ガールズバンドとシチュ別で関わっていく話   作:れのあ♪♪

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 リクエストのイヴちゃん書こうと思ったら文字数えげつなくなったので分けました。(下)は明日にでも投稿します。

 しかも今回、結構ふざけました。文章書く時は「読者様が読んでて楽しいように」と意識しますが、今回は「自分さえ楽しければいい」と思って書きました。
 まぁ、再三言ってはいますが、作者の自己満足で書いてますからね。この作品。


32.若宮イヴから手紙で屋上に呼ばれるシチュ(上)

 

「あのっ、レンさん。これ、受け取ってください!」

 

 いつもより少し早めに教室にたどり着いて一限の準備をしていた頃、そわそわした様子で教室に入ってきたイヴから封筒を手渡された。

 イヴの両手で丁寧に差し出された封筒は白く、封の部分にはハート形の可愛らしいシールが貼られている。

 

「それでは、また!」

 

 戸惑いつつもその封筒を受け取ると、イヴは緊張交じりの真剣な表情のまま、教室から走り去ってしまった。

 突然のことで俺も頭が上手く回らず、教室内の注目を集めているにも関わらず、ただ茫然と封筒を片手に立っていることしか出来なかった。

 

「ちょっとちょっとレンさん。朝から随分おアツいところ見せてくれるじゃんか」

「あぁ、美咲。おはよう」

「はい、おはよ。それで、さっきの現場はどうゆうこと?あの空気感のせいで教室入るのかなり渋ったんだけど」

「えっと・・・ごめん?」

「いや、これに関してはあんたに非は無いんだけどさ」

 

 教室に入ってきた美咲は挨拶を交わした後、鞄を机に置いてそのままこっちへ話しかけてくる。いつもならそのまま他愛もない雑談タイムなのだが、今回はそうもいかない。

 

「で、その手紙、もしかしなくてもアレだよね?」

「だよな。ひと昔前の人たちが「恋文」と呼んでたアレ・・・」

「いやー、でも若宮さんがかぁ。レン、何かしたの?」

「いや、してないと思うけど」

「どうだか。レンって人たらしなところあるじゃん?リサ先輩と一緒でさ。あんたのこと気に入ってるって人は多いし、それで若宮さんがそのまま好きになっちゃったり・・・」

「えぇ・・・。そんなことある?」

 

 そりゃあイヴとは同期だし仲良くやってはいるが、こんなものを渡される程のことをしたかと言われると、やっぱりそうは思えない。それに・・・

 

「そもそもイヴはアイドルだし、告白を受けたとしてもいい返事をしちゃいけないんだよな・・・」

「え、断るの?もったいない。相手は若宮さんだよ?」

「俺だってあんな可愛い子フりたくないよ。でも仕方ないだろ。・・・でも、どうしようかちょっとだけ悩んでる部分も、無い訳じゃないんだよな・・・」

「贅沢な悩みにも程があるでしょ。なんだかんだこの状況自体は嬉しそうじゃん?」

「まぁな」

「いやー、世の男子はみんな羨ましがると思うよコレ。レンさんってばモテモテ」

「・・・おい美咲。今のもう一回言ってみろ」

「え?」

「ほら、さっきの」

「レンさんってば・・・モテモテ?」

「まぁな☆」

「腹立つわぁ」

 

 俺がウインクをしながら答えると、美咲は笑いながら返してくれた。

 考えることは色々あるが、嬉しいのは事実だ。今ぐらいは調子に乗って舞い上がってもいいだろう。

 

「それで、封筒の中身はなんて書いてあるの?ここまで来ると気になるんだけど」

「確かに俺も気になってた。でも、美咲に見せてもいいのかな?」

「これだけの人に見られながら渡したんだし、今更でしょ」

「それもそうか。よし、じゃあ見てみよう・・・お、良い手触り」

 

 ハート形のシール剥がし、封筒の中身を取り出すと、丁寧に蛇腹で折り畳まれた手紙。平静を装い、俺は意を決して手紙を広げた。

 

「・・・」

「・・・」

 

 両者、沈黙。

 

「あの、美咲」

「うん」

「『果たし状』って書いてあんだけど・・・」

 

 

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果たし状

 

 略啓 今井レン殿

 

 本日、貴方に決闘を申し込みます。

 放課後、屋上にて貴方を待ちます故、逃げぬよう、お覚悟を決められてから臨まれるように。誠に手前勝手な申し出とは存じますが、何卒ご容赦を。

 ご自愛専一にて精励くださいますよう、お願い申し上げます。

 

