ガールズバンドとシチュ別で関わっていく話   作:れのあ♪♪

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 おやぁ?
 どうしてクリスマスのこんな時間にこのページを見ているのですか?

 普通の人なら、恋人や友人と楽しく過ごしている筈なのに、どうしてあなたは薄暗い部屋の中、たった1人でこの画面をお覗きに?

 なんです?「そういうお前はどうなのだ」……ですと?

 ンンンンンンンンンッッ!!
 野暮なことは言わないで宜しいッ!余計なことに気付いた者やクリスマスをじっくり楽しんでからこのページを見ている者は拙僧が1人残らず呪い殺してくれましょうぞ!

 さぁ顕光殿、お目覚めを!急急如律令ですぞ!
 ンンンンンンンンンンンンンンソンンンッッッッ!!




 では、本編はこちらに御座いますれば。

 


85.二葉つくしとクリスマスの夜なシチュ

 

 クリスマス当日。

 夜の闇と、都会の光が、街の配色を染め上げる。

 電飾を纏った大きな木をバックに、ただ待ち人を待つ。

 

「寒……」

 

 たとえ厚着をしようとも、姉が編んだマフラーが首元を優しく包み込もうとも、12月の気温は、その場から動きもしない人間の体温を容赦なく攻撃してくる。

 

「あいつ、まだかな……」

 

 集合時間にはまだ早い。

 自販機で温かい飲み物を買うことだって出来るし、スマホがあれば退屈な時間だって潰せるが、今日はそれをしない。

 デートの待ち時間は、なるべくあの子のことだけを考えていたい。

 そうやって待ち遠しくなっている方が、会えた時にもっと嬉しい気持ちになるから。

 

「乙女かよ。俺……」

 

 明るさを増す街並みを見ながら、そんなことを呟く。

 はしゃぐ子供、それを後ろで見守る母親、家族へのお土産であろう紙袋をもったサラリーマン、友人同士で楽しそうに話す制服姿の若者、そして手を繋いで歩く恋人たち。

 街中のイルミネーションの明かりが、そんな浮かれた人々を照らす。

 ずっとそんな光景を見ていたからか、目がチカチカしてきた。

 そろそろ眩し──

 

「だーれだ?」

 

 眩しさを感じ始めたと思った矢先、いきなり視界が真っ暗になる。

 冷たくなった指先が俺の目蓋を冷やし、背中には小さな体が押し付けられる。

 まったく、この期に及んで『誰だ』とは。

 俺が君の声を聞き違える訳ないのに。

 

「まだ集合時間15分前だぞ。つくし」

 

 そんなことを言いながらも、俺の声は既に嬉しさを隠しきれずにいた。

 

「だって早く会いたかったんだもん」

「可愛いやつだな」

「えへへ……」

 

 ミニスカートのハイソックスに、冬仕様でモコモコした服装、そこにふわふわした帽子を被った彼女を微笑ましく思いながら、俺は帽子越しにつくしの頭を撫でた。

 すっごい嬉しそう。

 あと超可愛い。

 

「今日の服もめちゃくちゃ似合ってる」

「ふふーん。今日は特に気合入れてきたんだよ?服以外にも色々違いとかつけてみたんだけど、分かる?」

「そうなのか?うーん……」

「まぁ、男の人は分かんないよね」

 

 そう言いながらつくしは笑う。

 

「ところで話変わるんだけど、リップの色変えた?」

「話変わってないんだけど!?」

「だっていつもより大人っぽくなってたし、メイクも普段より色っぽいからさ」

「ううっ、そうだけど……」

「綺麗だよ」

「……!!も、もう!話はこれぐらいにして早く行くよ!イルミネーション見るんでしょ!」

 

 照れたつくしも可愛いよ。

 なんて本音をそっと心に留めながら、俺は足早に歩き出したつくしの後を追いかけた。

 

【二葉つくしのヒミツ】

 『可愛い』より『綺麗』と言われる方が弱い。

 

 

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 先を歩いていたつくしに追いつき、イルミネーションが照らし出す街道を並んで歩く。

 普段は時間も取れないし、せいぜい近場でお茶するぐらいしかやる事が無い俺たちのデートだが、今日は特別。

 

