ガールズバンドとシチュ別で関わっていく話   作:れのあ♪♪

46 / 113

 集計時間45時間

 倉田ましろの『お兄さん』呼びを―

【受け入れる】………65人 43%
【受け入れない】……86人 57%



 俺は、ましろの呼び方を受け入れない…!



46.二葉つくしを『妹』にするシチュ(下)

「ましろ。申し訳ないけど、お前にその呼び方をさせることは出来ない」

「・・・どうして、ですか?」

「俺は兄として、妹を泣かせる選択は取れない」

「レンさん・・・」

 

 ましろの腕の力が弱まる。俺はましろの腕を解き、自由になった手をましろの頭に乗せる。

 

「でも勘違いするなよ?ましろが嫌だとか、そういう理由で言ってる訳じゃないからな」

「それは・・・」

「今まで通りに絡んでくれていいし、頼ってくれていい。話ならいくらでも聞くし、困ったことがあったら駆けつけてやる。でも、その呼び方だけは譲れそうにない」

「・・・」

「だから、本当にごめん」

 

 傷つく・・・という程でもないが、それなりに落ち込んだ様子を見せるましろ。俺は、なけなしの優しさで頭を撫でることしか出来ない。

 

「所詮、俺も家に帰ったら弟だからさ。2人も3人も・・・なんてのは無理なんだよ。妹は1人で精一杯だ」

「そうですか・・・なら、仕方ないですね。『お兄さん』呼びは諦めようかな」

「ましろ・・・」

「これからも、優しいレンさんでいてくれますよね?」

「あぁ。それは約束する。ましろとはこれまでのようにするし、呼び方以外は全部受け止めたいと思ってる」

「なら、充分です」

「・・・よかった」

「でも、あんまりつくしちゃんとベタベタしないでくださいね?せめて私の前では」

「それは、悪かった」

「私にも構ってくれなきゃイヤですよ?」

 

 ましろは冗談めかして笑う。選択は拒絶だったが、ましろのことは深く傷つけずに済んだらしい。

 

「じゃあそろそろ、そこでボーっとしてるつくしちゃんを起こさないと、ですね」

「・・・ホントだ。なんで固まってんの?」

「いや、レンさんが『妹を泣かせる選択は取れない(キリッ)』とか言った辺りからずっと放心状態でしたよ?」

「そのセリフ掘り返すんじゃねえよ。恥ずかしい。おーい、つくし?」

 

 ペチペチ・・・

 

「あっ、はいっ!大丈夫です生きてます!」

 

 軽く頬をペチペチすると、慌てた様子でつくしは手を離した。

 ・・・やっと両腕が自由になった。

 

「どうしたんだよ?」

「いや、思い返すと恥ずかしいことやったなって・・・」

「あぁ。確かにつくしちゃん、好き好き言いまくってたもんね。「優しいレンさんが好きで」から始まり・・・」

「うっ・・・!」

「しまいには店中に響く大声で「世界で一番お兄ちゃんが大好きー」って・・・」

「あーーー。待って。言わないでぇ・・・」

「お客さん、みんな聞いてたよ。つくしちゃんの愛の告白」

「違うってぇ・・・。そういうのじゃないじゃん・・・」

 

 自分の行動を掘り返されてつくしの顔も真っ赤になっている。・・・可愛い。

 

「うぅ・・・。レンさんも何とか言ってくださいよ・・・。」

「なんで?俺は普段聞けないつくしの本音が聞けて嬉しかったぞ?」

「へっ・・・!?」

「つくしがこんなに俺のことを好きでいてくれるなんて、知らなかったから」

「ち、違。そうじゃなくて・・・」

「じゃあつくしちゃんは、そうじゃないのにあんなこと言ったの?」

「ま、ましろちゃん・・・」

「『世界で一番大好き』なんだもんね?」

「~~~ッ!お願いだから、その部分掘り返さないで~っ!」

 

 ましろのやつ、絶対楽しんでる。

 

「レンさん」

「ましろ?どうした」

「いえ、私、レンさんと過ごしてる時間って好きだったんです。『お兄さん』って呼びたくなるぐらいでしたから。でも・・・」

 

 ましろは爽やかに続ける。

 

「今はそれと同じぐらい、つくしちゃんをイジるのが楽しいです♪」

「ちょっ、ましろちゃん!?」

「お、なんだ。お前もからかいの妙ってもんが分かってきたようだな」

「レンさん!?」

「「ニヤニヤ」」

 

 俺とましろは目を合わせて笑い合う。

 

