ただただシロナさんとまったり過ごすだけの話   作:職業病

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ほんとにまったり過ごしてるだけのお話し
しばらくシンオウ地方にいます。というかこの人たちシンオウ地方にあんまいませんね。まあシロナさん本人が『世界中飛び回ってる』みたいなこと言ってたのであまり問題ないかな?と思ってます。

毎回感想、誤字報告下る方々、本当にありがとうございます。
また、浅い知識と雰囲気で書いてある部分があるため矛盾点や原作と異なっている部分があります。申し訳ございません。
その部分のご指摘していただくことをこの場でお礼を申し上げます。当たり前ではありますが、極力ちゃんと調べた上で書くことを心がけます。
拙い文章ではありますが、これからもよろしくお願いします。

そして今回、先に忠告しておきます。
ブラックコーヒーをご用意ください。


20話です。


第三部
19話 ミオシティ


「ん…」

 

カーテンの隙間から溢れた朝日が顔を照らし、その眩しさからシロナは目を開ける。

寝起き故にまだ視界はぼやけているが、目を何度か瞬かせると視界が鮮明になっていく。鮮明になった視界に最初に映ったのは、見慣れた愛する人の顔だった。目線だけを動かして時計を見ると、朝の八時過ぎ。普段よりは少し遅いが、今日の予定は午後からなので多少遅くても何も問題はない。

 

「………」

 

カイムは起きる気配がしない。休日でも同じ時間に起きるカイムだが、昨夜は遅くまで調べ物をしていたため眠った時間が相当遅かったのだろう。その疲れから、まだ眠りはかなり深い。

だがカーテンの隙間から差し込む光がカイムの顔も照らす。その光によって眠りが浅くなったのか、眉間に皺が寄る。

起きるかな?とシロナは思って観察していたが、カイムは起きない。もぞもぞと布団の中で動くと目の前にいるシロナの身体を抱き寄せ、その胸元に顔を埋めた。

 

「珍しい…」

 

眠っている時、ナマケロの如く動かないカイムが眠っている時に動いたことにシロナは少しだけ驚く。寝起きがいいカイムがこのようになかなか起きず、まだ眠ろうとする姿勢を見せること自体がかなり珍しいものだった。

 

(昨日は遅かったみたいだし、もう少し寝かせてあげようかしら)

 

自身の胸元で子供のように穏やかな寝息を立てるカイムの頭を撫で、シロナは再び目を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

もぞもぞと動く感触を感じ、シロナは目を覚ます。

目を開き感触がした場所を見ると、一度起きた時にカイムが微睡の中で抱きつき、顔を埋めた胸元でカイムがもぞもぞと動いていた。

それから少し待つと、カイムは目を開いた。意識が覚醒しておらず、まだ状況をわかっていない様子だった。

 

「ん……」

「おはよ」

「………おはよう」

 

まだ頭が覚醒していないカイムはぼんやりとした声を上げる。目を数回瞬かせ、意識を覚醒させていく。そこで自分がシロナの胸の中にいることに気がつき、ゆっくり離れた。

 

「悪い。寝相が悪かったみたいだ」

 

恋人とはいえ、無許可で女性に抱きついていたことはカイムにとってあまりいいことではなかった。カイムとて男性であるため、美人の胸の中にいたこと自体はいい思いをしているのだが、生真面目なカイムは許可なくこういうことをするのをあまり良しとしていない。

 

「いいわよ。昨日、遅かったんでしょ?」

「ああ、まあ」

「珍しい姿が見れたし、そもそもそんな気にすることないわ。同じ布団で寝てる時点で、その程度のこと気にならないし」

「…そうか」

 

解放されたシロナは布団から起き上がると大きく伸びをする。少し肌寒くなってきたため薄手のカーディガンを羽織り、上半身を布団から起こしたカイムに視線を向ける。

 

「どうする?もう少し寝てる?」

「いや、いい。コーヒー淹れてくれ」

「食後でいいのよね」

「ああ」

 

カイムも布団から抜け出すと上着を羽織り、シロナと共に台所へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

「今日の予定は?」

 

野菜を洗いながらカイムはシロナに聞く。

ポケモン達にポケモンフードを与えていたシロナは顔を上げて答えた。

 

「昼過ぎにちょっと出かけるわ。テレビのゲストとして呼ばれているの」

「テレビ?」

「ええ。この前のポケモンリーグ関連のインタビュー収録よ」

「ああ、なるほど」

 

テレビ・コトブキではテレビ番組でポケモンリーグの特集などもしている。そして今回、リーグチャンピオンとしてシロナがインタビューを受けるために呼ばれたらしい。

 

「コトブキシティか。隣町だし、インタビューってことはそんな長時間やらない感じか?」

「ええ。予定では二時間くらいで終わるみたい」

「そうか」

 

サラダを盛り付け、ちょうど焼けたトーストを皿に載せる。そこにソーセージと卵焼きを添えてカイムは食卓に皿を運んだ。

その間にシロナはグラスに水を注ぎ、カイムと自分の前に置いて席についた。

 

「ん、ありがと」

「いいえ。毎日ご飯ありがと」

「ああ」

『いただきます』

 

トーストを口に運びサラダにドレッシングをかけて食べる。

ポケモン達も同じように食事を進めていく。

 

「今日の収録、何時からだ?」

「一時からよ。だからお昼食べてすぐにいくわ」

「そうか。なら少し早めに昼飯作るよ」

「そうしてくれると嬉しいわ。ありがとう」

 

ミオシティからコトブキシティは近い。だがそれでも移動に時間は必要だ。収録が一時からとなると、少し早めの昼食が必要だ。

 

「収録自体は一時間もあれば終わると思うわ」

「そうか。じゃあ晩飯はいつも通りでいいか」

「多分大丈夫。遅くなりそうだったら連絡するわ」

「わかった」

 

シロナの答えを受けてカイムは頭の中で今日の夕食の献立をどうするか考え始めた。今ある食材と昨日の献立、そして栄養バランスを考慮した上でどうするか考える。

と、そこでシロナの様子がおかしいことに気づく。何かを言いたそうに口ごもっている。シロナらしからぬ様子にカイムは首を傾げた。

 

「なんだよ」

「いや…その……」

「?」

「お、お願いがあるの」

 

珍しい、とカイムは目を少しだけ見開く。お願い、という形でシロナが何かを頼んでくることはあまりない。

 

「珍しいな。どうした」

「そ…その……」

 

シロナは少し顔を赤くしもじもじしている。そんなに恥ずかしいものなのか、とカイムは内心で考えていた。

 

「なんだよ。口籠るなんて珍しい」

「…笑わないでね?」

「内容による」

「むう…」

 

頬を膨らませるが、すぐに観念したようにシロナはため息をついた。話す気になったのかとカイムは水を飲みながらシロナの言葉を待つ。

 

「まあでも…黙ってても始まらないものね」

「そうだ。さっさと話せ」

「…あのね、私に料理を教えてほしいの」

「っ!?」

 

シロナの言葉を聞いてカイムは飲んでいた水が気管に入って盛大にむせる。それだけでなくポケモンフードを食べていたシロナのポケモン達とカイムのポケモン達も一切にシロナの方向を向いた。

 

「ゲホッ!ゴホッ!ゴフッ!」

「ちょ、大丈夫?」

「ゲホッ…はぁ…なんとか」

 

口元をぬぐい落ち着きを取り戻すとシロナに向き直る。

 

「…なんだって?」

「だから…私に料理を教えてほしいの」

「シロナが…料理?」

 

カイムが大学卒業後、本格的に弟子入りした際のシロナの自宅は酷いの一言につきる現状だった。資料だけでなく服もロクに片づけられていない状況で、足の踏み場もないというのはまさにあのことを言うのだろう。ゴミだけはしっかり分別してまとめているが、溜めているのは言うまでもない。

そしてキッチンは使った形跡がまるでなく、調理器具もない状況だった。そのため食器もほとんどなく、どう過ごしてきたのかがよくわかる状態になっていた。いつ頃この自宅を購入したのかは不明だが、見たところかなり新しい。故にそう時間は経っていないだろうが、それでもここまで酷くできるのはある意味才能だ。

その家事においては努力値を振ることすら躊躇われるほどの個体値を持つシロナが、料理を教えてほしいと言ってきたのだ。驚きもする。

 

「なによ…前に言ったじゃない」

「前…あっ」

 

カイムがジムリーダー代理として就任した日、シロナが食卓のセッティングをして待っていた。その時に家事を教わりたいと言っていたことを思い出す。

 

「そういや言ってたわ」

「でしょ?だから…その…貴方が一番得意そうな料理を教わろうって思ったの。だめ?」

「いや、駄目じゃない」

 

その場合、少し考える必要がある。シロナも忙しい身であるし、カイム自身ジムリーダーとしての業務や学者としての勉強があるため決して暇ではない。

 

「…そうだな。やるなら今日だ」

「今日⁈いいけど、急ね」

「お前、忙しいだろ。それに俺自身暇でもねえから、比較的余裕のある今日やるのは別に変な話じゃねえ。それに一日中ぶっ続けでやったところでシロナの壊滅的な腕がどうにかなるとも思えねえ」

「むう…事実だけど、そう言われると悔しいわね」

 

頬を膨らませて拗ねるような態度を見せるシロナにカイムは苦笑するが、壊滅的なのは事実だ。故にシロナ自身も否定はしない。

 

「俺は今日一日オフだ。シロナが収録行ってる間に晩飯のメニュー決めて材料も買っておく。だからシロナが帰ってきたら、一緒に晩飯を作ろう」

「いいの?」

「構わん」

「ありがとう。でも、いきなり難しいのはやめてね」

「基礎以前の問題のやつにいきなりハイレベルなのやらせるほど俺は阿呆じゃない」

 