「しばらく歩いて、最後に広場の大きなクリスマスツリーを見て……それから何しよっか?」

「その後の予定は特に無しかな。歩いて気になった所があれば寄ったり、お腹すいたらどっかで何か食べたり……」

「レンさんってデートの予定とかしっかり決めないよね」

「ご不満?」

「そういう訳じゃないけど、私なら最初から最後まで完璧に組むなって」

「それでどこかで上手くいかなくなって空回りするんだな?」

「むぅ。別にいいでしょ?好きな人の前でぐらいちゃんとしたいの。レンさんは違うの?」

「俺は好きな人の前でぐらい気張らずに安心したいタイプなので」

「気が合わないね。でもレンさんのそういうとこ、嫌いじゃないよ」

「俺もつくしの真面目なところは好きだよ」

 

 付き合うようになってそれなりの時間を一緒に過ごしたが、俺たちは未だに2人きりだとすぐに惚気てしまう。

 そして隙あらば好き好き言い合ってしまう。

 流石にもう少し落ち着きのある付き合いをした方がいいかとも思うが、好きなんだから仕方ない。

 美人は3日で飽きるとかいう言葉があるが、つくしの魅力はいつまで経っても飽きない。

 それは何故か。

 当然、つくしが世界一可愛いから。

 

「レンさん」

「んー?」

「手、繋ぎたい」

 

 ほら可愛い。

 でも、上目遣いでおねだりをしてくるつくしを見ていると、なんだか意地悪をしたくなった。

 

「どうして?」

「どうしてって……。ダメなの?」

「ダメとは言ってない」

「じゃあ繋いでよ。彼氏であるレンさんには私の指先を温める義務があるんだから」

「……義務なんだ」

「義務なの」

「なら仕方ないか」

 

 嘘。本当はさっきから繋ぎたくてたまらなかった。

 そして手を近づけた時、つくしが呟く。

 

「レンさん」

「どうした?」

「私、女の子だし、男の人よりも冷え性で、レンさんよりも指先とかがすぐに冷たくなっちゃうんだ」

「そっか」

「だから、これからも、今日みたいな寒い日の夜になったら……私の手を温めてくれる?」

「寒くなくても温めてやるよ。いつまでもさ」

「レンさん……」

 

 冷え切ったつくしの小さな指先に、俺の指先が重なった。

 こうして俺たちはいい雰囲気に──

 

 パチンッ!(静電気)

 

「「痛った!!??」」

 

 

【冬の恋人あるある】

 一切の前触れも無く迸る雷の呼吸。

 

 

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「自分の恋人に向かって雷の呼吸なんて信じられない!」

「いや、多分放電したのはお前の方だと思うぞ。モコモコしてるし」

 

 俺とつくしは煌びやかな街道を歩きながら口喧嘩をしていた。

 ……当然、恋人つなぎをして。

 

「というか、指先が冷えるなら手袋すれば良かったのに。持ってないのか?」

「持ってるけどそれはダメなの」

「俺、買ってやろうか?」

「ヤダ」

「なんで?」

「ヤダったらヤダ」

「えぇ……」

 

 つくしはそっぽ向いて答える。

 

「だってそんなことしたら、レンさんに直接触れないじゃん。手袋じゃなくて、私はレンさんに温めて欲しいの」

「……」

 

 少し赤らんだつくしの頬を見て、彼女がそっぽ向いた理由が分かった。

 

「あのさ、つくし」

「なぁに?」

「抱き締めていい?」

「今は人通り多いからダメ。邪魔になっちゃう」

「むぅ……」

「こら。我慢しなさい。私だってぎゅーしたいの」

「分かってるよ」

 

 つくしは子供っぽいところもあるが、こういうところは俺よりもしっかりしてる。

 年下のくせに理性的だ。

 

「でも、ツリーの場所に着いたら、人通りも止まるだろうし、そこなら邪魔にならないからさ……」

「ハグしていいのか?」

「それはダメ」

「えぇ……」

「ハグだけじゃ、ダメ」

「えっ?」

 

 恋人つなぎをしたまま、つくしは更に片手で俺の腕を掴み、全身で引き寄せる。

 歩くペースが少しだけ乱れた。

 厚手の服越しに、つくしの小さな乳房の感触が伝わってくる。

 

「着いたらさ……。キス、しよっか……」

「外だぞ?」

「いいもん」

 

 どうやらつくしも、思ってたより理性的ではなかったらしい。

 赤らんだ顔を隠して腕の締め付けを強めるつくしを見ながら、俺はそんなことを考えたのだった。

 