 草々 若宮イヴ

 

 

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 上等な毛筆で書かれたであろうソレは、蛇腹折りで畳まれた紙に良く似合っていた。やけに手触りが良かったこの紙も、よく見たら和紙だ。・・・なるほど、随分手の込んだイタズラじゃあないか。

 言いたいことは山ほどあるが、取り敢えず今言えることは

 

「いや、果たし状に『略啓』と『草々』使うなよ・・・」

「うわ。若宮さんすごい達筆。ただでさえ筆で書くのって難しいのに」

「しかも見てくれよこの最後の文。果たし状なのにご自愛専一にて精励くださいますようお願い申し上げちゃダメだろ。もう性格出ちゃってるもん。ホントは良い奴なのバレバレじゃん」

「あたしのイメージだと果たし状ってもっと高圧的な感じじゃなかったっけ?少なくともここまで丁寧ではなかったような」

「なに冨岡義勇みたいな手紙の書き方してんだよアイツ・・・」

 

 まぁでも、ツッコんでたら少し冷静になってきた。それにしても決闘ときたか・・・

 

「行かなくてもいいかな?」

「いや行きなよ。流石に可哀想だって」

「可哀想だと!?だったらラブレターだと思ってた手紙が果たし状だった俺の気持ちはどうなるんだよ!」

「うん。まぁ見事なまでに上げて落とされてたけどさ。もし行かなかったら若宮さん、ずっと来ないあんたを待つことになるんだよ?」

「まぁ、そうだよな・・・」

 

 果たし状にツッコミどころが多くて気にするのを忘れてたが、結局手紙はラブレターでも何でもなかったんだよな。

 「なんだかんだ俺ってモテてたのか」という幻想も砕けた。

 別に気にしてはない。何とも思っていない。思ってはいないが、テンションが著しく低下しているのは確かだ。

 

「美咲」

「んー?」

「泣いていい?」

「まぁ、それぐらいならいいと思うよ。盾になってあんたの泣き顔をクラスのみんなから隠すぐらいはしてあげる」

「ありがとな。まぁ、本当に泣き叫んだりはしないけど・・・うん。でも凹むわ・・・」

「お昼、コーヒー奢るよ」

「うん。なんかもう、ホントごめんな」

 

 俺は美咲の優しさに触れながら、手紙を封筒にしまったのだった。

 それはそれとして紛らわしい渡し方をしたことは許さん。

 

 

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 放課後、屋上へ行くと彼女はそこに立っていた。髪型もいつものイヴ編みではなく、無造作に後ろで括っているだけだ。

 

「レンさん。遅かったですね」

「終礼終わってから直で来たのになんでお前の方が早いんだよ・・・」

 

 しかしイヴの表情は真剣そのもの。あの髪型も剣道部の時にしているものだ。・・・本気で俺とやり合うつもりらしい。

 でもそれは聞くことを聞いてからだ。

 

「なんで俺と決闘を?」

「理由ですか。確かに知らせてはいませんでしたね」

「あぁ。申し込まれてここに来た以上、知る権利はあるはずだ」

「単純です。あなたにお願いがあるからです」

「お願い?」

「はい。私は大好きな人や仲良くなったお友達にはハグをするのは知っていますよね」

 

 それは、最早言うまでもないことだろう。

 

「だと言うのにレンさん。あなたという人は・・・!」

 

 わなわなとイヴが震える。そして堰を切ったようにイヴは言い放った。

 

「私と全然ハグをしてくれないじゃないですか!!」

「当たり前だろ。自分の立場わかってんのかお前!!」

 

 イヴとは仲良くしているし、ハグを要求してきたことはあったが、流石にアイドルにそんなことをするわけにもいかなかったから俺はずっとやんわり断ってきたのだ。バリバリ人前で「ハグハグ~!」とか言ってくるもんだから俺も困っていたのだが。

 

「確かに私はアイドルです。それはゆるぎない事実です。でもアイドルである前に私はレンさんのお友達です!」

「違うんだよ。友達である前にアイドルなんだよ!」

「むぅ~~~ッ!!」

 

 いくら頬っぺたを膨らませて可愛く抗議したって無理なものは無理だ。

 

「私はこんなにもレンさんが大好きなのに、レンさんは私のことが嫌いなんですか?」

「そんなこと言ってないだろ。ちゃんと大事だと思ってる」

「お互い好きならいいじゃないですか!どうして私を抱いてくれないんですか!」

「いや言い方ァ!!」

 

