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ありがとうございます。
毎度のこと感想ありがとうございます。
とても励みになってますし、書いていく過程で散りばめた小ネタや元ネタのある部分を拾って貰えると嬉しくなります。
また、誤字報告してくださる方にも感謝申し上げます。
非常に助かってます。
短めです。
砂糖ありません。
……なんで?
「正直、俺はジムリーダーになれると思われているようなトレーナーじゃなかったですね」
青年、カイムはジムに挑戦しに来たトレーナーとミツルのバトルを眺めながらそう呟く。カイムの隣にいるバシャーモは鋭い視線でフィールドを眺めていた。
「バッジ集めはトレーナーとしての基礎を習得する過程。大体の人は二年ありゃ集められると思うんすけど、俺は四年かけた。寄り道とか勉強とか、色々道草食いまくってたのもあるけど、その時間除いて甘く見積もっても三年は使った。そんな凡人未満の自分でも、今はこうしてジムリーダーしてる」
タブレットに何かをメモしながらカイムは続ける。
「運が良かったってのもある。良い師匠に巡り会えたことや、いい縁に恵まれてここまでこられた。だからですかね、いろんなトレーナーが少しでもバトルをうまくなれるような手助けができればいいなって思いながらやってます」
キャスターの『指導者として非常に評判が良いと聞くが、どうしてここまで徹底して指導するようになったのか』という問いかけに対して視線はバトルから離すことなく、鋭い視線をフィールドに向けながらカイムは答える。
「ポケモンバトルって、知っての通り競技なんすよ。だからポケモンもトレーナーもアスリートということになる。ただ、あまりにも普及しすぎてて旅を始めたばかりのトレーナーだけでなく、バッジを集め終えたトレーナーくらいでもその認識がない」
『かつての俺も含めてだが』と皮肉げに口元を歪めながら言う。
「スクールでもバトルの授業はあるけど、本当に遊び程度。部活動でバトル部は人気だけど、ちゃんと指導できる人がいないとバトルがどういうものか知れない。ネットやテレビみたいなメディアでバトルを知ることはできても、案外みんな知らないことばかりだ。そのままよくわからないうちにバトル界隈に入って打ちのめされる若いトレーナーは多い」
『まーた受身忘れてんなエルレイド』と呟き、何かをタブレットにメモする。苦笑しながらカイムは続けた。
「どこまでトレーナーをやるかってのは個人の自由ですしそれについてどうこう言う気は全くありません。でもわざわざジムに来てまでバトルをしたいと思うのならこちらとしてもちゃんと応えるべきだと考えた上での対応です。とはいえ、ちょっと手合わせに来た程度の人だとどこまで相手するべきかは迷いどころですがね。人によって求めてる段階が違う以上、こちらもどこまで本気で対応するべきかよく考えにゃならない」
側にいるバシャーモを撫でながらカイムは立ち上がった。
「常に考え続けること。考えることをやめないこと。そうすればいつか、必ず考えた分だけの答えは得られる。そういう機会を与えられる存在…壁であり導であるような存在が、俺にとってのジムリーダーです。だから自分がそういう存在でいられているか考え続けてます」
そう答えるのと同時にフィールドのバトルが終わる。
バトルが終わったことを確認したカイムはタブレットを片手にバシャーモを伴ってフィールドへと降りていく。
ジムリーダーとしてはまだ新人だが、指導者として既に注目を集めつつあるカイムのジムリーダーとしての信念に密着した。
*
朝、まだ誰も来ていないジムに人影が現れる。鍵を開けて裏口から入ったのはミオシティジムリーダーのカイム。誰よりも早く来るのは、彼の日課のようなものになっていた。
「さて…」
カイムがまず最初に行うのは、今日のスケジュール確認とジム所属ポケモンのメディカルチェック。事前にまとめておいたスケジュール管理アプリでさっとスケジュールを確認すると、ジム所属ポケモン達の状態を確認していく。本来ならマネージャーがやることだが、トバリジム所属時代にずっとそうしていたため今でもこうして自分でやっていた。
「……ん、よし。全員問題なし」
ハッサムやハガネール、コイル、エアームドなど、多数いるジム所属ポケモンのメディカルチェックを終えたカイムはジムリーダールームへと向かう。
PCを開きメールチェックを済ませると、ミツルを含むジムトレーナーの手持ちや現在の課題を見返した。ジムとしてのスケジュールを確認し、その中でジムトレーナー達をどう指導していくかを考えていく。
「大会近いし…実践形式でのトレーニング増やした方がいいかもな。ミツルも手札増えてきてるし、そろそろ手札の使い方も教え始めるか」
ジムトレーナーはもちろん、ダイゴに頼まれたミツルの指導スケジュールを組み立てていく。中でも熱心に指導を受けに来るミツルはダイゴから頼まれたこともあり、カイムの中でもかなり目をかけていた。
他のジムトレーナー達が続々と集まり始めてくる。
「カイムさんおはようございます!」
「おはようさん、ミツル。相変わらず早いな」
「大会も近いですから。やれることをやっておきたいんです」
笑顔で挨拶してくる少年はホウエン地方から来た少年、ミツル。ホウエン地方にいるカイムの友人の紹介を受けてカイムに弟子入りした少年だ。朝から気合いの入った声に、カイムは内心少し感心しながら腕を組む。
「そうかい。まあ手札も増えてきたし、今日はちと応用編のトレーニングもしてみるか」
「応用?どんなことするんですか?」
「手札をどれだけうまく早く使えるか。今の段階でどれだけできるか試してみろ。っつーわけで、今日は俺が相手してやる」
「ほ、ほんとですか⁈」
普段、カイムはミツルのバトル相手としては出てこない。現時点でミツルは手札を増やす段階。手札を増やすとなると、実際に相対するよりも外から見ている方がはるかにわかりやすい。故にミツルはほとんどカイムと直接フィールドで相対したことがなかった。だから今のところ全敗中のカイムとバトルできることが素直に嬉しかった。
「ああ。現時点でどこまでできるか見てやる。うちに来てから数ヶ月…今の時点での
「やった!」
「ジムチャレンジの後だからな。さすがに仕事優先」
「わかってます!ありがとうございます!」
そう言ってミツルはジムチャレンジの準備に走っていった。そんなミツルの背中を見送りながら、カイムは小さく息を吐く。
かなり手札が増えてきたものの、まだまだミツルのポテンシャルはこんなものではない。少なくとも、現時点でカイム相手には勝率六割以上になれるほどのポテンシャルはある。しかしまだミツルは良くも悪くも真っ直ぐな少年故に、強さの幅が狭い。そこを今回のバトルの中で伝えていくつもりだった。
「つっても、一筋縄じゃあいかんだろうな」
生真面目故に融通が効きにくい。それがミツルの弱点であった。手札を増やすことはできても、教えた通りの手法…言うなれば、教科書通りのやり方しかできない。とはいえ、教科書以上のことを自分で探るのは相当レベルが高いトレーナーでないとできないため、今のミツルではかなり苦労するだろう。これについては、ただ教えるだけでなく共に探求していくことになるだろうとカイムは考えていた。
「…人にものを教えるってのは難しいな」
カイムはミツルと共に準備を進めるジムトレーナー達に目を向ける。
ジムトレーナーもバトルに対する姿勢は人それぞれ。ミツルのように競技としてのバトルを研鑽することを目的にする者やジムトレーナーを仕事、または副業程度に考えて鍛えている者もいる。バトルへの向き合い方が人それぞれである以上、軋轢が生まれかねないこともあるのだが、ポケモンジムではそれがない。やはりそれはポケモンバトルが非常に広く浸透しているというのが大きいだろう。
「よし!今日の朝会始めるぞ!」
一通り準備が終わったことを確認したカイムは全員に声をあげ、今日の朝会を始めるのだった。
*
一人の少年がミオジムを訪れる。
やや緊張した面持ちの少年だが、怯えた様子はない。受付に声をかけると、案内人としてジムトレーナーがジム内部のフィールドまで連れて行ってくれた。
案内されたフィールドでは緑色の髪の少年とジムトレーナーらしき人物がバトルしている。見たところ少年がやや優勢そうな雰囲気がある。そしてそのバトルを見守る黒髪の青年が二人に気がついて振り返った。
「来たな。君、ジムチャレンジ…で、間違いないよな」
「は、はい!」
「ようこそミオジムへ。ジムリーダーのカイムだ」
「よろしくお願いします、カイムさん」
「ああ、よろしく頼む。ジムリーダーとしてはまだ新参者だが、相手を務めさせてもらう」
表情は全く動かないものの、言葉は真摯で真っ直ぐ。少し怖いようにも思えるが、悪い人では無さそうだと少年は思う。
「早速だが、ジムチャレンジを始めよう。うちのジムは地下にフィールドがある。そこで三人のジムトレーナーと戦って、勝てたら俺が相手する流れだ」
「地下フィールド…」
「少し珍しいかもしれんが、普通のフィールドだ。準備ができたらあっちのジムトレーナーに声をかけてくれ」
カイムの視線の先には、おそらく17歳程度の少年トレーナー。カイムの視線に気づくとヒラヒラと手を振ってくる。
「はい!」
「何か質問はあるか?」