 

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 しばらく2人で仲良く歩いていると、街道のそれよりもひと際強い輝きを放つ大きなクリスマスツリーを見つけた。

 頂点には大きな星の飾りがあり、それを中心に何色もの煌めきが螺旋を描いてツリーを彩る。

 そんなツリーを中心に、この場所は様々なイルミネーションがひしめき合っている。

 トナカイを始めとする動物のオブジェ、ピンク色に光るハート型のフォトスポット。

 

「あ、雪……」

「ほんとだ」

 

 夜の闇の中に、ツリーを中心とする何色ものイルミネーションの光が交わり、粉雪の白が更に交わる。

 恋人と冷えた手を繋ぎながら、その幻想的な光景に息を吞む。

 

「驚いた。前々から綺麗だとは聞いてたけど、ここまでとは」

「この景色を見れただけでも、来てよかったね」

「そうだな。よし、折角だし写真も撮るか」

 

 繋いだ手を離して、2人でツリーの前へと並ぶ。

 

「やっぱ下から撮らないとツリー全体が映らないな」

「スマホ、縦向きの方がいいんじゃない?待ち受けにできるし」

「待ち受けにすんの?」

「いいでしょ別に」

「じゃあもう少しくっついてくれ。縦向きのインカメ狭いんだよ」

 

 つくしの肩を抱き寄せる。

 

「レンさん」

「何?」

「ぎゅ」

 

 抱き寄せられたのをいいことに、つくしは俺の胴体に手を回し、更に強くくっついてくる。

 お、いい感じに収まった。画角も申し分ない。

 

「撮るぞ」

「はーい」

 

 シャッターの音と共に、ツリーの前で抱き合うカップルの姿が撮影される。

 傍から見たら引くぐらいの浮かれっぷりだ。

 

「よし、撮れたぞ」

「うん」

「もう離れていいんだけど」

「ぎゅーしたいって言ったじゃん」

 

 俺に腕を回しながら、つくしが俺の正面に移動し、上目遣いで俺を見つめる。

 

「今は人通りも邪魔してないし、いいでしょ?」

「でも、人目多いし」

「迷惑かけてないじゃん」

 

 よほど我慢してたのだろう。最近は会えてなかったし。

 そうだ。これは仕方ないことなのだ。

 

「そうだな。いっぱいハグしよう」

「キスは?」

「……」

「ちゅー、しないの?」

「人目が──」

 

 つくしの冷えた人差し指が、俺の唇を塞いだ。

 

「ねぇ……」

 

 頬を朱に染め、瞳をとろんとさせながら、上目遣いで彼女が呟く。

 

「しよ?」

 

 心臓が跳ねる感覚を覚えて、俺も理性が効かなくなった。

 

「つくし」

「?」

「……いいよ」

 

 胴体に回っていたつくしの腕が、俺の首へと回される。

 背伸びをして、俺に寄りかかったつくしの体の重みが伝わってくる。

俺はその重みの正体に腕を回して抱き締める。

 

 chu-♡

 

 強く、強く、抱きしめる。

 背伸びをしたつくしをそんな強さで抱き締めたせいで、唇が重なる。

 小さくて柔らかいつくしの唇を、しっとりしたリップの感触が覆っていて、それがたまらなく気持ちよかった。

 

「はむ、ちゅ……」

 

 今日のつくしは、やけに強く俺のことを求めてきた。

 息継ぎも忘れて、俺の唇を何度もついばんでくる。

 

「んんっ……」

 

 鼻腔を襲う感覚にクラクラしてくる。

 髪からのシャンプーの香り、服に着いた柔軟剤の香り。

 そしてほのかに漂う、つくし自身の、女の子の匂い……。

 目を瞑ってしまっているせいで、それをより強く感じてしまう。

 

「(しかも、当たってるし……)」

 

 俺の胸板に押し当てられる、つくしの乳房……。

 小さな、胸。

 強く抱き締められたせいで、服越しなのに柔らかさがはっきりと伝わってくる。

 背伸びで姿勢が安定しないのに、つくしが何度も求めてくるせいで、その柔らかさがふにふにと形を変えて押し付けられる。

 

「(レンさん、レンさん、レンさん……)」

「(ヤバい。これ以上やったらおかしくなる……)」

 

