ガールズバンドとシチュ別で関わっていく話   作:れのあ♪♪

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 歴史解説パート、見たい人の方が多かったですね。練ってみるのも一興か・・・?

 
 今回はリクエストの七深ちゃん。指定されたシチュを先に書いて、そしてそれに繋がる前後を考えたらこんな感じに仕上がりました。

 余談ですが、読者の皆さん、感想書くの早くないですか?深夜に投稿してるのに30分もしないうちに読み終えて感想まで送ってくれるなんて…。
 やっぱり嬉しいですね。




55.広町七深と映画デートに行く「筈だった」シチュ(上)

 

 広町七深は屈指のホラー映画好きだ。それこそ、メジャーな作品からマイナーな作品まで、幅広く好む。

 しかし、その趣味に理解がある女子は、残念ながら多くないらしい。

 そう。それ故に俺は今、広町七深と電車に揺られている。

 

「なぁ広町。わざわざ電車まで使う必要あったか?」

「いやー、今回の新作、ちょっとマイナーなんですよね。だから近くの映画館はやってなくて・・・」

「あと、俺よりもりみとかの方が良くないか?」

「りみりん先輩は、ライブの準備で忙しくて・・・」

「そもそも、映画って1人でも問題無いと思うんだけど・・・」

「あの、さっきから凄い渋ってますけど、もしかしてレンさん、ホラー苦手なんですか?リサ先輩からは得意って聞いてたんですけど」

「一つ言っておくけど、「得意」って言われてた理由はあくまで姉さんが基準だからだ。俺がホラーで必要以上に怖がったりしないのは、すぐ隣で俺以上に怖がってる姉さんがいるからであって、決して得意だからじゃない。寧ろ俺、人並みにはビビるからな?」

「そうですか・・・。レンさん、もし本当に嫌だったら、無理しなくても―」

「ばーか。それは話が別だろ。広町と一緒に出掛けること自体は楽しみにしてるんだから」

「レンさん・・・」

「ま、さっきは俺も悪かったよ。なんか、楽しい話でもしよう。着くまで、まだしばらく掛かるだろ?」

「ですね~」

 

 でも、どうだろう。姉さんがいる時は自分より怖がった人間がいると怖さが軽くなる理論が使えるが、広町相手だとそうもいかない。

 無様を晒すことにならないといいが。

 

「というか、なんで私の呼び方は苗字なんですか~?しろちゃんとつーちゃんは名前なのに」

「いや、別に大した理由じゃないぞ?お前は・・・なんか、「広町!」って感じするじゃん」

「説明はざっくりしてるのに、なんか分かるんだよな~」

「もしかして不満だったか?呼び方、変えた方がいい?」

「そこは好きに呼んで頂ければ―」

「じゃあナナミン」

「引っぱたきますよ~」

 

 呼び方は「七深」で決定した。

 

 

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 ガタン ゴトン ガタン ゴトン

 

 俺達は、他愛もない話をしながら、電車に揺られる。

 電車は、目的地に向かってゆっくり進む。

 

 ゆっくり、ゆっくり・・・。

 

 ガタン ゴトン ガタン ゴトン

 

 

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 がたん・・・、ごとん・・・。

 

 

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「寝てた」

 

 いや、自分でもビックリした。帰りの電車ならともかく行きで寝落ちするとは・・・。

多分、知らない内に疲れを溜め込んでたんだろう。取材もバイトも立て込んでたし・・・。

 そう思いながら、俺は窓からの日差しの眩しさと戦い、目を開けた。

 

「違和感」

 

 意識もハッキリしだして、何か違和感を覚えた。そして、下を見下ろしてみると。

 

「何・・・!?」

 

 電車内が、俺の膝下ぐらいまで水浸しに!

 

「・・・?」

 

 なっていると思ったが、どうやら勘違いだったらしい。

 おかしい。疲れてるのか・・・?

 

「ビックリした~。呪術〇戦のOPみたいな幻覚見えた・・・」

「んぇ?レンさん?」

「あれ?七深、お前も寝てたのか」

「「も」ってことはレンさんも仲良く広町と寝落ちを?」

 

 俺の肩に頭を預けていた七深も、幻覚にビビった俺の反応のせいで目覚めたらしい。

 そして七深は、目を擦りながら周りを見渡す。どうやらこいつはこいつで、違和感を感じ取ったらしい。

 

「この電車、お客さんいなくないですか?」

「あれ?そういえば・・・」

「・・・なんか、イヤな予感しません?」

「七深、他の車両も探してみよう。あと、なるべく俺から離れないでくれ」

「どうしてです?」

「直感。なんとなく」

 

 

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「端から端まで誰もいないってどういうこった・・・?」

「運転席もブラインドが掛けられてて、車掌さんが見えません・・・」

 

 目を覚まして以降、俺達は自分達以外の乗客を見つけられずにいた。そして、問題はこれだけじゃない。

 