「えっと……あの、今バトルしてるお二人はいいんですか…?」
今メインフィールドではミツルとジムトレーナーがバトルしている。バトルの勢い的に全開バトルという雰囲気ではなく、特にミツルは何かを試しながらやってる感じがあるためある程度調整できるのかもしれないし、少年のバトルは地下フィールドから始まる。始まってすぐならばそんなに気にする必要はないのかもしれない。
「ん…ああ。地下フィールドから始まるからあんま気にしなくていい。やばそうならこっちで止めるから大丈夫」
「わかりました。じゃあ、準備しますね」
「ああ」
ポケモンを出して準備を始める少年を見て、カイムもタブレットを出して選出ポケモンを考え始める。少年の申告してきたポケモンのレベルから何体かちょうどいいポケモンを選出し、どの程度の力加減にするかを頭の中でシミュレーションしていく。
(レベルは平均30くらいか?バランス型…いや、水タイプ多めだな。フローゼル、ニョロゾ、ムクバード、ハヤシガメか。鋼タイプとの相性は悪くなさそうだが、打点があまりないかもしれん。鋼の通りがちと悪い感じがあるし、このくらいのレベルになってきたら打点のないタイプ相手にもまあ多少どうにか動けるだろ)
そう考えてカイムはハガネールとコイル、ヒトツキを選出した。ハガネールのみレベル31で、コイルとヒトツキはレベル28の個体でバトルに臨むと決める。
メインフィールドに目を向けると、バトルがそろそろ終わりそうな雰囲気だった。この分ならわざわざ止める必要もなさそうだと考えてジムチャレンジでバトルするジムトレーナーをジム専用チャットルームで呼び出し、どんなバトルをするか簡易的に指示を出していくのだった。
「ふむ…」
地下フィールドでジムトレーナーとチャレンジャーのバトルを見ながら思考に耽る。
(…直情型だな。センスは悪くないが……真っ直ぐすぎる。搦手使うタイプじゃなくてもうまく合わせられたらきつそうだな。今考えることじゃないかもしれんが、とりあえず少し落ち着くことは覚えたほうが良さそうだ)
バッジ数を考えると動きは悪くない。恐らく旅の過程で野良試合をそれなりにこなしてきたのだろう。試合内容にあまり硬さがない。
見たところ、現時点ではそれなりに本気でバトルをやっている印象が強い。将来的に仕事にするかどうかはわからないが、少なくともバッジ制覇くらいはするのだろう。ならば現時点で目の前の課題について教えていくべきだろうと考えた。
何を考えているのかと問われ、カイムは視線をバトルから動かさず答える。
「どの程度の力加減にするか、どこまで指導するかですかね。同じバッジ数でもトレーナーごとに結構腕前は違う。得意苦手もありますが、トレーナーごとにどうバトルするかってのは結構重要なんです」
個人の意見ですけどね、と挟みながらもカイムは続ける。
「ジムリーダーってのは一応一つの関門。通過できなきゃ話にならんが、簡単に通過できては関門にならない。この加減がまぁ難しいんすよ。代理期間も含めたらそれなりの期間やってますが、まだ慣れない。事前にこうしてバトルを見て腕前を把握しておいても、やっぱ簡単にはいきません」
人もポケモンも同じ存在はいない。故に、同じように教えることは基本的にできない。だから常に考え続け、そしてトレーナーとポケモンに向き合い続けることをカイムは大切にしていた。
「直感でなんでもわかる奴もいれば、理詰めで解説が必要な奴もいる。一伝えれば十わかる奴もいれば、一つずつ積み上げていく必要のある奴もある。どちらも同じトレーナーだが、そこはどうしても違ってくる。本人の得意不得意もありますからね」
ジムリーダーの業務に本来『指導』はない。難しいと言いながらも指導をするのは何故なのか。
そう問いかけられてカイムは少しだけ目を伏せながら答えた。
「それでバトルの人口が増えるのなら、それに越したことはない。バトル界隈で働いているのもあるし、
とてもジムリーダーになるような存在だとは思われていなかった自分がこうしてジムリーダーをやれているのも、偶然とはいえ指導してくれる人と出会えたから。指導を受けたことでトレーナーとしての腕が上がるだけでなく、シロナ以外のたくさんの繋がりを持つことができた。こういう繋がりというのは、トレーナーとしてだけでなく人として成長するきっかけをくれることもある。無論いい繋がりだけではないかもしれないが、様々な経験をする上で非常に重要なものとなる。
これからバトル界隈を担っていく若きトレーナー達のためにも、カイムは少しでも自分がそのきっかけにれなれればと思いながら指導を続けていた。
「人は独りでは生きていけないし、成長もできない。成長を実感できなければ人は停滞し、どこかで腐る。停滞とは、歩みを止めることに他ならない。横道に逸れるのはいい。だが停滞するのは、誰も幸せにならない」
カイムの表情は変わらないが、どことなく懐かしむかのような雰囲気を出していたが、すぐに普段の真面目な雰囲気に戻った。
「色々言いましたけど、結局のところそうするのがバトル界隈にとって一番いいと思ったってことです。業界が賑わうのは、巡り巡った自分のためにもなる。そのための投資って感じですよ」
肩を竦めながらそう言ったカイムの視線の先で、チャレンジャーの少年がジムトレーナーに勝利していた。
「思ったよりも早く終わりそうなんで、上に行きましょう」
カイムはそう言って地上のメインフィールドに登っていった。
ーーー
ジムトレーナーに三連勝した少年は、リフトに乗って地上のメインフィールドに登っていく。この他のジムにはないギミックに少年はワクワクしながら登っていき、地上のメインフィールドに辿り着いた。
フィールドの両サイドにある観客席にはジムトレーナー達の姿。ほぼ全員いるだろうが、さすがに席は満員には程遠い。
そして少年とフィールドを挟んで相対するのは、ジムリーダーであるカイム。
「来たか」
「…はい」
「見させてもらったが、なかなかいいバトルだった。なるほど、ここまでの道中はそれなりに鍛えてきたんだろうな」
「もちろんです!いっぱいバトルして、もっと強くなりたいんです!」
「…ほう、それはいい」
カイムは腰につけたボールホルダーからボールを一つ取り出し、手のひらでくるくると回しながら鋭い視線を向けた。
「じゃあ、ここまで培ってきたものを見せてくれ」
「はい!」
「いけ、コイル」
「コイルか。じゃあ君だ!頼むよハヤシガメ!」
カイムはコイル、少年はハヤシガメを繰り出す。
タイプ相性は互いに良くない。タイプ一致技は良くて等倍、悪いと半減。そうなると、サブ技での攻防が大きな鍵になるだろう。
「いくぞハヤシガメ!いわくだき!」
「(サブ技で抜群を狙ってきたか。安直だが悪くない)エレキボール」
ハヤシガメの一撃と電気の球体がぶつかり合う。タイプ一致技ということもあり、ハヤシガメの一撃をやや貫通してきたものの、効果は今ひとつ。ダメージとしてはかなり少ないこともあり、ハヤシガメはそのままコイルに接近してきた。
「くさわけ!」
「(素早さを上げてきた。エレキボール見た後だし、威力下げる目的もありそうだな)スピードスター」
コイルは『くさわけ』の一撃を受けるが、効果今ひとつ。ダメージが少ないため即座に反撃の『スピードスター』をぶつけてハヤシガメにダメージを与えた。
「負けるな!もう一度くさわけ!」
「……なるほど」
ハヤシガメの攻撃でコイルは若干のけぞる。それを見たハヤシガメが追撃を加えるべく動いた。
「じならし!」
「でんじふゆう」
ハヤシガメが地面を揺らした瞬間、コイルは電気の力を使って高く浮遊する。上空に逃れたことでハヤシガメの攻撃は不発に終わり、大きな隙を晒してしまった。
「ジャイロボール」
「しまった!」
コイルは高速回転しながらハヤシガメに突っ込んでいき、ハヤシガメにダメージを与える。元々攻撃種族値が高く無いコイルだが、ハヤシガメの素早さが上がった今は威力もそれなりに上がっている。ダメージとしては悪くない。
「エレキボールを見てからくさわけで素早さを上げて威力を落とす。いい技の使い方だが、コイルはジャイロボールを覚える。逆に上げた素早さを利用されることも頭の隅に入れておくといい」
「くっ…さすがジムリーダー。簡単にはいきませんね」
「ったりめーだ。簡単にバッジやってたらジムリーダーの意味がねぇだろ」
「そうですね。でも、その壁を超えていきます!」
「超えてみな。少年ならできるだろう」
「もちろん!ハヤシガメ、いわくだき!」
バトルは激化していく。
カイムはとにかく、少年のポテンシャルを引き出せるように動いていた。そして最終的に少年はカイムを打ち破り、バッジを獲得するのだった。
「なかなかいい腕だった」
バトルを終えてポケモンをボールに戻したカイムがフィールドを横切って歩み寄ってくる。少年がそれなりに疲労の色が強いのに対して、カイムはまったく疲弊した様子がない。
「へへ…ギリギリでした」
「そうだな。タイプ相性を利用したいいバトルだった」
「はい!鋼タイプには水タイプの通りが悪いのを利用しました!」
「タイプ相性を考えたゲームメイクか。よく考えてる」
バッジの少ないトレーナーだと、あまりタイプ相性を考えないトレーナーもいる。攻撃のタイプは考えても受ける方のタイプは考えないことは特に多い。そんな中少年は受ける側のタイプを考えていた。尤も、手持ちの少ない状態では対応しきれないというのもあるが。
