今回もキャラやシチュだけのリクエストではなく、両方指定されたダブルバインドなリクエストでしたので前回同様やれることが限定されて難易度が高かったです。私にもう少し文才があればいいのに・・・。
あと、気付いたのですが、リクエストボックスを置いてからというもの、「○○が甘えてくるシチュが見たい」系のリクエストが3件も来てるんですよね。
これ読んでる人、巨乳の女の子と甘える女の子が好きな人が多いのでしょうか?
よかったら感想とかで教えて欲しいのですが、私の書く「甘える女の子」って、今までのあの感じいいのでしょうか?シンプルに分からないことが多いです・・・。
新聞部の部室には客人が来ることが多い。大抵は取材の依頼などの仕事関係が多いが、ただ遊びに来るだけの客人もいない訳ではない。こころが乱入して来たり、彩さんがロケ地のお土産を差し入れに来てくれたりと、その内容は様々だが、部員が俺しかいない新聞部にとって、寂しい部室が賑やかになるのは嬉しいことだ。
そして外も夕方に差し掛かろうとしていた頃、部室でデータの整理をしていた時、
扉がノックされた。
「レン君・・・今、大丈夫?」
「・・・燐子さん?はい。大丈夫ですけど」
「お邪魔するね」
返事をすると、燐子さんは丁寧に扉を開けて入ってきた。そして部室に入ってきた燐子さんは俺の向かいに座った後、がっつり机に突っ伏していた。
「それで、どうしたんです?アポなしで押しかけてくるなんて珍しい」
「ふあぁ・・・。あぁ、ごめんね。本当は来る予定も無かったんだけど、生徒会の会議が思ってたよりも長引いちゃって、それ以外でも今日は全体的に忙しいから疲れちゃってね・・・」
「まぁ、疲れてるのは見たらわかりますよ。顔色も良くないし」
「うん。だからレン君に癒してもらおうかなって・・・」
「癒し、ですか・・・」
よりにもよって俺にそれを求めるのか。俺にできることなんて限られてるけど・・・。
「肩でも揉みましょうか?」
「いいの?」
「実は練習帰りの姉さんによく頼まれるから得意なんです。もし燐子さんが大丈夫なら・・・」
「じゃあ、お願いしようかな・・・」
許可を得て、俺は早速向かいに座る燐子さんの後ろへ回り込み、合図をして燐子さんの肩に触れたのだが・・・。
「硬った・・・」
「そう?」
「いや、凝り過ぎでしょ。練習帰りの姉さんより凝ってますよ。俺、結構強めにやってるのに、親指が肩に入っていかないというか・・・」
「そんなに?私、欲を言うならもう少し強くして欲しいんだけど・・・」
「嘘だろ・・・」
じゃあもう全力で親指を押し込むしかない。痛くないといいが・・・。
「あんっ・・・!レン君、そこ・・・気持ちい・・・」
「変な声出さないでくださいよ。痛くはないんですね?」
「それは大丈夫・・・あ、でも慣れてきたかも。もう少し続けて欲しいな」
「了解っす」
本当は親指の負担が大きいからそろそろ離したいのだが、せっかく来てくれた燐子さんへのもてなしを放棄する訳にもいかない。
どうにかして話題の一つでも持ち出さないと・・・。
「でも燐子さん、本当に凝ってますよね。やっぱりデスクワークし過ぎてませんか?」
「いや、これでもストレッチとかはこまめにしてる方なんだよ?ただ・・・」
「ただ?」
「その・・・胸が大きいとね、重くて・・・肩の負担になっちゃうっていうか・・・」
「なるほど、どうりでこんな硬さに・・・・・・・・・なんか、ごめんなさい」
「いや、大丈夫だよ。男の子は分かんないもんね・・・」
肩を揉んでる途中だというのに、つい余計なことを考えてしまう。
そうか。燐子さんの胸って、やっぱり肩がこうなってしまうぐらいに大きいのか・・・。
「それにしてもレン君、肩揉むの上手いよね・・・。今井さんにはよくやってるの?」
