クソ雑魚メンタル皇帝   作:ウマ娘二次増えろ

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 無敗で三冠取らなくてはならないので、しばらくは苦戦はしてもこんな感じが続くかな?
 後、マルゼンスキーの会話描写が難しい。


第3話 片鱗

 居心地悪そうに視線を左右させるシンボリルドルフは、ハナに懇願にも似た視線を向ける。

 

「だ、だから私は走りませんって⋯⋯」

「もう。ここに立ったなら、走るしかないのよ。バイブス上げてきましょ?」

「ば、バイブス⋯⋯?」

 

 マルゼンスキーの用いる前時代または先進的な表現に疑問符を浮かべるが、それを説明する者は当然ながら居ない。

 シンボリルドルフ自身、未だにどうして走らなくてはならないのか、とか、どうしたら走らなくて良いかなどということに思考を割いている。

 少なくとも、その様子に落ち着きは無い。

 

 

「───位置について」

 

 

 しかし、ハナがその言葉を発した途端に、一瞬にして空気が変わる。

 先程まで戸惑いでいっぱいだったというのに、その言葉にパッと弾かれるようにして顔を変えたシンボリルドルフを見て、ハナはやはりと思った。

 

 シンボリルドルフは、走れる(・・・)

 

 競走したくないと言っていたのが嘘のような戦意の高まり。ピリピリと肌に刺さるような闘気。

 走るために生まれてきたという表現がこれ程までに当て嵌るウマ娘は、ここトレセン学園にもそうはいないだろうと断言出来た。

 

「よーい」

 

 スタートダッシュの構えを取って、二人は前を見据えた。

 視界がクリアに、合図を聞き逃すまいと感覚が鋭敏になる。

 グラウンドの端で観戦に来ていたマルゼンスキーの友人達や、リギルのメンバーも固唾を呑んで今か今かとその時を待った。

 

 そして、

 

 

「スタートッ!」

 

 

 合図を切っ掛けに、二人は駆け出した。

 

「「⋯⋯ッ!!」」

 

 走り出しは完全に五分。マルゼンスキーもシンボリルドルフも、どちらもよく集中できていた。

 先を争うことなくマルゼンスキーが先頭に、シンボリルドルフがそれを追う形となってレースは形成される。

 

 逃げの戦法を得意とするマルゼンスキーは、開幕から全開でターフを抉るように走る。

 それに対して、シンボリルドルフは先行や差しなど中盤から終盤にかけてのスパートを得意とする。今回は先行の位置から勝機を窺うらしい。

 それは、逃げるマルゼンスキーを差し切って勝つのは分が悪いという判断からか。

 

 コースは2000メートル、芝。

 マルゼンスキーの大得意とするマイルではなく、シンボリルドルフの得意とする中距離のコース。

 それは、シンボリルドルフの実力を見る為にハナが設定したものだが、にも関わらずマルゼンスキーはいつも通り、それどころかいつもよりも高いコンディションでレースに臨めていた。

 

「⋯⋯ッ!」

「なかなかやるわね!」

 

 全力で逃げるマルゼンスキーの速さは、本格化前の新入生とは思えないほどのもの。

 だが、シンボリルドルフは苦しげもなくそれに付いて行っている。

 同級生には並ぶ者を探すのが難しい程のマルゼンスキーの逃げ足は、そこそこ得意止まりの中距離でも揺るぎなく炸裂しているというのにだ。

 走る中、漏れ出た純粋な賞賛は、マルゼンスキーの本心そのものであった。

 

「でもね、勝つのはアタシよッ!」

「っ!?」

 

 しかし、シンボリルドルフが距離を詰めようと足を速めた時、マルゼンスキーは溜めていた力を解放するように踏み込む。

 ターフが土と共に弾け飛んで、マルゼンスキーの総身が風を切り裂いて勢い良く飛び出して往く。

 それは、ここまで全力で逃げていたとは思えない程の推進力で以てシンボリルドルフを突き放していった。

 その差は脅威の5バ身。

 このままではマルゼンスキーが逃げ切るだろうことは明白。

 

