ただただシロナさんとまったり過ごすだけの話   作:職業病

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超短編

ポケモンとシロナさんがカイムとイチャコラするだけ。
思いつきで書き上げました。おまけにするには長すぎるので閑話として。



閑話です。


閑話

朝起きて、いつも目の前にある顔。

平凡な顔立ちながら、できる限りの手入れをしている肌を撫でても一切反応しないその寝顔が、普段の無表情か仏頂面と比べてかわいらしく見える。

 

安らかな寝息を繰り返しながら眠るその顔に、シロナは口付けを落とす。昨晩は遅くまで何か作業をしていたため、まだもう少し寝かせてあげようと優しく髪を撫でた。

 

布団から出ると、クリスマスの時に買ったムクホーク柄のクッションを枕にして眠っていたムクホークが薄く目を開く。だがカイムがまだ布団で眠っているのを見るとあくびをして再び目を閉じた。

 

「ふふ」

 

そんなムクホークを優しく撫で、シロナは着替えると部屋を出た。

カイムが起きていないため朝食を作る音がしない。そのことが少しだけ珍しく思えるが、そういう日もあるだろうとシロナはぼんやり考えた。

洗顔と歯磨きを済ませ、朝食の用意ができない(禁じられている)シロナは手持ち無沙汰になり、テレビをつけた。朝の番組をぼんやりと眺めていると、一つ気になることをキャスターの女性が笑顔で告げていた。

 

「…へえ、今日はそういう日なのね」

 

シロナは小さく呟いて立ち上がると、庭にポケモン達を出すのだった。

 

 

 

 

 

 

朝食を済ませ、洗濯物を干しているカイムの下に、ブラッキーと二匹のトリトドンがやってきた。

ブラッキーがカイムのズボンの裾を引っ張ってくるため、カイムは何かあったのかと一度手を止めてブラッキー達に視線を合わせるように屈んだ。

 

「なに、どした?」

 

カイムが屈むと、ブラッキーはカイムの顔に自分の顔を押し付けて、温かい舌でカイムの顔を舐めた。二匹のトリトドンもそれに続くようにカイムの顔に自分の顔を押し付け、ペタペタする肌をカイムに触れさせた。

 

「お、おい。なんだよ急に」

 

三匹が同時に顔に迫ってきたため、カイムは思わず驚いた声を上げる。決して嫌では無いためポケモン達の好きなようにさせているが、急にされたことであるため何故このような行動に出たのか疑問だった。

 

「くすぐってえな…どうしたんだよ」

 

今もなおぐりぐりと顔を押しつけてくるポケモン達にカイムは苦笑するが、懐かれている愛情表現をされて嫌な気はしない。むしろポケモンが大好きなカイムからすれば嬉しいことではあるが、やはり急にこういうことをしてくるのは疑問だった。

 

(ブラッキーはいつもだけど、シロナのトリトドンまでしてくるのはなんでだ?)

 

ブラッキーはいつも甘えてくるため別段変ではないしカイムのトリトドンも比較的甘えたがりだが、シロナのトリトドンまでこうしてくるのはなかなか珍しい事例だった。懐いているとはいえ、主人はあくまでシロナ。ここまでカイムに甘えてくることは相当珍しい。それ故にカイムはこの行動の理由が疑問でならなかった。

 

しかしそんなカイムの疑問など知るかと言わんばかりに、二匹のトリトドンは満足したのかゆらゆら揺れながら去っていった。ブラッキーは顔を舐めるのはやめたが、カイムに抱っこをねだるようにぴょんぴょん跳ね始める。

 

「わかったわかった。ほれ、おいで」

 

カイムが手を広げるとブラッキーはカイムのもとに飛び込む。難なくそれを受け止めるが、やはりカイムはトリトドン達の行動理由がわからず頭の中でぐるぐるしているのだった。

 

 

 

 

 

 

「それで、集めた資料についてなんですけど…ホウエン地方にある石室に関する資料です」

『おお!これはいいね!今まで見たことないタイプの遺跡だ!』

 

カイムは今、プラターヌ博士と共に集めた資料について議論を交わしていた。資料をもとに理論の道筋を立てていっている最中だが、集めた資料を見てプラターヌ博士は興味深そうな声を上げている。

 