「もう!なんで2人の方が仲良さそうにしてるの!?妹は私なのに!!」

「「へぇ・・・?」」

「あれ、なんで私の方を見てニヤニヤするの?2人とも?」

 

 そんな可愛いセリフを言われて、俺たちがスルーする訳ないだろうに。

 

「ましろ、今からつくしを挟もう」

「そうですね。お兄ちゃんを取られた妹さんがヤキモチ妬いちゃってますから」

「待って!やっぱりいいから!今のましろちゃん隣に置きたくない!」

「じゃあ、そのままでいいの?お兄ちゃん取られちゃうかもよ?」

「それは・・・」

 

 イヤなのか・・・。

 ましろは既につくしの隣に移動していた。俺たちは2人掛かりでつくしに詰め寄る。

 

「つくしちゃん、意外と独占欲強いんだね」

「そんなこと、ないし・・・」

「お兄ちゃん取られると思ったの?」

「違うって言ってるでしょ・・・」

 

 つくしは赤くなって縮こまる。

 

「そんなつくしも可愛いよ」

「もう、レンさんまで―」

「んー?」

「お、お兄、ちゃん・・・」

 

 可愛い。

 

「ねぇ2人とも。もうやめよ?本当に恥ずかしいから・・・」

 

 妹が涙目で懇願してくる。

 俺はつくしの頭を撫でながら、ましろとアイコンタクトを取る。

 

 

「大丈夫だよ、つくし。心配しなくても・・・」

「私たちが時間いっぱいまで可愛がってあげるからね♡」

 

「ちょっ!2人とも~~~!!」

 

 

----------------------------------------------------------------------------------------------------

 

 

 俺はつくしと2人で公園に来ている。店を出てからは3人で帰るつもりだったが、「今ぐらいは兄妹水入らずで・・・」と言われ、2人で帰っていたところに公園を見かけて、そのままつくしに連れ込まれた。

 

「で、なんで俺は連れ込まれたの?」

「もう少しお兄ちゃんと一緒にいたくて・・・ダメ?」

「ダメな訳ないだろ」

 

 最初は恥ずかしがっていた呼び方も、今となっては板についてきた。2人きりになったら敬語だって抜ける。もう開き直ったのだろう。

 

「私、2人だけじゃない時でも、お兄ちゃんのこと「お兄ちゃん」って呼びそうになるの。やっぱり染みついちゃったのかな?」

「気を付けろよ?今はましろしか知らないけど、こんな呼び方してる関係なのは秘密なんだから」

「うん。でも『ヒミツの関係』って、なんかドキドキしない?」

「・・・どうだろ」

 

 誤魔化したけど、ドキドキはしている。冗談や遊びの呼び方とも、呼べなくなってきたから。

 つくしは振り返って、俺を見つめてくる。

 

 夕暮れ時の公園には誰もいない。俺とつくしの2人きり。

 

「今井、レンさん」

 

 手を後ろで組んだ小柄な少女は、真面目なトーンで語りかけてくる。少女の顔が夕暮れに染まる。

 吹き抜ける風に、少女のツインテールが揺れる。

 

 

 

「私を、『妹』にしてください。

 

    『お兄ちゃん』に、なってくれますか?」

 

 

 

 冗談や遊びじゃない。

 俺の目の前に立つ女の子は、本気で『兄』としての俺を求めている。

 ・・・こんな求められ方をされて、誰が断れようか。

 

 俺も、『妹』としてのつくしを求める。

 

 俺は、二葉つくしを『妹』にする。

 

「こんな俺でよければ。喜んで」

「・・・!」

「ほら、おいで」

 

 つくしは真っ直ぐ俺の胸に飛び込んで来た。飛び込んでくる『妹』を、俺は全力で抱きとめる。

 

「お兄ちゃん!好き・・・!大好き・・・!」

「つくし、ちょっと落ち着いて」

「ダメ!もう我慢できない!好き。好き!好き・・・!!」

「つくし・・・!」

 

 堰を切ったように、妹が想いをぶつけてくる。こんなにストレートに色々と言われるのは苦手だ。本当なら落ち着かせたり離したりするのだが・・・。

 

「(まぁ、これも『お兄ちゃん』の役目かな)」

 

 俺はつくしの言葉を最後まで聞き続けた。

 

 

----------------------------------------------------------------------------------------------------

 

 

 しばらくすると、つくしは落ち着いた。恥ずかしくなったのか、今は少し離れている。

 

