リアルが忙しかったのと、リクエストのRASの話を書くのに手間取ったのと、R18に挑戦しようとして執筆中に顔が熱くなって「無理!」ってなったりしてて色々ありました。
前のアンケ―ト
【続き物の話はどうか?】
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見てみたい 54%
やるかどうか迷いどころの結果でしたね
今回はリクエストのRASの話です。ちょっと趣向を変えてみた部分もあります。
ここまでスーパーが似合わない少女がいるだろうか?
夕飯用の弁当とエナジードリンクを買いにスーパーで買い物していた俺が、その少女を見て最初に抱いたのはそんな感想だった。
「チュチュ・・・何やってんだ。こんな所で」
「見てわからない?夕飯の買い出しよ。やったことないけど」
「買い出し」、こんなありふれた単語すらも、彼女には似合わなかった。
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訳を話すとこうだ。
今日に限って家に夕食を作れる人間が不在、パステルカラーの飼い犬もいない上、「チュチュ様は栄養が偏りすぎです。たまにはご自分で料理の一つでもなさって下さい。今日だけはジャーキーも没収です」とまで言われた始末。生活力の無いチュチュはスーパーには寄ってみたものの、食材のコーナーで途方に暮れていたという訳だ。
「今井リサは料理が得意」という情報は得ていたらしく、チュチュは予定を変更し。今は俺の家のキッチンにいる状態だ。
「といっても、姉さんは遅くなるから帰ってこないんだけどな。」
「本当に大丈夫なんでしょうね?調べて材料は買い揃えられたけど、ワタシ達のスキルでどうにか出来るの?」
「どうだろ?でも親子丼は簡単だって美咲から聞いたことあるし・・・まぁ、ベストを尽くそう」
「Sorry あなたまで付き合わせちゃって。簡単に済ますつもりだったんでしょ?」
「別に、俺もお惣菜ばっかりは味気ないとおもってたし・・・」
チュチュと同様、俺も料理が出来る訳ではない。
そう、今井リサの弟であるにも関わらず、俺は料理が出来ないのだ。いや、俺が遺伝で受け取る筈だった分の手先の器用さまで姉さんに搔っ攫われたと考えるなら、今井リサの弟であるが故に出来ないという方が正しいのかも知れない。そうだ。俺が下手なんじゃない。姉さんが上手すぎるのだ。
「あとこれ、エプロンな。姉さんのやつだからちょっと大きいかもだけど」
「今井リサ・・・ベースも赤だけど、エプロンも赤なのね」
「ああ。姉さんの趣味だからな。「可愛いの売ってなかったから作っちゃった☆」って言ってた」
「これ作ったの!?」
・・・うん。姉さんが上手すぎるのだ。
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手も洗い、親子丼のレシピが開かれたチュチュのタブレットをキッチンの端に置き、材料の準備も整った。後は楽しく隣の少女と夕食を作るだけだ。
――まずは玉ねぎを薄切りにし、鶏もも肉を一口サイズに切り分ける――
「じゃあ、俺が鶏肉やるからお前は玉ねぎを頼む」
「なんでワタシが玉ねぎなのよ!目も痛くなるし、あんたが切りなさいよ!」
「なんだてめぇ、キッチン貸してやってんのはこっちだぞ?」
※料理音痴あるある 玉ねぎの押し付け合いが始まる
流石に年下の女子につらい役目を押し付けるのは違う気がするので玉ねぎは俺がやることになった。まぁ、皮をむいて切るだけなら大した手間もないだろう。
「なぁチュチュ、玉ねぎ、どうしろって書いてある?」
「えーと、薄切りにしろって書いてあるわ」
「薄切り・・・?うーん、取り敢えず細切れにしとけばいいか。食べたら一緒だと思うし」
「そうね」
※料理音痴あるある レシピの言うことを聞かない
それにしても本当に目が痛い。涙はなんとか堪えているが、そろそろ限界そうだ。残りも多い訳じゃないからさっさと済ませてしまおう。それにしても、この玉ねぎ特有の反撃システム、どうにかならないのだろうか?
『↑ちなみに、玉ねぎは繊維に沿って優しく切ったらちゃんと目を守れるよ。まっ、うちの愚弟はがっつり逆らったっぽいけどね☆』
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玉ねぎは無事に切り終えた。いや、完全に無事とも言えないが大したトラブルは無かった。だが、問題はまだある。
「~~~っ!shit!」
「どうした?玉ねぎはもう終わったぞ」
「切れないのよ。この鶏肉、刃は通っても最後まで断ち切れない」
「仕方ねえな。ほら貸してみろ。大体お前は食材への感謝が足りないんだよ。ちゃんと俺たちの栄養になってくれるニワトリさんへの感謝を抱いていれば簡単に切れ・・・切れ・・・簡単に切れ――」
「切れてないじゃないの」
「まぁ、それでも切れないとなると――」
この素手で引きちぎるッ!!