「まぁ、部活とか練習の帰りが遅かった時とかは「レ~ン肩揉んでー!」ってよく言ってくるので、酷いときは背中と足のマッサージまでやらされますけど」
「ベース、ずっと肩にかけてると重いからね。部活はダンスで全身運動だし、バイトはコンビニで立ち仕事だし・・・」
「帰ってくるときは大体ボロボロなんですよね。身内としては見てられないと言うか・・・」
「確かに心配にもなりそうだよね・・・。でも、そっか・・・」
「燐子さん?」
「私、今井さんが羨ましいかも・・・」
「えっ!?」
姉さんがこなしてるあの量のハードワークを振り返って「羨ましい」とは・・・
「いや、今井さんが大変そうだって思うのは変わらないよ?でも、疲れて家に帰ったら、レン君みたいな弟がいるっていうのはやっぱり羨ましいかな。私、一人っ子だし・・・」
「こんな生意気な弟でも?」
「そんなことないと思うよ。今井さんは「可愛い」って言ってたもん。レン君のこと・・・」
「姉さんが特殊なんですよ」
「友希那さんも「可愛い」って言ってたよ。氷川さんも「愛嬌がある」って言ってたし、あと私もレン君のこと可愛いって思ってる・・・」
「嘘でしょう?」
「ホントだよ?レン君と仲が良いほかの3年生も同じこと考えてるんじゃないかな?松原さんとか・・・」
「言っときますけど俺、男ですからね!?「可愛い」とか言われたって嬉しくなんかないんですからねっ!」
「ツンデレ?」
「違います!!」
「可愛い」・・・俺、そんなに頼りなく見えるのだろうか?
「うん。やっぱりレン君みたいな弟がいるのは憧れちゃうかも。帰って寂しい時もあるし・・・」
「燐子さん・・・」
「・・・レン君、もう少しこのまま、君に甘えていいかな?思ってたより疲れてるみたい。」
「疲れてるのは頑張り屋さんな証ですよ。今日はなんでもしてあげます」
「じゃあ、このまま私と話そ?」
燐子さんは少しだけ微笑んで答える。燐子さんみたいな美人だと、くたびれた笑顔も素敵に見える。・・・綺麗だ。
「そう言えばレン君って、今井さんのこと「姉さん」って呼んでるんだね」
「そうですけど・・・変ですか?」
「いや、そうじゃないんだけど、レン君の性格なら「姉ちゃん」とか「姉貴」って呼びそうな気がして」
「「姉貴」って呼ぼうとしたことはありますけど、全力で止められました。その時に2人で交渉して「姉さん」って呼ぶようになったんです。向こうは「お姉ちゃん」って呼んで欲しかったみたいですけど・・・」
なんなら今でもたまにお姉ちゃん呼びを要求してきたりはするが、これは言わないでおこう。
そうして肩を揉み続けていると、燐子さんは呟いた。
「いいなぁ・・・」
「そんなに羨ましいやり取りでしたか?コレ」
「うん。レン君と今井さんのやり取り、聞いてるだけで温かい気持ちになるし・・・ねぇレン君、もう今井さんの弟なんかやめて私の弟にならない?できればそのままずっと私の肩を揉んでほしいんだけど・・・」
「燐子さん、やっぱあんた疲れてんだよ。ちゃんと寝てないでしょ?」
「疲れてるのは認めるけど、さっき言ったことも一割ぐらい本気だよ?」
「えぇ・・・」
困ったな。でも忙しくしてるのは本当だし、生徒会長の重圧に1人で耐え抜いているのだ。そもそも人前に出ていくのも得意な人では無いのに・・・。
こんなに頑張ってる人がここまで疲れ切っているのに何もしないのも違うとも思うが、・・・でも、「弟になれ」ときたか。
「燐子さん」
「なぁに?」
「・・・一回だけですからね」
それだけ言い残し、俺は燐子さんの肩から手を離した。
「レン君・・・?」
そして、俺はいつぞやの図書室で燐子さんにされたように、後ろからバックハグしかけ、燐子さんの耳元で囁いた。
「燐子お姉ちゃん・・・」
「ひゃわっ!?」
思ったよりいい反応をしてくれる。耳、弱かったのだろうか?