「お兄ちゃん」

「何?」

「お兄ちゃんからも、私に何かしてくれていいんだよ?」

「俺から?」

「私ばっかり受け止めてもらってる気がするもん」

「それじゃ、ダメ?」

「そりゃあ、妹はお兄ちゃんに甘えて頼るものだけど、兄妹って支え合うものでしょ?私ばっかりなのは、やっぱり違うと思う。だから、お兄ちゃんにも私を求めて欲しい」

「『求める』か・・・」

「うん。『兄妹』になるって、そういうことだと思うから。『お兄ちゃんだから上』とかじゃなくて、もっと対等な関係が兄妹だと思うし・・・」

 

 俺が思ってる以上に、つくしはこの関係を真剣に考えていた。

 

「せめて「好き」って言うぐらいはして欲しい。私はあんなに言ったのに、お兄ちゃんの口から聞いてないし。ましろちゃんには言ったくせに・・・」

「それは、確かにな」

 

 兄妹なら、その言葉を交わすぐらいはしてもいいだろう。でも、せっかくなら俺の気持ちがしっかり伝わる方法で伝えたい。つくしがあんなに精一杯伝えてくれたのなら、その分ぐらいは返すべきだ。

 俺だって、つくしのことが好きなのだから。

 

「つくし、実は1個、したいことがある。ちょっと踏み込んだことだけど」

「踏み込んだこと?」

「うん。身長差あるとやり辛いんだけど。まぁ、俺が合わせたらいいか・・・。ちょっと、そこでじっとしてて欲しい」

 

 よく分からないのか、つくしは首を傾げている。

 俺は、つくしのすぐ近くに歩み寄る。

 

「目、閉じて」

「・・・?」

 

 つくしは目を閉じて無防備になる。後は、俺がつくしへの想いを伝えるだけ。

 

 俺は―

 

 

 chu…

 

 

 つくしの頬へ、唇を押し当てた。

 

「へっ・・・!?」

「大好きだよ。つくし。愛してる」

「はわわわわわわ・・・!」

 

 取り敢えず、俺の気持ちは全て伝えた。あまり恥ずかしがらずに済んでいるのは、つくしがそれ以上に赤くなっているからだろう。

 でも・・・。

 

「踏み込みすぎたかな・・・?」

「だだだだだ大丈夫だよこんなの!」

「大丈夫じゃないだろ」

「い、いや、本当に大丈夫だから。こんなの、兄妹なら普通だよ」

「普通なのか?」

「私の妹は、してくるし・・・私だって妹にするし。ス、スキンシップだよこんなの!」

「俺からしといて言うのもアレだけど、本当にいいのか?」

「いいの。兄妹なら、普通。兄妹なら・・・!」

 

 自分を誤魔化してるようにしか見えないが、許されたのだろう。でも、今日はここまでにして解散しよう。日も沈んで暗くなってる。

 

「つくし、そろそろ帰ろう。送るよ」

「そう、だね。これ以上は私もキャパオーバーしそうだし・・・」

 

 やっぱり恥ずかしかったのか、限界はすぐそこだったらしい。

 しかし、つくしを連れようと思うと、裾を引いて止められた。

 

「お兄ちゃん・・・」

「何?」

「もし次にすることがあったら、私からも、その、ほっぺに、ちゅ・・・ってして、いい?」

「・・・いいよ。俺も、して欲しい」

「そっか・・・」

 

 つくしは上目遣いで俺を見つめてくる。この子は、俺の妹だ。

 

「お兄ちゃんの唇、柔らかった・・・」

「お前だって、柔らかかった・・・」

「そりゃ、頬っぺただし・・・」

 

 公園を出るまで、俺たちの間には変な空気が流れ続けた。

 

 ・・・バイト上がりの夕暮れ。俺に1人の妹ができた。

 




【カフェテリア内、メガネを掛けてPCを開いた大学生の独り言】

「なるほど。こんな結果になったか。ましろちゃんの『お兄さん』呼びを見たい人、多いと思ったんだけどなぁ。つくしちゃんへの良心でもあったのかな?割と拮抗してた方だとは思うけど。まぁ、これが読者様の選択なら従いますよ」

「で、どうだった?みんなが望んでた修羅場シチュだった訳だけど、こっちは書いててそれなりに辛かったよ。原作キャラをギスギスさせたりする地獄、考えたことある?」

「いや、文句ではないですよ。筆はサクサク進みましたから。まぁ、思うところがあれば、また感想お願いしますってことで、それじゃ・・・」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。