「ニワトリの分際でえぇ!!」
「いや食材への感謝は!?」
「知るかそんなもん!一口サイズになってたら問題ねえんだよ」
「crazy・・・」
※料理音痴あるある 「過程や・・・!方法なぞ・・・!どうでもよいのだァーッ」
『↑いや、良くないからね?鶏肉は皮をはぎ取って引くように切ればスパッといくんだから。もしくは包丁を研いで切れ味を良くするとかさぁ・・・』
――次にボウルなどの容器に卵を入れて溶く――
「よしチュチュ、準備はいいか?」
「ええ。いつでもいいわ」
「やってやろうぜ!」
「「せーの!」」
パキャッ!
「「(*´Д`)はぁ・・・」」
※料理音痴あるある 卵を割ると絶対に殻が混入する
――フライパンに水3/4カップ、白だしを小さじ1/2を入れ、砂糖を大さじ1/2、醤油を大さじ2、みりんを大さじ2加え、煮立てる――
「チュチュ!緊急事態だ!計量カップがどこにあるかわかんねえ!!」
「あんたの家のキッチンじゃない!しっかりしなさいよ!」
「そもそも3/4カップって何なんだよ!どのカップ基準でモノ言ってやがるんだ!」
※料理音痴あるある キッチンに用事が無さ過ぎて器具の場所を全然把握してない
「詰んだ・・・なんて言う訳にもいかないよな。それなりに準備しちまった訳だし」
「どうするの?ここまで来て引き下がるなんて出来ないわよ?」
「だよな・・・時に、チュチュプロデューサー」
「何よ?いきなりプロデューサーなんて」
「お前、RASでは作曲とかしてるんだよな?曲を作る時に、直感とかは大切にするのか?」
「直感?そりゃあ大切にするわよ。作曲ってアイデア勝負なところもあるし。作曲中に浮かばなかったメロディが、歯磨きをしてる時にいきなり浮かんだりするもの。寧ろ直感があってこそとすら言えるわ」
「なるほど。曲作りで直感を・・・・・・よし、それでいこう!」
「待てや!」
「どうした。何故止める?」
「なんで止めないと思ってんのよ。思わず使いもしない関西弁でツッコんじゃったじゃない!少なくともこの話の流れ、絶対直感で調味料いれる気だったでしょ!」
「仕方ないだろ。計量器具も無いんだし、お前も曲作りで直感は大事って言ったじゃねえか!」
「料理作りにまで反映されるわけないでしょ!」
まぁ、チュチュの言い分はもっともだ。俺だって調味料はちゃんと計って入れたい。でも無いものを嘆いたって仕方ない。これ以上時間をかける訳にもいかないのだから。
「なぁチュチュ、もう選択肢は無いんだ。これ以上時間かけてたら食材がダメになる」
「無いこともないでしょう?急いでその器具を探すとか・・・」
「じゃあ見つけられるのか?家主の俺ですら見つけられてないのに」
「見つけられないのはあんたが普段かけらも料理しないからじゃない。・・・でも、確かにこれ以上待てないのは事実。やるしかないようね・・・!」
「よっしゃ!やったろうぜ!」
※料理音痴あるある 最後の頼みは己の感覚
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チュチュと俺の連携によって作られた親子丼の出汁は、想像よりも順調に煮立っていた。
「なんか、思ってたよりマシな感じね?」
「うん。なんか普通に良い匂いするよな。すげー食欲そそられるんだけど」
「ワタシ達、実は料理の才能あったんじゃないかしら?」
「だよな。これ、俺達の直感だけで出来上がってんだぜ?もう天才だろ」
※料理音痴あるある 出どころ不明の自信
――切った鶏肉、玉ねぎをフライパンに加え、色がつくまで3~5分煮た後、溶き卵を加え、半熟状になるまで煮る――
「本格的に良い匂いしてきたんだけど・・・」
「そうね。料理に苦戦したせいか、もう普通にお腹空いてるし・・・というか、キッチンの視界が悪いのは気のせい?なんか目がシャバシャバするわ」
「確かにちょっと煙たいな・・・。まぁでも、もうすぐ出来上がりっぽいし、それまでの辛抱だ」
※料理音痴あるある 換気扇を回すという基本すら頭に無い
『↑いや、そこは気を付けなよホント・・・。メニューによっては家中に匂い残っちゃうんだからさ・・・』
チュチュとは紆余曲折がありはしたが、親子丼作りは無事に終了の兆しを見せていた。出汁によって煮立てられた鶏肉と卵の匂いが俺とチュチュを包む。
良い時間だ・・・。
「上手くいってよかったわね。あなたまで料理が出来ないって知った時は絶望したけど」
「そうだな。姉さんがいればもっと楽だったと思うけど」
「まぁいいじゃない。ワタシ達の成果はこうしてフライパンの中にちゃんとあるんだから」
「ホント上手くいったよな・・・」
「さぁ!料理はまだ終わってないわよ!これをライスに乗せてしっかり頂くまでが夕食なんだから!」
「そうだな!さっさとこいつをホカホカのご飯に――」
ん・・・?