 第三コーナーに差し掛かって、誰もがマルゼンスキーの逃げ切り勝ちを確信したその時であった。

 

 

「え⋯⋯?」

 

 

 マルゼンスキーの肉体に、重苦しいナニカ(・・・)が纏わりついた。足が前に出ない、息苦しさすら覚える、恐ろしいまでに強い束縛がマルゼンスキーを襲った。

 否。

 それはただのイメージに過ぎない。

 まるで、レースを独占(・・)するかのような気迫だ。

 

 しかし、事実として先頭を走っていたマルゼンスキーの速度は大きく低下した。

 

「⋯⋯私は負け、ないッ!!」

 

 放たれた弾丸の如く突っ込んでくるチェイサー(シンボリルドルフ)の気迫に、マルゼンスキーは囚われてしまっていた。

 

 そこに、先程までの臆病で気弱な少女はいない。

 ウマ娘らしい本能からの勝利への渇望が、ゴールへの執着心が、マルゼンスキーの闘志に触発されて眠れる王の素質を呼び覚ます。

 

 シンボリルドルフの驚異的と言う他ない末脚が炸裂し、残り400メートルの標識が顔を見せた時点でのその差は1バ身程にまで縮まる。

 留まることを知らずにぐんぐんと伸びていくスピードは、シンボリルドルフをマルゼンスキーに並ばせ、

 

 

「勝つのは、私だッ!!」

 

 

 シンボリルドルフの気合いと共に、次の瞬間にはマルゼンスキーを追い抜かして見せた。

 残り200メートル時点でのことであった。

 

「くぅ⋯⋯ッ!」

 

 負けじとマルゼンスキーも速度を上げようと粘るが、シンボリルドルフの足はさらに回転し、差は広がっていく。

 シンボリルドルフの視線の先には、もう既に終着点(ゴール)しか存在しない。

 そのまま衰えることなく疾駆するその背をマルゼンスキーは懸命に追い掛けるも、終ぞその差は縮まることなく開き続ける。

 

「はぁぁッ!」

 

 最終的に一番でゴール板を駆け抜けたのはシンボリルドルフであった。

 その最終的な開きは6バ身。

 これには、マルゼンスキーの勝利を信じて疑わなかった友人達も、思わぬ強敵の出現に驚愕するリギルのメンバーも、それどころか良い勝負をするだろう程度に考えていたハナ自身さえ唖然とするしかなかった。

 

「⋯⋯」

「はぁっ、はぁっ⋯⋯」

 

 慣れない距離を全力で逃げ続けたこともあって息の上がりが激しいマルゼンスキーとは対照的に、シンボリルドルフは差程息を切らすこともなく、しかし呆然としてグラウンドを見渡していた。

 

「⋯⋯あ」

 

 そして、遂に地面に膝を付いて息を荒らげるマルゼンスキーを認めると、顔を苦痛に歪める。取り返しのつかないことをしてしまったという表情。

 その瞳には何かへの恐怖心(・・・)がありありと浮かんでいた。

 

「⋯⋯ごめんなさい⋯⋯ッ」

「へ?」

 

 勝ったというのに浮かない顔の彼女に何と声を掛ければ良いのか。

 ハナが逡巡する間もなく、あろうことか謝罪を零すとシンボリルドルフは逃げるようにその場から駆け出していってしまった。

 残されたのは、何が何だか分からないマルゼンスキーと外野達だけ。

 

 傑物の素質を垣間見せた二人の初戦は、こうして幕を閉じるのであった。

 




 今回ゲーム的には、好位追走、逃げけん制、独占力、かく乱、コーナー巧者、末脚。
 イメージとしては、ションボリルドルフは独占力とか八方にらみとかその他もろもろのデバフガン積みに、直線加速系とコーナー巧者、そして壊れ専用スキル。

 感想、誤字脱字報告、アドバイスたくさんください(直球)

続くなら?

  • ガッツリスポ根(長編)
  • あっさりテンポ良く(中編)
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