仕方ないように言っているが、内心でカイムはやる気になっていた。今まで散々指導してもらったが、指導することはほぼなかった。それ故今までもらってきたものを返すいい機会だと考えていた。

 

「何事も基礎あってのことだ。基礎的なことを一通りできて、なおかつ簡単なやつ考えておく」

「ありがとう。貴方には頼りっぱなしね」

「…そりゃ俺の方だ」

 

トレーナーとしても学者としても、カイムはその基礎を全てシロナに叩き込まれた。頼っている面では、カイムの方が遥かに多い。

加えて近頃は論文を執筆するために色々と手を借りている。あまりにも多くのものをもらいすぎているため、返す絶好の機会を逃す気はない。

 

「とりあえず考えておく」

「お願いね」

 

カイムは夕食をどうするか考えながら食事を進めていき、早めに食べ終わったシロナはコーヒーを淹れるために台所へと向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

ーーー

 

 

 

 

 

早めの昼食を終え、シロナは収録のために着替えてくる、と言って自室へ戻った。

洗ったお皿を傍らにいるバシャーモとルカリオに渡していく。バシャーモ達は手に持ったタオルで食器を拭くと、食器棚へと戻していった。食器を洗い終え、最後にシンクの水を切って台拭きで簡単に水気を取る。全ての作業を終えて手を拭いていると、そこでシロナが降りてきた。

 

「お、その服か」

「ええ。私といえばこれ、みたいなところあるでしょ?」

 

シロナの服装は、いつもの黒いコートにロングズボンという出立ちだった。シロナが雑誌などメディアに出る時はこの服装であることが多い。夏だと暑いためあまり着ないが、それ以外の季節だと多少季節ごとに違いはあるが、この服装がシロナのイメージに近い人が多いだろう。

 

「テレビとなると、シンオウ全土に放送されるわけだしな。いいんじゃね?」

「でしょ?」

 

実際この服装の影響でシロナのイメージカラーが黒になったと言っても過言ではないだろう。

見慣れた服装ではあるが、どことなく違和感があった。

 

「……?」

「どうしたの?」

「いや……なんか違和感が…」

「違和感…ああもしかしてこれじゃない?」

 

シロナは首元を指さす。シロナの指差した先にはイッシュ地方で買ったダークストーンチョーカーだった。

 

「普段はファーのチョーカー着けているから違和感があったのかも」

「ああ、なるほど。納得した」

「最近はよくつけてたけど、この服装とセットでつけるのは初めてかもしれないわね」

「そうか」

「どう?似合ってる?」

「ああ」

 

一言、だがたしかにその言葉はシロナに届いた。その一言、それだけでシロナの胸は温かくなる。我ながら単純だと苦笑するが、実際そうなのだから仕方ない。

 

「もう時間か?」

「ええ、そうね。そろそろ行くわ」

「そうか」

 

シロナが玄関に歩いていくのに続いてカイムも玄関まで行く。靴を履き、忘れ物がないかを確認するとカイムに向き直った。

 

「じゃ、行ってくるわね。多分夕方くらいに帰ってくると思うけど、遅れるようなら連絡するわ」

「わかった。こっちも献立考えておく」

「ありがとう。いってきます」

「いってら」

 

シロナが出ていき鍵を閉めるのを確認すると、カイムは後ろに立っていたバシャーモとルカリオの頭を撫でる。

小さく笑うと庭の方に歩いていく。庭に出ると涼しい風が吹き抜けていった。そこでボールを投げて手持ち全てのポケモンを出す。ボールからブラッキー、ムクホーク、トリトドン、そしてメタングから進化したメタグロスを出した。

 

「洗濯機回してくる。干すの手伝って欲しいけど、洗い終わるまでは好きにしてていいぞ」

 

カイムの言葉を聞くとポケモン達は各々好きに過ごし始めた。

ブラッキーとトリトドンはメタグロスの上に登り楽しそうにしている。乗られているメタグロス自身も相手してくれるのが嬉しいのか、わかりづらいが表情を緩めて二匹を乗せたまま歩き回る。バシャーモはムクホークと追いかけっこをしており、ムクホークも追いかけてくるバシャーモを飛びながら回避し、楽しそうに遊んでいる。そして残ったルカリオはその場で座禅を組み、波導の流れを整える。

思い思いに過ごすポケモン達を見てカイムは小さく頬を緩める。

 

 

穏やかな時間が流れていった。

 

 

 

 

 

 

ーーー

 

 

 

 

 

 

コトブキシティ

テレビ・コトブキ

 

「シロナさん、今日はよろしくお願いします」

「ええ。よろしくお願いします」

 

収録スタジオで女性ディレクターと挨拶を済ませ、今日の収録の流れを簡単に説明される。

 

「今日は今年のポケモンリーグ全体を通した感想と、それに関連する質問を主にさせていただきます。質問内容につきましては、事前にお送りさせていただいた資料に記載しておりますが…何か問題はありましたでしょうか」

「いいえ、特に無いです」

「ありがとうございます。質問に対する答えもある程度考えていただけたとお伺いしてますが、相違ありませんか?」

「大丈夫です。お答えできます」

「仕事が早くて助かります。ほぼ毎年インタビューさせていただいていますが、シロナさんのインタビューは滞りなく収録ができるので…」

 

他のトレーナーのインタビューがどんなものかはわからないが、この様子だと少々苦労しているのかもしれない。トレーナーは自由な人物が多い。そのためこういう収録に時間がかかる人物がいてもおかしくない。

 

「全体の流れを確認した後にリハーサルを行います。その後収録です」

「はい。お願いします」

 

 

 

 

 

 

 

 

リハーサルを終えて休憩していると、スタッフの一人が飲み物を持ってきた。

 

「お疲れ様ですシロナさん」

「ありがとう」

「休憩は15分です。その後収録の本番を始めますので、よろしくお願いします」

「わかったわ」

 

会釈をしてスタッフは仕事へと戻っていった。

慌ただしく動くスタッフを尻目にシロナはスマートフォンを眺める。メッセージが一件届いていた。メッセージを開くと、メッセージは画像だった。

ブラッキー、トリトドン、ムクホークがメタグロスの上に乗って楽しそうにしており、その左右に笑顔のバシャーモと無表情のルカリオ、そしてメタグロスの前にカイムが座っている写真だった。カイムとポケモン達の後ろには洗濯物のシーツやシャツがはためいている。

 

「ふふ…」

 

微笑ましい写真にシロナは思わず微笑む。イサナやタキ、そしてダイゴの話でも『ポケモンには昔からよく好かれた』と言っていた。一番新入りのメタグロスもすでにカイムの手持ちポケモン達に馴染んでいる。それは単純にカイムのポケモン達と性格が合う、というのもあるが何よりカイム自身の真摯な人柄故だろう。

 

写真に写るメタグロスに目を向ける。元々野生にしてはレベルが高かったためか、シロナのポケモンとの手合わせを行うことですぐに進化した。メタグロス自身も非常にやる気があったためか、レベルの上がり方は早かった。

 

(もう一人前のトレーナーね)

 

出会った時と比べたら随分と逞しくなったとシロナは思う。まだまだ伸ばせる場所はあるが、それでももう立派な一人前のトレーナーだ。

それがとても嬉しいが、ほんの少しだけ寂しい。独り立ちを見送る母親の心境…とまではいかなくともそれに少し近いものがある。

 

(次は、私の番ね)

 

カイムは一人前になった。バトルフロンティアでコゴミとバトルするカイムを見てシロナはそう思った。

だからこそ次は自分の番だとも思った。カイムが必死に努力を積み重ねて一人前のトレーナー兼学者になった。ならば師匠である自分も遅れを取るわけにはいかない。今までカイムに任せていたことを少しでも自分ができるようになる。互いに成長し支え合うとはそういうことだ。

自分の家事が壊滅的で凡人以下なのはよく自覚している。きっとシロナ以上にカイムの方が根気が必要になるだろう。カイムに諦められたりしないか、そういう不安はある。でもただ与えるだけでなく、自分に足りないものを相手からもらうこともできる。そういう関係でなければ今後長くカイムと過ごしていくことはできないとシロナは考えていた。

 

「………今後、か」

 

最果ての孤島から帰って来る際言われた言葉を思い出し、思わず頬が緩みそうになる。

 

『まだ先』

 

少なくとも否定はしなかった。その事実がたまらなく嬉しく、シロナはあの言葉を時々思い出しては内心で悶絶していたが、それはカイムすら知らない事実。

 

「シロナさん!そろそろ本番です!準備をお願いします!」

 

スタッフの声がシロナを思考の海から引き戻す。緩みかけた頬を引き締めてシロナはスタッフの声に応えた。

 

 

 

 

 

 

 

『じゃあ本番いきまーす。3.2.1…スタート!』

 

ディレクターの声がかかりカメラが回される。それを確認した司会が番組をスタートさせる。

 

「世界中にいるたくさんのトレーナーのお話を伺う『プロフェッショナル・トレーナーズ』。今回は、シンオウ地方のトレーナーであれば誰でも知っていると言っても過言ではないほどのトレーナーにお越しいただきました。本日のゲストはシンオウリーグチャンピオン、シロナさんです。シロナさん、よろしくお願いします」

「よろしくお願いします」

 

紹介を受け、シロナはにこやかに挨拶をした。カメラを向けられてもシロナは普段の柔らかな態度を崩すことはない。

 

「まずはシロナさん、今年もチャンピオン防衛おめでとうございます」

「ありがとうございます」

「今年のリーグも歴代の大会の中でも屈指のレベルの高さを誇っておりましたが、無事チャンピオンを防衛できた感想はどうでしたか?」

「そうですね…本当にどのトレーナーも強くて、手強い方ばかりでした。一手違えば結果が異なっていたようなバトルばかりで、本当に楽しめました」

 

