ガールズバンドとシチュ別で関わっていく話   作:れのあ♪♪

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 レン君の成長、8割ぐらいが見たいらしいですね。検討してみましょう。


53.氷川紗夜の話を聞くシチュ(上)

 

「脱稿ッ!すなわち解放の時!!」

 

 PCのエンターキーをぶっ叩く音が、手狭で閑静な部室内に響き渡る。

 大変なことが多い新聞部の活動だが、それには当然楽しい瞬間も多い。そしてそれの一番楽しい瞬間はやはり、記事を書き終えた瞬間だ。

 今回は締め切りにも余裕を持たせることが出来たのでさらに気持ちいい。締め切りギリギリで逃げ切った時も気持ちいいが、その状況下の時はもう楽しむための気力も尽きてるせいで精神も安堵と疲労でいっぱいになる。

 鼻歌の一つでも歌いたくなるような気分だ、

 

「まぁ私、歌えないんですけど~。ヨホホホホホホホホ!!」

 

 やる気の無い顧問に部室の鍵を返却し、意気揚々と職員室を飛び出すと、廊下でちょうど帰ろうとしている紗夜さんを見つけた。

 なんだろう。今日は本当にいい日だ。

 俺は上がった気分を維持したまま、紗夜さんのもとに駆け寄る。

 

「紗夜さん、もしかして今帰りですか?よかったら一緒に―」

「は?なんですか?」

 

 え、怖・・・

 

「いや、だから一緒に―」

「結構です。わざわざ一緒に帰る理由なんてありません」

「えっ・・・」

「要件はそれだけですか?だったら私はもう行きます。時間の無駄ですから」

 

 紗夜さんはそのまま不機嫌そうに立ち去った。

 紗夜さんの塩対応は珍しいこともないが、断るにしたってあんなトゲのある言い方はしない。そもそも最近の紗夜さんはもっと優しい。

 明らかにイライラしているのは確かだ。女子はだいたい月一ぐらいでイライラする日があるというのは心得ているが、アレは明らかにソレの度を越えている。

 何か明確な理由があるのは確かだ。でも、どうしよう。

 放っておいて欲しそうだったし、放っておいてあげた方が良いのかもしれない。

 でも・・・

 

「いや、それは無いだろ」

 

 こういう状況でビビッて逃げるのが一番ダメなのはよく知ってる。

 嫌な思いをさせる覚悟を背負ってでも、紗夜さんが抱え込んでるものぐらいはどうにかするべきだ。

 そう思った頃に、俺は再び紗夜さんに向かって駆け出していた。

 

 

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 幸い、紗夜さんはまだ廊下を歩いてる途中で、見つけるのは簡単だった。

 

「紗夜さん、ちょっと待ってくださいよ。何をそんなに怒ってるんですか?」

「別に怒ってなんかいません」

「でも明らかに不機嫌じゃないですか」

 

 前に立ってようやく紗夜さんは立ち止まってくれたが、こちらを見ようともしない。

 

「放っておいて」

「嫌です」

「あなたには関係無いわ」

「そんなことは俺が決めます」

「しつこいわね。関係無いって言ってるでしょ!」

「関係無いから何ですか!?紗夜さんが辛そうにしてるのに何もしないなんて、俺には出来ない!」

「・・・!」

 

 紗夜さんが驚いてる隙に、俺は紗夜さんの手を握る。

 

「へっ・・・!?」

「何かあるなら話してください。何でも聞くし、何でもしますから」

 

 手を握ったまま、紗夜さんに詰め寄る。

 

「「放っておけ」なんて、そんな悲しいこと言わないでください。紗夜さんには笑顔でいて欲しいんです」

「ほぁっ・・・」

 

 紗夜さんの目を真っ直ぐに見つめる。こういう時は誠意を伝えるのが何よりも大事だ。

 

「えと、あの・・・」

「何ですか?」

「離して、ください・・・」

「嫌です。紗夜さん逃げちゃうでしょ?」

「逃げないから・・・」

「ダメです。せめて離して欲しい理由ぐらい聞かせてください」

「それは・・・」

 

 言い淀む紗夜さんの表情は、少し赤みがかっているように見えた。そう言えば、さっきまでイライラした様子だった紗夜さんが、今は妙にしおらしいような・・・?

