ガールズバンドとシチュ別で関わっていく話   作:れのあ♪♪

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 リクエストのAfterglowを書いてみたのですが、巴とラーメン食べに行くとモカとパン食べる話が浮かんで・・・流石に食べ物系の話ばっかりになるとまずいのでこうなりました。
 


 今回のお話のレン君は高1で新聞部に入って少し経ったぐらいです。


12.美竹蘭にライブの感想を言いに行くシチュ(過去編)

 俺はCiRCLEというライブハウスに来ている。無論取材のためだが、取材に来たわけじゃない。理由は前に取材した市ヶ谷から言われたこの一言。

『音楽に興味は無いくせに、バンドの記事は書きたいのかよ。なんか矛盾してね?』

 ・・・まぁ、いずれ向き合わなきゃいけない問題ではあった。ガールズバンドは当然流行りだし、注目も集めている。だが俺は音楽のセンスが絶望的に無い。何が楽しいのかは正直よくわからないし、戸山たちの前では「興味が無い」なんて言い方をしているが、寧ろ音楽は苦手だ。「嫌い」とかではなく、「苦手」なのだ。どうしても好きになれない。

 だが、そんな甘えたことを言い訳にするのも違う気がする。魅力も分かってないくせに記事を書こうなど、全力で音楽をやってる人間にも失礼だ。

 

 ~♪ ~♪ ~♪

 

 ステージでは知らないバンドが知らない曲を演奏している。素直に凄いとは思う。俺には無いものを持っていて、俺にできないことをやってのける。それも、凄く楽しそうに。だが・・・

 

「わっかんねえなぁ・・・」

 

 なんだかパッとしない。周りの観客の盛り上がりがどうしても理解できない。病的に音楽ができない俺は、音楽を聴いて楽しむこともできないのだろうか・・・?

 いつの間にか演奏していたバンドもステージから移動し、次のバンドの出番になった。現れたのは・・・

 

「パンクなお姉さんだ」

 

 髪の毛に赤メッシュを入れた、いかにもバンドをやってるって感じのボーカルとそのメンバー達。バンド名を告げ、マイクに向き直る。

 

「それでは聞いてください。That Is How I Roll!」

 

 ・・・凛とした歌声だった。曲調はアップテンポで激しいものだが、乱暴じゃない。不器用だけど真面目で、全力で、一生懸命なのが伝わってくる。音楽のことなんて何もわかっちゃいない俺がこんなことを考えてしまう理由は分からない。でも、そんな風に感じてしまう。

 この感情は何なのだろうか・・・?

 

「それでは、次の曲で最後になります。True color」

 

 夢中になって聞いていると、いつの間にかライブも最後になっていた。そして、優しいギターの音色と共に聞こえるボーカルのまっすぐな歌声を聞いて、

 ・・・震えた。

 

『本当の声を届けたいんだ 素直に君へと言葉で』

 

 楽しいとかではない。でも、確かに心に届いて、染み渡っていく。彼女の歌に魅了されていく。音楽を聴いてこんな気持ちになったのは初めてだ。いや、音楽以外でもこんな気持ちにはなったことがない。

 俺はこの感情の名前を知らない。

 

 俺は音楽を聴いて、初めて時間が短いと感じた。

 

 

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「君、大丈夫?おーい!君?もうライブ終わったよ?」

「はっ!?ごめんなさい。俺、ぼーっとしてて・・・」

「もしかして、あまりにもライブが凄かったから感動しちゃった?」

「感動?」

「ほら、目とか充血してるし、・・・泣いてる自分にも気付けなかったんだ」

「?・・・ホントだ」

 

 顔に触れると確かに涙の跡があった。

 感動・・・そうか。俺は感動したんだ。音楽が苦手な俺が、彼女の歌声を聴いて・・・あの歌を聴いて・・・感動した。

 時間の流れも分からなくなるぐらい・・・涙も忘れて・・・。

 

「あの、彼女たちに感想を言いたいんですけど・・・」

「ああ、それなら入り口の近くのノートに——」

「違う!それじゃダメだ!どうにかして直接言いたい!」

「えぇ・・・?」

「頼む・・・!」

 