「ぼくのバトル、どうでした?」
「悪くない。あとは使う技を考えれば、もっとうまくバトルを運べただろう」
「使う技?」
「ハガネールでてっぺきを積んだ時、少年は変わらずアクアジェットで攻撃してきた。多少苦手だったとしてもみずでっぽうとか特殊系の技を使えばもう少し楽に進められただろう」
「特殊技…ほとんど使わないんですよね」
「得意技を使っていくのはいい。ただ、苦手でも多少使える程度にはしていくと幅が広がる」
さっきのバトルを振り返ってみよう、と言ってカイムはタブレットを取り出して先程のバトルの映像を見せる。
「こちらに打点のあるサブ技を使ってのゲームメイクはよくできてる。特に物理技でのキレはレベルの割になかなかのものだ。だからこそもう一歩踏み込んで考えてみるといい」
「もう一歩?」
「タイプ一致の技で押し切ること」
カイムは少年が使った技を一覧で出す。タイプや威力がまとめられており、使ったポケモンごとに相手への通り方を見せていた。
「水タイプで鋼タイプに攻撃する時は等倍。対して地面タイプだと鋼には二倍のダメージが入るのはわかるな?」
「はい。だからヒトツキにも地面タイプ技を使いました」
「どろかけを使ってきたな。命中率も下がるし、選択肢の一つだろう。だがそれだけで落とされるかといえば、そうではない。どろかけは地面タイプ技だが、威力が低い。じならしならまあそれなりにダメージになるだろうがな。ハヤシガメやムクバードではサブ技でないと通りが悪すぎるだろうが、ニョロゾやフローゼルではもっと水技を使うべきだった」
タイプ一致技は技威力が1.5倍になる。使う技や相手次第ではサブ技の効果抜群よりも威力が高いこともあるのだ。
「そうなんですか…」
「案外技の威力計算方法ってみんな知らないんだよ。特に、君くらいのトレーナーなら尚更だ。ここについて少し、解説していこう」
そう言ってさらにタブレットの資料を見せる。
そのまましばらくカイムの解説は続いていくのだった。
*
「よし…準備完了です!」
今日のジムチャレンジが全て終わった後、少しの休憩を挟んでミツルはメインフィールドに立っていた。そして相対するのは、カイム。
「こっちもいいぞ」
カイムも首を回しながらフィールドで手に持ったボールをくるくると弄ぶ。鋼のように重厚な覇気はやはりジムリーダー。ここにいる誰よりも強い覇気を纏っているのがわかる。
「じゃあルールは2v2。持ち物あり、道具なしのいつもの指導
「はい」
「よし…じゃあいくぞ、ルカリオ!」
「頼むよガブリアス!」
カイムはルカリオ、ミツルはガブリアスを繰り出した。
タイプ相性としてはルカリオ不利。だがサブ技を使えばルカリオにも打点の高い技は多くある。油断はできない。
「ガブリアス、じしん!」
「まもる」
凄まじい威力の地面技がルカリオに襲いかかるが、ルカリオは地面にまで防壁を張ることで完全に防ぎ切る。
そして防壁が消えた瞬間にルカリオが動き出した。
「でんこうせっか」
「ドラゴンクロー!」
『でんこうせっか』の推進力を使った飛び蹴りを受けたガブリアスだが、技ではなく体術。ダメージはほとんどないためガブリアスは強化した爪を振り下ろすが、ルカリオは飛び蹴りの反動を利用してガブリアスの攻撃を回避した。
「追撃だガブリアス!ほのおのきば!」
「動き出しが遅え!」
ガブリアスが炎を纏った牙で噛みついてくるが、ルカリオはガブリアスの攻撃を紙一重で回避するとガブリアスの体を背負い投げの要領で投げ飛ばした。
「受け身忘れんな!はどうだん!」
「すぐ動けガブリアス!がんせきふうじ!」
倒れたガブリアスに向けて『はどうだん』を放ったが、ガブリアスは無理やり体を動かしてルカリオの攻撃を回避し、岩石でルカリオの動きを阻害しようとする。しかしルカリオは『バレットパンチ』で岩石を全て砕き、その勢いを利用してガブリアスに肉薄した。
だがそうくることをミツルは読んでいた。
「じだんだ!」
技を透かされたことによる怒りをパワーに変えた一撃がルカリオに叩き込まれる。咄嗟に波導を強化することでダメージを抑えつつ着弾点をずらしてダメージを抑えた。
(敢えて威力の低い技を使って透かしやすくすることでじだんだの威力を上げる算段か。教えた手札使えてんな)
この手札は以前シロナが使っていたガブリアスの手法を教えたもの。手札の一つをうまく使ったことをカイムは内心で成長を実感しながらも思考を止めない。
「りゅうのはどう」
「げきりん!」
ルカリオの放ったドラゴンタイプの技を理性を飛ばすほど強烈なエネルギーを纏ったガブリアスが打ち破った。ダメージはあるが、全く怯む様子はない。
(ガブリアスの理性は今飛んでる。シロナのガブリアスじゃねえし、終わった後は混乱するだろうが…このげきりんの間に潰そうとしてくるだろ)
ミツルはグリーンのような速効型のバトルを得意としている。カウンター戦法を得意とするカイムとの相性は0か100の二択になる。
二人の集中力が一段深くなる。空気が研ぎ澄まされていくのを感じ取り、ミツルは目を見開きながら獰猛に笑った。
「ガブリアス!じだんだ!」
「!」
ルカリオの正面まで来た瞬間、ガブリアスの全身のエネルギーが霧散する。しかし勢いを殺すことなく地面に足を叩きつけてルカリオに攻撃を加えた。さらにそこから『ドラゴンクロー』でルカリオに追撃を加えた。
(技をキャンセルして勢いを利用したラッシュ!シロナのガブリアスを参考に
シロナのガブリアスは理性を飛ばすことなく『げきりん』の強大な身体能力を使うことができる。ミツルのガブリアスはそこまでの技量は無いが技のキャンセルまでならなんとかできるため、そこに注目した。『げきりん』で突っ込むと見せかけて、勢いを利用しつつ技を叩き込み、『げきりん』のエネルギーを少しだけ残すことでドラゴンタイプ技のタメを減らすラッシュを思いついていた。
「やるな。本腰いれねぇとまずいか?」
「まだまだ!畳みかけろガブリアス!」
「はどうだん」
ルカリオが『はどうだん』でガブリアスを押し返そうとするが、ガブリアスはものともせず『はどうだん』を突っ切ってくる。
「ドラゴンクロー!」
「コメットパンチ」
ガブリアスの爪とルカリオの拳がぶつかり合い、衝撃波がフィールド全体に広がる。
「ここだ!ゼロ距離じしん!」
「お」
鍔迫り合いをしながらも技を切り替えたガブリアスがゼロ距離で『じしん』を放ってくる。衝撃波がルカリオを襲うが、咄嗟にルカリオはジャンプで衝撃を緩和し、さらに地面に向けて『はどうだん』を放つことで威力を軽減した。
(凌がれた!それにゼロ距離にしたせいでガブリアスの足場が悪くて動けない!)
「遅い!れいとうパンチ!」
「っ!ドラゴンクロー!」
咄嗟に『ドラゴンクロー』で迎え撃つが、ルカリオの体術がガブリアスの上を行き、打点をずらして氷結のエネルギーを纏った拳が叩き込まれた。その瞬間、ガブリアスの持ち物である『ヤチェの実』の効果が発動して威力を大きく削る。
「じしんだ!」
再び衝撃。耐久力の低いルカリオでは本来、この威力の攻撃は耐えきれない。完全に入ったと、ミツルは確信する。
しかしルカリオの目は死んでいなかった。
「きしかいせい」
凄まじい威力の一撃を受け、ガブリアスは吹き飛ばされる。
フィールドを転がっていくガブリアスはミツルの前で止まるが、その時には既に意識はなかった。
「ガブリアス戦闘不能!」
「くっ…ありがとう、ガブリアス」
ガブリアスをボールに戻すと、ミツルはカイムに目を向ける。カイムは相変わらず無表情だが、その目に宿る光はとても真剣で強い。
「一瞬、気ぃ抜いたろ」
「…バレましたか」
図星を突かれてミツルは思わず苦笑してしまう。確かにあの瞬間『取った』と確信してしまった。確かに普通のトレーナーのポケモンなら間違いなく取っていただろう。だが相手はカイム。仮にもジムリーダーとして活躍しているトレーナーなのだ。戦闘不能という判断が下されるまで気を抜くべきではなかった。特にカイムはギリギリで耐えたところに致命の一撃を撃ち込んでくるタイプのトレーナー。コンマ1秒でも気を抜いたミツルの落ち度だ。
「気持ちはわかるがな。ルカリオの耐久力であの攻撃を耐えられるわけねぇ。ただでさえ事前にめっちゃ削られてたんだから、抜群技受けて耐えられるわけない。その判断は正しいが、バトルは判定が出るまで決まらないことを忘れるな」
「はい」
「だがそこまでの繋ぎ方は良かった。特にげきりんからのじだんだ。あれはシロナのガブリアスを参考に自分で考えたな?」
「は、はい!げきりんをキャンセルして他の技に繋げる。シロナさんのガブリアスは理性を飛ばすことなく動けますけど、僕のガブリアスはできない。でも技のキャンセルだけならできるから、これを利用したんです」
「いい視点だ。自分のできることをうまく考えたな。じゃあもう一歩踏み込んでみろ。この手札を見せた後は手札そのものを囮にすることもできる。げきりんキャンセルをすると見せかけて、げきりんのまま突っ込む。こういう使い方もできるし、相手に強制的に二択をしかけられるのが強みになるぞ」
「な、なるほど…」
「ただ悪い癖も出てる。決着を焦るあまり、ゼロ距離でのじしんは悪手だったな。自分の足場まで奪っちまって、凌がれた後の動き出しが遅れた」
「あの時、ルカリオはこらえるで耐えたんですよね?」
