翌朝
秋雪鎮守府医務室
吹雪「・・・ん?(体が、重い・・・)」
体が重く吹雪は首だけ動かした。
吹雪「ん~ッうわっ!びっくりした・・・」
吹雪に覆い被さるように電が眠っていた。
電「スースーッ・・・お姉ちゃん・・・」
吹雪「・・・ふふっ、よかった、無事で」
吹雪は電の頭を撫でた。
しばらくして秋雨が入ってきた。
秋雨「吹雪、起きてたか。大丈夫か?」
吹雪「はい。特には問題ありません」
秋雨「よかった。さっき診断結果がきたんだが・・・聞く?」
その質問に対して吹雪は首を縦に振った。
秋雨「まず、左腕の欠損、それに左足の複雑骨折、左頬と左足、右腕の火傷、あと肋骨が3本折れていたみたい・・・」
吹雪「そんなにですか・・・」
秋雨「うん、しばらく安静だね。でもまずは」
秋雨は電に近づくと肩を叩いた。
秋雨「電~朝だよ~起きろ~」
電「・・・ほぇ?お姉ちゃん・・・」
電は寝ぼけたまま吹雪の膝に乗った。
吹雪「っ!いててて!電!下りて!」
あまりの痛さに吹雪が悲鳴をあげた。
その悲鳴で電は目覚めた。
電「ほわ!ご、ごめんなさいなのです!」
慌てて電は下りた。
悲鳴は止まったが、吹雪は息切れをしていた。
吹雪「はーっはーっ、い、電・・・次から、気をつけて・・・」
秋雨「吹雪、大丈夫?」
吹雪「はい、なんとか・・・叫んだらお腹が空きました・・・」
電「じゃあお粥持ってくるのです」
そう言って電は医務室を出た。
食堂に着くと初霜と三日月が朝ご飯を食べていた。
初霜「ほら、あーん」
三日月「お姉ちゃん、一人で食べられるよ・・・」
初霜「何言ってるの?利き手骨折しているんだからどうやって食べるの?」
三日月は昨日の作戦で銃弾による負傷で右腕を全治1ヶ月の怪我を負っていた。
三日月「それはそうだけど恥ずかしいよ・・・」
そう言いながら電に視線を向けた。
電は苦笑いするしかなかった。
そしてそのままキッチンに向かった。
料理妖精「電さん、おはようございます。今用意しますね」
電「それもあるんだけどお姉ちゃん用のお粥も用意できるのです?」
料理妖精「分かりました」
そう言って調理を開始した。
電は食堂の椅子に座った。
隣では三日月が諦めて初霜に食べさせてもらっていた。
三日月「ご、ごちそうさま・・・でした」
電「三日月、顔赤いけど大丈夫なのです」
三日月「電、さては分かっていて言っているよね?」
電「はて、私にはなにも分からないのです。あ、できたみたいなのです」
そう言ってキッチンに向かい料理を持って食堂を出た。
初霜「ふふっ、仲良いわね。あら、ここ跳ねてるわよ」
初霜は三日月の跳ねた髪を直した。
三日月「ありがとう」
初霜「どういたしまして。それじゃあ提督の所に行こっか」
二人はトレーを持って食器置き場にトレーと食器を置き、食堂を出た。
電はゆっくりと移動し医務室の扉を叩いた。
電「提督、開けてください」
少しして扉が開き吹雪のところまで運んだ。
吹雪「ありがとう」
電は近くの机にトレーを置くとお粥を持って吹雪の近くに寄った。
電「お姉ちゃん、はい、あーん、なのです」
吹雪「えっ?あ、ありがとう。はむっ」
秋雨「そういえば初霜と三日月は?」
電「食堂にいたのです」
初霜「失礼します」
秋雨「あ、ちょうどよく来た」
三日月「ちょうど?」
秋雨「うん。まあ、ここで作戦会議をするか。実は昨日の遅くに連絡が入っていてね、捕虜の場所が分かった。それもかなりの人数だ。ここの救助は必然だが、三日月のようにはさせたくない。なにか案はある?」
電「ある程度武器を持っていくのはどうでしょう?」
吹雪「でも、潜入だと見つかりやすくなるけど・・・」
三日月「ハンドガンなら大丈夫だと思うよ」
秋雨「確かにな。よし、それでいこう。それで、今回は俺一人で行く」
初霜「なぜですか?」
秋雨「簡単に言えば三日月のように戦力を減らしたくない。現状戦力が足りないのにさらに減らしたくない」
電「でも一人で大丈夫なのです?」
秋雨「問題ない(あいつがいるしな)」
秋雨は小さく微笑んだ。
そして3時間後、秋雨は輸送挺に乗り込み捕まっている敵地に向かった。