「なぁチュチュ」
「何よ?」
「ご飯・・・炊いてたっけ?」
「あっ・・・」
※料理音痴あるある 詰めが甘い
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「いやー、ご飯の作り置きあって助かったな。やっぱ流石だよ姉さんは」
「ポテトサラダの作り置きまであることを除けばね」
「野菜嫌いは分かるけどちゃんと食えよ?ドレッシングとも合うし、美味いぞ?」
「普段なら断るところだけど、善処するわ。ドレッシングがあるならマシだし、今は作る側の苦労を知ったばかりだしね・・・」
「そうだな・・・。よし、せっかくだし写真でも撮るか。すげードヤ顔してやろうぜ」
「写真?せっかくなら平然とした顔で撮りましょう。変に頑張った感を出すよりも、すまし顔で難なくこなしたって感じの方がパレオに見せやすいわ。」
「確かにそれもそうだな・・・よし、2パターン撮ろう」
そして二人ですまし顔で親子丼の前に座り、ピースで自撮りを撮った後、二人で肩を組み、親子丼と不敵な笑みを浮かべた自撮りが俺の携帯に収められた。
「さて、ようやくこの時が来たわね。」
「おいチュチュ、ちゃんとあの儀礼はやれよ?」
「分かってるわよ。」
エプロンを取り除き、腹を空かせた男女が二人、二人の前には綺麗に並べられた夕食たち。もうやる事は決まっている。
俺たちは日ノ本の伝統に則り、大きな破裂音を鳴らしながら手を合わせた。
「「いただきます!!」」
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結論、めちゃくちゃ美味かった。
出来は特別いいものではない。卵はトロトロじゃないし、玉ねぎの大きさもあまり統一されてないし、姉さんが作る親子丼の方が風味があって美味しいのは言うまでもない。
でも、苦労し、仲間と一緒に頑張って作った達成感が、代えがたい美味しさを与えたのだった。
「美味しかったわね」
「確かにな。茶碗にご飯粒も無いし、ポテサラも残さず食べてるし、偉いじゃん」
「あんなに頑張って作ったのに残したくないもの」
「だな。小っちゃい頃に残さず食べろって言われた理由、今なら分かる気がする」
「そうね。ワタシ、今度パレオに会ったら「ありがとう」って言おうと思うの。野菜だって・・・完食は無理でも、なるべく頑張ろうと思う」
「へぇ、そいつはいい。多分びっくりするぜ?あいつ」
そうやってケラケラと笑った後、俺たちは満たされた気分で他愛もない話を繰り返し、最後にチュチュの携帯にさっき撮った写真を送り、友情の証に拳をぶつけ合い、「また今度ライブに行く」という約束と共に、暗くなった夜空の下で解散したのだった。
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「ただいま~☆いやー、ごめんね遅くなっちゃって」
「大丈夫だよ。風呂も沸かしといたからさっさと入ってこい」
「ありがと助かる~・・・って、ん?なんか凄い親子丼の匂いしない?しかもリビングめっちゃ煙たいんだけど」
「あっ・・・」
今度料理するときはちゃんと換気扇を回そう。俺は姉さんに怒られながら、静かにそう誓うのだった。
「読みにくい」や「良かった」などの感想や意見、また「このキャラを見てみたい」、「このシチュが見てみたい」などのリクエストがあれば受け付けていますので、気軽にお願いします。
後、「この話が一番好き」などの感想も待ってます。参考にしたいので。
感想、一言でも書いてくれたら嬉しいです。待ってます。
アンケートは毎度のごとくあります。反映するかは分かりませんが参考にはなるので。
換気扇、マジで忘れちゃいますよね。