「ああ。地面技を受けたら絶対に耐えられないと判断したからな。ここで耐えたら、逆に大きな隙になる。半ば騙し討ちに近いやり方で反撃できると考えたんだ」
カウンターが得意でね、と言いながらカイムは肩を竦める。
自分の思い付かない駆け引きを提示され、ミツルは内心でカイムの強さを再認識した。自分にはユウキのような新しい手札を見つけ出す力はないが、発掘済みの手札をうまく使う自信はある。だがこういった読み合いや駆け引きにおいては明らかに経験不足だし、自分に向いているとも思えない。それはカイムも理解しているが、ミツル自身が
「ポケモンバトルでは見せていない手札だけでなく、手札を見せることでできることもある」
「…手札の応用!」
「そうだ。見せることはただのデメリットではない。これがもう一歩踏み込むこと。今のお前が見据えるべき、次の段階だ」
深い青の瞳に宿る強い光に思わずミツルは身震いする。
ミツルの目から見てもカイムはユウキのような天才では決してない。それどころか、他のジムリーダーと比較しても才覚といえるようなものはあまりないのだろうとわかる。自分が気を抜いたことを一瞬で見抜いたことが良い証拠だろう。
それと同時に違和感を感じた。
(…カイムさん、どうして僕が気を抜いたことに気づいたんだろう)
あの瞬間、ミツルとガブリアスはほんの一瞬気を抜いた。それは間違いない。正直ガブリアスが気を抜くのは仕方ないとは思う。そしてミツルが気を抜いたのはミツル自身の落ち度ではあるが、
(…カイムさんは、フィールドをどう見てるんだろう。どういうふうに見たら、色んなことに気づけるんだろう。僕が同じ景色は見られないだろうけど、何割かでも身につけるにはどうすればいいんだろう。どうすれば、この人を…追い抜けるだろう)
思考が加速していく。この人を出し抜き、超えられるだろうか。
そう考えたら無意識のうちに頬が緩む。
ああ、すごい。ユウキさんとは全然違うけど、この人は僕の糧になる。
どうすれば近づけるのか。そう考えると楽しくて仕方ない。
多分僕はまだこの人に敵わない。
だから知りたい。この人がどうフィールドを見ているのか。
もしかしたら、この張り詰めた空気がほんの一瞬緩んだのに気づいたのかもしれない。
それを知るには、ポケモンを通して知るしかない。
そう考えて、ミツルは次のポケモンのボールを手に取った。
(…いいツラになったじゃねぇか)
楽しんでバトルをするシロナに似ている、獰猛な笑み。上に行けるトレーナーは程度に差はあれど、ああいう顔をすることが多い。自分では至れない場所に行けるトレーナーは、そうなのだと知っている。
初めてここに来た時には考えられないほど活き活きした顔。それを見て、カイムはほんの少しだけ笑った。
(育成の醍醐味か。シロナとは違うが、シロナもこんな気持ちだったのかね)
方向は違う。しかし、似たような気持ちを共有できたことを少し嬉しく思いながら、カイムはバトルに戻った。
*
ジムリーダーの仕事はバトルだけではない。
ポケモンジムはポケモンリーグの設備でそこの責任者としてやるべきことは多くある。ジム所属ポケモンの管理、チャレンジャーのスケジュール調整、ジムトレーナーのスケジュールと配備、大会でのヘルプ派遣やゲスト・解説などのオファー管理などやることは多い。特にカイムはその中でジムトレーナーのトレーニングメニュー考案までやっている。
「本来は必要のないことかもしれません。俺も全員にやってるわけじゃないが、それなりに時間は取られる。うまく時間使わないと、他のことができなくなる。自分のポケモンのトレーニングとかね。それに、今は他にもやることあってそれなりに忙しいんす」
PCの作業を続けながらカイムは言う。
ジムリーダーは立派な職業であり、単体での収入も平均より高い。しかし、副業として別の仕事をしている者は多い。ジムリーダーはバトルの腕と人柄、知識があれば誰でもなれる。それ故に、スズナやミカン、フウとランのように比較的幼い者がジムリーダーになることも多々ある。そのため、成人以上の者が幼いトレーナーの分の事務作業をすることもあった。各ジムにはマネージャーが存在するためマネージャーが主にそういった業務を請け負うのだが、時折他ジムの仕事も代理でこなしたりすることもある。現在カイムが進めているのは、トバリシティスタジアムで行われる予定の格闘タイプ限定大会の警備員やスタッフの手配だった。
「トバリジムには縁がありまして。あそこのジムリーダーのスモモはまだあんまこういう作業得意じゃないですし、大会スケジュールとかそういうの立てる方でマネージャーも手一杯。ちょっと請け負っておこうと」
自分も学会の準備があるはずなのにこの言動。彼を知る人が聞けばお人好しにも程がある、と苦言を呈していただろう。
元々事務作業系統は得意であり、人の手配などのそういう類の作業をあまり苦に感じないマネージャー気質がこうさせている。しかし、既に通常業務を終えた後。帰ってから学会準備もしているというのにこれ以上やるのかという視線を背後にいるバシャーモからひしひしと感じているのだが、気づかないフリをして黙々と作業を続けた。
時折記者からの質問に答えつつ、作業を進めていると、突如ブラッキーがボールから出てくる。ブラッキーはぷるぷると頭を振ると、器用にカイムの体をよじ登りカイムの頭にへばりついてきた。
「………重い」
ブラッキーは特に気にする様子はない。『むふー』と満足そうに息を吐いて嬉しそうに顔をすりすりと擦り付けている。
「気にせんでください。構ってほしいだけなんで」
やれやれといった様子を見せながらもブラッキーを引き剥がすようなことはしない。とはいえ、そろそろ帰らなければバシャーモにしばかれると危惧したカイムは大きく伸びをすると、頭にへばりついていたブラッキーを引っ剥がして小脇に抱えた。
「こーいつ…ずっと引っ付いてきやがって」
小脇に抱えられたブラッキーは特に気にせずごろごろと喉を鳴らしていた。無表情からは考えられないほど優しい手つきに、ブラッキーは顔を綻ばせる。
ポケモンと触れ合うことが多いように思える、という問いかけにカイムはブラッキーをバシャーモに引き渡しながら答えた。
「人もポケモンも、みんな違う。どれだけ言葉を交わそうと、完全に理解するなんてできない。自分のことですらわからないことが多いんだ。他人なんてもっとでしょうよ。だから人でもポケモンでも極力触れ合うことにしてます。踏み込むことはちょいと怖いんですけど、そうしなきゃならないこともある。でもそういうことが『ここぞ』という時に刺さることがある。自分がそうだったんでね」
そう言って上着を羽織るカイム。
バシャーモはブラッキーを肩車しながらカイムの荷物を持ち上げ、共にジムリーダールームから出ていった。
育成にここまで力を入れているのは何故か。
そう問いかけられて、カイムは灯りが消えたジムを見上げた。
「……育成に力を入れる理由、ですか」
ジムリーダーもポケモンリーグに出るようなトレーナーがほとんど。ほぼ全員が上を目指して日々研鑽を積んでいるが、カイムはあまりそう見えないというのがキャスターの印象だった。
「…上を目指していない、とまでは言わない。強くなるためにできることは日々やってるつもりです。ただ、俺はみんなが目指す場所には一人じゃ絶対に行けない。行ける奴ってある程度のところまでは自分だけで行けちゃうもんなんですよ。俺にはできなかった。ジムリーダーが才能云々の話をするのはどうかとも思いますけど、俺には
でも、と付け加えながらカイムは続ける。
「どれも持たなかった俺が、環境と縁に恵まれた。だから少しでも多くのトレーナーの環境と縁になれるようなトレーナーになりたい。ジムリーダーになった理由の一つがこれです」
一番の理由はシロナの隣に立てる自分になりたい、というものだが、これをここで言う気はない。
「できない人がどうしてできないか…多分、これを理解できるジムリーダーって思いの外少ない。トレーナーなら誰でも通るジムリーダーという関門に、こういうできない理由がわかる奴がいるのもいいでしょう。それが最終的にバトル界隈を盛り上げる要因になる。たまたま、教えるのもうまかったみたいなんでね」
「この界隈にいる以上、業界が盛り上がることは最終的には自分のためになる。結局、自分のためです」
この自分のため、という意味にどれだけの意味が含まれているか。それを理解できるのは恐らく
*
「ただいま」
鍵を開けて扉を開く。
帰ってきたことに気づいたシロナがリビングから顔を出した。
「おかえり。撮影…というか取材か。どうだった?」
「………疲れた」
「ふふ、そんな顔してるわ。ご飯まだでしょ?ちょっと遅いけど一緒に食べましょ」
「食ってねえのか?」
シロナが一人で食べられるようにあとは温めるだけにしてきたというのに、シロナはまだ食事をしていなかった。その事実にカイムは少しだけ驚いたように目を開く。
「多分、慣れないことして疲れてるかなって思ったのよ。だから一緒に食べようかなって」
「…そうか」
表情に変化はない。だが内心嬉しく思いながらも、口には出せなかった。
「じゃあさっさと食おう。準備する」
「ええ」
靴を脱いでムクホークをボールに戻して玄関に上がると、目の前にシロナの顔があった。
「ん」
「!」
触れるだけ。ほんの一瞬だが、互いの唇が触れ合った。
「……お前」