 迷惑なのは分かっている。普段の俺なら絶対にこんなことはしない。敬語も忘れて自分勝手になことを言うなんていつぶりだろうか。

 

「うーん。気持ちは尊重したいけど、みんな帰っちゃったと思うし・・・流石に連絡先は個人情報だから教えられないし・・・」

「そうか・・・。最後に演奏したあの人たちに、どうしても伝えたかったのに・・・。」

「最後?ああ、あの子たちか。・・・ねぇ君」

「はい」

「あの子たち全員、商店街の方に住んでるって言ってた気がするんだ。もしかしたら、あの周辺を探せば——」

「ホントか!?ありがとう!すぐに行ってくる!」

「あっ、ちょっと!?ホントに探す気?・・・行っちゃった」

 

 

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 商店街を何周したのか、もう自分でも覚えていない。日も傾いてきた。暗くなるまで時間も無い。流石に疲れて頭も冷えていた。

 そもそもあのバンドの手掛かりはほとんど無い。バンドの名前も、曲の名前も、メンバーの顔も覚えていない。ただ、ボーカルに赤メッシュが入ってること、そのボーカルの歌声に感動したこと、鮮明に記憶に残っているのはそれだけだ。

 まったく、自分の記憶力の無さに腹が立つ。

 だが、足はもう動かない。もうずっと何も食べてないし、喉もカラカラだ。適当な喫茶店で夕食を済ませて大人しく帰ろう。少し疲れた。

 

 

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 ——羽沢珈琲店にて——

 喫茶店に入った俺はサンドイッチを注文してから、もうずっと机に突っ伏していた。どうやら思ってたよりも体は疲労を訴えていたらしい。

 ・・・水めっちゃ美味い。

 

「あの、大丈夫ですか?」

「ん?ああ、すいません。突っ伏しちゃって」

「いや、構わないんですけど、体調優れないなら無理しないで下さいね?」

 

 なんか、茶髪の可愛い店員さんが来た。エプロンがすげー似合ってる。

 

「今日、ガールズバンドの合同ライブみたいなのを観に行ってさ、感想の一つでも言おうかなって、その人たちを探したんだけど、全然見つかんねえの」

「バンド・・・ですか。バンド名は分かりますか?」

「わかんね。バンド名も演奏してた曲の名前も、もうちょっとで思い出せそうなんだけど・・・やっぱ思い出せねえ」

「そうですか・・・お力になれればと思ったんですけど」

 

 残念そうに項垂れる店員さん。真剣になってくれているのに申し訳ないが、そんな姿もすごく画になる。夕焼けに照らされて物憂げな表情を浮かべている姿がすごく綺麗だ。

 夕焼け・・・黄昏の色に染め上げられる店内を見ながら、ふと口から言葉が零れた。

 

「Afterglow・・・」

「えっ?」

「そうだ。Afterglowだ!やっと思い出せた」

「Afterglow、ですか?」

「そうだよ。何か知らないか?なんでも良いんだ。詳しいなら、色々教えて欲しい!」

「それは、えっと・・・」

「感想言いに来た割に随分と失礼な奴だね」

 

 店員さんを問い詰めてると、店の奥の席から声が掛けられた。そしてこちら側に歩いてきたのは・・・

 

「蘭ちゃん・・・」

「Afterglowボーカルの・・・パンクなお姉さん」

「その呼ばれ方は気に入らないけど、いったん流す。取り敢えず、あたしはAfterglowボーカルの美竹蘭。そしてあんたが絡んでるその子は、Afterglowのキーボードだよ」

「・・・マジで?」

「はい・・・。キーボードの、羽沢つぐみです」

「・・・いたっけ?」

「あはは・・・そんな影薄いかな?私」

「・・・マジごめんなさい」

 

 その後、別の人の接客で羽沢さんは離れ、警戒心むき出しの美竹さんと楽しくお喋りすることになった。

 ・・・目が凄く怖い。

 

 

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「・・・なるほど、それで何も考えずに勢いだけでライブハウス跳び出して、ここまでたどり着いたと」