今思い出しても胸が高鳴るような鮮烈な記憶だ。あれほど楽しくバトルができる場面はそう多くない。故にシロナの記憶によく残っている。

尤も、ポケモンリーグ全体を通して記憶に残っている理由はバトルだけではないのだが。

 

「シロナさんほどの実力があれば余力を残して勝てるのではないかという声もありましたが、実際どうなのでしょう。多少余力を残しておくことなどはありましたか?」

「いいえ。決してそんなことはありません。対戦した全てのトレーナーを相手に全力をもって応えました」

 

誰一人として楽に勝てた相手はいなかった。今年のリーグで戦ったのはデンジ、グリーン、そしてヒカリ。誰に対してもシロナなりの最善の一手を打ち続け、その結果シロナが勝った。だがその過程で一手でも最善でない手を打てば結果は違っただろう。

無論司会もそれはわかっている。だがこのようにシロナだけでなく対戦相手も立てることがメディアとして必要な礼儀だった。

 

「なるほど。その猛者達の中でもシロナさんが勝ち抜けた理由は何かありますか?」

「そうですね…ポケモン達の調整や対戦相手を調べ尽くすことなどはもちろんですが、やはり最後まで楽しんでバトルに臨むことができたからではないかと思います」

 

勝負事において楽しむためには本当の強さがいる。本戦に出られるようなトレーナー達は皆楽しむことができるだけの強さがある。だから誰もがバトルを楽しんでいたように思う。あの瞬間だけは、グリーンも楽しんでいたように思えた。

だがその中でもっとも楽しむことができた。だから優勝できたのだと思う。無論それだけではないがあの場においては一番楽しめていたと胸を張って言える。

 

「シロナさんはバトルにおいて『楽しむ』ことに重きを置いていますね。楽しむことを大切にするようになったきっかけって何かあるんですか?」

「きっかけ、というほどのものは正直ないんです。たくさんのバトルを通して、楽しんでやることが私にとってもポケモン達にとっても一番力を発揮できることだったからというだけです」

「幾多もの経験を経た結果、楽しむことが一番合っていた、ということですね」

「その通りです」

「へえ〜なんというか、こう…バトルを楽しむというスタンスからも絶対的な王者の風格がうかがえるような答えですね」

「いえ、まだまだですよ。私自身、できることはありますし、何より若い才能が台頭してきています。彼らに負けないためにも、これからも励んでいきます」

 

ヒカリやグリーン、ジュンやレッドのような若いにも関わらず本戦に出場できるようなトレーナーが出てきている。才能という面だけで見れば、彼らはシロナよりも上だ。

そんな彼らに負けないためにも、シロナはこれからも励んでいく。

 

「なるほど。慢心せず上を目指し続けているからこそ、長い間チャンピオンを守り続けていられたのですね」

「そうかもしれません」

「ではバトル関連の最後のご質問なんですが、バトルを強くなるための秘訣などたくさんのトレーナーが気になっていると思います。未来のトレーナー達へ向けてなにか強くなるための秘訣などがございましたら、教えていただきたいです」

「強くなる秘訣…そうですね。ずっとポケモンを好きでいること、ですかね」

 

強くなるためにはポケモン達のことを知ることがまず第一歩だ。だが愛情を持たない者ではポケモンのことを知ろうとはしないし、なによりポケモン自身が知ってもらおうと思わない。互いに歩み寄ることができないような間柄では到底強くなることなどできない。

 

「トレーナーの数だけ、ポケモンとの向き合い方があります。そしてその向き合い方次第でバトルのスタイルも変わって来る。だから全員に共通して強くなる方法はありません。でも、ポケモンのことをずっと好きでいられたら、きっと強くなる道は開けると思います」

「シンオウ地方最高のトレーナーからのお言葉でした。トレーナーの皆様は参考にしてはいかがでしょうか。さて、バトルに関する質問はこのあたりにさせていただき、謎に包まれたシロナさんのプライベートについて今回はご質問させていただきます!」

 

シロナのプライベートは世間の人々にはあまり知られていない。そのため今回は普段の姿がどんなものなのかを知りたい、という声に応えてシロナはインタビューを受けることにした。

実際シロナはプライベートを隠しているわけではない。シキミの質問にも年齢以外は答えている。

 

「私のプライベートってそんなに謎ですかね?結構聞かれるんですけど…」

「ミステリアスな雰囲気がありますからね。それに世界中飛び回っているというお話もあるようですし」

「実際色々な場所に行ってますから。行ったことないのは…ガラル地方やオーレ地方くらいでしょうか」

「なるほど。ではそれに関連するご質問ですが、今まで行ってきた中で一番印象に残っている場所はありますか?」

「印象ですか。そうですね…私の中ではやはりアルトマーレが一番印象に残っています」

 

本当は同じくらいハテノ村も印象には残っているが、ここで言うべき場所ではない。あの土地は静かな土地だ。シロナの影響であの村に人が集まったりしてしまうことを恐れた。

 

「アルトマーレ!水の都として有名な『世界一美しい街』と呼ばれる場所ですね」

「ええ。古い街ですので歴史の調査も兼ねて行ってきたんです。とても綺麗で、歴史も印象的な街でした」

 

伝説上のポケモン、ラティアスとラティオスにも出会うことができた。そのためかなり印象的な場所としてシロナの中では刻まれている。

 

「シロナさんは考古学者も兼任していましたね。学者としても非常に有名ですが、トップトレーナーと学者を兼業するのは大変ではないですか?」

「大変…そうですね。どちらも手を抜かずにやっているので大変な時間というのは確かにやってきます。どんなに好きなことでも、続けていればきつい時間が来るのは当たり前なので」

「シロナさんほどの方でもやはりきつい時間というのは訪れるのですね。そんな時はどうやって乗り越えているんですか?」

「上を目指す以上、苦しくなることの方が多い。でもそんなことはお構いなしに時々楽しい時間が来てしまうんです。その時間が私を引っ張り上げてしまう。バトルも考古学も…楽しいことを忘れては思い出す。これの繰り返しです。だからひたすら『今できること』を精一杯やる。これに尽きるのだと思います」

 

辛くても苦しくても、上を目指す以上その壁を乗り越えなければ上の景色を見ることはできない。乗り越えた時のその嬉しさと楽しさが、シロナを引っ張り上げしまう。

 

「上を目指し、上へと至ったシロナさんだからこその感想ですね」

「偉そうなこと言ってますけど、結局継続した努力が必要ってだけです。どんな才能を持っていても継続して努力できない人は決して伸びません。でも才能のない凡人であっても、ちゃんと努力を続けていれば必ず伸びます」

 

この言葉だけは自信を持って言える。なにせ弟子が凡才でありながら努力を続けてきたことで、ジムリーダーにまでなっている。

 

「えーバトルも学者としても高名なシロナさんですが、そんなシロナさんにも苦手なものがあるのだとか。それはなんですか?」

「実は…家事が苦手です」

「なんと!家事といいますと…料理、とかですか?」

「忙しいのもあってあまり料理しないんです。そのせいで料理も掃除もあまりできなくて…」

「では、普段はどのような生活を送っているんですか?」

「食事は(カイムが来る前は)買ったものやレトルト、お惣菜で済ませることが多かったですね。どうしても疲れ切って料理する余裕がなく簡単なもので済ませるのが多かったです」

「意外です。何でもできるようなイメージがあったので」

「何でもはできませんよ。私にも苦手なものはあります」

 

基本プライベートを話す機会がないため、学者とチャンピオンを兼業しているシロナは完璧に見られがちだ。そのためこういう一面を話すと色々な人に意外だと言われる。

 

「掃除も苦手と仰られていましたが…」

「リビングや普段の生活をする場所は(カイムが掃除しているから)綺麗なんですけど、研究部屋は資料や論文がたくさんあるせいですぐに散らかってしまうんです」

「なるほど。研究者故、といったような事情ですね。では次の質問です」

 

その後も収録は続いていき、滞りなく収録を終えることができた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミオシティ

図書館

シロナが収録をしている最中、カイムは一人でミオシティの図書館にいた。ミオシティの図書館はシンオウ地方の中でも最大の蔵書量を誇っており、シンオウ地方のかなり古い書物も保管してあるためシロナもここをよく利用している。

今シロナは収録でコトブキシティにいるため、カイムは一人で目的となる資料を漁っていた。

 

「アルセウスもだが、ギラティナは文献がほとんどないな…」

 

ギラティナは神話ではほとんど語られることがないポケモンだ。乱暴者故に破れた世界へと追放された、という伝承があるらしいがそれ以上のことは残されていない。

ミオシティにある古い蔵書を漁ればもう少し出てくるかとカイムはふんだが、一般公開されている蔵書ではあまり大差なかった。

神話だけでなく地域に伝わる伝承に関する資料をいくつか手に取ると、中身をざっと見ていく。

 

それをしばらく続けていき、論文の参考文献になりそうな本をカウンターに持っていった。

受付を済ませると、カバンに本を詰めて図書館を出ようとする。

 

「おや、これは珍しい」

 

声が聞こえそちらに視線を向ける。そこにいたのは炭坑夫の格好をした中年の男性だった。

 

「トバリジムのジムリーダーが来ているとは。中々いいタイミングだったようだな」

「トウガンさん」

 

ミオシティジムリーダーのトウガン。

クロガネジムのジムリーダーヒョウタの父親だ。あまりカイムとの面識はないが、割とよくしてもらっている。

 

「ふむ…研究資料かね?」

「はい。実は今、論文を執筆中でして」

「そうか…!論文を」

「トウガンさんは?」

「私は以前借りた本を返却にな」

 

少し声を張り上げたトウガンは周囲を見渡す。

 

「今、時間あるかい?君とは少し話してみたくてね」

「時間、ですか」

 

シロナから連絡はない。時間には余裕がある。この後の予定はせいぜい買い物くらいだ。

 

「大丈夫です」

「そうか。なら、いこう」

 

歩き出したトウガンを追ってカイムも歩き始めた。

 

