言葉と同時にカメラはフィールドへと向けられ、それぞれのチームの機体がレンズに映った。

 

「両チームの機体の紹介といきましょう!まずは876カンパニー、エース機は"全てを斬り裂く真紅の騎士"「フルアーマー・アウラ」!そして"戦場を駆け抜ける漆黒の兵士"「クリーガ近接仕様」、同じく「狙撃仕様」!計3機のチームです!!」

 

「続いてトレジャートレイサー、エース機は"荒野に吼える青き獅子"「アームドライオマックス・ウルフ」!そして"唸りをあげる赤き戦車"「アームドコアヴェンダー・タンク」!各1機ですので、相手チームより一機少なくなっています!」

 

***

ここでチーム構成及び試合のルールを記しておこう。

・グラップルデュエルのチーム戦部門に於いては、最大3機、最低でも2機でチームを組む。機体は全て同じでも、そうでなくても構わない。

・機体間での装備の手渡し(ハンドオーバー)及びパイロットの交換は自由。ただし、パイロットの交換は一試合につき一度のみ可能で、交換中にその機体への攻撃を加えてはならない。

・決着はどちらか一方のチームが全機戦闘不能になることで決定する。ただし、片方の陣営が残り一機になってから一定時間が経過すると、制限時間のタイマーがスタートされる。

また、一度戦闘不能になっても、試合に負けていない限りは応急処置等による戦線復帰が可能である。

***

 

「両チームとも準備完了のようです!それでは参りましょう!画面の向こうの皆様ご一緒に!」

「「デュエル……スタート!!」」

 

そう、SCRAP VALLEYは危険が多いため観客は安全な区域から中継映像を観ているのである。

 

こうして、グラップルデュエルの初戦が幕を開けた。

 

*****

 

所変わって、FCのコンクリートフォレスト・ラボ内ー

「始まったな、勝つのはどっちだろう」

コノハが真剣な目でモニターを凝視していた。序盤はリーグ戦であるため、勝敗にかかわらずそのどちらもコノハと戦うことになるからだ。

「普通に考えれば数的有利のある876かなって思うけど…」

ユウリがそう返した。彼女も彼女でそれなりに真面目に見ている。

「機体性能はクリーガだけ頭一つ落ちて低いように見えるし、何よりトレイサーの機体は可変機だからSVの不整地に強い。五分五分って所だな」

リョーヤがそう言った。彼の手元の端末には諜報部から送られてきたデータが表示されている。そこにはトレイサー機は四足形態やタンク形態に変形する旨が記されていた。どちらも不整地での局地走破性能が高い移動形式だ。

 

***

 

再びSV…戦闘の真っ最中である。

 

現在青い獅子と赤い騎士、赤い戦車と黒い兵とが一対一の戦闘を繰り広げていた。

クリーガ狙撃仕様は開幕直後にヴェンダーの砲撃でダメージを負い、撃破こそされていないが行動不能に近かった。

 

「クソッ、変形ってやっぱ強えよ…」アウラのパイロットが呻く様にそう言った。それもそのはず、アウラの間合いである近接戦闘には持ち込めているが移動能力が劣るというディスアドバンテージは拭えず、周囲を動き回るライオに翻弄され少ししかダメージを与えられていない上その機体にはところどころにダメージ痕が見えた。

「やはりそちらの弱点は足の遅さか。ならばこのまま行かせて貰うっ!」

ライオのパイロットはそう叫ぶと機体を懐に滑り込ませ瞬時に変形、右手の長刀を一閃した。

「なっ!?」突然の動きに一瞬対応が遅れたアウラは大剣を握る右下腕部を切り落とされてしまう。

だが一企業のエース機を任された腕は伊達ではなかった。

「お返しだっ!胴がお留守だぜっ!?」

機体を反転させてフリーだった左手で右腕(の破片)から手放された大剣を掴み、そのままライオに叩きつけた。重量級のライオとはいえ、クリーンヒットすれば流石に体勢は崩される。

「もういっちょ!」

今度は斬るのではなく先端の機銃を掃射し、ライオを吹き飛ばした。防御に使われた左手のクローが破壊される。

 

「なかなか、やるじゃないか」ライオのパイロットが呟いた。

先ほどから続く攻防のあとにそれぞれ渾身の一撃のクリーンヒットである。互いに少なくないダメージを負っており、そしてどちらも次の一撃で勝敗を決める気であった。

「仮にもエースなだけはある!」

「それはこっちのセリフだぜおっさん、アンタその可変機の使い方がもう達人だぜ」

「褒め言葉として受け取っておこう」

 

胴にヒビが入ったライオは長刀を構え、

 

隻腕となったアウラは大剣を握りしめた。

 

「さて…」

「行くぜ!」

 

二機が互いに直進する。そのまま互いの得物を振り上げ…

 

切断音が鳴った。

 

砂煙の中、立ち上がったのは青い機体。赤い騎士は上半身と下半身が分断されてしまっていた。

 

「ハハッ、やっぱ達人だわ」

「なかなかにいい勝負をさせて貰った…まさかこの私が倒れるとは」

「へ?」

そのままライオは火花を散らし崩れ落ちた。機体が両断されこそしたが、アウラの刃は確かにライオに届いていたのだ。

 

こうして、両チームのエース対決は相討ちという形で幕を下ろした。

 

***

 

その頃…ヴェンダーとクリーガは近接での殴り合いを演じていた。

 