「まぁ、そうゆうことだよ。取り敢えず、信用はしてもらえた?」

「何か企んでたらどうしようかと思ってたけど、あんたが警戒する必要も無いぐらいのバカだってことはわかった」

「複雑だなぁ・・・」

「でも、感想言いに来てくれたことは普通に嬉しいよ。どうだった?ライブ」

「うーん・・・」

「何?言いに来たのは文句だった訳?」

「いや、そうじゃない!言葉が上手くまとまってないんだ。俺、音楽で感動したの、初めてだからさ・・・」

「今井・・・」

「音楽のことなんて全然詳しくないのに、美竹さんが一生懸命、全力になってるのが伝わってきたと言うか・・・。心に沁み込んでくるような、そんな歌だった」

「そっか。あたしたちの全力は、あんたの心に届いたんだね」

「あぁ。泣くほど震えた」

「えっ、泣いたの?」

「そうだよ。スタッフさんに言われてから気付いたけど」

「それは本当に嬉しいな。あたしたちの音楽が、ここまで人の心を動かしたなんて・・・」

「あと、美竹さんの歌声が好きだ」

「いや、ちょっと。何なのいきなり?」

「美竹さんの素直でまっすぐな歌声が好きだ」

「待って。そうゆうお世辞はいいから」

「良くない。他のものが何も見えなくなるぐらい、俺はあんたの歌声に惚れたんだ!」

「なっ・・・!」

「そうだったんだ・・・。なら私のことが見えなくなっても仕方ないね」

「つぐみ?」

「今井君が私のことを覚えてなかったのは、今井君のせいじゃなくて、蘭ちゃんが視線を独り占めしちゃったせいだったんだよ」

「待って。そんなこと・・・」

「羽沢さんの言う通りだ。ステージで歌う美竹さんは、片時も目が離せなくなるほど・・・マジでかっこよかった」

「~~~~~!!!!」

 

 美竹さんの顔が赤くなっているがもう気にしない。そのぐらいかっこよかったのだから。

 

「そうだよ。蘭ちゃんはすっごくかっこいいんだ。」

「ああ。俺もかなりの衝撃を受けた。あの時のことを思い出そうとすると、今でも鳥肌が立つんだ。」

「待って!!もう十分だから!それ以上はただの褒め殺しだから!」

 

 普通に楽しくなった俺と羽沢さんは、しばらく美竹さんのことを褒めて、褒めて、褒めちぎった。あんなにかっこよかったのだから仕方ない。

 

 

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 話し込んでいると、辺りもすっかり暗くなった。照れたり怒ったりしていた美竹さんだったが、今は優しい笑顔だ。

 

「今井、今日はありがとね。感想、照れくさいけど嬉しかった」

「感謝するのはこっちだ。あんたらの音楽で、何か大切なものが見つかった気がするし」

 

 帰り道の分岐で少し止まった。

 

「ライブ、またおいでよ。今度はまた、別の曲も聞かせてあげるからさ」

「いいのかよ。好きになったらどうするんだ?」

「もう惚れてるんでしょ?あたし達の歌にさ」

「そうだった・・・。絶対に行くよ。美竹さんのライブ」

「ありがと。あと・・・」

「・・・」

「『蘭』でいいよ。同い年だし」

「いいのか?」

「苗字で呼ばれるのは好きじゃない」

「そっか。じゃあ蘭、次も楽しみにしてるよ」

「うん、見逃さないでね。あたし達の全力」

 

 お互いに拳をぶつけ合い、暗い夜道の中、晴れ晴れした気持ちで帰路についた。

 

 ・・・ライブに行っただけなのに、最高にロックな友人ができた。

 




 「読みにくい」や「良かった」などの感想や意見、また「このキャラを見てみたい」、「このシチュが見てみたい」などのリクエストがあれば受け付けていますので、気軽にお願いします。
 後、「この話が一番好き」などの感想も待ってます。参考にしたいので。

 
 感想、一言でも書いてくれたら嬉しいです。待ってます。



 「みたけ」って打っても「美竹」ってなかなか出ない。
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