 イヴのやつ、思ったより困った状態かもしれない。

 

「イヴ、出来ることなら俺だって抱き返してあげたいよ。でも何度も言うけどお前はアイドルじゃないか。だからもう、やめてもらうしかないんだよ」

「・・・この私に、アイドルを辞めろと?」

「いやハグの方をやめろよ。なんでそうなる」

 

 お互いにため息がこぼれる。どちらかが折れるという道は無い。イヴは俺をまっすぐに見据える。

 

「埒が明きませんね」

「こっちのセリフだよ」

「ですが、こうなることは分かってました。だから決闘なのです」

「・・・なるほど。話が見えてきたぞ。つまりこの押し問答の決着を決闘で無理矢理決めようって腹だな?」

「はい。もし私が勝てばレンさんを抱きます」

「あのさ。取り敢えず「抱く」って言い方やめろって。ホント危ないからな?・・・それで、勝負方法はなんだよ?流石に友達と殴り合い・・・とかだったら嫌なんだけど」

 

 そう聞くと、イヴは2本のウレタン棒を取り出し、そのうちの1本を投げ渡してきた。

 

「内容は単純です。先に相手へ一発当てた方が勝ち。いかにも決闘らしいでしょう?」

「なるほど。取り敢えず武器がウレタン棒で安心したよ。お前なら竹刀とか持ち出しかねないし」

「持っていこうとしたら剣道部の顧問の先生に止められました。「決闘する」なんて理由での持ち出しは許可できないと」

「持ち出そうとはしたのかよ・・・」

「それと「勝負内容が本格的すぎると決闘罪が成立して法の裁きが下り、シャレにならないので本当に気を付けるように」と釘を刺され、コレに落ち着きました」

「ナイスです。顧問の先生」

「ですがこのウレタン棒もかなり硬い作りをしています。当たっても「痛い」で済みますが・・・本当に痛いですよ」

 

 正直、向こうが剣道経験者な時点でこちらが不利な気もするが、女子を相手にこれ以上文句を言うのも良くないだろう。

 ・・・いい加減、覚悟も決まった。

 

「わかったよイヴ。いいよ。殺ろう」

「・・・はい」

 

 俺の殺気を読み取ってか、イヴの表情にも緊張が走る。

 誰が言い出すでもなく、俺たちは屋上の中央で睨み合う。

 

「・・・」

「・・・」

 

 若宮イヴは剣道経験者だ。素人の俺ではまともに打ち合っても、まず勝てない。長期戦や鍔迫り合いになった瞬間、俺の首はヤツの剣閃に飛ぶだろう。

 この勝負、始まった直後の一瞬一撃で殺るか、一瞬一撃で殺られるかのどちらかだ。故に守りなどという甘い考えは早々に棄てる。

 例え相打ちになろうと、俺の刃が先に相手へ届けばこちらの勝ちだ。

 

ヤツと同じ土俵には、なんとしてでも立たない。

 

「!その構えは・・・」

「『牙突(がとつ)』って言うんだぜ」

 

 だから俺は、イヴのような中段の構えを取らない。俺はビリヤードのキューを構えるようにウレタン棒を水平に持ち、刀身にもう片方の手を添え、狙いを定める。

 イヴが使う剣道のスタンダードな中段の構えは、剣を持ち上げて相手の頭へ振り下ろすまでの僅かなラグが発生する。

 対して俺の構えは片手一本の突き技を前提としているため、最短ルートで相手の額を狙うことができる。

 ヤツがウレタン棒を振り下ろす前に、最速で俺の一撃を当てる、完全な瞬発力頼みの戦法。ただでさえ負け筋が多すぎるこの勝負で、俺に残された勝ち筋は、これ以外に無い。

 殺す気でやらなければ、負けるのはこっちだ。

 

「「・・・」」

 

 吹き抜ける風の音と、2人分の呼吸の音だけが、その場の静寂に在る。

 

 

 スゥ・・・

 

 心音が加速する。

 

 ハァ・・・

 

 汗が滴る。

 

 スゥ・・・

 

 そして

 

「「フゥ・・・ッ!」」

 

 踏み込みは同時。自らに内包した殺気を隠すこともせず、俺たちは敵へ刃を振るう。

 離れていた間合いを一気に詰め、一閃。

 

「面ッ!!」

「セアアアァァァ!!!」

 

 パアァァーン!!

 

 一瞬一撃。

 

 踏み込みから1秒も掛からぬ刹那、鮮烈な破裂音と共に、俺たちの決闘は勝敗を決した。

 





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