「この資料はこの石室に関する情報をまとめています。外見、立地、中身大体全部載せてあるはずです。今お見せしてるのは簡単にまとめたものですけど、メールでお送りした添付資料には細かくまとめたものもあるので後で目を通しておいてもらえると嬉しいです」

『この石室…おふれの石室って言ってたね。ホウエン地方にある遺跡だと書かれているけど、カイム君が現地に行ったのかい?』

「いえ、俺は行ってません。ただ俺はホウエン地方出身でして、ホウエン地方に友人がいるんです。その友人に頼んで取り寄せたものをまとめました」

 

無論その友人とはダイゴのことであり、今回のことを頼んだら『貸し一つ』と言われてしまったのだが、それは余談だろうと判断してカイムはそれ以上言うことはなかった。

 

『そうか、キミはホウエン出身なんだね。それで、この資料に書かれていた古代文字についてなんだけど…これはもしかして点字かい?』

「はい、恐らく点字です。今現代にある点字と形は微妙に差異がありますけど、現代の点字と照らし合わせてみるとある程度読むことができます」

 

点字の発祥はカロス地方だと言われており、奇しくもプラターヌ博士がいる土地と同じ場所だった。カロス地方で発祥した点字は姿を変えながら現代まで伝わっている。しかし今回問題なのは、この点字が見つかったおふれの石室が『カロス地方で点字が発祥するよりもはるか昔のもの』であるという点だ。

 

「最初に開発された点字とどことなく似た形を残しながらも、はるか昔から存在していたこの古代文字。これがレジ系の真実を解き明かすための鍵になるんじゃないかって考えてます」

『うん、ボクも同じ意見だ。そういえばレジ系のポケモン達の目は点字にどことなく似ている。昔の人たちとレジ系のポケモン、そしてこの古代文字はきっと密接な関係にあったんだ』

「はい。ただ微妙に形が違うせいでこの文字の解読に若干時間がかかってて…今そこで止まっています」

『文字の解析には時間がかかるからね。でも大事なことだから他の資料の解析と並行してやるといい』

「そうします。そんで次のことなんですけど…」

 

そう言ってカイムが画面共有によって見せてる資料を次に進めようとした瞬間、画面の隅っこにムクホークとグレイシアがひょっこり映ってきた。

 

『おや?ムクホークとグレイシアだね。キミのポケモンかな?』

「え?あっ…いや、ムクホークは俺のですけどグレイシアはシロナのです」

 

自分の画面を見ていなかったカイムは驚いたように声を出す。後ろをみると、プラターヌ博士の言うようにムクホークとグレイシアが画面に映るギリギリのところに顔を出していた。

 

「なんだどうした…っておい、本当にどうした」 

 

ムクホークとグレイシアは突然カイムの頬に自分の顔を押しつけてきた。ムクホークは嘴をカイムの頬につんつん突いてくるように触れ、グレイシアはブラッキー同様もう一方の頬を舐めてくる。

 

「な、なんだよ…どうした急に」

『ははは!カイム君はポケモン達に随分と好かれているんだね!』

「なんか、今日はやたらポケモン達からグイグイ来ます…」

 

先ほどのブラッキーとトリトドン達といい、今日は一体なんだとカイムは頭の中が混乱してきていた。比較的愛情表現はしてくる方ではあるが、ここまで一日に何度もしてくるのはブラッキーくらいだ。

 

「ちょ、わかった…わかったから…」

 

一向にやめる気配の無い二匹を払い除けるようなことはせず、ぽんぽんと優しく撫でるカイムを見てプラターヌ博士は楽しそうに笑う。

一応妹弟子であるシロナからカイムのことは予め聞いてはいた。しかしここまでカイムがポケモン達に好かれているとはプラターヌ博士も思ってはいなかったため、良い一面が見れたようでプラターヌとしても嬉しい誤算だった。

 

「すんません…少しだけ待ってもらえますか」

『ははは!大丈夫大丈夫!気にしないでくれていいよ。キミとポケモン達のことも、もっと知りたかったんだ。キミとポケモン達の話も少し聞かせてくれるかな?』

「…俺たちの話でよければ」

 

カイムはムクホークの顎を撫で、グレイシアを膝に乗せながらそう答える。そしてその後しばらくカイムとポケモン達の話に花を咲かせていた。

 