 

 

 

 

 

 

たどり着いたのは港だった。

トウガンは歩きながら話し始めた。

 

「すまんな。喫茶店でも連れていければいいんだが、あまり長話をするつもりもないんだ」

「いえ」

 

カイムは海に目を向けながら応える。

 

「波の音、好きなんで」

「そうか。海の街だものな。それに、君の名前…海が由来なのだろう?」

「みたいです。そのせいかは知りませんが、やたらと海に縁があります」

 

生まれ育った街にも海があり、今住む場所も少しだが海が見える。名前のせいかはわからないが、何かとカイムは海に縁があった。

 

「この前、ヒョウタと話してね。その時、君の話を聞いたんだ」

「採掘のこと、ですよね」

「ああ。君と採掘をした時の話を嬉しそうに語ってくれた」

 

あまり同年代に採掘を行う友人がいないヒョウタにとって、同年代に採掘に興味を持ってくれたカイムの存在は嬉しいものだった。加えてカイムも同じジムリーダーのため、前から話してみたいと思っていたがまさか向かうから声をかけてくれるとは思っていなかったためとても嬉しかったらしい。

 

「なんでも金剛玉系統の石を掘ったらしいじゃないか」

「そうですね。友人への贈り物として」

「友人に?これはまた、物好きな友人がいるんだな」

「ええ。変人です」

 

ダイゴのことだが、実際変人だから仕方ない。珍しい石のためならどんなところへも出迎くという熱意を持ち、ポケモンバトルもシロナと同レベル。加えてデボンコーポレーションの御曹司というハイスペックなのだが、ダイゴを一言で表すならカイムは変人が一番しっくりきていた。

 

「その友人のためにわざわざ採掘をヒョウタに教わったのか」

「ええまあ。でかい恩があるんで」

「義理と人情には応える…うむ、その心持ちは大事だぞ。きっと君にいつか返ってくるものだからな」

「因果応報って感じですか」

「別に悪いことをしているわけではない。そうだな、この場合は情けは人の為ならず、の方がしっくりくるな」

 

ナダが言っていた言葉を思い出す。『人から欲しがるばかりの者はいつか何も貰えなくなる。だからもらった分だけ返せなくてもいい。だがちゃんと返せるものは返すんだ』と幼いカイムに言って聞かせていた。

実際その通りだと思ったカイムはできるだけ恩がある人には返せるものを返せるようにしている。それは人に留まらず、ポケモンにも行っていた。

 

「誠実な青年だな、君は」

「誠実なだけです」

「大切だぞ、そういうのは。私もかれこれ四十年以上生きてきたが、結局誠実な人間というのが最も信頼される。人にもポケモンにもな」

「…どうも」

 

ほぼ初対面のトウガンからストレートに褒められてどうリアクションすればいいかわからずカイムは曖昧に頷くしかできなかった。

そんなカイムにトウガンはなおも続ける。

 

「ヒョウタとバトルはしたかね」

「いえ。採掘で手一杯でして…それに、ジムリーダーの業務もまだ慣れてないからあんま余裕なくて」

「そうか。代理とはいえ、スモモが留学に行っている以上君一人でやらねばならないものな。ジムリーダー歴でいえば、私はそこそこ長い。もしなにかあれば頼ってくれ」

 

トウガンはそう言って豪快に笑った。笑い方はヒョウタとはあまり似てないが、笑った顔はヒョウタとよく似ている。やはり親子なのだなと思いつつ、カイムはその言葉に感謝の意を伝えた。

 

「お心遣い、感謝します」

「先程海に縁がある、と言っていたな。君の故郷はどこなんだ?」

「ミナモシティです。ホウエン地方の」

「そうか、君はホウエン地方出身なのか。シンオウには、修行で来たといったところか」

「修行…」

 

トウガンは恐らくバトルの意味での修行と言ったのだろうが、実際は学者とバトルの両方で修行に来ている。だがあまり修行という認識はカイムにはなかった。自分のやりたいことのために努力を続けることはカイムの中では当たり前であり、特別なことではないからだ。

 

「まあ、そうですね。修行とはいっても、俺がやりたいからやってるに過ぎません。趣味に近いかもしれません」

「趣味に自己鍛錬か。なかなかの向上精神だな!ヒョウタにも見習ってほしいものだ」

「ヒョウタも十分強いと思います。本気でやり合ったら、勝てるかどうか」

「うむ、確かにヒョウタもジムリーダーを任せられるほどの強さは確かにある。だがあいつはまだまだ自分の強さを活かしきれていない。己と向き合うとこからだな」

 

トウガンはジムリーダーの中でも実力は高い。ジムリーダーの中でも高齢でベテランということもあるが、デンジ同様バトルへの向き合い方に信念のようなものがあるように見える。それが彼の強さの秘訣の一つなのかもしれない。

 

「修行を終えたらどうするんだ?ホウエン地方に戻るのか?」

「いえ、戻りません。そもそも、この修行に終わりはありませんから」

「鍛錬の人生か。それでこそ、チャンピオンの弟子だな」

「まだまだ未熟ですから」

「そうか。己の弱さに向き合う覚悟。若いながら立派なものだ」

 

トウガンはボラードに腰掛け、カイムも隣のボラードに腰掛けた。

 

「トバリジムのジムリーダー、スモモは今留学中だったな」

「ええ。ガラルに行ってるみたいです」

「ガラルか。かなり遠くまで行っているのだな。才能に溢れた子だ。きっと数段強くなって帰ってくるぞ」

「でしょうね。代理になった時点では勝てましたけど、帰ってきた時はどうなるかわかりません」

 

スモモの才能ならば数ヶ月の間に数段強くなることも可能。帰ってきた時はほぼ間違いなくカイムは抜かされているだろう。

 

「ジムリーダー始めたのと、採掘やってみたのはあんまり時期変わらないな。実際に採掘をしてみてどう思った」

「どう、ですか…」

 

カイムはヒョウタと共に採掘をしたときのことを思い返す。ハンマーとピッケルで壁を掘っていく作業。今まで体験したことのない作業に慣れないことが多かった。ハンマーを握る手にマメができたり、うまく掘れずに壁を崩してしまったこともあった。

だが目当ての金剛玉、白玉、白金玉を掘れた時の達成感はそれらを全て忘れさせるものだった。それと同時にこれを仕事にしたい、と思う人々の気持ちの一端を理解できた気がした。

 

「楽しかったです。今までやったことのないことを体験するのは、いいものですね」

「そうだろう。ミオシティにも地下は入ることができる坑道がある。今度、私と共に採掘してみないか」

「ええ、機会があれば是非」

「グハハハハ!いい返事だ!」

 

そこでトウガンのスマートフォンが振動した。トウガンが画面を見ると、チャレンジャーがやってきた旨が記されたメッセージが表示されている。

 

「おっと、チャレンジャーのようだ。そろそろ行かなくては」

 

トウガンは立ち上がり、立ち上がるカイムに手を差し出して手を貸した。

 

「ありがとうございます」

「すまないな、無駄話に付き合わせて。ヒョウタが世話になったようだし一度ちゃんと話してみたかったんだ」

「いえ、俺もトウガンさんとお話しできてよかったです」

「そう言ってもらえるとありがたい。ではまた会おう」

 

トウガンはそのまま去っていった。

残されたカイムは少しの間その背中を眺めた後、街へと戻りスーパーマーケットへと向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

収録を終えたシロナはミオシティ付近にある自宅へと急いでいた。時間としては予定通りに終わったが、カイムがどんな料理を教えてくれるのか楽しみでその足取りは非常に軽いものだった。

 

「ただいま」

 

自宅に到着し、鍵を開けて入るとブラッキーがシロナを出迎えた。

 

「あらブラッキー。カイムは?」

 

ブラッキーは奥にある台所の扉に視線を向けた。ブラッキーの視線が向けられるとほぼ同時に扉が開き、カイムが顔を出した。

 

「おかえり」

「ただいま。遅かった?」

「いや、十分。手ェ洗ってこい。始めるぞ」

「はーい」

 

シロナはブラッキーを撫でると靴を脱ぎ、洗面所で手を洗って荷物を部屋に置くと台所へと向かった。

 

「お待たせ」

 

シロナが台所に出向くと、カイムはシロナを頭のてっぺんから足元まで視線を巡らせた。

そして腕を組み、言う。

 

「とりあえず、その黒コートは料理に向かない。待っててやるから着替えてこい」

「あ…それもそうね。料理の匂いとか移るのも困るし」

「あと、髪もまとめてこい。長いんだからせめて一纏めにしな」

「わかったわ」

 

 

 

 

 

 

 

黒いタイトなシャツとスキニーに着替え、髪をポニーテールにしたシロナはカイムに渡された紺色のエプロンを身につけて台所に立つ。

カイムも黒いエプロンをつけてシロナに向き直った。

 

「始めるぞ」

「お、お願いします!」

「今日作るのはカレーだ」

「カレー…」

「料理の基本操作は大体切る、焼く、煮るだ。これができれば大体どうにかなる。カレーはその基礎的な操作を全部行えるし、一つ一つの操作は難易度が低い。初心者にはもってこいの料理だ」

 

一応カレーにもスパイスや食材など色々と拘れる部分はあるが、初心者のシロナには必要のない知識だ。まずは基本的なことができるようになるのが先決である。

 

「今回は市販のカレールーを使って作る。手順はルーの箱にも書いてあるが、さっき言った切る、焼く、煮るの順番でやっていけばいい」

「わかったわ」

「じゃあ早速やろう。まずは…」

「まずは?」

「米を炊くところから」

 

キッチンの棚から箱を取り出したカイムは、箱の蓋を開ける。中には米が入っていた。

 

「今回は明日の朝飯分も炊くから三合分を釜に入れる」

「三合っていうと…この計量カップ三杯分よね」

「そうだ」

「よし…」

 