ほんのわずかに耳が赤くなっている。不意打ちを得意とするカイムだが、不意打ちには少しだけ弱いということをシロナは知っていた。だからこその不意打ちだったのだが、こういう時後で手痛いしっぺ返しをされることもあることは学んでいないらしい。
「ふふ、ほら。ご飯にしましょ」
「…へーへー」
今は負けでいい。
そんな三下みたいなセリフを内心で吐き捨てながらシロナの後を追うのだった。
***
そして現在、取材を受けたカイムの映像を見てシロナは満面の笑みを浮かべていた。
「……………」
「こうして見ると本当に真面目ねぇカイム。こんな深く考えてたなんて」
「……なあ」
「ん?」
「見るのはこの際いい。でもよ、俺がその場にいる必要ある?」
テレビに動画配信サイトを映し、カイムの取材動画を流すシロナ。
その隣でシロナに肩を組まれて固定され、カイムを挟むようにソファに腰掛けるバシャーモもカイムの肩を組んで固定されることで動けないカイム。しかも膝の上にはタツベイもいる。動けるはずがない。
端的に言えば、公開処刑に近かった。
「え?一緒に見たいじゃない」
「自分の映像なんざ見たかねぇよ!」
「私が見たいのよ?」
「俺は!自分の映像なんざ!!見たかねぇ!!!」
ふざけた態度で取材に応じてはいない。カイムがジムリーダーとして指導を行う理由と、トレーナーとしての矜持を真剣に答えたにすぎない。恥ずべきことは一切言ってないものの、こうして見られるのはシンプルに恥ずかしい。
「でもあなたは私の配信見たじゃない」
「一緒には見てねえよな⁈」
「見たことに変わりはなくない?」
「そうだけど一緒に見る理由にはならねぇだろ⁈」
珍しくキレがちなカイムだが、シロナとバシャーモに抑え込まれて動くことができない。バシャーモはもちろん、シロナはわざわざ拡散させた波導の身体能力強化を使って抑え込んでくる。カイムの中途半端な波導では抜け出すことはできない。
「いーの。私が一緒に見たいし、あなたの矜持がどんな風に外に出るのか気になったから」
「それは俺がいる理由にはならねぇだろ…」
「もー、細かいわねぇ」
呆れながらもシロナはリモコンを操作してカイムの見たいところに巻き戻して見始め、隣にいるバシャーモも楽しそうに見ている。抜け出せない以上、何を言っても無駄だと諦めてカイムは俯いた。せめて自分の顔を見なくて済むようにしたが、頭にへばりついてきたブラッキーが無理矢理顔を上げさせてくる。
「…………」
「こうして自分が教えた人がこんなに立派になってるのを見るの、いいわね。自分の教えがこうして実ってるのを見るのは嬉しいわ」
「……もういいだろ」
「そんなに嫌がらなくてもいいじゃない。これがたとえば…ミツル君の映像だったら悪くない気分でしょ?」
「そらな。気持ちはわからんでもねぇけど、これ自体は自分の映像なんだよ…見たいとはとても思えん」
この映像が弟子のミツルだったら確かにいい気分だが、自分のものを見せられても気が重くなるだけ。それが愛する人に見られているとなれば尚更だ。
「それにしても、あなた自分の運の良さはやたら強調するわね」
カイムは取材の中で『縁に恵まれた』というところを何度も言っている。確かにシロナに出会ったことでカイムの全てが変わったと言っても過言ではないが、自分が努力を続けてきたことをもう少し言っても良かったのではないかという思いもシロナにはあった。
「俺だけで努力を続けたところで、大したもんにはならん。それで変わるんなら、俺はそもそもバッジ集めに四年かけてねぇ。俺だけじゃ、ジムリーダーになってあんな風に取材されるような場所には絶対辿り着けなかった。何よりも重要な要素だったのは、やっぱ縁なんだよ」
自分だけでは何も為せない。
その記憶が強く根付いているが故に、そういう考えが強かった。それはここまでなれた今でも変わらない。いや、むしろここまでなれたからこそより強くなっている。
「今でも自分は何者にもなれないとか、思ってる?」
「それはねえ。俺は俺だ。何者かどうかじゃねえ。俺は俺にしかなれない。俺は俺として、お前の隣に立てる自分になりたい。でもそれは俺一人じゃ絶対にできない。だから人もポケモンも縁を大切にしたいと思ってる」
「…その考えは素晴らしいわ。人のこともポケモンのことも大切にできる。あなたの美徳よ。でもね、もう少しだけ自分のことも大切に、認めてもいいと思うのよ」
どれだけ力をつけようと、人として成長しようと、カイムの中での他者と自分の重みが明らかに違う。ダークライの一件で多少の変化はあったし、自分を無闇に追い込んで他者のために尽くすということはしなくなった。だがそれでも、やはり自分よりも他者のおかげで今の自分があるという認識だけはずっと変わらなかった。
「認めてるさ。ここまで来られるだけの自分になれたんだ。それを認めないのは、この過程で俺に手を貸した人たちの心を蔑ろにすることになる。自分だけで何かを為せる人なんていない。俺はその自覚が少しだけ強いだけだ」
「強すぎる気もするけど?」
「ここだけは死ぬまで直らん。直す気もあんまりない」
「もう…」
性格に根付いたものはそうそう変わることはない。そういう部分も素敵だと思えるが、同時に危うい部分でもある。平気で自分を差し出して他者を助けようとしかねない。
「…やっぱり、私が隣で見てないと駄目ね」
「はあ?」
「あなた、時折危なっかしい部分があるから」
「家事壊滅女が何を言うか」
「それとこれは違うわよ!」
「いででででで!」
思いっきり頬を抓り、カイムに報復する。
心配しているのにこの口ぶり。少し憎らしく思いながらも、シロナはカイムの肩に頭を置いた。
「いってぇ…」
「調子に乗るからよ」
「罰ゲームさせられてんだからちょっとくらい仕返ししたっていいだろ」
「だめ」
理不尽だ、と呟きながらカイムはバシャーモの頭をわしわしと撫でる。遠回しに解放してくれとバシャーモに頼んだつもりだったが、バシャーモはその意図を理解することができずけらけらと笑うだけだった。
「どうしろってんだよ…」
「どうもしないわよ。ただ私と一緒に見ればいいの」
「嫌すぎる」
げんなりと表情を歪めながらカイムは項垂れる。そんなカイムの頭にブラッキーはごろごろと喉を鳴らしながら擦り付けていた。
*
「シロナ、資料見てくれたか」
翌日、仕事部屋で仕事をしていたシロナのもとにカイムが訪れる。シロナはモニターから視線を外してカイムに視線を向けた。
「ああ、カイム。ええ、昨日見ておいたわよ。添削なら…」
「いや、それはもう直した。その後だ」
「え?もう?」
「今日の休憩時間に」
またか、とシロナは呆れたように小さく息を吐いた。
ジムリーダーというのは、決して暇ではない。そこに学会の準備もあってかなり忙しくしている。そんな中で休憩時間まで削って仕事をしているカイムのことは少し呆れていた。
「もう…休憩時間くらい休みなさいよ」
「時間はあんまない。使える時間は使うべきだ」
「発表は大体固まったんだし、資料の修正もほとんど細かいところの修正だけよ?そこまでしなくてもいいの」
「極力万全にしておきたい」
初めての学会で口頭発表。ポスター発表の経験は大学生の時にしているが、口頭発表の経験はなかった。元々真面目なカイムがこんな場面になれば準備に時間を使うことは予想できたが、ここまでとはシロナも考えなかった。
「どれだけやっても、万全はないわ。そもそも、資料自体はもう学会に提出済みでしょ?今から大きく変えることもないし、細かい部分しかいじれないんだから休憩時間くらいは休みなさい。その様子だと、休憩時間も発表練習してるんでしょ」
「…………」
「ほら図星。発表の練習はいいわ。また付き合ってあげる。でもそれ以上に、質問想定や発表内容への理解を深めることが大事なの。私とプラターヌ博士で想定質問を送ってあげたし、自分がこの発表を見たらどう思うかって言うのを考えなさい」
「…わかったよ」
「もう少しなら時間はあるわ。だから、ちゃんと休みながら進めなさい。いいわね?」
「……ああ」
「あんまり言うこと聞かないなら、またバシャーモに見張ってもらうわよ?」
シロナの言葉と共に、カイムの背後にバシャーモがぬるりと現れる。気配を察したカイムは背筋に嫌な汗を感じると、大人しく頷いた。
カイムが頷いたのを確認したシロナは立ち上がる。
「わかったのならいいわ。さ、少し休みましょ」
「今からコーヒーだと眠れなくなりそうだ。ほうじ茶にしておこう」
「で?」
暖かいほうじ茶を飲みながらシロナは問いかける。
「…なんだよ」
「緊張、少しは解けた?」
シロナの言葉にカイムはため息を吐いた。
「わかるもんか?」
「ええ。あなたが私の言葉を聞かず、準備に躍起になる時はいつも緊張してる時」
ジムリーダー承認試験の前など、大きなイベント前のカイムはいつも何かに没頭しようとする。今回もそうなのだろうと思ったが、やはり案の定だった。直前よりも、準備期間に無理をしようとするのがカイムらしいといえばカイムらしい。
「直前よりもこういう準備期間に緊張しがちよね」
「直前はもうどうしようもないだろ。でも、準備期間はそうじゃない。できることがある」
「真面目なのは結構だけど、もう少しブラッキーを見習ったら」
カイムの膝上で丸くなりながら満足そうに喉を鳴らしているブラッキーを見て、カイムは息を吐く。
「気楽そうにしやがって」