「ていうかこの電車、いつまで走ってんだよ?俺達が端から端まで動いてる間、1回も止まってないぞ?何十分走るつもりだよ・・・」

「確かに。結構時間経ってますよね?」

「「うーん」」

 

 そうやってお互いに頭を抱えた瞬間、車内にアナウンスの声が入った。

 

『次は、新阿国前(しんおくにまえ)新阿国前(しんおくにまえ)

 

「次の駅、近いみたいですよ」

「いくらなんでも駅まで遠すぎるだろ。どんだけ田舎道なんだよ」

「でも良かったですね。もし駅名が『きさらぎ駅』とかだったら、私たち詰んでましたよ~」

「言っとくけど今の状況でその冗談に笑えるほど俺、強くないからな?」

「またまた~。さっきの駅名も調べれば出てきますよ~」

「まったく・・・」

 

 そして、七深はスマホを操作し、そして・・・。

 

「レンさん。電波届いてないです。調べられません」

「嘘だろ・・・」

「あと、これ、時間のとこ、見てください」

 

 七深に言われるがまま、画面を覗くと、そこには電波が無い旨のメッセージ。

そして、17:30を指し示す表示。

 

「なぁ、俺達がこの電車に乗ったの、朝の10時とかだよな?でもこの時間って・・・」

「はい。明らかに逢魔が時ですね」

「せめて黄昏時って言わん?」

「しかも、仮に運悪く2人で仲良く寝過ごしただけだとしたら、私たちは7時間近く寝ていたことになります」

「おい。これって・・・」

「やだもうっ。こんな時間まで寝過ごしちゃうなんて~、広町ったら寝坊助さんっ☆」

「こいつ~☆・・・とか言ってる場合じゃないって。明らかにヤバいだろコレ」

「まぁでも、レンさんが考えちゃってるような最悪の事態だと決めつけるのは、まだ早計だと思いますよ?広町たちがうっかりしちゃった可能性も、まだ捨てきれる訳じゃない」

 

 七深がそう言ったと同時。電車がゆっくりとその動きを止めた。

 

新阿国前(しんおくにまえ)新阿国前(しんおくにまえ)

 

 駅に着いた電車が、ゆっくりとその扉を開く。

 

「まぁ、一旦降りましょうか。このまま乗り続けても、いつ次の駅に着くか分かりませんし、取り敢えず、反対のホームで待てば帰りの電車もあると思いますから」

「・・・そうだな」

 

 

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「あの電車、あんなに走ってたのに、この駅はまだ終点じゃないんですね」

「しかも見てみろよこの駅。人っ子1人いやしない」

「改札も随分古いですね~。ICカード未対応どころか、切符を入れる場所すらない」

「すいませーん!誰かいませんか!?」

 

 声をかけても駅員が出てくる気配は無い。完全なる無人駅だ。

 

「なぁ、七深。ホラー専門家として、この状況をどう見る?」

「ホラーというか、都市伝説系の異常ですけどね」

「細かい話はいいよ。俺達はやられたのか?」

「やられてますね~。最悪もいいところです」

「・・・やっぱり?」

「今どき無人で改札も無い駅なんておかしいですよ。東京の電車から乗り換えも無しでたどり着ける訳ありませんし、それに駅名。やっぱり『新阿国前(しんおくにまえ)』なんて見たことも聞いたこともないですし」

「本当に俺達が知らない駅ってだけのパターンは無いか?駅名に『阿国(おくに)』ってついてるなら、出雲阿国(いずものおくに)のゆかりの土地とかだったり・・・」

「もし出雲阿国(いずものおくに)ゆかりの土地とかだったら、ここ島根県とかになりますよ?それこそ東京の電車から乗り換え無しの1本で行くなんて無理ですよ」

「ほな普通の駅と違うか~」

 

 なるほど。取り敢えず、俺達が異常な事態に出くわしていることは分かった。

 じゃあ、次はどうするか。反対側のホームのベンチで落ち着いたはいいが、状況は変わってない。

 今はまだ、事態の理解に感情が追い付いてないから、かえって冷静でいられる。恐怖で冷静さを失う前に出来ること、もしくは七深に聞いておくべきことは無いか・・・?