シロナはカップを手に取り、米を掬い取った。そしてそのまま釜に入れようとしたところでカイムの声がそれを止める。

 

「ストップ」

「え」

「お前、そのカップに山盛りにされた状態で釜に入れんのか?カップからはみ出た分も含めたら一合より多いだろうが」

「あ…確かに」

「こういうのは大体すりきりで量を決めんだよ」

 

正直米ならば多少多くても問題はないが、ここでちゃんと教えておかないとシロナが今後なにをやらかすかわからない。そう考えたカイムは細かい場所まで教えることを決めた。

 

「これを…三回分ね」

「そうだ」

 

シロナがせっせと釜に米を入れている姿をブラッキーとグレイシアが横から見ていた。シロナがキッチンで作業をしているのがよほど珍しいのか(実際珍しいが)かなり興味津々の様子だった。

 

「できた!」

「よし。じゃあ次は米とぎだな」

 

釜をシンクに持っていき、水を注ぐ。

 

「まず手本を見せる。その後にやってみろ」

 

そう言ってカイムは米とぎを始めた。米の汚れを落とすような要領で適度に米をとぎ、とぎ汁を米が流れないように捨てていく。

 

「こんな感じ。合計三、四回もやれば十分だろうからあと二、三回やってみ」

「わかったわ」

 

カイムのやったように釜に水を注ぎ、米をとぐ。カイムのように手慣れてはいないが、見様見真似でなんとかやっていく。

 

「こ、こんな感じ?」

「ああ、とりあえずそれでいい」

「それで次はとぎ汁を…」

 

シロナは釜を傾けてとぎ汁を一気に流そうとしたが、それをカイムが止めた。

 

「ストップ」

「えっ⁈」

「そのまま流したら米も流れるぞ。少しくらい流れるのは仕方ないが、もっと慎重に」

「こ、こう?」

 

シロナは角度を緩くして少しずつとぎ汁を流していくが、あまりにも量が少ない。

 

「米とぎに何時間かける気だ?もう少し多めに流していい」

「もう少し…こんな、感じかしら」

「そう、いい調子だ」

 

無事にとぎ汁を流せたシロナは続けてもう一度米をとぎ終えた。

 

「これでいい?」

「よし。あとは三合分の水をいれて、炊飯器にセットするだけ」

「三合分……この目盛りまで水を入れればいいの?」

「そっちは玄米の方の目盛りだ。白米はこっち」

「…そんな変わるものなの?」

「多少な。炊き上がりに少し差がでてくる程度だが、今のお前はちゃんとマニュアル通りにやる方がいい」

「そうね」

 

カイムの指示通りシロナは目盛りまで水を入れた。そしてその釜をそのまま炊飯器にセットした。

 

「それでこの後は……どうするの?」

「炊飯のボタンを押せば終わり」

「これね」

 

シロナは炊飯器のボタンを押した。電子音が響き、炊飯が開始された。

 

「これでOKだ。次は食材を切る」

「は、はい!」

「まずは皮剥きだ。頭は落としてある。とりあえずピーラーでやってみ」

 

カイムがにんじんの皮をピーラーで剥く。薄皮が剥けていくのを見せ、シロナにもやってみるように促す。

シロナもピーラーを手に取り、おぼつかない手付きで皮剥きをし始めた。だが手に力が入りすぎているのか、うまくできない。

 

「う、ん……うまくできない」

「力入れすぎだ。もうちょい力抜いてやってみろ」

「力を抜いて…」

 

カイムの言う通り、シロナは少し手の力を抜く。するとまだおぼつかないが、先程と比べたらだいぶいい手つきで進んでいった。

 

「あ…」

「料理に必要なのは繊細な手つきだ。強い力は必要ない」

「な、なるほど」

「それと、皮はできるだけ薄く剥くことだ」

「え、どうして?」

「どうしてだと思う?」

 

シロナなカイムの問いかけに対して少しだけ考えると、答えた。

 

「食べられるところを、多く残したいから?」

「それもあるが、一番の理由は野菜は皮の近くに栄養や旨みが詰まってる。栄養や旨みを極力残すためにも、できるだけ薄く剥く方がいいんだ」

「そういう理由ね」

「何事にも理由がある。言われたことをただこなすだけじゃなく、それをやる意味を理解した上で行え。理解してやれば、気持ちの入れようも変わってくるし、上達の度合いも上がる」

「あ、今の言葉…」

「そ。シロナが俺を指導する時によく言ってた言葉だ」

 

やる意味を考え、理解した上で行う。それはシロナがカイムを指導する際によく言っていた言葉だった。ただこなすのでは意味がない。何故それが必要なのか、何故この知識がなければならないのか。それを知ることはトレーナーとしても学者としても必要なことだと、シロナは何度もカイムに言い聞かせてきた。

 

「よく言ったわね。仕返しかしら?」

「いや、もらったものを返したって方が近いな」

「もらったものを返す…なるほどね」

「少なくとも今はそれがどんなに大事なことなのかよくわかってるからな。同じことをシロナにもわかってほしい。ただ初っ端から求めるレベルができるとは思ってねえ。シロナのできる範囲でやってみろ」

 

シロナは頷くと極力皮を薄く剥くように心がけた。無論カイムの方が上手くできているが、意識をしたことによって多少なりともマシにはなっていく。

 

「指切らねえようにな」

「わ、わかってるわよ」

 

そうこうしているうちににんじんの皮剥きが終わった。

 

「次はじゃがいも。じゃがいももとりあえずピーラーでやってみ」

「ええ」

 

カイムは包丁で綺麗に剥いていくが、シロナはピーラーでじゃがいもの皮を剥いていった。にんじんと比べて曲面が多いため苦戦はしたが、なんとかやり切ることができた。

 

「ん、いいだろう」

「すごいわねカイム。包丁であんな綺麗に切ることができるなんて」

「長年やってりゃ誰でもできる」

「じゃあ、私もいつかできるようになる?」

「努力次第だな」

「…がんばる」

 

今まで任せっきりだった家事を急にやる気を出し始めた理由はわからない。だが悪いことではないし、何よりカイムも楽しい。やる気になった理由は気にはなるが、今聞くことではないと判断したカイムは教えることに集中した。

 

「じゃがいもは芽を取るのを忘れずにな」

「芽…って、これよね。どうやって取るの?」

「包丁の角で抉るイメージだ」

 

再びカイムが手本を見せてシロナがそれに倣って芽を取ろうとする。

 

「ストップ。それじゃ浅すぎる。芽の根っこの部分まで取れてないだろ。もっと深く抉りな」

「でも、抉りすぎたら食べる場所減らない?」

「いもの中心まで根っこがあるわけじゃない。ただ今のシロナのやつだと、窪みが邪魔して芽の表面を削るしかできてない。だから多少やりすぎてもいいから、ちゃんと芽を取れ」

「はい!」

 

カイムの真似をしながら芽を取っていき、時折包丁の扱いが悪くてストップの掛け声や指摘を受けつつ、時間はかかったがじゃがいもの下処理を終えることができた。

そのまま玉ねぎの皮を剥き、野菜の下処理は終えられた。

 

「ど、どう?」

「最初はこんなもんだろう。んじゃ、次は野菜を切っていく」

 

カイムはにんじんを手に取り、慣れた手つきでにんじんを一口大の大きさへと切っていく。あっという間ににんじんは食べやすい大きさへとカットされた。

 

「見ていたな?同じように、とは言わん。とりあえず見真似から始めてみろ」

「うん、やってみるわ」

 

シロナもにんじんを手に取り、まな板に載せる。

そして天高く包丁を振り上げた。

 

「ストップ」

「えっ?」

「お前は何をする気だ」

「にんじんを、切る」

「なら何故そんな高く包丁を振り上げる。まな板ごとぶった斬るつもりかお前は」

「こんな硬いのだし、私の力じゃ切れないんじゃ…」

「ナマクラで料理してんじゃねえよ。包丁は人の指切れるくらいには切れ味が高い。少しの力で切れるっての」

 

何を見ていたんだと少々呆れるが、カイムは解説を続けた。

 

「さっきも言ったが、基本料理に大きな力は必要ない。俺は鍛えているから筋力もあるが、世の中のお母さん達が全員筋トレしてるわけねえだろ?料理は基本誰でもできる力でどうにかなるんだよ」

「なるほど…確かに」

「今のやり方だと、狙いがズレたら手まで切れるぞ。包丁は基本抑える手より上に上げないことだ」

「どうして?」

「包丁の刃が手より上にいかなければ手が切れることもねえだろ。それと、材料を抑える手だが」

 

カイムはそこで言葉を切ると足元にいたブラッキーとグレイシアを抱き上げる。そしてその二匹の手を取り、シロナに向けた。

 

「抑える手は、ブラッキーやグレイシアの手をイメージすることだ」

「どういうこと?」

「もう一度手本を見せる」

 

カイムは二匹を下ろし、指を半分くらい握った手で野菜を切る。確かに大した力も入れてないだけでなく、包丁は基本手より高い位置に上がっていない。

 

「……確かに、手より高い位置に包丁はいないわね」

「だろ?人の血液は食中毒の原因にもなりかねない。そうじゃなかったとしても怪我なんてしない方がいい。だからそういうリスクを最小限にするための行動だ」

「手を丸くする理由は?」

「普通に抑えると手の高さが低過ぎてちゃんと包丁を低い位置で使ってても手を切りかねんからだ。それに、手が滑って狙いがズレた場合、指が切れる。だが手を丸くすることで手の高さを確保すると同時に狙いがズレても切れるリスクが減る」

「そういう理由があるのね」

「じゃ、やってみ」

 

カイムの言った通り手を丸めてシロナはにんじんを切り始めるが、うまく包丁が使えないせいであまり切ることができない。

 