 

 

 

 

シロナと共に昼食を済ませ、トレーニングに移る。

一番新入りであるキリキザンとバシャーモが組み手をしており、キリキザンは果敢に攻め込むが、経験の多いバシャーモは反撃することなくその全てを捌いていた。キリキザンの体の使い方はまだまだ発展途上であり、かなり経験を積んだバシャーモならばノーダメージでいなすことができる。

 

「ストップ。キリキザン、新しく覚えた動きを試そうとするのはいいが、そればかりやることに躍起になってる。大切なのは使い所だ。無闇に使おうとしなくていい。ルカリオ、手本を見せてやってくれ」

 

カイムの側で二人の組み手を見ていたルカリオにそう声をかけ、ルカリオは頷く。

キリキザンと入れ替わり、ルカリオはバシャーモと組み手を始めた。そしてしばらく拳をバシャーモと打ち合い、僅かな隙ができた瞬間にルカリオは回し蹴りをバシャーモに打ち込む。バシャーモはうまく反応して防ぐことができたが、防いだ腕から僅かにダメージが貫通するのを感じた。

 

「今みたいに、明確な隙がある時に予備動作を最小限にして動ける膝抜きが使える。無論他にも使えるところはあるが、まずはどういう時に使えるかっていうのを組み手を通して体に覚えさせるんだ。そしてその後に自分なりに使えると思った時に応用していく。わかったか?」

 

カイムの指導にキリキザンは頷き、再びバシャーモとの組み手に戻る。

 

しばらく二人の組み手を眺め、時折指導を入れるなどしていると、別の場所でトレーニングをしていたメタグロスとミロカロスがカイムの側にやってきた。

 

「おう、お疲れ」

 

メタグロスの鋼の体を撫でながらカイムはメタグロスを労う。キリキザンの次に新入りであるメタグロスだが、それなりに経験を積んだおかげでそこいらのトレーナーでは相手にならないほど強くなった。さすがにジムリーダー以上のトレーナーを相手にするのであればまだ少し経験不足ではあるが、着実に他のメンバーに追いついて来ていることは確かだった。

 

「ミロカロスもメタグロスに付き合ってくれてありがとうよ」

 

そう言ってカイムはミロカロスのことも撫でる。撫でられたミロカロスは嬉しそうに鳴き、カイムの顔に自分の顔を擦り付けた。それに続きメタグロスもカイムの体を頭に乗せて楽しそうに目を細めた。

 

「わっ、とと…なんだなんだ。どうしたよ、今日はお前らやたら甘えてくるじゃねえか」

 

ブラッキーに始まり、今日は沢山のポケモンがカイムに甘えてくる。先ほどバシャーモがカイムの頭に噛みついてきたが、恐らくあれもバシャーモなりの甘え方だろうし、ルカリオもカイムの頬をむにむにしてきた。キリキザンはまだ加入して日が浅いためスキンシップはしてこなかったが、カイムの側にいることが多かった。

 

「本当に今日はどうしたよお前ら。いやいいんだけどさ」

 

カイムとしてはいい思い出しかしてないため特別やめろとは言わないが、ここまでされると何かしら理由があるのだろうと考えてしまう。

だがカイムの頭ではいくら考えても理由が思い浮かばない。ミロカロスとメタグロスが楽しそうだから問題はないのだが、やはり気になってしまいメタグロス達に聞いた。

 

「なんか今日あんのか?やたら甘えてくるけど」

 

カイムの言葉にメタグロスとミロカロスは目を見合わせる。そしてミロカロスは楽しそうに、メタグロスはよくわからないやや呆れたような表情をした。

 

「???」

 

結局何が理由なのかわからず、カイムは首をかしげるだけだった。

 

 

 

 

 

 

 

「ってな感じで、今日はやたらポケモン達が甘えてきたんだが、なんか心当たりあるか?」

 

夕食を終え、寄り添いながら互いの時間を過ごしていた時にカイムは今日あったことをシロナに伝えた。

 

「ポケモン達がやたら甘えてくるってこと?いいことじゃない。貴方も嬉しかったんじゃないの?」

 

カイムはポケモンが大好きであることはシロナも知っている。そうでなければ、ゼクロムを相手にあんな活き活きとした表情などできるはずがない。

 