「ふふ、かわいいわね。その子はいつも自分のやりたいようにやってる。あなたがやってることは何も間違っていない。でも、あなたは理性で判断しすぎてしまうことがある。だから、たまには心のままにする方がいいわ」
「…俺が心のままに動いてもなぁ」
「だからこそ、よ。未熟な時と今では、心の在り方は違うわ。今の自分の好きなようにやってみるのも、きっと何かいいことに繋がるかもしれない。そう考えてみたら?」
心のままに生きる。カイムのような真面目の具現化みたいな人物にはなかなか難しい。特に、自分の望む姿になろうとして無茶をし、自分だけでなくポケモンも傷つけた記憶があるカイムには。
「……どれだけ積み上げても、俺はかつての失敗を忘れちゃならん。多分、かつての俺がなりたかった自分には近づけたと思う。でも…だから忘れちゃいけない。同じ轍を踏むわけには…」
「その思いを否定する気はないわ。でも、あなたはいつも過剰なの。後悔に捉われすぎないで」
「……悪い、心配してくれてるのはわかる。もう少し気をつける」
いろんな失敗がある。自分だけが傷つくのなら、自分だけの責任で済む。だが、共に来てくれるポケモンが傷つくのは、自分の責任ではあるが己の身体ではない。それ故に、過度に傷ついたポケモンを見ることがある種のトラウマになっていた。
とはいえ、その代価として自分が傷つくことを無視しては、ポケモン達およびシロナの意思に反する。わかってはいるものの、やはりその傾向はすぐには消えないらしい。
「とりあえず、わかったのならいいわ」
「どーも」
「よくわからないところであなたってズボラなのよねぇ。ズボラというか、なんというか…」
「シロナにズボラって言われるの、結構効くな」
「どういう意味かしら?」
波導の圧力が増したことで、カイムは目を逸らす。怒られてる時に煽りすぎたか、と内心で冷や汗をかきながらブラッキーの頬を優しく引っ張った。
「ねえカイム?どういう意味、かしら?」
「…………イエ、ナンデモ」
「そう?わかってくれたならいいわ」
圧力の強さが消える。とりあえず助かった、と安堵して息を吐いた。
「ほんと、面倒な性格してるわねあなた」
「ほっとけ」
(ま、そんなところも素敵だと思える私も大概変か)
確かに面倒な性格をしているが、そんな面倒な男にベタ惚れしている自分も大概変なのだろうと苦笑しつつ、湯呑みにお茶を注ぎ出す。
「大丈夫よ」
「ん?」
「あなたなら大丈夫。それに、発表自体はもうかなり練習してるもの。さすがに質問はどの程度想定したものが来るかはわからないけどね」
レジポケモンの研究が進んでいない以上、今回の学会発表は大きな反響を呼ぶだろう。そのため、どんな質問が飛んでくるかはさすがにシロナとプラターヌ博士でも予想しきれない。
「…俺が一番心配してるのは、俺の発表で悪い意味でレジポケモンに注目が集まることだ。あいつらは個体数は少ないし、決まった場所にはいない。だからそうそう見つかることはないだろうけど、見つからないわけじゃないだろ。見つかって、実験対象にでもされたら…それは俺の責任だ」
「つまり、自分が余計なことを言って彼らに迷惑がかかるのが嫌なのね」
「ああ」
レジポケモンは真の意味で無限のエネルギーを持つ。出力はともかく、エネルギーそのものは補給をしなくとも尽きることがない。そんな存在が露見した場合、悪用を考える者は出てくる。レジスチル達は恐らく簡単には捕まらないと思うが、休眠状態で捕まることはあるかもしれない。やろうと思えばいくらでも悪用できる存在を部分的とはいえ公開することも、それによる最悪の場合も考えた上で、自分が余計なことを言うのではないかと危惧していた。
「真実を明らかにすることが、必ずしもいいことに繋がるわけじゃない。そういうことを完全に理解できている自信もないし、余計なことを言って誰かの悪意を刺激するかもしれない。恩のあるレジスチルやその仲間に迷惑かけることが、怖い」
「そうね、それについては大丈夫とは言い切れない。あなたが下手なことを言わなくとも、あなたの発表から何かしらを察されてレジポケモンに注目される可能性はあるわ。でもね、そこは気にしすぎてはいけないの。気にすることは大切だけど、何かあった時の対処と罪を背負うことも覚悟をしなくてはならないわ」
真実を明らかにすることが必ずしも良いことに繋がるとは限らない。真実がとても残酷なものであったり、真実が悪意を増長させる可能性もある。その結果が、裏でどんなことになるのか…シロナも全てを知っているわけではない。しかし、どんなことが起こったのか、いくつか事例は知っている。真実を明らかにした学者に悪意はなかっただろうが、自分の行いが悪意を増長させてしまったことは想像もしなかっただろう。
「あなたも知ってるでしょ?フジ博士のこと」
「……ミュウツーのことか」
「ええ。ミュウの真実を一部とはいえ明らかにし、結果としてミュウツーという存在を作り出した。それがロケット団の悪意をさらに大きくしてしまった」
かつて訪れた最果ての孤島。そこにいたミュウは人懐っこく、人間に対して特に警戒心を抱かなかった。大切に扱われてきたのはわかるが、そのミュウを巡ってどんなことがあったか…それは公式の記録にない以上、シロナの予想でしかないが、あまり考えたいものではないことは確か。そのことだけはカイムも理解していた。
「自分がその起点になる可能性があることを恐れる俺を、シロナは軽蔑するか?」
「まさか。寧ろ、あなたがそう思ってくれる人でよかったわ。いい?カイム。私たちはかつて存在した真実を解き明かす仕事をしているけど、無闇に真実のみを追い求めることはあってはならないの。真実とは必ずしも素晴らしいものばかりではない。血生臭いものや後ろ暗いものも多くある。それこそが人の業というもの。そんなものを全て明るみに出してはいけない。例え記録したとしても、明らかにしていいものといけないものがある。考古学者として、あなたがそれを理解できていたことが…私は誇らしい」
「…そうか」
膝で丸くなるブラッキーを優しく撫でながら、物思いに耽る。
カイムが公開することは、場合によっては悪意を増長させるものになる。だがそれを恐れない者に歴史を学ぶ資格はないとシロナは言った。無闇に真実のみを追い求め、真実の影響力を考えない…そんな最悪とも言える学者でないことを、シロナは心から喜んだ。
「レジスチルに許可は得てる。心配しないで、とは言わないけど、まずは自分がどうしたいかを良く考えましょ」
「…ああ、そうだな」
カイムはぬるくなり始めたほうじ茶を一気に飲み干すと、シロナに目を向ける。
「とりあえず、明日はちゃんと休む。負担かけた詫び…とまでは言わんが、なんかしてほしいことはあるか?なんか食いたいものがあるとか、そういう感じの」
「なんでもいいの?」
「俺に叶えられる範囲なら」
カイムの言葉に少しだけ思案する。ほんの少しの沈黙の後、シロナは何かを思いついたようだが、口にする前に顔を赤くして押し黙った。
「…?」
「え、えっと……」
「なんだよ」
「いっ、いっしょ……」
「一緒?」
そこまで言ってシロナは目を逸らす。一体なんだとカイムは首を傾げるが、シロナは言う様子を見せず、小さく咳払いをして口を開いた。
「か、考えておくわ。明日の間にできることだし、そんな大したことはできないと思うけど」
「あ、ああ…まあ、お前がそれでいいならいいけどよ。んじゃ、今日は先に風呂入らせてもらうわ」
「ええ、ゆっくりしてきて」
膝にいるブラッキーを床に下ろし、湯呑みを台所に下げたカイムはリビングを出ていく。
残されたシロナは、足元まで歩いてきたブラッキーを抱き上げると、ブラッキーに顔を埋めた。
「…私、今……なんて言おうとした?」
頭に浮かんだ言葉。カイムに叶えてほしい言葉、ということで最初に浮かんだ言葉が『それ』だった。確かに望んでいたことではあるが、あまりにも自然に頭に浮かんできた事実にシロナは思わず赤面してしまう。
「………ほんと、あなたのご主人は素敵ね」
ほんの少しだけ皮肉を込めて言ったつもりだったが、ブラッキーは嬉しそうにごろごろと喉を鳴らして喜んだ。
そんなブラッキーをわしわしと撫でながら、今は風呂に入っているであろう最愛の人の後ろ姿を思い出す。真面目で、自分を顧みないどことなく危なっかしい人を。
(ねえ、カイム。あなたはずっと許せないのよね。大事なポケモンを自分で傷つけてしまった、かつての自分を。二度とそんなことがないように、己を削ってでも、そんなことがないようにしたいのよね)
本人からはあまり詳しく語られなかったが、かつて姉に近づこうと無理を重ねたとだけ聞いている。未熟な己が許せないが故の今なのだろう。
気持ちはわからないでもないが、それが己を蔑ろにする理由にはならない。他のところについては全く心配ないのに、ここだけは自分だけでなくポケモン達まで心配かけるのだからタチが悪い。
「ほんと、仕方ない人」
おそらく、多少改善しても彼は変わらない。彼の精神の深いところに根付いている。そしてそれはポケモン達だけでは面倒を見切れないだろう。誰か彼を制御できる人がいなければ、いつか彼は潰れてしまう。
なら、誰かがずっと側にいるしかない。彼のことを近くで見て、共に生きていくしかないだろう。そうすれば、彼は大丈夫。
「…ね、ブラッキー」
シロナに話しかけられたブラッキーはむくりと顔を上げる。
