ガールズバンドとシチュ別で関わっていく話   作:れのあ♪♪

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 今回はリクエストのましろちゃんです。キャラ、シチュ、それに加えてセリフまで指定してくる、トリプルバインドリクエストでした。
 縛りは多かったですが性癖には刺さったので書くだけ書きました。

 ちなみに前回のアンケート

 羽沢珈琲店の日常・・・33%
 今井家の日常・・・・・31%
 クラスの日常・・・・・20%
 部室での日常・・・・・15%

 今回はかなり拮抗してましたね。特に上位2つ。デッドヒートでした。
 毎回、回答ありがとうございます。ちゃんと参考にしますからね。


40.倉田ましろに手料理を振舞うシチュ

 倉田ましろは可愛いと評判だ。ルックスは言うまでも無く、性格もなんだか庇護欲をそそられて、守ってあげたくなる衝動が生まれる。

 しかし、ただ可愛いだけでもなく、覚悟を決めてステージで歌う姿は凛々しく、歌っている時のましろの歌声はむしろ「カッコイイ」部類だ。そんなギャップも重なり、モニカの倉田ましろはファンからの人気が強い。

 そしてそんな人気者のましろは、現在・・・

 

「お邪魔します。ここがレンさんの家・・・」

「あぁ。遠慮せず上がってくれ」

 

 俺と一緒に今井家の玄関を跨いでいた。

 

 

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 倉田ましろは言わずと知れた野菜嫌いだ。ほうれん草、グリンピース、にんじん、etc…、挙げていけばキリがない程だ。

 しかし、いつまでも好き嫌いを通す訳にもいかないとは本人も考えているらしく、つい先日、俺に野菜の克服について相談してきたのだ。

 そして、その解決方法として今井家で俺と特訓することになったのだ。

 

「でも、レンさんって料理しないって聞いたんですけど、大丈夫なんですか?」

「あいにく姉さんも含めて家の人間は出払っててな。でも料理のメモ書きはちゃんと預かってるから大丈夫だと思う」

 

 ちなみにメモ書きは姉が書いたものだ。後輩の野菜嫌いの克服について相談したら「あんたが作ってやんな」とだけ言い残し、これを渡された。

 姉曰く、「普段料理をしない同年代の異性が自分のためだけに頑張って作ってくれた料理なんて、アタシだったら嬉しくて完食しちゃうなぁ」とのこと。

 

「それはいいんですけど、お手伝いとか、しなくていいんですか?」

「あぁ。今日はただリビングで待っててくれ。俺の手料理なんて本当にレアだからな」

「はい。楽しみにしてますね」

「おうよ。話しかけてくれたら会話にも乗るし、退屈はさせないから安心しろ」

 

 食材の準備は万全、エプロンは着た、手も洗い、キッチンから少し離れたテーブルには俺の手料理を楽しみに待つましろが見える。

 ・・・さ、料理開始だ。

 

 

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 早速姉から預かったメモを確認し、復唱する。

 

「えっと、『STEP1.まずは忘れないうちにさっさと換気扇をつけろ』か」

「待ってくださいレンさん。レシピ以前にそこからなんですか?」

「うん。前に一回やらかしてるからだろうけど、めっちゃ警戒されてる」

※料理音痴あるある 普段キッチンを預かってる人間からの信用はほぼ無い。

 

 警戒はされているが、今回作るのは野菜炒めだ。姉曰く「いきなり生野菜食べさせても無理があるからね。まずは火を通して豚バラも入れて、味も誤魔化しが効きやすい野菜炒めにしよう。切って炒めるだけだから作る側も楽だと思うし。・・・楽だよね?レン、大丈夫だよね?なんで目を逸らそうとするの?えっ、待って?本当に大丈夫?」とのこと。

 ・・・丁度いいくらいの料理があるじゃねえか。こんな簡単料理なら俺でもやれるぜ。

 

『STEP2.キャベツ、ニンジン、玉ねぎ、ピーマンを食べやすいサイズに切る』

 

「いや、すげー野菜切らすじゃん。てか切る野菜多すぎだろ。そもそも『食べやすいサイズ』ってなんだよ。もっと具体的に書けよあのバカ姉貴め・・・」

※料理音痴あるある レシピに文句を言い出し、挙句製作者にも苦言

 

