ガールズバンドとシチュ別で関わっていく話   作:れのあ♪♪

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 アフロとりんりんのリクエストは妄想を練ってる段階なので後回しです。
 
 今回は某ゲームの食事シーンを少しばかりパロってみました。ちょっと悪ノリなので批判がもしあれば削除します。

 タグに「他作品ネタ」とか追加した方がいいですかね?元ネタは知らなくても問題ないようにはしてますが・・・


10.丸山彩と晩御飯を一緒するシチュ(パロディ回)

『ねぇレン君。今日の晩、ちょっと時間が空いたんだ~。よかったら一緒にご飯にでも行かない?いい場所、連れてっちゃうから!』

 

 休日の昼過ぎ、突如として彩さんからこんなチャットが送られてきた。お世話になってる先輩だし、予定もないので二つ返事でOKを出した。

 丸山彩、俺も何かと相談に乗ってもらったり、個人的な雑談をしたりするぐらいには仲がいいと思っている学園内の先輩。年上で芸能人なのだが、何か親近感が持ててしまうという不思議な魅力の持ち主であり、また、俺が先輩としての肩書を抜きにして人として尊敬する人間の一人だ。

 しかし、あの人と二人きりで食事というのはしたことが無い。

 彩さんは俺をどこに連れていくつもりなのだろうか。彩さんは芸能人だし、とてつもない豪華なところだったり・・・いや、彩さんは今をときめく女子高生だし、SNS映えしそうなすごくおしゃれなところだったりするかもしれない。どちらにしても俺が苦手な感じの雰囲気の店だし、心の準備が必要そうだ。

 そう思いつつ、俺は心を躍らせながら家を出るのだった。

 

 

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——某所、焼肉店にて——

 

「いや、なんでここなんすか?」

 

彩さんは夢中で白飯をかき込んでいる。連れてっといてもらって言うのもなんだが、現役アイドルとの食事が焼肉って・・・しかも結構安いところだ。

 

「晩飯だったらもっといい店あったでしょ?CiRCLEのカフェテリアとか、羽沢珈琲店とか、それこそ駅前のカフェとか」

「あれ、嫌だった?変に着飾った店よりこうゆう店とか、小汚いラーメン屋さんの方が好きなのかと」

「いや、全くもってその通りなんですけど、彩さんの誘いだからどこに行くのか、緊張して心の準備してたのに、なんか身構えて損したというか」

「もしかして幻想を壊しちゃったかな?アイドルはおしゃれで綺麗なものしか食べてない方が良かった?」

「いや、俺はこうゆう店の方が好きですし、誘ってくれた彩さんには寧ろ親近感が湧きましたよ」

「じゃあ問題ないよね。ほら、塩タン焼けたよ。」

「どうも」

 

 そう言って渡された塩タンで白飯を巻いて食べる。・・・やっぱり好きな味だ。彩さんには感謝しないと。

 

「そういえばイヴちゃんのこと、ありがとね。ハグ禁止の時、結構落ち込んでたからさ。」

「別にいいですよ。俺はまりなさんと一緒に話聞いただけですから」

「まぁ、元気にしてもらったのは変わらないし、今回はそのお礼ってことで」

「なるほど、じゃあ遠慮なく頂きます」

「よし、今日はジャンジャン食べよう。お姉さーん!ホルモン追加で!」

「ハーイ!」

 

 

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 俺の前で機嫌よくホルモンを焼いているが、彩さんはアイドルで、成功者だ。彩さんだけじゃない。俺の周りのガールズバンドの連中はみんな充実している人間だ。目標を持ち、まっすぐ突き進んでいる。

 それに比べて俺はどうだろう。俺は音楽と真剣に向き合ってきた訳じゃない。目標も、特技も、誇れるものも、これと言ってある訳じゃない。普段は全然気になりもしないが、たまに彩さんみたいなすごい人がいると、そんな考えが浮かびもする。

 

「彩さんは、なんで俺なんかと仲良くしてくれるんですか?」

「・・・どうゆうこと?」

「俺みたいな何の取り柄も無いような男に、なんで彩さんみたいな凄い人がここまでしてくれんのかなって、ちょっと思っただけです」

「逆に聞くけど、レン君は私が凄い人だから仲良くしてくれるの?」

「いや、それは違います。俺は——」

「そうゆうことだよ。私がここにいるのは、仲のいい後輩とご飯を食べるためであって、アイドルとしての営業のために来たわけじゃないんだよ?」

「まぁ、頭ではわかってるんですよ。ただ、周りに凄い人ばっかりいると、ちょっと・・・惨めになる時もあるというか、俺に生きる意味ないんじゃないかって思ったりとか・・・。あぁいや、すぐにいつもの調子に戻るんで、気にしなくていいですよ。」

「気にしなくていい、か。・・・・・・これ、食べな」

 

 彩さんはそうゆうと網の上のホルモンを俺の皿に置いてきた。でも、これは・・・

 

