今回のリクエストはFILM LIVE2にちなんだシチュがリクエスト内容でした。
そして間違えて思いっきり歌詞を書いてしまうミスをしたので上げなおしです。危うく規約違反をやらかすところでした。
俺は今、CiRCLEのライブ会場にいる。ただ、スタッフとしてではなく、お客さんとしてだ。基本的に俺は客としてのライブ参加はほとんどしないのだが、
『弟よ。ちょうど一週間後にRoseliaとAfterglowが対バンするのですが、偶然、たまたま、神のいたずらとか運命的な何かの導きのように、アタシの手にはそれのチケットが握られています。・・・良かったら来る?』
『嘘だろ!?ぜってー行く!』
こんな熱い誘惑に俺が抗えるはずもなく、のこのこと誘われて来てしまった訳だが・・・。
『CiRCLE、まだまだ暴れるわよ!』
『みんな、最後までついてきて!!』
「「「「「「ウオオオオオアアアアアァァァ!!!!!!!」」」」」」
当然俺も含め、会場の盛り上がりは最高潮だ。もう、何もかもがカッコよすぎて正直さっきから叫びっぱなしだ。
なんで普段話す時は何も感じないのに、ライブの演奏を見た時はこうもカッコよさで引き込まれてしまうのか。
だが、ライブももう終わりだ。そろそろ喉も潰れそうだが、RoseliaもAfterglowもステージから捌けた。あとはもうタオルで汗を拭いながら帰るだけの楽な仕事・・・
・・・いや、そんな訳ないか。
~♪ ~♪
そう思った矢先、火花と共にアップテンポの演奏が響き渡る。しかもさっきまでとは違う、2バンドの同時演奏。赤と紫の鮮烈な光がステージから飛び交う。
あれ、もしかして一緒に歌うパターン・・・!?
そして流れたのは、『競宴Red×Violet』
「「「「ウオオオオオアアアアアァァァ・・・!!!!!!!」」」」
友希那さんと蘭の共演・・・いや、競宴に観客席全てが引き込まれていく。両者一歩も譲らず、睨み合い、ぶつかり合い、火花を散らす。
もうここは、彼女たちだけの戦場と化した。
そしてRoseliaとAfterglowの対バンは最高のボルテージを残したまま、ボーカル2人の強烈な睨み合いを見守る形で終宴を迎えた。
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【二日後、友希那の部屋】
「もうめっちゃ鳥肌立ちまくった!最後にあんなにカッコいいことするなんて反則だろ!」
「ええ。わかったわ。わかったから少し落ち着きなさい。あなたの興奮は伝わったから、一回お茶でも飲みなさい」
「んぐ。んぐ・・・。はぁ。もう、ホントヤバかったんだよ」
「もうライブが終わって二日後だというのに、そこまで興奮が残ってるなんて、最早心配になってくるのだけど」
「これでも落ち着いてる方だ。ライブが終わった直後なんか、そのまま控室に突入してやりたかった程なんだからな!」
「あなた、いくら関係者でもそれやったら捕まるわよ?」
「だから自重したって・・・。当日は姉さんにだけ感想を言って、その翌日は会えそうにないメンバーにチャットで感想を伝えた後に、直接会えた蘭を褒め殺して、で、今日に至るって感じだな」
「美竹さん・・・なんだか申し訳ないわね」
「でも、ホントカッコよかったなぁ。特に最後、みんな鳥肌立ちまくってたんじゃないか?」
「『競宴Red×Violet』ね。確かにあれは特に事前の話し合いが多かったから、私にとっても印象深いわね」
「え?何?まさかの裏話?最高じゃん。そうゆうのめっちゃ欲しかったんだけど!」
「そんな大層なものでもないわよ。Roseliaだけでやるのとは違って、普段一緒にやらないメンバーとの共演は単純に考えなきゃいけないことが多いだけ。パート毎の位置関係とか、私と美竹さんの動き方とか、色々ね」
「へぇぇ・・・!」
「あの、そんなに目を輝かせてもらっても困るのだけど・・・聞きたい?裏話」
「聞きたい!」
「即答・・・でも、どんな話がいいかしら?でもあの曲だと・・・実は普段のRoseliaとは趣向を変えているのよね。あれ」
「趣向?」
「ほら、基本私たちって、歌うときはお客さんに向けて歌うでしょ?どの歌でも「お客さんにこの歌を届けよう」って意識は必ずしてるのだけど、あの歌だけは少し違うのよね」
「言われてみれば・・・歌ってもらってるって感じはしなかったかも。なんか蘭とバチバチやってんのをひたすら見せつけられた感じ」
「まさにそこよ。美竹さんとはライバルのような感じだし、それはファンの中では知られてる。だからそれを全面に押し出すことにしたのよ」
「だからあんなにバチバチしてたのか・・・」
「そうね。あの曲はお客さんに向いてる時間よりも、美竹さんと向き合ってる時間の方が長いのよね・・・それで、裏話らしいところはここからなんだけど」
「今の話も充分聞きごたえあったのに、ここから?」
「えぇ。あの曲は本当に美竹さんと向き合う時間が長くて、練習やリハーサルも含めると、もう一生分くらい美竹さんと見つめ合ってるの」
「ほう」
「演奏中は夢中で気にならないのだけど、学校とかですれ違った時に目があったりすると、その、お互いちょっと恥ずかしくなるのよね・・・」
「なんだその可愛いエピソード」
「仕方ないじゃない。なんなら今でもちょっと照れるもの・・・」
「おいそこ。顔赤くしてんじゃねーぞ」
ライブ中の、ギラギラした表情で汗を流しながら歌う蘭でも想像したのだろうか?
