7時間後
秋雪鎮守府第一桟橋
秋雨「三日月、準備はいい?」
三日月「はい、休憩もできたし装備も問題ありません」
そう言って持っていた銃を少し持ち上げた。
電「提督、気をつけてください。ちゃんと帰って来るのです」
秋雨「うん、それじゃあ行ってくる」
初霜「三日月、無事に戻ってきて。もうこれ以上は・・・」
三日月「うん。分かってる。それじゃあ行ってきます!」
それぞれ言葉を交わした後、秋雨と三日月は一式小型輸送挺に乗った。
そして、静に船は出港した。
三日月「提督、この銃前とは違いますよね?」
秋雨「うん、隠密用に改良してあるよ」
三日月が持っている銃は30式特務小銃と言う銃でサプレッサーの静音性が上がっていた。
三日月「無事だといいけど・・・」
秋雨「ああ、できれば君たちの姉妹がいいが・・・」
三日月「そうですね。文月お姉ちゃん・・・」
秋雨「・・・仲、一番良かったもんな・・・」
三日月「はい・・・」
そう言って2人は黙った。
そして日が落ちて辺りが暗くなることに到着した。
運転妖精「着きました。撤退時もここからでます」
秋雨「分かった。それじゃあ三日月、行こう」
三日月「はい」
2人は船を降り、諜報妖精との合流地点に向かった。
秋雨「・・・よし、クリア。行くぞ」
三日月は黙ってうなずいた。
諜報妖精「提督、こっちです」
秋雨「ご苦労様。それで捕虜はどこに?」
諜報妖精「情報だと地下にある拷問室にいるそうです。一週間前に来たそうなので間違いないはずです」
秋雨「分かった」
諜報妖精「すでに地下に続く扉の鍵は確保してあります。これです。あと見取り図です」
秋雨「それじゃあ三日月、これこの鍵を持っていて。俺は見取り図を」
三日月「分かりました。ありがとう」
秋雨「よし、行こう。妖精さんは先に船にむかって」
諜報妖精「了解しました」
そうして救出作戦が始まった。
見張りの死角を通り、地下への入り口に近づいた。
三日月「提督、」
秋雨「ここでは隊長って呼んで」
三日月「隊長、入り口は二人の見張りがいるそうです。」
秋雨「・・・他が手薄なのにここだけ警備が厳しいのか。確かに怪しいな。よし、三日月は右を、俺は左をやる」
三日月「了解。・・・撃ちます」
パシュッパシュッ
2人同時に放った弾丸はそれぞれの標的の頭を撃ち抜いた。
秋雨「よし、三日月鍵を」
三日月「はい・・・開きました」
そして秋雨が銃を構え三日月がゆっくりと扉を開ける。
秋雨「・・・よし、クリア。行くぞ」
そして中に入っていった。
中は少し暗く静だった。
地下にはいくつか牢屋があり、所々に血が付いていた。
秋雨「気味が悪いな・・・」
三日月「はい・・・あっ、正面」
慌てて壁の影に隠れた。
そして顔を覗かせると深海棲艦が話していた。
見張り「あいつどうするんだ?」
深海棲艦「あいつは殺処分することになった。どうせ使えん」
見張り「そうで・・・」
深海棲艦「ん?・・・え?ど、どうし・・・」
秋雨「・・・よし、クリア」
三日月「危なかった。もう少し遅かったら・・・」
秋雨「ああ、よし行くぞ」
そして見張りがいた後ろの扉を開けた。
秋雨「動くな!・・・えっ・・・」
三日月「隊長、どうし・・・うそ・・・」
二人の目の前には血だらけになり弱っていた吹雪がいた。
吹雪「・・・て、提督・・・っ、いたぁ・・・」
声を聞いて吹雪は体を動かそうとしたが激痛で顔が下がった。
秋雨は吹雪をそっと抱き締めた。
秋雨「ごめん。無茶をさせてこんなに弱らせてしまって」