「いやそうだけど…ブラッキーならともかく、他の奴らまでこんなに甘えてくるのは変だなって」

 

ブラッキーは普段から甘えん坊だし、とカイムが付け加えると、カイムの膝で眠っていたブラッキーが抗議するように頭をぐりぐりとカイムの胸板に押し付ける。まるで『まだ甘え足りない』とでもいうようなブラッキーに苦笑しつつ、カイムはブラッキーを撫でた。そんなカイムとブラッキーを見てシロナは笑いながらカイムの問いに答える。

 

「んー…それっぽい心当たりは一応あるにはあるけど…」

「いやあんのかよ」

 

口調的にシロナにも心当たりがないのかと思っていたが、シロナに心当たりがあると知ってカイムは思わずツッコミを入れてしまう。

 

「今日の朝、カイム少しだけ遅かったじゃない?朝にカイムが起きてくる前に、テレビでやってたことをポケモン達に話したのよ。それが私のポケモンからカイムのポケモンに伝わったんじゃないかなって思ったの」

「テレビでやってたこと?」

「ええ。ねえカイム、貴方今日が何の日か知ってる?」

 

シロナの問いにカイムは首を傾げてブラッキーを見る。ブラッキーはニコニコ笑いながらカイムを見ており、尻尾が楽しそうにゆらゆら揺れている。シロナの後ろにいるガブリアスは『どーせ知らないでしょ?』とでも言うような視線をカイムに向けていた。

 

「……………知らん」

 

少なくとも二人の関係に関する記念日ではない。そのあたりはさすがのカイムであっても記憶している。だが今日は少なくともその日ではない。だからシロナもそういう日ではないと視線で言ってきているのがわかる。

 

だが結局何も思い浮かばなかった。ガブリアスの言う通り、やはりカイムは知らなかった。

 

「うふふ、そうよね。私もテレビを見るまで知らなかったわ」

「じゃあ俺が知るわけねえだろ」

「そうかもね。それで、今日が何の日かと言うと…」

 

シロナはカイムの頬に手を添えると、カイムに優しくキスをした。

 

「今日はキスの日」

「………俺が知るわけねえだろそんなの」

 

『ふいうち』を受けたカイムは苦い表情をしながら目を逸らす。その耳は赤く染まっており、照れているのが丸わかりだった。

 

「それでか…やたらポケモン達が顔押しつけてくんのは」

「ふふ、ポケモン達なりにキスしてくれてたのよ。モテモテじゃない」

「……………」

「あ、困ってる」

「うるせえ」

 

そう口では言っているものの、やはりその口調はどこか困ったように弱々しい。わかりやすいな、と内心でおかしく思いながらシロナは続ける。

 

「キスの日って言うけど、結局感謝を伝えるための日って感じらしいわ。キスにも色々あるからね」

 

手の甲や額など、場所によって意味合いも変わる。そのため恋人とするようなもの以外にも様々な意味を含むキスであるため、大きく括ってそのような認識になっている…らしい。

 

「シロナもちゃんとわかってねえのかよ」

「正直わかってないわね。でもそういうものがあるって知れただけいいのよ」

「いい…のか?」

 

何がいいのかよくわからずカイムは首を傾げる。

そんなカイムの顔を引き寄せシロナは再びカイムに口づけを落とした。

 

「こうして貴方と触れ合えるから」

「…………」

 

普段のカイムならここで『いつもしてんだろ』とか言いそうではあるが、先制の『ふいうち』を受けた反動が残っていたのか普段のカイムらしい言葉は返ってこない。その事実にシロナは楽しそうに笑い、そしてカイムの肩に頭を置いた。

 

「ポケモンも私も、貴方が好きなの。とっても大切。だからこうして触れ合っているのよ」

「……ああ、そうだな」

「ちなみに、ポケモン達は私にもキスしてくれてたのよ」

「じゃあ初めから心当たりあったんじゃねえか」

 

呆れたように言うカイムに、シロナはブラッキーを撫でながら答える。

 

「でも私は気にしなかったからパッと思いつかなかったのは本当よ?ポケモン達にも軽ーく話しただけだったしね」

「んのやろう…つまり全部シロナのせいってことな」

「そうなるわね」

 