「でも、聞いてて楽しいな。こうゆうの。なんかもっと無いのかよ?」
「そうね。じゃあ、次は練習中に起きたことよ。あれは、私たちの演奏が形になってきて一曲を通しで練習していた時のこと・・・」
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あの時は、特に全体的に演奏もキレがあって、私も美竹さんもすごく調子が良かったわ。そしてそのまま、私たちは歌いながら曲の雰囲気に取り込まれていったわ。
私は強く美竹さんを意識した。美竹さんも強気の笑みで私を意識していたと思うわ。
「(この曲に賭ける想い、美竹さんに全力でぶつけて見せる!)」
「(このライブに賭ける情熱、湊さんにだって負けやしない!)」
「「(この気持ちは・・・)」」
そして曲の最後の最後の見せ場、私と美竹さんが闘志を剝き出しにして顔を一気に近づける時、事件は起こったわ。
「「(譲らないっ・・・!!)」」
ゴンッッ!!(頭突き)
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「・・・あれは痛かったわね」
「距離感まで見失うって、どんだけ夢中だったんだよ」
「仕方ないじゃない。お互いを意識しすぎて近づきすぎたのよ。しかもあの時、相当勢いつけたのよね・・・」
「あの時に見たカッコよさの裏にこんな苦労話があったとは」
「美竹さん、あの後すっごい睨んできたのよね。「頭かち割れるかと思いましたよ・・・!」って」
「蘭・・・」
この後も、友希那さんは俺にライブや練習の話、『競宴Red×Violet』以外の裏話もたくさんしてくれた。そして、俺が昂ぶりながら話すライブの感想を、友希那さんは嬉しそうに聞いてくれた。
「レン、あの時はライブに来てくれて、本当にありがとう。嬉しかったわ」
「?なんだよいきなり」
「私、レンと音楽の話が出来て嬉しいの。ライブで私たちの音楽を聴いてくれたのも嬉しいし、その後にこうしてあなたが楽しそうに感想を伝えてくれて、私の音楽の話を楽しそうに聞いてくれる。昔みたいに音楽の話で盛り上がれたあの時のようで、心が温かくなるわ」
「・・・」
「ねぇレン、「ゆき姉」って呼んでくれる?」
「・・・ゆき姉?」
「ありがと」
しばらくして、二人の間に沈黙が流れるが、気まずさは感じない。
不思議なものだ。ゆき姉とは音楽を理由に疎遠になったのに、こうして話せるようになった理由も、また音楽なのだ。
「なぁゆき姉」
「何?」
「もし良かったら、またRoseliaのライブに誘って欲しい。もっとゆき姉の歌が聞きたいって言うか、その・・・」
「レン・・・」
ゆき姉は少し目を見張った後、優しい表情で俺の頭を撫で始めた。
「・・・なんだよ」
「うるさいわね。大人しく撫でられなさい」
「ん・・・」
「そんなに心配しなくてもライブぐらいいつでも誘ってあげるわよ。私だってあなたに来て欲しいんだし」
「そっか・・・」
その約束の後は、特に大した話はしなかった。窓から差す夕暮れに照らされながら、昔のように楽しい時間を過ごした。
この人と過ごして、ここまで帰りたくないと思ったのはいつぶりだろうか。
そんなことを考えながら、俺はゆき姉と話し続けたのだった。
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