 

「は、恥ずかしい・・・」

「・・・」

 

 もしかして紗夜さん、あんまり男慣れしてないのだろうか?こうして手を握って詰め寄るのは、刺激が強かったのかもしれない。

 顔を染めて、しおらしくなった紗夜さんは、そのまま上目遣いで訴えてくる。

 

「離してよ・・・」

「すいません。熱くなり過ぎました」

「もう・・・」

 

 照れた表情を見せる紗夜さんを可愛いと思っているのは、黙っておくことにしよう。

でも、長い髪を弄って照れてるのを誤魔化している紗夜さんは、やっぱり可愛かった。

 普段クールな人が、こういう所でピュアなのって、反則だと思う。

 

 

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 しばらくして調子を取り戻した紗夜さんは、そのまま廊下の壁にもたれてゆっくりと腕を組んだ。

 再びクールな雰囲気を纏ったが、どうやら話す気にはなってくれたらしい。

 

「先に言っておきますが、この話をしたら、多分私は再びイライラすると思います。理性のタガが外れることもあるかもしれません」

「そんなにですか・・・?」

「はい。それほど許しがたい出来事を話します。この手の話が苦手な方には、ブラウザバックをお勧めしたいほどに・・・」

「もう一度言いますよ。そんなにですか?」

 

 だが、ここまで踏み込んで逃げるのも違うだろう。

 

「話してください。すべて聞きますから」

 

 紗夜さんの中でも抵抗はあったのだろうと思うが、紗夜さんはゆっくりと話し始めた。

 

「あれは、私が行きつけのファストフード店に言った時のことです」

「はい」

「私はいつものようにハンバーガーのセットと、ポテトのLサイズを注文しました。あの時はたまたま、Lサイズの50円引きクーポンもありましたから。でも、そのクーポンが使われることはありませんでした」

「えっ、どうして使わなかったんですか?」

「「使わなかった」んじゃない。「使えなかった」のよ」

「・・・どうして」

「えぇ。今でも忘れられないわ。あの店員さんの、あの一言が・・・」

 

 

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「申し訳ございません。ただ今、ポテトの方はSサイズの販売しかしていなくて・・・」

 

 

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「どうしてなのよっ!!」

 

 バキィィッ!!

 

 イライラのゲージが溜まりなおしたのか紗夜さんは怒りに任せて廊下の壁を殴りつける。

 壁には紗夜さんの拳を中心として蜘蛛の巣のようなヒビが広がり、校舎には地震のような衝撃波が迸る。

 ・・・どっちだ?校舎が脆いのか?それとも紗夜さんが強すぎるのか?

 

「でも、Sサイズしかダメなんて、どうしてそんなことに?」

「国の輸送がどうとか天候がどうとか言ってた気がするけど、その時には既に頭が真っ白になってたから覚えてないわ」

「なるほど。流石に意地悪でやってる訳ではないんですね。でも、それじゃあほかの店はどうなんです?ファミレスとか」

「そっちはもっと酷かったわ。そもそもポテトの販売すら停止してたし・・・」

「ですよねぇ。打撃を受けてるのはファストフードだけじゃないか・・・」

 

 いや、でも悠長に構えている場合でもない。今こうしてる間にも、紗夜さんのイライラゲージは溜まり続けているのだ。

 しかし、項垂れたと思われた紗夜さんが、急にハッと目を見開いた。

 

「もしかしたら、全部何かの間違いだったりはしないかしら・・・?」

「紗夜さん、このタイミングの現実逃避はマズいですって」

「逃げてなんかないわ。きっとあの時は、偶然ポテトが軽んじられている平行世界に―」

「飛んでなんかないですから」

「じゃあポテトが軽んじられるような歴史を辿ってしまった、人類史のifの世界に・・・」

「浮上もしてないですって」

「そうよ。きっとこの異聞帯(ifの誤った歴史)の分岐は15世紀から16世紀の間、インカ帝国から伝わる筈だったじゃがいもがヨーロッパで浸透しなかったことよ!きっとインカ帝国が何かしらの方法を使ってスペイン人の侵略を凌いだんだわ!」

「んなアホな」

「いいえ間違いないわ。きっと今もインカ帝国は栄えてて、それでいて天空都市マチュピチュから私たちを見下して嘲笑ってるのよ!皆のじゃがいもを独占して・・・。さぞ滑稽に見えるでしょう。上空2500~4000mのアンデス山脈から見下すポテト難民の苦痛は・・・!」

「滑稽なの紗夜さんだけだよ」

「いいえ違うわ。考えれば考えるほど辻褄は合うもの!」

「じゃあもう仮にそうだったとして、インカ帝国はどうやってスペインからの侵略を凌いだんだよ?紗夜さんが言う通りの15世紀とか16世紀辺りのヨーロッパなら、兵装も火力も揃ってはずだろ?技術も文明も勝ってるスペインがどうやって負けるんだよ。早速この辻褄が合ってないじゃねえか。結局紗夜さんの話は全部妄そ―」

「いいえ。そうとも言えないわ。だって、インカ帝国が勝っていた部分はちゃんとある」

「どこがだよ?」

「人数、そして地形と地理よ」

「・・・うん?」

 