「私ね、カイムのこと大好きなの。貴女と同じでね。それでね…ずっと、ずっとカイムの側にいたいの。私は、彼の隣にいたい。いつか終わる、その日まで」
彼を支えられるのは自分しかいないし、自分を支えられるのは彼しかいない。そう確信している。だからいつか終わるその日まで、隣にいたいと心から思っていた。
きっとカイムは、これから何度でも自分の
そして自分が迷った時は、一緒に立ち止まって考えてくれる人が彼であって欲しい。彼の優しく包んでくれる柔らかい声で、側にいてほしい。そう心から願っている。
そしてその言葉を聞いたブラッキーは『なんだ、そんなことか』と言わんばかりにころんと顔を下ろした。
『今更、他にカイムの隣に居られる人がいるとは思わないよ。誰も驚か無いから、早く結婚しなよ』
そう言わんばかりの態度に、シロナは小さく笑う。
多分、そう遠い日ではない。
既に家族のような関係だが、本当の家族として過ごせる日が来ることを願って、ブラッキーのおなかをわしわしと撫でる。ブラッキーは撫でられてキャッキャと楽しそうにしており、主人であるカイムとは全然違う様子にシロナは微笑んだ。
ブラッキーを抱き抱え、シロナはポケモン達の元へ向かっていく。
穏やかな夜に、ポケモン達の声とシロナの声のみが家の中に響いていた。
Cパート
時の歯車を強奪しているらしい人物、Nのことを知ってから、指名手配をしているものの、動きはない。寧ろ知られたことを知った故か、それ以来時間の停止は発生していない。動きを抑制させただけでも効果があるのだろうとギルドは一旦、Nの捜索よりも歯車捜索に再び力を入れ始めた。
Nのことを突き止めたプラズマ団のゲーチスは、積極的にギルドへの支援を行っている。おかげで調査そのものはスムーズに進んでいるが、成果自体は現状ない。ギルドはこの事実を重く受け止め、次なる時の歯車保護へと動き出した。
「保護するのはいいが…大っぴらに保護したらここに歯車がありますって言ってるようなもんじゃねえのか?」
目の前に広がる湖を前に、カイムは呟く。
先日、エイチ湖を保護したが、突破された。そのことを言っているのだろうしわかるのだが、何もしないわけにはいかない。
「言いたいことはわかるけど、私達が保護しようがしまいが奴らは歯車を確保してきた。ならせめて、時間稼ぎになることはしないと」
「……そうか、まあそうか」
今、シロナとカイムはシンジ湖と呼ばれる湖の前にいる。
ユクシーのいたエイチ湖同様、ここにも歯車があるのではないかとギルドは予想し、前の時にスムーズに保護までこぎつけたシロナとカイムを派遣した。似たような土地であるリッシ湖にもトレーナーは派遣されているが、今のところ報告は上がっていない。シンオウ地方で残る歯車がいくつかはわからないが、今はとにかく調査をするくらいしかできることはなかった。
「あると思うか?歯車」
「あるわ。多分だけど」
「勘か?」
「勘よ」
「お前の勘は当たるからな」
湖の中心部にある小島を眺めながらカイムは肩を竦める。
エイチ湖は訪れた者の記憶を消す、という伝承があったが、このシンジ湖は訪れた者の感情を消すという伝承がある。真実かどうかは不明だが、ユクシーがいた以上、似たポケモンがここで歯車を守っている可能性は高い。それに加え、シロナは直接時の歯車を見たことでぼんやりとした気配を察知できるようになっていた。無論、どこにいてもわかるほど優れたものではないが、近くに来ればあるかどうかは察知できる。
「行きましょう。あまり時間はないわ」
「ああ。まずは湖の中を調べていくか」
シロナはミロカロス、カイムはトリトドンを繰り出して、湖の調査を始めるのだった。
「結局、ここに来たか」
一通り湖内部を調べたが何も見つからず、二人は湖中央部にある小島に降り立った。小島には小さな洞窟があるだけで、他には特に何もない。内部に入ってみるが、遺跡らしい雰囲気もなくただの自然にできた洞窟に見える。
「…なにもない、わよね」
「………」
「カイム、何か思い出したりする?」
エイチ湖ではカイムの記憶のフラッシュバックで奥地に至ることができた。そのため、今回ももしかしたら似たようなことがあるかもしれないと思い聞いてみたが、今のところその様子はない。
「…いや、今のところは」
「そう。気配はうっすらと感じるんだけど…ハッキリしないのよね。調べられそうな場所もないし…」
気配はある。しかし、調べられそうな場所がない。さすがに掘り返すようなことはできないし、水中に潜る装備も無い。これ以上調べられる場所がないとなると、どうすることもできない。
戻ろうかと考え始めたところで、シロナの視界にふとあるものが目に入る。それは、一部だけ土の色が違う地面だった。周囲の地面の色も湿り気具合で多少差異はあるものの、この一部だけは湿り気によるものとはまた別の色の違いだった。
「ルカリオ、ここ調べてくれない?」
シロナはルカリオを出して波導を使って地面を調べる。すると、少し下の部分から下に続く道があることに気づいた。
「ビンゴ!カイム、こっち来て!」
「どうした」
「この下、道があるわ!どうにかしてここを開けられない?」
突如、カイムの脳裏に一つの映像が流れた。
『カイム!ここ、どうにかして開けられないか?』
『ああ?開けるって…掘るの間違いじゃねえのか?』
『多分違うんだよカイム。ただ掘るだけじゃ多分ダメなんだよ』
『じゃあどうすんだよ』
『……うん、多分ここに立つだけでいいんだ。ただ立って動かないだけでなく、強くこの下にある道に行きたいと強く願う。そうすればいい』
『なんでそんなのわかるんだ』
『ボクはちょっと特殊なんだよ』
「カイム?」
「っ!」
溢れ出た記憶から意識が戻る。目の前には、シロナの心配そうな瞳があった。
「大丈夫?」
「…ああ。シロナ、こっちに」
カイムはシロナの手を引いてルカリオが調べた地面の上に立つ。手を取られたことでシロナは少しだけドギマギしてしまうが、カイムはそれどころではない様子だった。
「この下に、道がある。ここに立ったまま、下の道に行きたいと強く願うんだ」
「え?」
「それで、下に行ける。かつての記憶にあった」
「少し、思い出したのね?」
「少しだけな。今は、信じてくれ」
カイムに真っ直ぐ視線を向けられたシロナは頷く。前回もカイムの記憶が歯車にたどり着く鍵だった。今回も信じるのは当たり前だ。
「ええ、信じてる」
「…ありがとう」
二人は目を閉じる。下にある道に向けて強く意識を向け、そこへ行きたいと心から願った。
突如、一瞬の浮遊感。次の瞬間、二人は洞窟地下の道の空中に放り出されていた。
「へ?」
「は⁈」
あまりに突然のことで、二人は受け身を取り損ねて地面に叩きつけられる。この時、体重の思いカイムの方が下になって落ちたせいで、地面に転がるカイムの上にシロナが乗る形になった。
「いっ、てえ…」
カイムが起き上がろうとしたした瞬間、目の前にシロナの顔があった。あと数センチ動けば互いに触れ合ってしまいそうなほどの距離。互いの呼吸が感じられる、そんな距離で二人はほんの少しの間見つめあっていたが、水滴が落ちる音に我に返った。
「ご、ごめん!大丈夫?怪我してない?」
「…問題、ない。シロナこそ平気か」
「え、ええ。大丈夫よ」
シロナはカイムの上からどくと、カイムに手を差し出す。差し出された手を取ってカイムは立ち上がった。
周囲を見渡すと、洞窟が広がっていた。まさかシンジ湖の地下にあるだけあり、ひんやりとした空気が二人の頬を撫でる。地下である以上暗いはずなのだが、ぼんやりとした灯りが周囲を照らしていた。
「…まさかこんな場所があるなんて」
(記憶にはねえが…前に来たことあるかもしれない。そんな気がする)
「カイム?」
「あ、ああ…大丈夫。歯車の気配はあるか?」
「ええ。さっきより少し強くなったわ。多分、もっと下よ」
「進むしかないわ。見たところ、向こう側にしか進めないみたいだし」
シロナの言うように、進める方向は一つしかない。もっと下にあるのなら、進むしかない。幸いなことに『穴抜けの紐』は用意してある。いざとなればここから脱出は容易いだろう。
「ぼんやりと見えるとはいえ、視界が悪いな。ランタン用意しておいて良かった」
「あなた、本当に用意がいいわね」
カイムはどこまでもカイムだった。
「ここは…」
地底に続く道を進んだ先には、湖が広がっていた。
「シンジ湖の地下に、こんな湖が…」
「かなり深いところまで降りてきたし、ここは地下空洞に水が溜まった湖みたいね」
広大な湖は、シンジ湖と同じくらいの大きさだろうか。天井もそれなりに高いため、空間としてはかなり広い。
シロナは湖の中心部に目を向ける。そこには淡い水色の光が放たれていた。あの光をシロナ達はつい最近、目にしている。
「カイム」
「あれは…時の歯車か」
「ええ、間違いないわ」
あの光はエイチ湖で見た時の歯車の光と同じもの。シロナが感じていた気配もあの光から感じる。時の歯車と見て間違いないだろう。
「戻りましょうカイム。ここにあることが確認できた以上、ここに長居する必要は…」
『何者だ!』
突如、声が響く。そして二人の目の前が光り、一匹のポケモンが姿を現した。
『お前たち…時の歯車を盗みに来たのか⁈』
「エムリット…そうか、ユクシーと同じようにここの歯車を守護しているポケモンか!」
「間違いないわ。エムリット、聞いて!私たちは歯車を盗みに来たんじゃないの!この場所を守りに来たの!」
