言い訳にはなりますが、まだ執筆感覚が鈍ってる感じがします。
シチュの難易度も高かったですね。自分の経験と文才の無さが悔やまれます。マジ調子出なかったです。・・・まさか3000文字を切るとは。
あと、感想欄のご意見を反映し、活動報告にリクエストボックスを置きました。リクエスト等は報告へのコメントへお願いします。
俺は今、花音先輩と水族館に来ている。誘われた時は「これってデートなのでは?」と思い至り、美人な先輩とデートなんて緊張でおかしくなるんじゃないかと考えていたが、そうはならなかった。
いや、先輩はちゃんと美人だし、白のワンピースを身にまとった花音先輩は水族館の雰囲気とのベストマッチを果たしている。問題はそんな最強のコンボを目の当たりにしているにも関わらず、俺が緊張でおかしくなっていないこと。その理由は・・・
「今私たちが見てるベニクラゲ、不老不死って知ってた?」
「えっ!?そうなんすか!?」
「うん。あと不老不死と言えば、高級食材の伊勢エビも不老不死なんだよ」
「伊勢エビも!?」
「脱皮する時に内臓も新しくなるらしくてね。新陳代謝が落ちないらしいから、外的要因か脱皮不全以外じゃ死なないんだよ。ロブスターもそうなんだって」
「へぇ~!」
この人、水族館において知識の宝庫なのだ。行く先々で雑学が披露されてしまうため、美人による甘酸っぱさが薄れて、なんかもう、普通に楽しくなっていた。
「レン君大丈夫?私、楽しくなっちゃって割と一方的に喋っちゃってるけど・・・」
「いえ、俺の方こそ楽しませてもらってますし・・・ホントに詳しいですね」
「ここはよく来るから、自然とね。ここに居るクラゲさんだったら、全員分の雑学言えると思うよ?」
「マジすか?じゃあ、ここにいるアカクラゲってやつは?」
「アカクラゲさんかぁ。じゃあ、アカクラゲさんは戦国時代に武器として活躍してたって知ってる?」
「武器って、クラゲがですか?」
「うん。乾燥させて粉末にして、毒霧みたいにしてたんだって。確か真田幸村が使ってたんだっけ」
「へぇ~。そこそこ有名な武将じゃないですか。イヴが聞いたらびっくりしそうですね」
「まぁ、武士道とはかけ離れた戦法だし、言わない方がいいかもだけどね・・・」
やっぱり普通に楽しい。水族館にはまだまだ入ったばかりでここから先にも見どころは山ほどあるが、もう既にそれなりの満足感を得てしまっている。
この調子なら俺の心臓も安心でき
「じゃあレン君、そろそろ手繋ごっか?」
そうではないらしい。
「あの・・・なんで?」
「ほら、人も増えてきたし、ここから先はもっと暗い道を進むことになるから、このままだと迷子になっちゃうよ?・・・私が」
「そりゃあ、ごもっともですけど」
「私と出かけるときは3m以上離れたらダメって、美咲ちゃんから教わらなかった?」
「この方向音痴め」
まぁ、実際目を離すとどこに行ってしまうかわからないのでここは素直に手を繋ぐことにした。
「先輩の手、小っちゃいですね」
「うーん、そうかな?」
「はい。柔らかくて、指も細いし、女の子だなって感じがします」
「君の手も、硬くて男の子って感じがするよね。美咲ちゃんとは違った頼もしさがあるよ」
「そりゃどうも」
花音先輩の手は少し冷たくて、繋いでいて心地が良い。不思議とあまり緊張感は無くて、なんだか姉と手を繋いでいる気分だ。
・・・落ち着く。
「いやぁ、熱帯魚コーナーもいいもんだね。可愛いよね・・・イソギンチャク」
「クマノミじゃなくて?」
「だってほら、あのゆらゆらしてる触手、可愛くない?」
「触手って・・・」
この人、クラゲっぽいから取り敢えず「可愛い」って言ってるだけなんじゃないだろうか?
「そんな可愛いですか?コレ」
「可愛いもんっ・・・」
俺からしたら頬を膨らませて「もんっ」とか言っちゃう先輩の方が可愛いのだが。
そしてそんな先輩は水槽の中を見つめながら続けた。
「お魚さんを見てるとね、現実から引き離されたような気分になるんだよね」
「?まぁ、確かに幻想的なイメージはありますけど」
「うん。だから現実逃避にはうってつけなんだよねぇ。水族館って」
「先輩・・・?」
「嫌なことがあるとね、よくこうしてお魚さんやクラゲさんを見てたの。ひとりぼっちで、いつもね」
「・・・」
「あの、レン君。別に手を握る力を強めなくても、私はどこにも行かないよ?」
「いや、そんなつもりじゃないですけど、何か嫌なことでもあったのかなって」
水槽を見つめる彼女の顔は、どこか物憂げに見えた。
「嫌なことは別にないけど、なんとなく日常に疲れちゃってね」
「・・・」
「君の腕、ぎゅってしていい?」
「お好きなように」
手を繋いだまま、花音先輩のもう片方の手が俺の腕を掴み、膨らんだ胸が押し当てられる。
「水族館って、デートに最適の場所って知ってる?」
「最適?」
「うん。室内は天候に左右されないし、靴も服装も自由度が高いし、暗いからお互いの顔が少し魅力的に見えるんだよ?」
確かにほの暗い場所で見る先輩の表情は、どこか大人びた印象がある。
「多分ここのお客さん、みんな私たちのこと恋人同士だって思ってるよ?」
「知り合いもいないし、大丈夫ですよ」
「じゃあ、肩に頭も乗せていい?」
「歩きづらくなるからダメです」
「むぅ・・・」
「・・・分かりましたよ」
「やった」
花音先輩はなにかと他人への気回しをよくする人だ。「日常に疲れる」と言っていたのも、その辺りの心労があったのだろう。
俺もお世話になることは多いし、この程度のわがままぐらいは黙って聞くべきだろう。
「レン君は本当に優しいね」
「いや、俺も先輩とこんなことができて嬉しいですし・・・」
「そっか・・・レン君」
「はい?」
「もう少しだけ、このままでもいいかな?」
「・・・いいですよ」
大きな水槽を眺めながら、俺は片腕を包む体温を感じ続けた。
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あの後も俺たちは手を繋ぎながら水族館を歩き回り、2人で何枚かの写真を撮りながら建物を後にした。
水族館を出るともう夕方になっており、俺たちは帰り道の電車に揺られていた。
「私は大満足だけど、レン君は楽しめたかな?」
「お陰様で凄く楽しかったですよ。まさかサメやペンギンの雑学まで聞けるとは」
「そうだね。珍しくお姉さんぶっちゃった」
「その割には「ぎゅってしていい?」なんて可愛いことを言っていた気もしますが」
「あっ、アレは忘れてよぉ・・・」
「すっごく可愛かったです」
「もぉ・・・」
車窓から入り込んだ夕日のように、花音先輩の頬も赤く染まる。よほど恥ずかしかったのだろうか。
「でも、楽しんでくれたならよかった」
「はい。花音先輩のお陰です」
でも、楽しい時間がもうすぐ終わってしまうと思うと、寂しい気持ちもあった。
そう思うと、いつの間にか俺は先輩の手を握っていた。
「レン君?」
先輩は少し驚いた様子だったが、嫌な顔もせずに優しく握り返してくれた。
「またデートしようね」
俺たちは最寄りの駅に着くまで、ほんの少しだけ肩を寄せ合ったのだった。
歩き疲れてたせいで二人ともそのまま寝落ちしたのはまた別のお話。
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