「あの、レンさん。今まな板に置いてあるのってニンジンですか?それにピーマンも見えたような・・・」

「そりゃあ、好き嫌い克服のための料理だからな。当然こいつらは外せない」

「わかってはいますけど、見てるだけで鳥肌が・・・」

「目瞑っとけ。しばらく野菜切るから」

「はい・・・」

 

 後輩にそれだけを言い残し、俺は野菜を切り始めた。

 

 

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 ざく、ざく、ざく・・・野菜を切る。

 

「・・・」

 

 ざく、ざく、ざく・・・野菜を切る。

 

「・・・」

 

 ざく、ざく、ザシュッ!・・・野菜と一緒に指も切る。

 

「~~~っ!」

※料理音痴あるある 事故って流血沙汰。

 

「あの、レンさん?大丈夫ですか?もう目を開けても―」

「いや、ダメだ。もうちょっと待ってろ。・・・これは見せられない」

「・・・はぁ」

 

 ましろが目を瞑ってて幸いした。指を切った悲鳴を上げなかったのは我ながらファインプレーだと思う。

 思いっきりやったから傷は想像よりも深い。取り敢えず絆創膏は貼ったが、キッチンの所々には血痕が残る。

 鋭利な包丁と木目のまな板には深紅の鮮血・・・。なんなら手先にも赤く迸った痕跡。

 

「ヤバい。ヤクザが落とし前つけたみたいになった・・・」

※料理音痴あるある まな板が悲惨なことになる。

 

 

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『STEP3.豚バラ肉と一緒に切った野菜をフライパンに入れて炒める。少ししてからキャベツともやしを追加。あ、炒める前にちゃんとサラダ油は引いたかな?もし食材が焦げ付いてフライパンがダメになったらレンが弁償することになるからね☆』

 

「舐めやがって・・・」

「とか言いつつさっき、「そうだ油だ。危ない危ない」って聞こえたのは・・・」

「気のせいだ」

※料理音痴あるある フライパンに油を引くという基本すら頭に無い

 

 さて、油はちゃんと引いた。点火開始といこう。

 気を取り直し、呼吸を整える。

 

「『炎の呼吸』・・・!」

「レンさん・・・(引)」

※料理音痴あるある 火を扱う時に取り敢えず炎系の技名を言っちゃう

 

「『奥義、玖の型』!」

「いやダメですって!キッチン粉々になりますよ!」

※料理音痴あるある そしてチョイスする技は取り敢えず火力が高い

 

 

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『STEP4.キャベツがしなってきたら火を切る。ここでダメ押しに塩コショウ、ごま油を入れてかき混ぜることにより、更に野菜の味を誤魔化す。あとは盛り付けて完成。

 ね?簡単でしょ?冷蔵庫にご飯も冷やしてあるから、仲良く食べてね☆』

 

「『簡単でしょ?』じゃねえよ・・・」

「あ、完成ですか?すごくいい匂い」

「あぁ。すぐ持ってくから待ってろ」

 

 大皿に盛りつけられた野菜炒めに、白米が盛られた茶碗を2つ、テーブル上の光景を見て既に達成感が出てきているが、本題はここから。

 そう。ましろが食べてくれるか。だが、それはひとまず頭の片隅に追いやり、2人で手を合わせる。

 

「「いただきます」」

 

 

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 結論、普通に美味い。

 ごま油と塩コショウで味は濃くなってはいるが、野菜が味の濃さをセーブしていてバランスが取れている。野菜もいい仕事をしている。もやしとキャベツもいい感じにシャキシャキして、食べていて幸せな気分になる。

 

「ましろ、お味はどうだ?」

「はい。ご飯に合う味付けで、すっごく美味しいです!」

「そいつはよかった」

 

 ましろも満足そうに食べている。食べてくれてはいるが、気がかりな部分が少しある。

 ・・・あまり追求したくはないが。

 

「あのさ。ピーマンとニンジンだけ、減ってなくない?」

「うっ・・・」

「美味しくなかった?」

「ごめんなさい!レンさんが作ってくれたのに・・・」

 

 申し訳なさそうに深く頭を下げるましろ。食べないことを責める気は無いが、ましろの為に作っただけに、残されるのはやはりショックだ。

 ・・・世のお母さん方の苦悩と悲しみが少しだけ理解できる気がする。

 

「まぁ、気にすんなよ。残った分は俺が食べるし、食材は無駄にはならないから」

「本当にごめんなさい・・・」

「いいっていいって。それにしても思ってたより筋金入りの好き嫌いだな。やっぱり別の方法を考えた方がいいか・・・?」

 