「まだ余分な力が入り過ぎてる。完全に力を抜けとは言わんが、下手に力を入れすぎる方がかえって危ない」

「わ、わかってるけど…刃物なんてほとんど使ったことないからどうしても緊張しちゃって…」

 

今まで生きてきた中で刃物を使った経験はせいぜい工作などに使うカッター程度だ。それしか使ったことがなければ包丁が怖い、というのも頷ける。

どうするか数瞬間考える。実際カイムも初めて使った時も怖かったことを思い出した。この少しの時間だけで刃物に慣れろ、というのも土台無理な話だ。

 

「…仕方ない。じゃあこうしよう」

 

カイムはシロナの背後に回ると、シロナの両手に自分の両手を添えた。

 

「っ!」

「危なげがなくなるまでこれでやる。これでどうにか切る感触を覚えろ」

「………うん」

 

シロナは顔を真っ赤にしながらも小さく頷いた。カイムの体温と匂いを感じつつ、カイムの誘導に合わせて手を動かす。

 

「あ…」

 

カイムの力は弱い。だがそれでもちゃんと野菜を切れている。

 

「切れる…」

「だろ?にんじんはこのまま続ける。自分で切るのは玉ねぎからにしてみるか」

 

そのままシロナは誘導に従ってにんじんを切り進めていく。

その際常にカイムの気配がすぐそばにあるだけでなく、カイムの匂いや息遣いが身長差があまりないため首筋に感じる。加えて指示の声が耳元で聞こえてくるため落ち着かなかった。

 

「集中」

 

気が散っているのがバレたのか、カイムの言葉がぴしゃりと言い放つ。

 

「ご、ごめん。近いから…」

「……一人でできんのか?」

「できません……もう少しお願いします」

 

顔を真っ赤に染めながらもシロナは続行を申し出る。

落ち着きはしないが、決して嫌ではない。むしろ近くにいてくれることが嬉しいし、実際できないため誘導をもう少ししてもらうことにした。

 

「……なら集中しろ」

 

シロナにそう言ってカイムは誘導を続ける。

そのカイムの耳も赤くなっていることに気づいたのは、足元にいるブラッキーとグレイシアだけだった。

 

 

 

 

ーーー

 

 

 

 

十数分後、無事野菜を全て切り終えることに成功した。

にんじんはカイムの誘導に従ってやったが、それ以降の玉ねぎとじゃがいもはシロナ一人で全て切った。大きさもバラバラだし切り終えるまで時間もかかったが、カイムの誘導によって覚えることができたため一人でもやりきることができた。

 

「なんとかなったな」

「さすがにカイムが切った野菜よりも見た目は悪いわね…」

「元々壊滅的な人間に対して初っ端から見た目まで求める気はねえよ。とりあえずできりゃそれでいい」

「成長…してるわよね?」

「ああ。そこは自信持っていい」

「ありがと」

 

正直赤子がハイハイできるようになったレベルの成長ではあるが、バトルに関しては自分も似たようなものだったことを考えるとシロナもこんな気持ちだったのかもしれない、と内心で苦笑した。

 

「で、これで第一段階がおわったのだが」

「これで第一…」

「気が遠くなりそうか?」

「正直ね。でも新しいことができるようになるのは楽しいわ」

「レベル上げ、ってか?」

「ふふ、そうかも。疲れるけど、結構楽しいわ」

「そりゃいい。んで、次だが」

 

カイムは冷蔵庫から生肉を取り出し、鍋をコンロに置いた。

 

「次は焼くの工程だ。やり方はわかるか?」

「焼くのはわかるわ!材料を全部入れて火にかければいいのよね!」

「違う」

「えっ⁈」

「超大雑把に言えば間違ってないが、それじゃうまくできん」

 

材料を全て並べてカイムはシロナに見せる。並べられた順番には理由があるため、それが何かをシロナに問いかけた。

 

「今回焼く必要のある材料だが、この並べた順番に焼く。どういう順番かわかるか?」

「この順番に……うーん…」

「ヒントは、焼く時間だ」

 

焼く時間というヒントを元にシロナは頭を捻らせる。

焼く順番が早い方が相対的に焼く時間が長くなるということ。つまりそれが答えになるのかと考えた。

 

「長く、焼く順番?」

「70点」

「うっ…」

「間違っちゃいねえが、それだけじゃ不足してる。簡単に言えば、火の通りやすさ順だ」

「火の、通りやすさ?」

「そうだ。ちゃんと火を通さなきゃならないもの…例えば肉だな。肉は基本生じゃ食えん。だからよく火を通して生じゃなくするんだ。野菜にも種類ごとに火の通りやすさが違う。まあ、野菜の方は今回はカレーで結局煮込むからあんま気にすることもないがな」

「なるほど…」

「じゃ、やってみろ」

 

カイムに促され、シロナはコンロの前に立つ。

順番はカイムが並べた順番の通りであるため、シロナはまず肉のパックを取り、そのまま鍋にぶち込もうとした。

 

「ストップ」

「えっ?」

「そのままぶち込む奴があるか」

「焼くだけなんだし…違うの?」

「違う。そのまま焼くと、鍋に食材がくっついて鍋も食材もダメになる」

「じゃ、じゃあどうするの?」

「油をひく。それだけ」

 

カイムはコンロの火をつけると、鍋に油をひいた。鍋底全体に油が行き渡るように色々な角度に傾ける。そしてそこに生肉を入れた。

肉が焼ける音が響き、カイムは菜箸を使って肉を炒めていく。

 

「同じ面だけ焼かれてると焦げちまう。だから肉をよく動かして、生の部分がなくなるようにする。やってみ」

 

カイムに菜箸を渡されたシロナは、おっかなびっくりな様子ではあるがカイムのやったように肉を炒めていく。

 

「どう?」

「問題ない。その調子でちゃんと最後まで火を通すんだ」

「ええ」

 

ただ箸を動かすだけだからここは特別危なげなく進められている。

一通り火を通し終えた後、一度肉を取り出して野菜を投入。カイムが様子を見ながらどんどん投入していき、最後に先程取り出した肉も投入して全体を馴染ませた。

 

「ん、こんだけ炒めれば大丈夫だろ」

「じゃあ次は…煮る?」

「そ。軽量カップ使って600ml鍋にいれるんだ」

 

シロナはカップを受け取り水を汲む。300mlの目盛まで水を汲み、それを二回分鍋に入れた。

 

「これでいいの?」

「ああ。さすがに単位くらいはわかるか」

「む。私一応学者なんですけど」

「おっと、こいつは失礼」

 

くつくつと笑うカイムにシロナは恨めしそうな視線を向けた。

これ以上煽って不貞腐れられると面倒であるため、カイムはこれ以上煽ることはせず指導を進めた。

 

「この後は中火で少し煮込む。煮込んでいるうちに灰汁が出てくるからそれを取り除きながら様子を見る。その後にカレールーを入れて弱火にして焦げないようにかき混ぜる。これで終わりだ」

「煮込んでいくのね。工程としては、最後…でいいのよね」

「ああ」

「よし、やるわ」

 

そう言ってシロナはコンロのツマミを捻り、火力を最大にした。

 

「ストップ」

「えっ?」

「俺の話聞いてた?中火で煮込むつったろ」

「なら火力を上げればもっと短い時間で済むんじゃ…」

「中火で十数分なら強火で数分でいけると思ったってか?そんなわけねえだろ」

 

カイムは火の火力を中火へと下げる。

 

「ど素人の勝手な判断で進めようとすんな。まずはマニュアル通りにやること」

「…はい」

「よろしい」

「それで…灰汁って、なに?」

「灰汁ってのは、食材に含まれる雑味や渋みのもとになるやつだな。加熱すると出てくるんだ。それを取り除くことで仕上がりの味がよくなる」

「なるほど…灰汁ってどんな見た目なの?」

「出てきたら言う」

 

しばらく煮込んでいると、灰汁が出てくる。

カイムはそれを確認すると、灰汁取り用の網を使って灰汁を取り除いた。

 

「このちょっと灰色っぽい泡みたいなやつが灰汁。こんな感じで取り除いてやる。煮込む料理はこの灰汁が結構出るからしばらく煮込んだら出てくるんだ」

「わかったわ」

 

シロナはカイムがやっていたように灰汁を網を使って取り除いていく。

 

「どう?」

「十分。そんで次は一度火を止めてカレールーをいれて、溶かしながらかき混ぜる」

 

カイムはシロナにカレールーのパックを渡して入れるように促す。

シロナはパックを受け取るとそれを開き、そのままぶち込もうとした。

 

「ストップ」

「えっ?」

「カレールーの形状、どんな形になってるかわかるか?」

 

シロナは手に持ったカレールーを眺めてカイムの問いに答える。

 

「なんか、溝があるわね。板チョコみたい」

「そうだな。なんで板チョコみたいな形してるかわかるか?」

「えーっと……板チョコは確か、割りやすいようにしてるのよね。だから…割りやすいようにするため?」

「正解。割りやすくするためだ。割って、鍋に均等にルーが行き渡るようにするためなんだ」

「そういうことね」

「今回はこのパック丸々使うからそれぞれ四等分にする。そんで割ったルーをそれぞれ溶かしながらかき混ぜるんだ」

 

カイムはカレールーの一欠片をお玉に載せ、火を切ってから菜箸を使って溶かしていった。お玉に載ったルーがなくなると、ルーが全体に行き渡るように全体をかき混ぜていく。

 

「これを全部やり終わるまで」

「やってみるわ」

 

カイムの真似をし、カレールーを少しずつ溶かしていく。いくつか指摘を受けたが、溶かすのは概ね問題なくできた。

最後の欠片を溶かし終えると、カイムは頷く。

 

「OK。あとはとろみが強くなるまで弱火で焦がさないようにかき混ぜながら煮込むだけ」

「じゃあ、これでほとんど終わり?」

「そうだな。ゆっくり混ぜてやればそれでいい」

「こんな感じ?」

 