吹雪「提督・・・私は大丈夫です。それよりもあ・・・ゲホッゲホッ!」
秋雨「吹雪、大丈夫?すぐに出さないと、三日月、俺が吹雪を運ぶから護衛を頼む」
三日月「分かりました」
秋雨「吹雪、おんぶするから手をかけて」
吹雪「は、はい・・・」
吹雪はそのまま秋雨の肩に手を置き、体重が預けた。
秋雨「よし、行くよ」
背負っていたリュックを前に背負い、立ち上がる。
そしてそのまま階段を上がり外へでた。
しかし外へ出ると警報がなっていた。
秋雨「ばれたのか?まずい・・・」
吹雪「て、提督。私を置いて逃げてください。私を背負っていたら逃げれません・・・」
秋雨「いや、何がなんでも連れて帰るぞ。見捨てたりはしない!(最悪は俺が盾になって・・・)」
三日月「提督!私が敵の気をそらします。その間に船へ」
秋雨「三日月、死に行くつもりか!」
三日月「全員が逃げれないよりはましです!それに死ぬつもりはありません!隙を付いて脱出します」
秋雨「そうか・・・分かった。5稼いでくれ!」
三日月「了解!」
そう言うと三日月は走っていった。
秋雨は吹雪を背負って船へ向かった。
後ろからは三日月の声と銃声が聞こえた。
三日月「くたばれ!!みんなの分の仇だ!!」
秋雨「・・・頼むぞ、三日月」
そして秋雨は船に到着して吹雪を乗せた。
秋雨「吹雪を頼む。三日月を見てくる」
運転妖精「分かりました」
そして秋雨は来た道を戻っていった。
しかし近付いても銃声は聞こえず秋雨は焦った。
秋雨「(まさか、死んでないよな)」
しばらく探すと敵基地に続く道の近くの茂みに横たわっている三日月がいた。
秋雨「三日月、大丈夫か?」
三日月「は、はい・・・ちょっとかすっただけです」
秋雨「何言っているんだ!見せてみろ」
そう言うと三日月の袖をめくった。
腕にはかすり傷の中に一発だけ腕を貫通しており血が流れていた。
秋雨「三日月、少し痛むぞ」
そう言って負傷部を消毒した。
三日月は痛そうにしていたが声を抑えた。
秋雨「よし、もう大丈夫」
包帯を巻き、付いていた血を拭いだ。
三日月「提督、ありがとう」
秋雨「よし、帰ろう。だが、敵に見つからないようにな」
三日月「はい」
そうして慎重に船のところまで向かい、ばれる前に離脱した。
帰還中、秋雨は吹雪の応急措置をした。
秋雨「よし、ここの措置も完了・・・しかし、その腕は・・・」
ほとんどの傷の措置は終わったが左腕は無くなっており、どうしようもできなかった。
吹雪「はい・・・大丈夫です。それよりあの子・・・電は?綾波達は?」
秋雨「電は無事だ。しかし他は・・・」
吹雪「そうですか・・・」
秋雨「ああ・・・しかしなぜ、電だけ別で呼んだの?」
吹雪「電はあの海戦で戦艦に狙われたんです。それを助けるために向かったんですが敵戦艦が電に砲撃したので庇ってそれで・・・」
三日月「そうなんだ・・・(じゃああの時の血は電のじゃなくて吹雪の・・・)」
秋雨「吹雪、ありがとう。そしてごめん。こんなふうになってまで戦わせて・・・」
吹雪「いえ、私はただ戦っただけです。私こそ助けていただきありがとうございます。でも、私なんかの兵器をどうしてそんな命がけで・・・」
秋雨「吹雪、俺は兵器は助けてない。人を、いや、仲間を助けたんだ」
吹雪「え?」
秋雨「前の提督か・・・」
吹雪「はい・・・」
秋雨「いいか吹雪、お前は人の姿をしているし人と同じ行動や考察をする。つまりは人だ。そして困った時は助け合って乗り越える、それが人だ。吹雪が起こした行動がそうだろ?」