「くっ、堅い!」クリーガのパイロットはヴェンダーの装甲強度に下を巻いていた。

「当たり前だ、遺物の発掘するのに紙装甲で行けるわけがないだろう!」

「…(確かに)、だが関節部ならっ!」

そう言って関節目掛けて刃を振る。しかし…

「甘いっ!」

瞬時にナックルを関節部ハードポイントに移動、攻撃を防いだ。そのままタックル、クリーガが吹っ飛ぶ。

「ちぃっ…」クリーガは衝撃で武装の一部を手放してしまっていた。

そのままヴェンダーが胸部に取り付けられた機関砲を掃射する。クリーガの盾が破壊された。

 

「まずいっ!」一旦物陰に隠れたクリーガは打開策を練る。

「(駄目だ…会敵直後の撃ち合いを制せなかった時に借りたライフルがロストしたから今残ってるのは短剣くらい…。だけどあっちはキャノン持ちだから迂闊に近づけない。しかもチャージして撃たれたら多分今隠れてるこの瓦礫ごとオシャカだ。アウラの信号もクリーガ1番機の信号もロストしてる…ああもう、こうなったら一か八かやってみるか…!?)」

 

「隠れても無意味…これで終わりだっ!」ヴェンダーがキャノンを構えてチャージ、撃とうとした瞬間…

 

キャノンが爆発した。

 

至近距離での手持ち武器、ましてやチャージ後の暴発はかなり危険が大きく、故に武器に被弾した場合はそうなる前に手放し機体を離脱させるのがセオリーだ。その理由は言わずもがな、そのまま自滅する可能性があるから…

 

すなわち、今まさにそうなってしまったヴェンダーの末路は言うまでもない。

 

煙が晴れると、そこには無残に転がったヴェンダーの破片があった。

だが、いったい誰がクリーガの窮地を救ったのか。それは…

「俺のクリーガを舐めんなよ…?」

そのパイロットは、()()()()()()()()()()()()()()()()そう言った。

そう、開幕直後に砲撃を食らったクリーガが、寸分違わぬ正確な射撃でキャノンの砲身を撃ち抜いたのだ。

「へへっ…これでわかっただろ、エンジニアをパイロットに起用するってのはこういうことだぜ?」

そう、彼は射撃要員のパイロットにして、クリーガを開発した技術者の1人なのだ。故に半壊したクリーガを稼働できるレベルまで応急処置できた。

その瞬間、機体から小爆発が起こる。

「チッ、やっぱ無理させ過ぎたか…まあ問題ない。まだお前は健在だろ?俺らの勝ちだ。」

ちょうど爆発の余波で吹き飛ばされたもう一機のクリーガが立ち上がり向かってくるところだった。

 

***

 

ところ変わって司会者のいるステージ上ー

「なんと、なんと言うことでしょうっ!撃破されたかに思えたクリーガがヴェンダーの火器を破壊しヴェンダーは誘爆、勝者は876カンパニーっ!」

Mr.Dがハイテンションに勝者の名を告げた。

歓声が沸き起こり、人々は両者の健闘を称えつつも自力で機体を修復したパイロットに注目していた。

エースの影が薄くなっていたのはご愛敬である。

 

*****

 

再びFORGOTTEN CITYー

「すげえなあのパイロット…自分の機体直してたぞ」

コノハが呆然としてそう呟いた。

「資材に溢れてるSV内だからこそできる芸当だな、にしてもやはりあの不整地は二足歩行では不便だな…対策を考えないと」リョーヤはブツブツと独り言を言いつつパソコンに向かった。彼は集中し出すと独り言を言う癖があるのだ。どこぞのデクくんのようである。

「ねえコノハ、なんだかんだみんな楽しそうだったよね」

ユウリがそう言った。

「そうだな…俺はあんまりドンパチするの好きじゃないけどこういうのは楽しそうだ」

「なんだか私も動きたくなってきちゃったからさ、今からちょっと試合形式やろうよ!あ、もちろんシュミレータね?」

「わかったわかった、わかったから腕引っ張るなって!ちょっと!!」




いかがだったでしょうか。次回は一旦模擬戦などが入ります。謎の無人機の追加情報も…!?



フルアーマー・アウラ
右手に銃弾発射機能付きの大剣、左手には小型の盾を装備、バックパックは空戦支援機をそのまま使用し純粋な戦闘力の向上を図ったモデル。

クリーガ近接仕様/狙撃仕様
グラップルデュエル第一回戦においては、開幕直後に狙撃仕様が敵機からの砲撃により中破したため近接仕様が武装を一部借り受け使用した。
クリーガ自体はアウラよりも性能が落ちているが、それを補って余りある量産性と生産性、そして拡張性を持つ。今回の事例もそれを示す好例と言えるだろう。

アームドライオマックス・ウルフ
支援機「アームドウルフ」と合体した形態で、近接戦闘に特化した仕様。全身に装甲が追加され防御力が上がっている。
武装は長刀とクロー状の武装が複数。中でも手持ちで使えるタイプは盾としても使われている。
また、最大の特徴としてライオンを模した四足歩行形態へ変形でき、不整地での移動力が大幅に改善する。
アームドコアヴェンダー・タンク
支援機「アームドタンク」と合体した形態で、大出力キャノン一挺、シールド兼ナックル兼クローラーが左右の腕に各一、胸部には3連装の機関砲を装備した砲撃仕様。
ライオと同様こちらはタンク形態へ変形することができる。腕にクローラーが装備される都合上実質アームクローラーとして機能するため非常に高い走破性能を持っているほか、その状態では精密射撃を行うことも可能。おそらくはそれでクリーガ狙撃仕様を中破せしめたと思われる。
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