シロナはお玉を使いカレーをゆっくりかき混ぜる。カイムはそれを見て頷いた。

 

「十五分、そのまま煮込む。それで一度火を切って、白米が炊けるまで放置でいい」

「十五分ね。任せて」

 

シロナは鼻歌交じりに鍋をゆっくりかき混ぜる。そのシロナを見て大丈夫そうだと判断したカイムは冷蔵庫の野菜室からレタス、キャベツ、トマトを取り出して洗い、サラダを作り始める。

十五分後、鍋の様子を見て問題ないと判断したカイムは火を止めた。

 

「終わり?」

「ああ。あとは食べる前に温め直すだけだ」

「終わった〜…」

 

シロナは肩の力を抜くと、足元にずっといたグレイシアとブラッキーを抱き抱えて顔を擦り付ける。

 

「グレイシア〜ブラッキー〜…料理って難しいわ〜」

「お前が特別下手すぎるだけだがな」

「むう…それはそうだけど」

 

カイムはテーブルを拭くとマットを敷いてグラスを並べた。

 

「初めて、人にものを教えた」

「あら、そうなの?」

「こんなに真面目な指導をしたのは初めてだよ」

 

今まで教えられるばかりで、人に教えるということをしてこなかった。人に教えられるようなものがなかった、というのもあるが、カイムの持つものでは指導するに値しないものばかりだったから。

だが現在はジムリーダーとしてジムトレーナーやジムチャレンジャーを指導する側になっている。そう考えるとなかなか感慨深いものがカイムにはあった。

 

「シロナがどれだけ俺に尽くしてくれたかよくわかった」

「指導する側は教わる側以上に愛情と根気がいるの。それに、自分の持っているもの以上のものは伝えられないし、十を伝えるためには百くらいのものを知っていないといけない。難儀なものよね」

 

グレイシアとブラッキーを撫でながらシロナは言う。

自分が知っているものをそのまま伝えることはできない。伝えたいもの以上のことを理解できて初めて伝えたいことを理解できる。

 

「…長らく指導してくれたことが、どれだけ大変なのかよくわかる経験だった」

「一応言っておくけど、貴方の指導を苦に思ったことはないわよ。真面目に、真摯に努力を続けていたからね。それに、私も貴方も天才のような感覚派じゃなく、理論派の人間だったから感覚のズレも少なかったわ」

「そらどーも。なんにしてもいい経験だったよ。まだまだ指導はしなきゃだがな」

「ふふ、お願いね」

 

今回、シロナが料理を教わりたいと思ったのには理由がある。だがその理由をカイムに言うことはない。

 

「ふふ」

「ん?」

「なんでもないわ」

 

シロナはグレイシアとブラッキーを撫でまわしながらそう言う。

カイムは不思議そうに首を傾げた。この思いを実現させるためにも、シロナはカイムに教わっていく。

 

 

 

 

ーーー

 

 

 

 

カイムは炊けた白米を皿に盛り、カレーをよそった。シロナはそれを食卓へと運び、椅子に座る。

 

「……」

「初めて作った料理を目の前に緊張してんのか?」

「そうね。自分の手を動かして作ったのは初めてだから…」

「変なもの入れてねえんだし、不味くなる要素はねえよ。カレーなんだし」

「それは…そうかもだけど」

「大丈夫だ。ほれ、食おう。ポケモン達ももう食い始めてんだ」

 

カイムが窓の外に視線を向けると、シロナとカイムのポケモン達がポケモンフードを食べている姿があった。

 

「それもそうね」

「ん。そんじゃ、いただきます」

「いただきます」

 

カイムは特に躊躇う様子もなくさっさと食べ始めた。そしてそのカイムの様子を見て問題無さそうだと判断したシロナも恐る恐るカレーを口に運ぶ。

 

「!」

 

特別何かをしたわけではない。だがそれでも、なんの変哲もないただのカレーの味が普段と比べてより美味しく感じられた。

 

「どうだ」

「おいしい!」

「自分で頑張って作ると、同じ材料と調理法でも美味く感じる。不思議なもんだよな」

「頑張ったからこそよね。努力した分、乗り越えた時は嬉しい。貴方はよくわかるでしょ?」

「シロナもな」

 

越えられなかった壁を努力を積み上げて越えることができた時の感動。その時感じた心は何にも代え難いものであることを二人は知っている。

 

「家事が何もできない私でも、ここまでできるのね」

「ちゃんと指導する人間がいればな。誰でもできる」

「貴方が言うと説得力あるわね」

「かもな。でも俺、別に最初からシロナにバトルの指導もしてもらおうとは思ってなかったぞ」

「そうなの?」

「少なくとも会った直後は思ってなかった」

 

未練はあった。だがそれでも、指導してもらったところで才能のない自分がいける場所などたかが知れていると思っていた。

 

「そう。確かにカイムの自覚している範囲では諦めていたのかもしれないわね」

 

シロナはカレーを口にしながら言う。

当初、カイムは『バトルはいい。学問の指導だけしてほしい』と言っていた。だがシロナの目にはバトルに対して未練のようなものが感じられたため、何故諦めたかを聞いた。その際にカイムは『才能が無いから』と返してきた。

実際、才能はない。だがやる気と根性だけは誰よりもあるし、ポケモン達もその気はあった。それを腐らせるのは勿体ないとシロナは思い、自分がバトルする姿を見てもらうことにした。

その年のシンオウリーグの映像を見て、カイムは魅せられた。バトルを続けたいと、心の底から思うようにもなった。でも無数の敗北が最後の一歩を邪魔し、すぐにバトルをしたいと言えなかった。才能のない自分が何をやっても無駄なのではないか。そんな後ろ向きの思考があったから。

 

その時のカイムにシロナが言った言葉がある。

 

「自分の限界をもう見限ったっていうの?身体も技術も精神も何一つ出来上がっていないのに?上を目指すのなら確かに辛いことの方が多い。でも本当に諦めるのは自分ができることを全てやり切ったと言い切れるくらいに手を尽くしてからでも遅くないわ。まあでも、『自分はこんなものではないはずだ』と不確定な未来の自分を信じて努力し続けることは、諦めて腐ることと比べてずっと辛く、険しい道ではあるでしょうけど」

 

この言葉を聞き、カイムはシロナから学問だけでなくバトルも学ぶと決めた。諦めるのは全てをやり切ってからでも遅くない。かつて夢見た場所そのものでなくとも、そこに近づきたい。その思いがカイムを再びバトルの場へと引き戻した。

 

「まあ、大学でいい経験はたくさんしてきたから大学に行ったことを間違いだとは全く思わない。むしろいい選択だったとは思うが、それでもバトルへの向き合い方において大学時代は腐ってたなって思う」

「ふふ、そうかもね。でもちゃんと戻ってきたってことは、やる気はあったってことよ」

「諦めが悪くて聞き分けがないだけだ」

「それが魅力でもあるけどね」

 

教える側としてもカイムはストレスの少ない相手だった。言われたことをただ熟すだけでなく、その理由を理解しようとするスタンスに加え、ひたむきに努力を続ける。伸びる速度は遅いが、それでも着実に進んでいる姿を見るのは指導者側としても気分が良いものだった。

 

「貴方が努力を重ねてきたんだもの。私も負けないようにまだまだ精進しなくちゃね」

「じゃあ次は一人でカレー作ってみろ」

「今回のでだいぶ覚えたからきっと大丈夫よ!」

「……心配だから横で見てるわ」

「なんでよ」

 

数日後、再びシロナが台所に立ち、このカイムの心配が杞憂でなかったことが発覚するのだが、それはまた別の話。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シロナが風呂から上がると、カイムが庭にいるのが見えた。

カイムの視線の先にはメタグロスとミカルゲが何かコミュニケーションを取っているのが見える。

 

「お風呂空いたわよ」

「ん。ああ」

「メタグロス、よく色んな子と話してるわよね」

 

メタグロスは加入してからカイムの手持ちだけでなくシロナのポケモンともよくコミュニケーションを取り、場合によっては手合わせをしている。真面目で向上心の強いメタグロスらしい行動だが、それ以上の何かを感じるようにも思える。

 

「強くなることに積極的だな」

「いいことよ。きっとカイムに触発されたのね」

「俺に?」

「バトルフロンティアでのバトルを熱心に見てたからね。早く一人前になりたいのよ」

 

シロナの言葉にメタグロスは頷く。

メタグロス(当時メタング)はバトルフロンティアでのカイムとコゴミのバトルを食い入るように見ていた。これから自分の主人になるトレーナーの全力のバトルが非常に目を惹きつけるものだったからだ。ダイゴやシロナのように苛烈で圧倒的なものはない。だがカイムのバトルからは、ポケモン達やカイム本人から積み上げてきたものがよくわかった。だからこそその一員に早くなりたいとメタグロスは思い、積極的に修行するようになっていた。

 

「……そうか」

「良かったじゃない。認められているってことよ」

「ああ、そうだな」

 

カイムはミカルゲを頭に乗せているメタグロスを撫でた。冷たい鋼の身体の感触が手から伝わる。

 

「負けてられないな」

「そうね。ポケモン達がやる気なのに、私たちトレーナーが遅れるわけにはいかないわ」

「ああ」

 

そこでカイムはようやくシロナに視線を向けた。そしてシロナの服装を見て眉を顰める。

 

「なに?」

「いや…」

 

シロナの服装は細身のスウェットと黒いパーカーという至って普通の出立ちだった。シロナ自身、似たような部屋着はいくつか持っているためカイムが違和感を感じるようなものではないはず。

問題はそのパーカーのサイズだ。シロナの身長で若干だが手元が隠れており、裾の丈も僅かに長い。シロナはあまりダボっとした服を着ないイメージだったため、僅かに余裕のある服装には違和感があった。

そこでカイムは一つの結論に辿り着く。

 