ミッドウェー島深海棲艦基地
秋雨「よいしょっと。っ!」
???「動くな」
突然後ろから銃を突き付けられた。
???「誰だ。名を言え」
秋雨「俺は秋雪鎮守府司令官、秋雨だ。それで君は?」
???「・・・提督?も、申し訳ありません」
銃が離れ、秋雨が振り向くと秋月が頭を下げていた。
秋月「てっきり見張りかと思い・・・」
秋雨「いや、大丈夫。それより見事だった。まったく気づかなかったぞ」
秋月「ありがとうございます」
秋雨「秋月、指示するから聞いてくれ」
秋月「なんでしょう?」
秋雨「これを渡すから見張りをやってくれ。俺はその間に捕虜を助ける」
秋月「了解です」
そう言って秋月に小銃を渡した。
秋月は敬礼をすると任務を遂行しに行った。
秋雨も見張りの目を盗み、牢獄に向かった。
そしてある牢獄の前に着いた。
ゆっくりと扉を開けると一人の少女が壁にもたれていた。
秋雨「やっぱり報告の通りだったな。響」
響「そりゃあ、妖精に直接指示していたからね。久しぶり、提督」
秋雨は扉を閉めると背負っていたバッグを響に投げた。
響はそれを受け止める。
中にはバラバラの銃が入っていた。
響「分かってるね。私の相棒」
響はそう言いながら組み立てた。
秋雨がもってきた銃は38式大型狙撃銃と言うもので響の専用銃だ。
30㎜の大口径ながらサプレッサーによる静音性、そして響の技量で遠くにいる敵も確実に仕留められる銃。
響「よし、これで戦える」
秋雨「まだいるんだよね?」
響「ああ、全員個室だから面倒だけど。それで案だけど提督がこの周辺を、私が上の牢獄を調べるのはどうだい?」
秋雨「分かった。それでいこう。じゃあこれを持っていってくれ」
そう言って何丁かのハンドガンを渡した。
響「それじゃあ気をつけて」
そう言うと敬礼して牢獄を出た。
秋雨も捜索のため一つ一つの牢獄を調べた。
すると一つだけ人の気配があった。
そして扉を足で開けて銃を構えた。
???「提督?」
秋雨「文月・・・無事だったか」
文月「はい・・・あの、他の子は?」
秋雨「響を助けたから他の子は響が助けるはずだ」
文月「そうですか・・・あの、提督、お姉ちゃん達は無事ですか?」
秋雨「三日月以外は・・・」
文月「・・・」
文月の目から涙が流れた。
秋雨「大丈夫か?いやすまない・・・」
文月「提督、私は大丈夫。てっきり私しか生きていないと思っていたけど・・・三日月が、妹が無事だって思うと涙が・・・」
秋雨は文月の頭を撫でた。
秋雨「三日月も心配してた。姉妹を探すために必死になって探していた。それじゃあ帰ろっか」
文月「うん」
涙が止まった文月を連れて牢屋を出た。
足音がし、横を見ると響がいた。
後ろには暁と雷がいた。
秋雨「これで全員か?」
響「うん。それとある程度の見張りは片付けといた」
秋雨「ありがとう。よし、外に秋月がいるはずだ。行こう」
響と秋月のおかげでほとんどの見張りはいなかった。
無事、外に出た秋雨達は秋月と合流して輸送挺に向かおうとしたが途中であるものを見つけた。
響「・・・ん?」
秋雨「どうした響?」
響「あれは・・・提督、あれは使えないかい?」
響が見ている方に持っている銃のスコープで見た。
秋雨「あれは、飛行艇?ぼろいが使えそうだな。しかし、敵がいるな・・・響やれるか?」
響「了解」
秋月「提督、ここじゃかなり距離ありますしそれに敵も三人もいますよ。もう少ししんちょ・・・」
パパパシュン
秋月「・・・え?」
響「・・・クリア。行こっか」
秋雨「ナイス、響」
秋月「え?今、一瞬で敵が・・・」
秋雨「そういえば秋月って響の銃の腕前、知らなかったな。こんな感じ。半年前の狙撃大会でも優勝したし」
響「まあ、そうゆうこと。さ、行くよ」
響は少し嬉いそうな顔をしながら歩いていった。
秋月「(響って無表情が多いけど、可愛いところもあるんだ)」
そう思いながら秋月もついていった。
飛行艇に着くと秋雨は飛行艇に乗り込んで動かそうとした。
雷「動くのこれ?だいぶ穴だらけだし、あちこち錆びてるし」