「はい。もう終わりです。そろそろ遅くなるからもう帰りましょう」
「えっ・・・!?えぇっ・・・?」
さすがにあれ以上は恥ずかしかったので、混乱しながらちょっと名残惜しそうにしている燐子さんをよそに、俺は帰る準備を始めたのだった。
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完全下校時刻ギリギリで学園を出た俺はそのまま燐子さんと一緒に帰路についていた。
「今日はありがとね。肩、だいぶ軽くなったかも」
「俺の親指はクタクタですけどね。特に付け根の辺りが」
「あとは、またさっきのアレをやってくれたら嬉しいんだけどな・・・」
「流石に無理ですって。やる方も恥ずかしいんですからね?」
「・・・今井さんには毎日やってるくせに」
「それは仕方ないでしょ。本当に姉なんですから」
「・・・いじわる」
「えぇ・・・」
ほっぺたを膨らませながら、燐子さんは俺に非難の目を向ける。・・・いや拗ねた表情も可愛いなオイ。
「そこはもう許してくださいよ。頼みますから」
「・・・やだ。100回「お姉ちゃん」って言うまで許さない」
「めんどくさい彼女か・・・」
この人、こんなにわがままを言う人だったか?疲れすぎて幼児退行の手前まで来てたりしないだろうか?
しかしこのままにしておく訳にもいかないので、そっぽを向いた燐子さんにそのまま話しかける
「でも燐子さん、俺があの呼び方するのって本当に貴重なんですよ?何せ今となっては自分の姉にすら「お姉ちゃん」なんて呼び方をしてない訳ですし」
「それは・・・そうだけど・・・」
「にも関わらず俺があんな呼び方をしたのは、優しくて、俺の相談にも乗ってくれる燐子さんに親しみを感じていて・・・それでいて、何事にも全力で頑張る燐子さんのことを尊敬していて・・・俺が本当に燐子さんをお姉ちゃんみたいに慕ってるからなんですよ?」
「そ、それは・・・」
「バックハグも含めて、それなりに特別な気持ちを込めてたんです。だからこれで許してください」
結構恥ずかしいことを言っている気はするが、もう気にしてはいけない気がする。別れ道も近いし、そろそろ満足してもらわないと。
「・・・そうだよね。レン君と話してると気が抜けちゃうから、ちょっとわがままになってたかも」
「まぁ、それだけ肩肘張らずに安心できる時間が過ごせたなら何よりですよ」
「うん。やっぱり相当疲れてたんだろうね。私・・・」
燐子さんと話してると、別れ道へ差し掛かった。でも、少しだけわがままモードになってしまったことに対して申し訳なさそうにしているのは気がかりだ。立ち止まってから燐子さんの顔を覗くと、少し暗く見える。
・・・まぁ、もう少しサービスするぐらいならいいだろうか。先輩がこんなに頑張っているのなら、ちゃんと労うべきだ。なんだかんだ言ってこの人には本当にお世話になっているのだから。
「燐子さん、こっち向いて貰っていいですか?」
「いいけど、何?」
「よしよし・・・」
「・・・あの、レン君。なんで私の頭を撫でているのかな?」
「お仕事お疲れ様です。燐子さん」
「そ、それは・・・どうも・・・」
「生徒会にバンド・・・これからも、頑張ってください」
「うん。それは・・・そのつもりだけど・・・」
燐子さんは頭に「?」を浮かべたまま俺に頭を撫でられている。
「頑張って頑張って・・・たくさん頑張って、また疲れちゃったらその時は・・・」
俺は無防備な燐子さんの耳元に再び口を近づけた。
「また遊びに来てくださいね。お姉ちゃん☆」
「ほあっ!?」
「じゃあ俺こっちなんで、また明日!」
最後に燐子さんが顔を赤くしたのを確認して、俺はイタズラが成功したような笑みを浮かべて家路についたのだった。
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