「…おい、そのパーカーまさか」

「ええ、貴方の」

 

あっけからんに言うシロナに対してカイムはため息を吐く。

 

「なんで俺の着てんだよ」

「だめなの?」

「自分のあんだろ」

「別にいいでしょ〜。着たかったの」

 

彼シャツならぬ彼パーカーというのは男にとって夢であり、それは男であるカイムも例外ではない。加えて相手がシロナのような美人であれば尚更だ。もっと見ていたいという気持ちと理性的な感情が同時に湧き上がったが、結局他に誰もいない自宅という環境からこれ以上言うことを止めた。

 

「…好きにしろ」

「カイムも私の服着る?」

「阿呆」

 

カイムは呆れたようにため息を吐き、シロナの横を通り過ぎる。最後に風呂に入ってくる、と言って去っていった。

残されたシロナは未だになにかコミュニケーションを取るメタグロスとミカルゲを眺めながら小さく息を吐く。

 

「負けてられない、か。私もまだまだ頑張んなきゃね」

 

今回のカレーはカイムのサポートがあったからできた。それにまだシロナ一人で料理をすることは不可能だろう。

だがいつかは一人でできるようにならなければならない。カイムのように見た目も味も完璧、とまではいけずとも、ある程度のラインにまでならなければならない理由がシロナにはある。

 

「…お菓子はもっと難しいっていうものね」

 

まずは普通の料理。これを現時点の目標として、最終的な目標に向けてシロナは努力を続けていくことを誓う。

そんなシロナにミロカロスとロズレイドが寄り添ってくる。二匹のことを優しく撫でながらシロナは月を見上げた。

 

「…私も、貴方に返したい」

 

その呟きに応える者はいない。

だがその内に秘めた心が表に出てくるのは、そう遠い話ではなかった。

静かな夜に、メタグロスとミカルゲの声だけが響き渡りながら夜は更けていく。

 

 

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

 

おまけ

 

思いついたけどこのシーンに至るまでの描写が全く考え付かず、でもボツにするのも勿体ないからという理由でできたおまけ

 

 

 

 

心地よい風が吹き抜け、シロナとカイムの髪を揺らす。

 

「気持ちいいわね」

 

広大な草原に広げたレジャーシートに腰を下ろしたシロナがそう言う。その傍らにはトゲキッスがおり、シロナに身を寄せていた。

カイムもシロナのすぐ側に座っており、そのカイムの傍にはメタグロスが鎮座していた。

 

「いい場所だな」

「本当。日差しもちょうどいいし、このまま眠れそうなくらい」

「そうだな」

 

シロナはレジャーシートに寝転び、伸びをする。伸びをした手は僅かにシートからはみ出し、その手に何か当たった感触がした。

その手に当たったものを手に取ると、そのままカイムに手渡した。

 

「なんだ」

「花よ。シロツメクサ」

「ああ、これか」

 

渡された花を手に取ると、カイムは懐かしそうに眺めた。

 

「昔…本当に小さい頃、姉貴がこれで冠や指輪作ってたよ」

「イサナさんが?かわいいことしてたのね」

「聞いてもねえのに作り方教えられたよ。うまくできなかった記憶しかないが」

「ふふ、そう。じゃあ私が作り方また教えてあげるから、一緒に作りましょ」

「はあ?」

「いいでしょ?ほら、ゆっくり教えてあげるから」

「うまくできなくても文句言うなよ?」

 

不安そうな声でボヤきながらも、シロナの言う通りにやることでカイムは一分もかからず花を指輪へと変えた。

 

「やればできるじゃない」

「割とできるもんだな」

 

出来上がった花の指輪をくるくると弄ぶカイムに向けてシロナは左手を差し出した。その手の意味がよくわからずカイムは首を傾げる。

 

「なに」

「え、くれないの?」

「ああ、そういうこと」

 

別段これに思い入れはない。欲しいのならあげてもいいだろうと考えたカイムは、差し出された左手の指にその花の指輪をはめた。

 

「ガキの頃は今以上に不器用だったからな。ちょっとはマシになるもんだな」

 

カイムは一人、自分の成長を噛み締めているが、それに対してシロナはもらった指輪を眺め、目を伏せた。

 

「ん、どうした」

「ううん。なんでもないわ」

「そうか。しかし意外だな。シロナってそういうの欲しがるタイプだったか?」

 

アクセサリーに興味がないわけではないが、シロナはあまり着飾るようなことをしない。故につけるアクセサリー類も基本目立ちにくい色のものが多い。この指輪をアクセサリーと分類するかは些か疑問ではあるが、カイムには少しだけ意外だった。

 

「あら、私が欲しがるのは変?」

「変じゃねえが、意外ではあった」

「私からすれば、カイムの行動の方がもっと意外よ」

「はあ?どこが」

「誰も薬指につけてくれ、とは言ってないわよ」

 

シロナの言葉にカイムは固まる。

シロナの指にはカイムが作った指輪が嵌められている。その指は、確かに薬指だった。いくらそういう情報に疎いカイムでも、左手の薬指が意味するものがなんなのかは知っている。

 

「………やっぱそれ返せ」

「嫌よ。私がもらったものだもん」

「じゃあ返さなくていいから外せ」

「嫌。初めてつけてもらった指輪よ。今日一日はずっとつけてるわ」

「左手の薬指はまずい。意味が変わってくる」

「私はどういう意味になるのかわからないわ。教えてちょうだい」

 

シロナの言葉にカイムは言葉が詰まった。

 

「……このやろう」

「もし悪い意味なら外してもいいわよ?」

 

少し頬を染めつつ不敵な笑みを浮かべながらいうシロナのことをカイムは顰め面で睨みつける。

 

「くっそ…わかってて言ってんだろ」

「さあ?」

 

外す気が無いと悟ったカイムは大きくため息をついて不貞腐れたように寝転び、シロナに背を向けた。そして小さくなにかを呟く。

 

「……そんなもの大切にしなくても、いつかやるつもりだっての」

 

小声で何かを呟いたのは聞こえたが、何を言ったかまでは判断できなかったシロナはカイムに聞き返した。

 

「ん?なに?」

「何でもねえよ」

「なに?教えてよ〜」

「やかましい!いつかわかるから待ってろ!」

 

起き上がりどこかへと歩いていくカイムの背中をシロナは追いかける。

 

「教えてくれてもいいじゃない」

「だから何でもねえって」

「む…じゃあバトルして私が勝ったら教えて」

「ほぼ一択じゃねえかざけんな。言わねえよ!」

 

尚も痴話喧嘩を続ける二人を見てトゲキッスは鎮座しているメタグロスの上へと移動し、メタグロスと共に二人のことを微笑ましく見ているのだった。

 

 

 

 

 




どこでもイチャつきますねこの人たち。
いいぞもっとやれって思った方は感想で教えてください。
もっとやらせます。

アンケートまだ受け付けてますけどほぼ決まりですね。さすが原点にして頂点。
そして最近、ルリナさんが175cmということを知って驚愕してます。スタイル良すぎ問題。カイムの身長よりも高いという事実。

カイムの手持ちの現在のレベル
ブラッキー Lv.67
バシャーモ Lv.65
ルカリオ Lv.63
ムクホーク Lv.62
トリトドン Lv.50
メタグロス Lv.46


Q:何故シロナさんの自宅はミオシティ付近にしたのですか?
A:一番の理由は図書館です。学者なので大きい図書館が近くにある方がいいだろうという安直な考えです。ぶっちゃけカイムの名前はミオシティ付近に自宅があることを考えてから決めました。

Q:メタグロスに進化するの早くないですか?
A:カイム自身の育成の腕が高くなったことに加えて師匠のシロナさんにも手伝ってもらったため早く育ちました。それに加えて元々レベルが高めだったため少し育てたら進化しました。ここから俗に言う努力値を振っていきますが、これに時間がかかります。現にトリトドンの育成もまだ終わっていません。

Q:カイムってどうやってお金稼いでいるんですか?
A:ジムリーダーはポケモンリーグからお給料が出ます。詳細の値段は決めてませんが、普通に生きていくだけなら余裕がある程度にはもらってます。代理でもリーグに連絡はしているので代理期間は同等のお給料がもらえています。ジムトレーナーもリーグからお給料をもらっていますが、ジムリーダーよりは少ないです。それでも一月生きていくのは余裕です。副業をしている人は大体もとはそっちが本職だったけど、並行してやっているだけです。

Q:シロナさんの年収っていくらですか?
A:決めていませんが、年収二千万以上は余裕でありそう。

Q:シロナさんとカイムに苦手な食べ物はあるんですか?
A:ありません。二人ともなんでも食べます。ただカイムは辛さの許容量がちょっと狭く、カレーの辛口がギリギリ食べられる程度です。

Q:シロナさんは家事やるんですか?
A:基本やりません。やると事態が悪化します。かろうじて皿洗いだけはできるようになりましたが、常にカイムが監視していないと惨劇が起こりかねません。

Q:彼女にシロナ、友人にダイゴ、先輩にダツラ、姉にレッド並みの天才がいたのにどうしてカイムは歪まずバトルを続けられてたんですか?
A:死ぬほど諦めが悪いからです。

Q:カイムって何が得意なんですか?
A:彼が自信を持って得意と言えることはほぼありませんが、家事の腕は主婦並みです。


シロナ
インタビュー時と料理を教わっていた時とで別人レベルの態度を見せる人。なお、今回のインタビューで家事が苦手だとシンオウ全体に知れ渡ったが、その苦手度合いについては全員が誤解している模様。
好物はアイスと和食。

カイム
お母さん。
好物は和食(特に刺身と焼き魚)

トウガン
ヒョウタのお父さん。カイムとの面識はあまりなかったが、ヒョウタと採掘をした件でちょっと話すようになった。鋼タイプ専門。


感想いつもありがとうございます。
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