 眉間を抑えて考えていると、ましろが反応してきた。

 

「あの、レンさん」

「何?」

「いや、その指の傷、どうしたんですか?さっきは無かったですよね?」

「あぁ、これ?ちょっと包丁で切ってさ。ほら、野菜切ってる時。ましろは目瞑ってたけど」

「レンさん・・・どうして言ってくれなかったんですか!こんなに深く切ってるのに」

「そりゃあ、女の子に血は見せたくないだろ。あぁ、でも今つけてる絆創膏も、思ったより血が染みてるな。ちょっと取り替えてくる」

 

 絆創膏に染みただけのものとは言え、食事中の女の子相手に血を見せるのは、少し悪いことをしたかもしれない。

 後で謝らないと。と思いながら戻ってくると、ましろの表情は変わっていた。

 

「レンさん」

「ましろ?」

「あの、私に・・・あーんしてくれませんか!?」

「えっ・・・?」

「私、レンさんがそんなになるまで頑張って作ってくれた手料理を残すなんて・・・やっぱり嫌です!」

「ましろ・・・」

「でも、自分で食べるのは・・・やっぱり体が抵抗しちゃって・・・」

「だから、自分以外の誰かにして欲しいってこと?」

「はい。お願い、できますか・・・?」

 

 不安げに、上目遣いで頼み込んでくるましろ。・・・こんな頼み方をされて拒めるやつなんかいないだろう。

 

「ましろ」

 

 ましろの箸を借り、手近なピーマンを取る。

 

「ほら。あーんして」

「あっ・・・。はい・・・」

 

 あ、これは自分のお願いが思ってたより恥ずかしいものであることにたった今気づいたって感じの顔だ。

 しかし、引くに引けないのか、途中でやめたりはしない。

 

「どうぞ」

「あ~ん」

 

 ピーマンは彼女の口に運ばれた。後はましろ次第。

 

「んっ・・・んん・・・!」

 

 咀嚼の度、苦しそうにしていたが、しばらくしてましろは見事、ピーマンの一かけらを飲み込んだ。

 

「お、食べたじゃん。お味はどうだ?」

「恥ずかしいのに気を取られて・・・そこまで味を気にせずに済みました」

「食べてくれて嬉しいぞ。偉い偉い」

「えへへ・・・」

 

 頭を撫でると、嬉しそうに微笑んでくれた。まだ野菜炒めは残っているが、これはましろにとって大きな一歩だ。

 

「もう一個、いける?」

「・・・まだ抵抗が」

「そっか」

「あれよりも気が逸れるような食べ方ならいけるかも・・・」

「と言うと?」

「だから、さっきよりも恥ずかしい感じで、レンさんにあ~んしてもらえたら・・・く、口移し・・・なんて・・・」

 

 可愛い顔して随分と大胆なことを言う。

 口移し・・・ポッキーゲームみたいに、俺が野菜の片方をくわえて、もう片方をましろが・・・といった感じだろうか?確かに恥ずかしくて野菜の味を感じる余裕なんてなくなるかもしれないが・・・

 

「いや、何言ってんだろ私。レンさん、さっきのは忘れて―」

「いいよ。やろうか」

「へっ?」

 

 ニンジンは長めに切ってある。出来ないことはないだろう。

 俺は手近なニンジンをくわえる。・・・ちょっと喋り辛いな。

 

「はい。どーぞ」

「えっ、いや、流石にそれは・・・」

「?」

「ダメですって!もし、その、キ・・・キス、とかしちゃったらどうするんですか!?」

「んー?」

 

 消極的になったましろを急かすように、一層顔を近づける。

 

「ねぇレンさんお願い。恥ずかしいよ・・・」

 

 くわえたニンジンの先端を、ましろの唇に近づける。

 

「レンさん・・・」

 

 そして・・・

 

「はい。時間切れ」

 

 触れる寸前、そのままニンジンを頂いた。うん。美味しい。

 

「・・・しないんですか?」

「ニンジンも食べられないようなお子様に口移しは100年早い」

「お子様って・・・」

「あーんしてもらわなきゃピーマンも食べられないのに?」

「うっ・・・」

「やっぱり年下をからかうのが楽しいなぁ。照れ顔も間近で見れたし、顔も赤くして・・・」

「むぅ・・・」

「ざぁこ♡」

 

 そう言ってましろの頬をつつくと、ましろは俯いた。表情はよく見えない。

 

「レンさん。さっきのニンジンのくわえ方、もう一回してください」

「なんで?」

「いいから」

 

