ガールズバンドとシチュ別で関わっていく話   作:れのあ♪♪

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 今回はリクエストのましろちゃんです。

 キャラのみのリクエストやシチュだけのリクエストではなく、キャラもシチュも指定されたリクエストはやれることが限定されて難しいですね。自分の文才の無さが悔やまれます。
 で、その文才と妄想力が足りずにキャラ崩壊を起こした部分もあるって注意をしたいけど、まぁ、アイドルに『龍〇如く』のおっさんのセリフを言わせた回もあるし、それは今更か・・・。

 りんりんとはぐみちゃんのリクエストは、今考えてるところです。遅くてすいませんっ!


27.倉田ましろと通話するシチュ

 つい先日、俺は羽沢珈琲店の新しい店員、二葉つくしの取材を敢行し、期待以上の成果を持って帰った訳だが、当然俺の仕事はあれだけでは終わらない。それらの素材を駆使して記事の構成を組み上げ、読者が読みやすいように書き上げなければならない。

 それに、つくしへの取材は急遽決定したので、既に出来上がりかけていた記事をボツにして、つくしがメインの記事に書き直す必要がある。

 そんな予定外の作業量を、要領の悪い俺が短期間でサクサクと片付けられる筈もなく、今夜は徹夜コースでPCと睨み合っていた訳だが、

 

『レンさん、今日、少しだけ通話に付き合ってくれませんか?』

 

 深夜12時半を過ぎたあたり、ましろからこんなチャットが届いた。正直、俺としては残った作業に集中したいのだが。

 

『付き合えないことはないけど、何の用事だ?』

 

 大事な用事じゃないなら、仕事を優先しよう。

 

『用事とかは無いんですけど』

 

 無いのかよ。じゃあもう仕事を・・・

 

『レンさんの声、聞きたいな』

 

・・・

『イヤホン取ってくるから待ってろ』

 

 年下の女子からこんな誘われ方されて、通話の拒否なんて出来る訳がなかった。

 

 

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「もしもし。ましろ?」

『あっ、レンさん、こんばんは・・・あの、PCのキーボードを叩く音が聞こえるんですけど、もしかして仕事中でしたか?』

「がっつり記事書きながらだけど、お前と話をするぐらいなら問題ないよ。あ、でも気の利いた話題を振ったりしてやれるほどの余裕は無いからな?脳のリソースの大部分は記事の作成に割いてるし、通話したいって言いだしたのはお前なんだから、お互いに話すことがなくなって気まずくなっても責任は取れないぞ」

『大丈夫ですよ。返事してくれるだけでもありがたいですし』

 

 PCと向き合いながら、俺はイヤホンの向こうのましろに少しだけ意識を傾ける。

 

『でも、どうしようかな?私も衝動的に連絡しちゃったから、話題とか考えてなかった・・・』

「話したいこと、本当にないのか?俺に聞きたいこととか」

『聞きたいこと・・・あ、そう言えば一つありました。あの、つくしちゃんのことなんですけど』

「つくしの?」

 

 今、まさにそいつの記事を書いてるところだ。

 

『はい。実は私、見てしまって・・・』

「見たって、何を?」

『その、自主練の帰りに・・・レンさんとつくしちゃんが一緒にいるところ』

「・・・ほう」

『普段目上の人にはちゃんとしてるつくしちゃんが、敬語も無しでレンさんのことを「お兄ちゃん」って呼んでて、レンさんも優しい表情でつくしちゃんの頭を撫でてて・・・』

 

 まずい。一番見られたくない部分をしっかり見られている。

 

『それにMorfonicaのメンバーで集まった時も、レンさんの話題でたまに「お兄・・・じゃなくてレンさんが・・・」みたいな言い間違えをするんです』

「そうか・・・」

 

 つくし、お前隠しごと下手過ぎだろ・・・。

 

『それで、本題の聞きたいことなんですけど』

 

 どうしよう。お互いの欲求を満たし合うためになんとなくノリでやっていた兄妹プレイがこんな事態を招くとは。

 というか、傍から見たら俺って年下の女子に「お兄ちゃん」って呼ばせてる変態なんだよな?

 そんな変態の趣味に友人が巻き込まれてると知ったましろ・・・

 

『レンさんとつくしちゃんって・・・』

 

 まずい。どうにかして真実の隠蔽を・・・

 

 

『生き別れた兄妹なんですか?』

「待って。曲解してる!曲解してるから!!」

 

 隠蔽した方が話の複雑化を起こしそうだったので、俺は真実を話すことにした。

 

 

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 それから俺はつくしから「お兄ちゃん」と呼ばれるようになった経緯を話した。

 

『なるほど・・・私が見たのは、2人の遊びだったんですね?』

「遊びって・・・まぁ、そうなんだけど」

『でも安心しました。一人で勝手にすごい複雑な家庭の事情とか想像しちゃって・・・』

「それは無い。俺には姉さんしかいないし、つくしは赤の他人だ」

『はい。でも、やっぱり解せない部分があって・・・』

 

 「解せない」って・・・解せないのは今井リサを姉に持っていながら二葉つくしを妹にしていて、それで尚且つ妹とだけ生き別れてるお前の脳内の俺だろう。

 

『その、楽しいんですか?レンさん達の遊び・・・』

「楽しいとかではないよ。なんというか、新鮮な気分ではあるけど」

『そうなんだ・・・』

「あ、念のため言っとくけど、このこと誰かに話したりしないでくれよ?俺の評判が落ちるのは構わないけど、つくしの立場が無くなるからな」

『はい。それは分かってます。でも、あんなつくしちゃん見たの初めてで・・・』

「確かに、普段はしっかり者だからな。まぁ、もしつくしが頑張りすぎちゃったりしてたら、その時は支えてやってくれ。あれでも大事な妹だからさ」

『ふふっ・・・そうですね。任せてください。「お兄さん」』

 