10分経ち、そろそろ動かないと思い始めた時、プロペラが回り始めた。
秋雨「よし、皆乗れ。輸送挺は・・・」
運転妖精「燃料が足りないので自沈させます。皆飛行艇に乗れ!」
妖精達が飛行艇に乗ると飛行艇は滑水を始めた。
そして飛行艇が離れると輸送挺に仕掛けた爆弾が起爆し沈んでいった。
飛行艇はその後無事離水したが、ここまで騒ぎが大きくなるとさすがにただでは帰してくれなかった。
秋月「5時方向敵機!数4!」
秋雨「対空戦闘!機銃は使えるか!」
響「使えるよ。火力もあるみたい」
この飛行艇にはボロボロだが20㎜機銃を三基搭載していた。
それぞれ暁、響、雷が機銃を操作した。
ダダダンダダダ
秋雨「基地まで持たせるぞ!他に敵機は!」
秋月「確認できません!」
響「一機落とした。っ!提督!機体を上げて!下にいる!」
秋雨「分かった!」
各所からの指示で回避しながら応戦し、基地に向かった。
暁「落とした!たぶん今ので最後」
基地が見え始めたとき、最後の一機を落とし機内は静かになった。
秋雨「皆、お疲れ様・・・怪我してない?」
響「大丈夫だ。提督は?狙われていたけど」
秋雨「うん。だ、大丈夫・・・」
秋月「・・・妖精さん、操縦して。響」
響「分かっている。提督、失礼」
そう言うと秋雨の服をめくった。
腹部が赤くなっていた。
響「やっぱり。そうだと思った」
秋雨「ああ、よく、分かったな」
秋月「提督はよく、無理をしますから。さっきも口調がおかしかったので怪しいと思って」
秋雨「・・・帰ったら治療を受けるよ」
飛行艇はその後妖精により着水、桟橋に停泊した。
秋雨はそのまま医務室に運ばれほとんどの艦娘も医務室に向かった。
しかし、文月だけはあるところに向かった。
文月「(もし、三日月が心配しているのならあそこにいるはず・・・)」
秋雪鎮守府敷地内日照山日照神社
三日月は姉妹が出撃すると基本的にそこに座っていた。
ここからは出撃する姉妹達を見ることができた。
そして、今日も三日月は日照神社にある小屋の縁側に座っていた。
空にはきれいな三日月と星が昇っていた。
三日月「・・・(もし、あそこで見つからなかったら、もう、見つけられないかもしれない・・・だったら、私がしたことはなんだったんだろう・・・手を怪我してまで居もしない姉妹を探した私は・・・)」
三日月は空を見ていた視線を右手に向けた。
そこには包帯が巻かれていた。
三日月は涙を流した。
落ちた涙が包帯に染みていく。
???「三日月」
突然、後ろから声をかけられて振り替えると、文月が立っていた。
三日月「お、お姉ちゃん・・・」
文月「やっぱりここにい・・・」
突然、三日月が文月を抱き締めた。
勢いよく来たので文月は倒れ込んだ。
三日月「お姉ちゃん!!心配したんだよ!!死んじゃって思っていたから!!寂しかったんだよ!!」
三日月は文月を抱き締めたまま話した。
しかし号泣していたため途中からすすり声しか聞こえなかった。
文月も三日月を抱き締めた。
目からは涙が溢れていた。
文月「ごめん・・・一人にしていて。でも、今からは、一人じゃないよ。私が、いるから、大丈夫だよ」
そしてだんだん神社に2は人のすすり声しか聞こえなくなってきた。
そんな様子を見て、一人、静かに泣いている少女がいた。
初霜「よかった。元気そうで」
初霜は流れた涙を拭いてその場を後にした。
一方鎮守府でも医務室で再開した電達が泣いていた。
三時間後
基地全体が静かになった頃、初霜はもう一度、神社に来た。
そして小屋のなかを除くと文月と三日月が引っ付いて寝ていた。
初霜「あらあら、疲れちゃたのかな?」
初霜は持ってきた毛布を2人に掛けて、頭を撫でた。
文月「むにゃむにゃ・・・えへへ、お姉ちゃん・・・」
三日月「スーッスーッ・・・お姉ちゃんすきぃ・・・」
2人の寝言に初霜は微笑んだ。
初霜「ふふっ、お姉ちゃんはここにいるよ~」
そして、初霜も眠くなり、毛布の中に入った。
それから2人の顔をみながら囁いた。
初霜「おやすみなさい、2人とも」
次々と救出している鎮守府。さて、重症の吹雪はどうなるのか?続編も楽しみにしてください