 ダメだ。アホだからついていけない。

 でも、そんなことは気にせず、紗夜さんはぶっ飛んだ自論の展開する。なまじ頭が良い人がこういうこと言い出すのが一番困る。

 そもそもなんで紗夜さんの口からインカ帝国の解説なんて聞かなきゃいけないんだよ。これバンドリの二次創作だぞ。もう現実逃避で片づけていいスケールじゃないだろ。

 

「たしかに汎人類史(本来の正しい歴史)のスペインはインカ帝国の侵略に成功したわ」

「あくまでここが異聞帯(ifの誤った歴史)ってことが前提なのか・・・」

「でも、鉄の武器や火縄銃があったとはいえ、スペインの手勢はあくまで200人程度、それに対し、当時のインカ帝国側も、天然痘や内戦で大変だったとはいえ、人口は優に数百万を超えます。・・・そもそもこの数による圧倒的な有利を、たかが兵装だけでどうにかできるでしょうか?」

「でも、そもそもその人口全部の数百万人が揃って戦う訳じゃないだろ」

「確かにそうですが、それでも普通に考えて、数の有利が圧倒的だったのは確かです。その上、当時の兵装も万能ではありません。鉄の武器も血を浴びれば錆びますし、銃の残弾数も無限ではありません。火縄はフルオートでもないですから1発撃つのも大変な上に、突然使用不可になることも珍しくありません」

「確かに、言われてみれば・・・?」

「「兵装も火力も揃っていた」とレンさんはおっしゃっていましたが、逆に言うと兵装と火力がなければただの烏合の衆です。言い方は悪いですが、人海戦術で何人かを自爆前提で突撃させればどうにかなります」

「自爆って・・・」

「必要な犠牲です。分かりますね?命の価値に区別なく」

「えげつな・・・」

「でも、戦争とはそんなものですよ。将棋やチェスでも、歩兵やポーンは捨て駒として扱われますし、犠牲の無い勝利はありません」

「はぁ・・・」

 

 おかしい。なんでポテトの話をしていた先輩と、いつの間にかインカ帝国滅亡の話を語り合っているんだ?

 

「そして、当時のインカ帝国が有利だった次の点、それが地形と地理」

「地形と地理?でも、ただの山岳地帯だろ?何がそんなに有利なんだよ?」

「まず前提として、城攻めは防衛よりも遥かに高い難易度を誇ります。守る側は慣れた場所で動き、攻める側は慣れない場所で動くわけですから。特に「国を超えた」城攻めは、気候や環境の違いによる影響が著しく現れます」

「まぁ、確かに「難攻不落の城」みたいなのは、日本でもよく聞くけど」

「はい。そしてその有利を更に後押しする要素が、山岳地帯という地形です。まぁ、当時の侵略の主戦場が具体的にどのような場所だったかは分かりませんが・・・」

「「頭上の有利」みたいなことですか?」

「まさか。それだけではありませんよ」

「じゃあ、あんなただの山に何の有利が?」

「「ただの山」?忘れたのですか?インカ帝国は言わずと知れた「天空都市」。2400m地点にマチュピチュが存在し、更にその上の3400m地点に首都であるクスコの市街地」

「改めて聞くと高いな」

「しかも当時は車や電車のような移動手段がある訳でもなければ、山道も碌に整備されていない。その上、スペインは大洋をはるばる渡ってきたばかり。飛行機も使わず、あの時代の技術で建造された船で、ですよ?さぞ長旅だったに違いありません。長時間かけて海を渡って、ペルーまで歩いて、次は2000m超えの山道ですか?城攻めの前に心が折れるでしょう」

「そもそも体力が保たないですよね」

「はい。長い時間をかけるとしたら食料の問題も出てきます」

「でも、逆に言うなら、それぐらい鍛えられてたってことですよ」

「レンさん、さっきも言いましたが、当時の山道は碌な整備もされてないんですよ?それどころかルートの形成もされてない。そして、もう一つは装備の問題です」

「装備、なんかダメなことでも?」

「あのですね?当時の人は今の我々のようにダウンジャケットを羽織って、トレッキングシューズを履いていた訳ではないんですよ?ただでさえ悪い足場を、碌な靴も履かずに。しかもこれは登山ではなく戦争。戦争を仕掛ける立場である以上、鉄でできた武器や装備も携帯する必要があります」

 

 ・・・

 

「知ってますか?鉄って重いんですよ?」

「それはバカにしすぎだろ・・・」

 

 でも、成績不良者に歴史の考察なんて聞かされても困る。

 俺がアホなのは、紗夜さんが一番知ってる筈なのに。取り敢えず分かるのは・・・

 

「まぁつまり、帝国に着く頃には、スペイン軍は心も体もヘトヘトだったってことですね?だから有利だったと」

「それだけではありませんよ?」

「まだあんのかよ・・・」

「えぇ。あの付近の山岳地帯はそれだけ防衛に有利なのです」

「紗夜さんの山推しは理解できましたけど、守るんならやっぱり森みたいに木とかが生い茂ってるような場所の方が身も隠せていいんじゃないですか?テレビとかで見た感じ、あそこ森とか無いじゃないですか」