 そう言われ、またニンジンをくわえて向き直ると・・・

 

 ノータイムで顔をホールドされた。両手で抑えられて逃げられない。ましろを見ると顔は赤くなり、ぷくーっと頬を膨らませ、涙目でこちらを睨んでいた。

 そして開口一番

 

「私・・・ざこじゃないもんっ!」

 

 ヤバい。こいつ煽り耐性0だ。ちょっとからかい過ぎたかもしれない。

 

「あの、ごめん。さっきは悪かったから・・・」

「絶対許さない。お子様じゃないって分からせてやる・・・!」

「あの、ましろさん・・・?」

 

 俺の言い訳など欠片も聞かず、ましろはニンジンに噛り付く。

 

「はむっ!・・・はむ、はむ・・・!」

 

 そしてガツガツ食べ進め、涙目のましろの目元しか見えない距離まで近づき・・・

 

「はむっ!」

 

 最後の一口を終え、俺から離れた。・・・ましろは怒りに任せてニンジンを噛み、飲み込んだ。

 

「ふぅ・・・これでもまだ、お子様って言いますか?」

「いや、お子様とかそれ以前に・・・。おめでとう。ニンジン食べられたじゃん」

「あっ・・・!」

 

 ちょっと調子は狂ったが、結果的に最大の目的は達成された。

 

「えっと、ありがとうございます?」

「作戦成功だな。嫌いなニンジンも口移しなら食べられたわけだし・・・。問題は残りの野菜だけど。どうする?また口移し?」

「いや、やっぱり恥ずかし過ぎたので、その、またあーんする方向でお願いします・・・」

「りょーかい」

 

 この後、ましろは野菜炒めを見事に完食した。一つひとつを食べるのに時間は掛かったが、ニンジンとピーマンを食べたという事実は、ましろにとっても大きいはずだ。

 

 

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 ここまで達成感の強い食事も、今までなかった気がする。食器の片付けも終え、解散の雰囲気になり、今は駅前までましろを送っているところだ。

 

「レンさん。改めて、ごちそうさまでした。すっごく美味しかったです」

「はい。改めてお粗末様でした。気に入ってもらえて何よりだ」

 

 今回の特訓、成果としては大成功だと思う。味付けは強かったが、嫌いな野菜を残すことなく食べたのだ。

 このまま味付けを薄めていき、いずれは生野菜も口にできるといいが・・・まぁ、それは将来に期待だ。

 

 そして、そうこうしているうちに駅前にも着いてしまった。

 

「ここまで来たら、もう1人で帰れるよな?」

「あぁ、はい。・・・大丈夫です」

「本当か?なんか歯切れ悪いけど」

「・・・強いて言うなら、もう少し一緒にいたいです」

「その気持ちは嬉しいけど、流石にな・・・」

「ですよね」

 

 ・・・

 

「レンさん。頭、撫でてください」

「いいのか?」

「はい。野菜、頑張って食べたし・・・」

「ましろ」

「はい」

「・・・おいで」

 

 ましろの綺麗な髪をなぞるように、ただ優しく撫でる。

 

「偉い偉い。よく頑張ったな」

「えへへ・・・」

「残さず食べてくれて嬉しかったぞ」

「レンさん。もっと・・・」

「甘えんぼさんめ」

 

 その後も、俺は帰る予定の時間を超えて、ましろの頭を撫で続けた。

 

 

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 ましろと別れた後、しばらくしてましろからチャットが届いた。

 

『レンさん。今日は本当にありがとうございました。

 今日のレンさん、真剣な表情でキッチンに立ってて、ちょっとカッコよかったです。

 あと、頭撫でてくれた時、すごく優しくて、お兄さんみたいって思っちゃいました。

 

 言葉はまとまらないけど、好きです。レンさんのこと』

 

「ホント魔性の女だな。あいつ・・・」

 

 向こうは素でやっているのだと思うが、もしこんなメッセージを世の男子にでも送ってみろ。絶対みんな勘違いするだろ・・・

 

『あまり男子に向かってそんなことホイホイ言うなよ』

 

 警告のつもりで送ったが、それに対する向こうの返信は早かった。

 

『こんなこと、レンさんにしか言いませんよ?』

 

 ・・・(深呼吸タイム)

 

「うん。風呂入ってさっさと寝よう。なんか頭沸きそう」

 

 冷静さを取り戻すにはそれなりに時間を要した。

 




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