 つくしの柔らかい唇に侵されて、蕩かされる。

 舌も絡めていないのに、唇がふやけるぐらいの激しさで迫られる。

 

「はむ、んっ……」

「んっ、ちょっ、こら……!」

 

 気持ちよくなってしまうのをなんとか堪えて、俺はつくしの腕を引き剝がす。

 

「レンさん、もっと……」

「ダメだってば」

「なんで……?」

「人目。ここツリーの前だぞ」

「やだ。おかわり……」

「もう……」

 

 お得意の上目遣いで求められて理性が飛びそうになるが、ここで心を鬼にしないと本当に色々と引っ込みつかなくなる。

 ただでさえお互いに我慢して溜まっているのだ。どこまで暴走するか分かったものじゃない。

 こんな場所で限度を超えてもつくしが後悔するだけだ。

 

「つくし、ちょっと痛いぞ」

「へっ?」

 

 ペチッ(デコピン)

 

「はうっ……」

 

 首に回されていたつくしの腕がようやく離れ、今は痛そうに自分の額を押さえている。

 

「レンさん……」

「何?」

「ありがと」

「もう正気?」

「うん。やり過ぎた。人前なのに」

「俺も受け入れ過ぎたよ。後で叩いていいから」

 

 ふやけた唇を拭きながら、俺も反省する。

 どうもこの手の感情はコントロールが難しい。

 お互いに経験が少ないとその辺りが難儀でいけない。

 

「レンさん」

「何?」

「ごめんなさい……」

 

 意気消沈。

 ガラにもなく暴走してしまった自分に色々と思うところがあったのだろう。

 

「つくし」

「?」

「これ、おかわりな」

 

 chu-

 

 つくしの頭を撫でながら、デコピンを当てた場所にキスをした。

 

「へっ……!?」

 

 さっきまであんなに強く俺を求めてきたくせに、この程度の攻撃でつくしは目をまんまるにして固まっていた。

 何も出来ずに瞬きの回数だけが増えたつくしを、鮮やかなイルミネーションの光が照らしていて、それが少しおかしかった。

 

「ふふっ、変な顔」

「えっと、あの……」

「キスされたことは嬉しかったよ」

「はい……」

「じゃあ、長居しても邪魔になるし、そろそろ行こう。帰りは2人でたい焼きでも買おうぜ」

 

 最後につくしの頭をくしゃくしゃと撫でて、俺はつくしを待たずに歩き始めた。

 

「待ってよレンさん!手ぐらい繋ご!」

「はいはい。さっさと来い」

 

 さっきまでの甘ったるい雰囲気はどこへやら。

 待ってる俺に急いで駆け寄ってくるつくしの姿は、まるで妹のように愛らしかった。

 そして隣に並んだ後も、俺とつくしは仲良しな兄妹のように、お互いの手を──

 

 

 パチンッ!(静電気)

 

「「痛ったぁ!!」」

 

 すぐに握り合うことはなく、ツリーの前でイチャつき過ぎた俺たちは、こんな形で天罰をくらうことになったのだった。

 





 去年はクリスマスのシチュを書けませんでしたので、ここで一筆。
 去年と同様、今回は作品の感想と共に世間への愚痴も書いて頂いて構いませんので、どうぞご遠慮なく。

 そして、本日よりバンドリのハメ作家界隈では『冬のバンドリ祭』なるものが開催されておる模様。
 好き勝手に書くだけの拙僧にとっては、いまいちこの手の集まりや作家同士の交流などは縁遠いものではありますが、読みやすい作品なども多い故、時間があれば是非ともご検索をされると宜しい。
 もしかしたら良き出会いがあるかもですぞ?

https://syosetu.org/search/?word=%E5%86%AC%E3%81%AE%E3%83%90%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%AA%E7%A5%AD&gensaku=%E5%8E%9F%E4%BD%9C%EF%BC%9ABanG+Dream%21&type=0&mozi2=&mozi1=&mozi2_all=&mozi1_all=&rate2=&rate1=&soupt2=&soupt1=&f2=&f1=&re2=&re1=&v2=&v1=&r2=&r1=&t2=&t1=&d2=2022%2F12%2F24&d1=&mode=search&page=1

 それでは皆々様。よき聖夜を。

 PS.美咲ちゃんの過去編、流石に色々と好き勝手にやり過ぎてたように思います。反省。
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