「ちょっ、彩さんこれ。丸焦げじゃないですか」

「そのホルモンと同じだよ。私も、レン君も」

「?はぁ・・・」

「焼き過ぎたお肉は硬くなって食べられなくなる。でもホルモンは違う。焼かれてこそ真の価値が出てくる」

「はぁ・・・」

「焼かれて焼かれて、真っ黒焦げになって、脂を落して味を磨くの」

 

 彩さんは落ち着いた様子で俺のホルモンを見ている。一度彩さんの方を見てから、俺はそのホルモンを食べた。

 

「あ、美味い。結構いけますね」

「ふふ、そっか。じゃあこれはどう?」

 

そう言って、彩さんはまた網の上のホルモンを俺の皿に置いた。食べてみると

 

「うげっ。ちょっ、これ生焼けじゃないですか!食えないっすよこんなの!」

「だよね。生焼けのホルモンなんて食べられないもん。もっと焼かれなきゃいけない人間なんだよ。レン君も、私もね・・・」

「彩さんも・・・ですか?」

「当たり前だよ。アイドルとしてデビューもして、妹分のグループもできて、ちょっとした焦げ目ぐらいはついたかもだけど、まだまだって思うことはいくらでもあるし」

「彩さん・・・」

「私は育ちのいいお肉とは違う。千聖ちゃんみたいに裏打ちされた経験も無いし、日菜ちゃんみたいにすぐに何でもできちゃう訳でもない。だから、もっと焼かれなきゃいけないの。周りにいいお肉があるからって、諦める理由になんかならないよ」

「・・・惨めになってる暇があるなら、もっと自分を焼いてみろ、ってことですか?」

「そうだね。焼かれてないホルモンなんて誰も食べてくれないんだもん。焼かれて焦げて、真っ黒になって、初めて意味が出てくるの。」

 

 彩さんの言い方をすれば、俺は育ちのいい肉じゃない。だが、焼かれて味を磨くぐらいはできるかも知れない。自分に不安を抱きながらもアイドルの夢を諦めず、養成所で自分を焼き続けた彩さんのように

 

「まぁ、育ちの悪いホルモン同士、頑張っていこうよ!レン君は新聞部で、私はアイドルとして、丸焦げのホルモンを目指そう!」

「はい・・・!そうですね」

 

 そうだ。高校に入ってガールズバンドのみんなと出会って、俺は少なからず変わった。生焼けの過去を気にしても仕方がない。

 

「よし!なんか食欲出てきたな。」

 

 そうして俺は網の上のホルモンを・・・取れなかった。いや、盗られた。

 

「あっ・・・」

「早く食べないと燃えカスになっちゃうからね」

「なっ・・・!人がせっかく元気になったのに・・・お姉さん!ホルモン10人前お願いします!」

「えっ!?そんなに食べるの?」

「当たり前でしょ。育ち盛りなんですから」

「うわぁ。やっぱ男子高校生の食欲って凄い・・・」

 

 しばらく焦がしホルモン祭りが続き、彩さんとの焼肉は結構盛り上がった。

 

 

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「いやー、食べたねぇ。明日まで残っちゃいそう」

「ですね。・・・彩さん。ありがとうございました」

「えっ?どうしたのいきなり」

「いや、なんか話聞いてもらっちゃったんで」

「ああ、気にしなくていいよ。先輩としては後輩に頼られて嬉しいし、レン君が私の話ですっきりしたようで何よりだよ」

「俺自身、そんなに気にしてるつもりは無かったんですけどね。なんかすっとしました」

 

 やっぱり、彩さんは尊敬できる人だ。俺もこんな風になりたい。

 

「じゃあ帰ろっか。しばらく一緒だよね」

「はい。送っていきます」

 

 そう言った途端、携帯に着信が入った。・・・姉さんからだ。彩さんから出ていいと許可をもらったので、早速出た。

 

「もしもし。姉さん?」

『ちょっとレン?いつまで外で遊んでるの?夕飯の準備終わっちゃったよ?』

「・・・ゆうはん?」

『今日気合い入れてアタシが唐揚げ作りまくるって朝に言ったでしょ?もしかして忘れてたの?』

「あっ・・・」

『アタシ帰るまで待ってるから。じゃあね』

 

 その言葉を最後に、通信は途絶えた。

 

「ヤバい。焼肉行くって言い忘れてた」

「あの・・・レン君。今日は私がいきなり誘っちゃったし、一緒に謝ろうか?」

「いえ、・・・大丈夫です」

「そっか・・・」

「あー、なんて言い訳しよっかなぁ?」

 

 こうして俺は、彩さんのありがたい話を聞いた後に、姉から物理的に焼かれないことを祈りながら帰路についたのだった。




 あの焼肉シーンのホルモンの話の元ネタ、大好きなんですよね。
 

 ノリと勢いで10話ぐらいまで書きましたが、10話の中で好きな話とかありますか?「この話が一番好き」みたいなのがあれば感想に書いて欲しいです。参考にして次に活かしたいので。

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