吹雪「・・・そうですね。ありがとうございます。・・・それじゃあ人として言わせてください」
秋雨「なに?」
吹雪「ただいま戻りました」
秋雨「ああ・・・。お帰り、吹雪」
そう言って吹雪の頭を撫でた。
しかし、それを羨ましそうに見ている子がいた。
三日月「・・・」
秋雨「三日月も今回はよくやってくれたよ。ほら、よしよし~」
三日月「う・・・あ、ありがとう、ございます・・・」
頭を撫でられると三日月は顔をそらしながら言った。
そうしている内に鎮守府が見えてきた。
秋雨「あ、止まるところは第5桟橋に止めて。医務室に一番近し」
運転妖精「分かりました」
しばらくたち輸送挺は基地に接岸した。桟橋にはすでに担架があり吹雪をそこに乗せた。
秋雨「かなりの重症だから慎重に」
医療妖精「了解!」
吹雪が乗っている担架はそのまま医務室に運ばれていった。
そして三日月も負傷しているので医務室に連れて行った。
医務室の前には初霜が待っていた。
初霜は三日月を見ると三日月を抱き締めた。
初霜「よかった~。大丈夫?その腕」
三日月「うん。ちょっとかすっただけ、っ!いてて」
三日月が腕を動かそうとすると激痛が入った。
秋雨「動かすなって言ったのに・・・」
初霜「かすっただけじゃないじゃない!」
三日月「ごめんなさい・・・」
初霜「ほら、ちゃんと検査してきて」
三日月「うん、分かった」
中に入ると妖精達が慌ただしくしていた。
秋雨「吹雪の容態は?」
医療妖精「今検査が終わって結果を待っています。治療は済みました。今は電さんが見ています」
秋雨「分かった。三日月の検査を頼む」
医療妖精「分かりました。三日月さん、こっちに」
三日月「は、はい」
三日月は医療妖精と共に別室に移動し、秋雨は吹雪と電の元に向かった。
電は眠っている吹雪の手を握ぎりながら椅子に座っていた。
秋雨「電」
電「提督・・・」
秋雨「検査結果はもうすぐ出るって」
電「はい・・・。提督、本当にお姉ちゃんの腕は治らないのですか?」
秋雨「ああ・・・。欠損した部位は付けられない・・・。義手もなかなかできなくて・・・」
電「そうなのですか・・・」
電は吹雪の手を離し、自分のスカートを握った。
電「私が、私が弱かっただけに、助けてもらわないとなにもできない私のせいでお姉ちゃんは・・・」
電の目から涙が流れ、自分の手に落ちていった。
秋雨はそっと電の頭を撫でた。
秋雨「電、人は最初から強くない。どんどん鍛えて、成長していって強くなっていく生き物なんだ」
電「でも、私は、私達は人じゃないです・・・」
秋雨「・・・じゃあ、君は誰だ?成長して、強くなっていく君はなんだ?兵器は人の手で強くなっていく、しかし君は自分で強くしている」
電「他の生き物も強くなっていっています」
秋雨「うん。しかし兵器と生き物の違いはなんだ」
電「・・・生きているか生きていないか、ですか?」
電の回答に対して秋雨は首を横に振った。
秋雨「その強くなった能力を活かせるか活かせないか、だ。例えば君が命中精度を上げたとしよう。兵器も同じ条件だ。そしたら君は訓練場や戦場で活かすことができる。しかし兵器は使おうと思わなければいくら上げても活かせない」
電「確かに、そうなのです。ありがとうなのです、励ましてくれて」
秋雨「うん、よかった。今日はもう遅い。そろそろ寝てね」
電「はい、お休みなさい」
秋雨「うん、お休み」