『黙れ!ユクシーの状態は本人からテレパシーで聞いている!お前たちを信じたからユクシーは傷つき、歯車も奪われた!余計なことをしたお前たちなど信用なるものか!』
エムリットの言葉を聞いて二人は表情を歪める。
確かに、カイム達が保護していたにも関わらず、歯車は奪われた。たらればでしかないが、カイム達が霧の封印を解かなければあの場所にはまだ歯車が残っていたかもしれない。エムリットが言うように、余計なことをした可能性は大いにあった。
『ここを知られた以上、返すことはできない。お前たちの
「まずい…話を聞いてくれそうにねえな」
「ここは一度、戦うしかないようね」
二人はボールを手に取り、構える。
その瞬間、背後から声が響いた。
「そのバトル、中止」
突如響いた声に二人は振り返る。そこには、黒いコートにフードを目深に被った謎の二人がいた。
「あなた達は…⁈」
「やっぱり、キミならたどり着くと思っていたよ。
「は?」
「……やっぱり覚えてないか。
「カイム、ボク達のこと…覚えていないかい?」
そう尋ねられ、カイムの脳裏に何かの映像がフラッシュバックする。
一人は、黒髪の女性。一人は、緑髪の青年。そしてもう一人は、淡い水色の髪の青年の姿だった。
その姿が脳裏に過ぎった瞬間、カイムの脳は針を刺されたように痛み始める。
「ぐっ、うう⁈」
「…声だけじゃ駄目か。キミの力が必要なんだけど…」
「ボクが姿を見せよう。キミの姿は、
そう言って一人がフードを外す。そこにあった顔は、カイムの脳裏を過ぎった緑髪の青年だった。
「え、ぬ?」
「思い出した…わけでは無さそうだね。記憶のカケラが少し浮上したくらいか」
思わず口に出た言葉に反応するかのように、カイムの頭痛は激しさを増す。その様子を見た青年…Nは少し寂しそうに表情を歪めた。
「…姿を見せても、記憶は戻らないか。
「まだ彼は帰ってこられないみたいだ。早めに済ませようN」
「そうだね。ここはボクがやるよ」
なおも苦しむカイムに寄り添うシロナに、Nは目を向ける。目を向けられたシロナは、咄嗟に臨戦態勢に入った。
(この人、強い!もしかしたら私よりも…)
そう思えるほど、Nの纏う覇気は強かった。油断したら、一瞬でやられる。そう反応が感じ取るほどまで、Nの覇気は強い。
最初から全開でなけれなと考えたシロナは、ガブリアスを繰り出した。
「…すまない。キミ達に恨みはない。でも、これはボクらの使命なんだ。許してくれ」
そう口にしたNの背後に、巨大な黒い龍が現れた。迸る雷のエネルギーを纏った龍は、静かに瞳をシロナ達に向ける。
「クロスサンダー」
龍が纏った電撃が、地底湖全体に広がる。エムリットは防壁を張ったが、その防壁を貫いて電撃に撃たれた。地面タイプのガブリアスに効果はないものの、エムリットだけでなくシロナとカイムまで電撃を受けて地面に倒れてしまった。
地面に倒れたシロナを見てガブリアスが襲いかかってくるものの、黒い龍はガブリアスに強化した爪を振り下ろして地面に叩きつけた。
「この程度なら大したダメージにはならないよ。時の停止が完全に始まる前には、痺れも取れて動けるようになるはずだ」
「ま、待て…」
「無理はしない方がいい。いくらキミが頑丈でも、神経が一時的に麻痺しているんだ。動けないよ」
人としては頑丈な方のカイムですら動けないのだから、シロナも当然動けない。ただ、痺れとしてはすぐに取れるのであれば、時間を稼がなければならないとシロナは考え、痺れる体に鞭打って言葉を紡いだ。
「な、んで…歯車、を、盗む、の」
時間の停止は広がり続けている。時間が停止した世界に色はなく、雨も風も吹かないただの無機質な空間になっていくだけだ。そんな世界を作り出して何がしたいのか。そう問いかける。
「世界を守るため」
Nはそう告げた。
今している行為の真逆のことを口にしたNに、シロナは驚愕したように目を見開いた。時間の停止を引き起こしている彼らの行動は、どう考えても逆のことをしている。だがNは、なんの躊躇いもなく『世界を救うため』と言い放った。
「どう、いう…こ、と」
「言葉の通りさ。すまないが、あまりゆっくりしてる時間はないんだ」
そう言って時の歯車に向かおうとした瞬間、カイムがNの足を掴んだ。
「待て、や」
「…さすがに頑丈だね。楔無しで時渡りに耐え得る肉体なだけある」
「なん、の話だ」
「キミは特別頑丈ってだけさ。記憶が戻らないキミにこれ以上話すことはできない。すまないね」
Nはカイムの手を引き離すと、黒い龍の肩に乗り、もう一人の黒コートが腕に掴まると時の歯車に向かって飛んだ。
彼らが時の歯車を奪取すると、地響きが起こる。地響きは徐々に大きくなり、時の歯車があった場所から色がない空間が広がり始めた。
「時間の停止が、始まった!」
「つ、う…クソ…」
悪態を吐きながらもカイムは立ち上がる。バッグから麻痺治しとキズぐすりを取り出すと、シロナとエムリットに簡易的な応急処置を施した。
「とりあえず応急処置だ。穴抜けの紐で一旦安全なとこまで抜ける。エムリット、気に食わねえだろうが今は勘弁してくれ」
『…すまない。恩にきる』
「いい。今はとにかく脱出だ。時間の停止が、広がり始めてる」
色のない空間が音を立てて広がり始めた。今はまだゆっくりだが、このまますぐに他の停止した空間と同じようになる。そしてそれに巻き込まれれば、戻ることはできない。
「シロナ、立てるか?」
「なんとか…奴等は?」
「消えた。多分、テレポート」
既にN達の姿はない。恐らく、テレポートでどこかにワープしたのだろう。もう追いかける術はない。
「カイム…その、大丈夫?」
恐らく、記憶を無くす前のカイムと知り合いだったと思われるNともう一人。彼らのことを見てもなお、記憶は戻らなかった。だがそれ以上に、かつての知人がこんなことをしているとなると、やはり思うところはあるだろう。
「……大丈夫、ではない。だがそれは後だ。今は脱出が先」
「…そうね」
カイムはシロナに肩を貸すと、穴抜けの紐を手に取った。
いつも通りの無表情だが、やはりその瞳は揺れている。どうすればいいかわからないのだろう。
「カイム」
「ん?」
「その…頼りにはならないかもしれないけど、話を聞くくらいなら私にもできるわ。だから、思い詰めないで。私はあなたの味方だから」
シロナの言葉にカイムは苦笑し、目を伏せた。
「…ああ、ありがとう」
ずきん、と。シロナの胸が痛んだ。
(…私では、あなたの苦しみに寄り添えないの?)
側にいるのに、壁を感じる。彼の力になれない自分に、シロナは少しだけ無力感を覚えた。
脱出した一時間後、シンジ湖の時間は完全に停止した。
砂糖がないと言ったな?
無いだろ。足りないだろ。
Q.トウガンさん、半年くらいでブレーンになってるけど早くない?実はデンジより強かったりする?
A.単純なバトルの腕ならばデンジの方がちょっと強いです。ただ、バトルフロンティアは各施設でコンセプトをもったバトルを行うため、特定の施設ではトウガンの方が強いということはあります。そして今回新たにできたバトルマウンテンは、バトルピラミッド同様の『継戦能力』が必要となる施設であるため、トウガンさん自身の打たれ強さが非常にマッチした結果です。なので、トウガンさんとデンジがバトルマウンテンに入った場合、トウガンさんの方が踏破率ははるかに高くなります。元々有していた打たれ強さとバトルの腕が半年の修行でさらに磨き上げられ、結果フロンティアブレーン就任となりました。
Q.ブラッキー、カイムの頭にいる確率高くない?
A.ダークライ事件以来、頭にへばりつく体勢が気に入ってよくへばりついてます。頭にへばりつく理由はカイムの過労を見張るのとカイムの仕事の邪魔にならないという理由です。あとシンプルにカイムのことが大好きだから。
Q.シロナさんの頭にもへばりついてるの?
A.カイム以外にはへばりつきません。ただ最近はシロナのグレイシアをよく抱き枕にして寝ている姿も見られているとかなんとか。グレイシアは満更でも無さそう。
タッグバトルトーナメント、シロナさんが誰と組むか悩み中。
カイムと組んだら全三話、カイム以外と組んだら一話で終わる予定。
シロナ
今回はあんま出番がなかったが、文字通り後方腕組み師匠面(事実師匠)しながら映像を見てた。
黒いキャミソールの上から白いオーバーサイズのワイシャツ着て、下はタイトジーンズ履いてほしい。
ちなみに、シロナさんがカイムに言おうとした言葉は『一生私のそばに居て』か『一緒にお風呂に入りたい』のどちらかです。私は前者のつもりで書いてます。
カイム
動画が出て、珍しく本気で嫌がっていた男。この際見られるのはいいけど感想を伝えてくるなとキレ散らかしているが、そんなこと知るかと言わんばかりにダイゴとカトレアとヒョウタが感想を伝えてくる。しかもシロナがリビングのクソデカテレビで見てるから手に負えない。数日で明らかにやつれた。
ミツル
戦術手札が増えたことでめきめきと実力を伸ばしているが、体術面と駆け引きの基礎ができていない。直情型のユウキを参考にし続けた弊害がここにきて出てきているため、ミオジム卒業はまだ先。
ポケモンスリープでオラシオンが聴けるとは思っていませんでした。
感想、いつも励みになってます。
誤字報告には心から感謝を。
これからもよろしくお願いします。
次回、学会。