盛大にため息を吐くカイムの頬をシロナは笑いながら突つく。

 

「今日は私の勝ちみたいね」

 

普段は『ふいうち』からの『カウンター』がよく決められ、結局負けることが多いシロナだが、今日の『おいうち』の攻撃が効いたカイムは今のところ反撃に転じられていない。無論いつも負けているわけではないが、なんだかんだでカイムが勝つことのほうが多かったシロナは、少し嬉しそうに笑った。

 

だがここでシロナは隙を見せた。

次の瞬間、シロナの目の前にはカイムの顔があった。

 

「へっ?」

 

口に感じる柔らかく暖かい感触。

それだけならいつものスキンシップと大差ないためさすがのシロナも慣れてきていたが、今日のは違った。触れ合う時間が長く、そして啄まれるような感覚とぬるりとした感触が口から伝わる。

 

「んっ…ふぁ…ちゅ……」

 

突然の出来事に頭がついていかずシロナの思考は完全に停止する。唇から感じる感覚に思考が焼き切れ、何も考えられなくなる。 

 

しばしされるがままになっていたが、永遠にも感じられる時間も唐突に終わる。カイムの顔が離れていき、その際に二人の間に銀色の糸が引かれ、重力によってその糸は切れた。

 

「…へ?」

「煽ってきたのはそっちだ。やられて当然のことだって自覚しろ」

「え…あ……うん」

 

カイムの言葉をうまく理解できず、シロナは生返事を返す。そのシロナを見てカイムは小さくため息を吐くと、頭をがしがしとかいて『風呂いれてくる』と告げてリビングから出て行った。

 

残されたシロナは先程の時間のことをぼんやりと思い出し、唐突に自覚して顔を真っ赤に染め上げる。

 

「〜〜っ⁈」

 

傍らにいたミカルゲの要石にシロナは勢いよく抱きつく。そして声にならない声を上げて要石に額を擦り付けるが、当のミカルゲはいつも通りに『おんみょーん』と鳴くだけだった。

 

キスしてくれた嬉しさと、普段感じない感覚。これらが頭から離れず悶えながらもそれを『嬉しい』と思ってしまう自分をどうすれば良いかわからずシロナはミカルゲの要石をぺちぺちと叩くが、やはりミカルゲは『おんみょーん』しか言わない。

 

「うう…恥ずかしい…」

 

惚れた弱みとでもいうのか、カイム相手だと何をされても全く嫌では無い自分がいることは自覚していた。しかしここまでされれば経験のないシロナでは多少の忌避感があると思ったのだが、全くそんな感じがしなかった。

 

「…………」

 

シロナの中に元々あった想い。その想いに気づいたカイムはジムリーダー就任と同時に『ちゃんと言う』と言ってくれた。

そして先程の出来事。よりその想いがこれによって強くなった。シロナにとってかけがえのない、誰よりも大切な人。

 

「……好き」

 

そう呟くと、暖かい気持ちが胸中を満たしていく。自覚する前は、ただ困惑し、苦しさすら覚える心だったが、今となってはとても暖かい感覚がする心。カイムも同じように考えてくれていることが、心が繋がっているように感じられてなによりも嬉しかった。

 

「うう〜!」

 

相変わらず『おんみょーん』しか言わないミカルゲの要石から顔を離し、カイムのブラッキーに顔を埋めた。ブラッキーは嬉しそうにシロナの顔に頬を擦り付け、愛情を表情してくる。

 

「…貴方のご主人には、敵いそうにないわ」

 

色んな面でシロナはカイムより優れているが、こういった恋人関係においては勝てそうにない。カイムが(シロナにとって)魅力的すぎるのが悪いんだ、と内心で納得し、とろけた表情をするブラッキーの顔をむにむにともてあそぶのだった。

 

 

 

 

 

そしてそんなシロナの様子を見て、ポケモン達が糖分を消費するために謎の組体操やら筋トレやらランニングやらを始めたのは言うまでもない。

 

 

 

 




書く前の私
「いつも通りイチャコラさせるか」

書いてる時の私
「はよ結婚せえ」 

ミカルゲ
『おんみょーん』


ただのお砂糖の塊でした。
キスの日から少し遅れてるけどセーフだと思ってます。

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