「えぇ。だから、「木の一本も生えないぐらいに高い場所」であることが大事なのよ。樹木の生育が可能な標高の境界線を「森林限界」というらしいけど、富士山でのソレは2400mらしいわね。ちょうど五合目の辺り」

「・・・何が言いたい?」

「富士山の五合目辺りなら、ちょうど「あの病気」の発症リスクが出てくる高さでもあるでしょう?気圧も下がって空気も薄くなって、血中の酸素濃度が危うくなる、「あの病気」が」

 

 なるほど。それなら聞いたことがある。

 

「高山病か」

「その通り。そしてアンデス山脈、マチュピチュの標高は、それの発症の条件を満たしています。現地民のように、最初から生活して慣れていない限り、そこにいるだけでも危険です。仮に発症しなかったとしても酸素を著しく消費するような「激しい運動」は避けるべきです」

「「激しい運動」って、バリバリ戦争しにきてんのに?」

「はい。しかも、当時の人々に高山病や酸素の概念があったかも怪しい時代ですし」

「なるほど」

「では、ここで質問です」

「はい。なんですか先生」

 

 もう、いつの間にか授業みたいになってるので呼び方はこっちでいいと思う。

 

「数は圧倒的不利、自慢の兵装はいつまで保つかわからない、当時の技術レベルで海を渡り、大地を歩き、重い鉄の装備を引っさげてアンデスの山を登り、慢性的な疲労を残したまま、高山病で頭痛や吐き気のリスクもある。そしてそのリスクは激しい運動で更に上昇する。それなのにただでさえ有利な現地民はそのリスクを背負わずに本気で殺しに来る」

 

 ・・・

 

「この状況下で、あなたは命を懸けた殺し合いをしたいと思いますか?」

「絶対嫌ですけど?」

 

 いくらなんでも極限状態過ぎる・・・

 

「当然、スペイン軍も正面から正々堂々戦った訳ではないとも思います。技術は勝っていましたし、策謀を働かせて相手を貶めるようなこともしたでしょう。ですが、この侵略は、失敗のリスクの方が高かった筈です。寧ろ、これで「なんとか勝った」とか「なんとか生き残った」とかではなく、快勝した挙句、数百万人の人口を誇った帝国を滅ぼし尽くした?」

「よく考えるとおかしいですよね。インカ帝国の滅亡は謎が多いって言いますけど・・・」

「はい。これでは寧ろ、侵略に成功した汎人類史のスペイン軍の方がおかしいとすら言えます。だから、ここが汎人類史とは別の歴史を辿った異聞帯である可能性も充分に考えられるのです。少し何かが違えば、帝国が勝っていた可能性も大いにあるのですから」

 

 ・・・

 

「ここは、インカ帝国が侵略されなかった結果、汎人類史と運命が分岐し、じゃがいもが人類史に普及しなかった、ifの世界・・・」

「いや、やっぱおかしいって」

「じゃがいもが人類史に与えた影響は、それだけ大きかったんです。大昔のヨーロッパで起こった飢饉を救ったのも、今思えばじゃがいもでした・・・」

「おい!紗夜さん!聞いてんのかよ!?」

「じゃがいもが輸入されなかったから、この異聞帯のヨーロッパは飢饉を乗り越えられず、滅亡した」

「おいこら。勝手に滅ぼしてんじゃねえよ。まだ元気にやってるって」

「だから、ここは人類がポテトを軽んじる世界になった。短期間で収穫出来て、少ない肥料だろうが瘦せた土地だろうが問題なく育つような都合のいい野菜が、輸送の停滞如きで食べられなくなる不自然さも、こう考えれば納得できる」

「おい、そろそろいい加減にしろよ?」

 

 もう敬語も抜けてしまっているが関係無い、さっさとこの先輩をどうにかしなければ。

 

「生命にも競争があるように、歴史にも勝敗があります。正しい選択によって繁栄した汎人類史があるように、誤った繁栄によって生まれた異聞帯がある。じゃがいもが広まらず、ヨーロッパは滅び、それ故に「不要なもの」として中断され、並行世界論にすら切り捨てられた、「行き止まり」の人類史」

 

 ・・・

 

「ここは、そういう場所なのよ」

「いや、違うからな?」

「この世界は、決定的に「閉じ」ている」

「閉じてんのはあんたの視界だ。さっさと目を覚ませ」

「あなたこそ、否定ばかりしてないでこの事実を受け入れるべきよ」

「つまり、何が言いたいんだ?」

「現実を見なさい」

「お前だよ!!」

 

 紗夜さんの暴走は、しばらく続いた。

 

 





 (下)は30分後に投稿します。
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