 

 薄暗い部屋の中、記事を書き上げながらも、俺とましろの会話はそれなりに弾んだ。つくしの話以外にも、ましろはメンバーの話や学校生活の話を楽しそうに話してくれた。

 そして時計の針が二時を知らせようとした頃・・・

 

『・・・・・・・・・』

「ましろ?」

『はっ・・・!ごめんなさい。私・・・』

「眠いなら寝ていいぞ?」

『だいじょうぶでしゅ・・・』

「本当か?」

 

 心なしか、ましろの声がふわふわしてきたような気がする。呼びかけて一瞬は意識が戻ったのかもしれないが、すぐに力が抜けたような声になってる。流石に年下の女の子をこれ以上起こすのはまずい。

 

「もう寝とけって。明日にも響くし、肌にも悪いぞ」

『・・・いやです』

「可愛く言ってもダメだって。ほら、いい子だからもう寝な?」

『もっとお話したい・・・』

 

 ・・・ちょっと可愛いな。どうしよう。

 

『レンさん』

「何?」

『私、レンさんの声聞くと安心するんです。女の子とは違うちょっと低い声で、それでも優しい気持ちが伝わってきて・・・』

「それは・・・ありがとう?」

『はい。だから私が眠くなっちゃうのはレンさんのせいなんです』

「えぇ・・・」

 

 反論しようとは思ったが、そう言えば「通話相手が安心して眠くなってしまう」という話は姉さんからも聞いたことがある。てっきり優しい声質と包容力からくる姉さん特有のものかと思っていたが、もしかしたら似たようなものを俺も持っているのかもしれない。

俺たち姉弟って変なところで似るんだよな・・・。

 

『レンさん』

「んー?」

『なまえ、呼んでください』

「・・・?ましろ」

『えへへ・・・』

「???」

 

 眠くなって判断力が著しく落ちているのか、ちょっと壊れてるか心配になる。

 

「ましろ、本当に寝なくていいのか?」

『ねむくないもーん』

「ましろ・・・」

 

 ダメだ。だいぶ頭悪くなってる・・・。ここまでキャラが変わるとは思ってなかった。

俺の声で眠くなるなら、いっそのこと話しかけまくった方が寝てくれるだろうか?記事ならもう9割ぐらい仕上がってるし、後は明日に回しても問題は無いか。

 

「ましろ」

『・・・はい?』

「俺も、ましろと話したいな」

『・・・しょうがないなぁ』

 

 まったく、しょうがないのはどっちだ。嬉しそうに言いやがって。しかも眠たくなってふわふわした口調になっているせいで可愛さが倍増している。

 

「でも知らなかったな。ましろって眠気を限界まで拗らせたらこんな風になるのか」

『?ちょっと素直になっただけですよ?レンさんとお話したいなぁって』

「そんなに話したかったのか?別に避けてたつもりもないんだけど」

『だって・・・いつもは忙しそうだし、一人で男の人に話しかけるのは恥ずかしいし・・・勇気出した頃には別の女の子と話してるし・・・』

「そんな片思い中みたいな・・・」

 

 でも、そう思ってくれる程度には俺のことを慕ってくれているのかと思うと、悪い気はしない。

 

『ねぇレンさん』

「何?」

『すき♡』

 

 !?!?!?!?!?!?!?!?

 

「えっ?いや、あの」

『優しくてカッコいいレンさんがね?』

「・・・!」

『だい、だい、だーいすき♡』

「ほあっ!?」

 

 待て、頭が追い付かない。どうゆうことだ。心臓とか、もう色々おかしい。

 

「あの、ましろ?えっと、理解が本当に追い付かないっていうか、いきなりそんなこと言われてもわからないっていうか、取り敢えず心の整理を・・・」

『・・・・・・』

「・・・ましろ?」

 

 

『すやぁ・・・』

 

 

 ましろの寝息を聞いた途端、かなり大きなため息がこぼれた。あいつ、最後に特大の爆弾だけ放り込んでそのまま寝落ちしやがったのだ。

 まったく、年下の女の子が眠気を孕みながらふわふわボイスで無邪気に放つ言葉の威力が男にとってどれだけ強力無比なものか、ましろは理解してないのだ。・・・しかもあんな不意打ちで「好き」だなんて。

 あのドキドキを返せと今すぐに言ってやりたいが、気持ちよく寝息を立てる彼女にわざわざそれを言うのも野暮だろう。・・・仕方ない後輩だ。

 

「おやすみ。ましろ」

 

 最後にこれだけを言い残し、俺は通話を終了したのだった。

 

 

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 その後の朝方にチャットを見ると、ましろから矢継ぎ早にメッセージが届いていた。

 

『あの、昨日は本当にすいません!眠くなった深夜テンションというか、頭が働いてなくて変なこと言っちゃって・・・』

『私、レンさんのことは好きじゃないですから!』

『いや、嫌いとかではないんですけど、あくまで恋愛的な「好き」ではないというだけで、人としてはちゃんと尊敬していますから』

『とにかく、昨日は本当にごめんなさい!』

 

 どうしてやろう。別に許すことも責めることも楽なのだが、うーん。

 そして、少し悩んでメッセージを打ち込み、送信した。

 

 

『おはよう。俺もましろのことが大好きだよ』

 

 

 少しはあの時の俺の気持ちを味わってくれることを祈ろう。

 

「仕返しだ。少しは恥ずかしがれ」

 




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