 

「七深。取り敢えず、これからどうする?帰りの電車も来る気配ないし、このまま線路伝いに歩くか?」

「いや、それは止めといた方がいいと思いますよ。線路の上は危ないですし、歩いても知ってる場所に着く保証が無い上に、仮に着けるとしても、電車で長時間走ってたような道を徒歩っていうのは流石に疲れちゃいます。歩いてる間に、『別の問題』に出くわしても大変ですし・・・」

「じゃあ、駅から降りて誰かに道でも教えてもらうか?もう日も暮れるし、最悪誰かに泊めてもらうとか・・・」

「それも厳しいと思いますよ~。軽く外を見た感じ、住宅も街灯も見当たらないですし、仮に誰かに会えても、その誰かが『安全』である可能性は、良くて五分五分。もうすぐ日が暮れる時間帯にこの周辺を移動するのもリスクが高いかと・・・」

「ああもう!じゃあどうすんだよ!こんな―」

「えい」

 

 冷静さを失って叫ぼうとする寸前、俺の口元に七深の人差し指が当てられた。

 

「レンさん。焦っちゃダメです。落ち着いて?」

「・・・あぁ。悪い」

「心配しなくても、広町だってちゃんと考えてますよ。なんたってホラー専門家ですから」

「そりゃあ、お前はそういうのに詳しいのかもしれないけど、こんなのに対処法とかあるのか?」

「対処法はハッキリしてないですね。この手の駅系の都市伝説自体は『きさらぎ駅』以外にもありますけど、どれも解決法はバラバラですし・・・」

「そうか」

「だから、今から提案することは、『正解』かは分かりません。あくまで複数の都市伝説のパターンから、『安全、最適かもしれない』ものを算出した結論に過ぎません。その上で、聞いて下さいね」

「・・・おう」

「広町の提案。それはズバリ・・・!」

 

 ゴクリ。

 

「特に何もせず、『広』い心で『待ち』を決め込みます。『広町』だけに」

「・・・は?」

「まぁ、簡単に言うと、外に出て『問題』に出くわすリスクをギリギリまで避けて、この駅構内に、私たちを助けてくれる都合の良い存在が現れたらな~って腹です」

「駅構内に現れる存在からは、そもそも逃げなくて大丈夫なのか?」

「分からないですけど、外に居る存在よりはマシかなと。あわよくば一瞬で帰してくれます。5~6歳ぐらいの着物を着た女の子とかが来れば勝ちです」

「なるほど?」

「それに、どんな怪異でも、朝になれば活動も出来なくなります。もしもそれまでの我慢比べになった場合、やっぱり場所はここがいい。これが全部夢だとしても、覚めるまで待てばいいだけですからね」

「・・・信じるぞ?」

「はい。どんと任せてください」

 

 情けない話だが、この場ではもうコイツだけが頼りだ。というかなんでコイツこんなに冷静なんだよ。ホラー耐性EXか?

 

「レンさん。手とか、繋ぎます?」

「なんで?」

「怖いでしょ?今。恐怖心に付け込まれるのも良くないですし・・・」

「別に、今はまだマシだ・・・」

「じゃあ、私が怖がってるってことにしましょう。レンさんは、こんな状況で女の子の手を握りもしないんですか~?」

「わかったよ・・・」

 

 俺は指示通り、なるべく強く繋ぎ合うために、指を絡め合って恋人繋ぎを決め込む。

 やっぱ頼りになり過ぎるんだよな。コイツ、安心感が違う。

 

「せっかくだし、なんかお喋りでもしません?」

「お前、いくらなんでも平常運転過ぎない?不安とか無いのか?」

「あ、そういえばレンさん、最近しろちゃんやつーちゃんと距離感近いですよね?仲良いんですか?」

「気は確かかお前!?」

 

 絶対に今話すことじゃない。

 

 

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 とは思ったが、特にこれといって話すことも無いし、この状況で一切怖がらずに平常運転で雑談してた方がこの駅を作ったやつの面目をぶっ潰せそうだったので雑談には乗ることにした。

 

「でも、ましろやつくしとの関係か・・・」

「傍から見ても距離感近いですし、相当仲良しですよね?」

「そうか?」

「まさか、ちょっとイケナイ関係だったり~?」

「無いない」

「でも仲がいいのは確かですよね?やっぱり詳しい話聞きたいです。まずはしろちゃん辺りの話から、いいですか?」

「まぁ、隠すほどのこともないし。そうだな・・・」

 

 というか、別に懐くも何も、ましろもつくしも大した関係じゃない。俺たちの関係はただの健全な先輩後輩の関係でしかない。

 

 ましろとの関係なんて・・・

 

 

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 寝落ち通話したり・・・。

 

『レンさん、今日、少しだけ通話に付き合ってくれませんか?』

『レンさんの声、聞きたいな』

『私、レンさんの声聞くと安心するんです』

『優しくてかっこいいレンさんがね?』

『だい、だい、だーい好き♡』

 

 誰もいない自宅に連れ込んで、手料理を振舞ってあげたり。

 

「お邪魔します。ここがレンさんの家・・・」

「私に、あーんしてくれませんか!?」

「さっきよりも恥ずかしい感じで、レンさんにあ~んしてもらえたら・・・く、口移し・・・なんて」

「ねぇレンさんお願い。恥ずかしいよ・・・」

「レンさん。頭、撫でてください」

「レンさん。もっと・・・」

『言葉はまとまらないけど、好きです。レンさんのこと』

 

 

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 言えるわけない・・・

 

「あれ?言わないんですか?いきなり頭かかえて・・・」

「いやっ、ちょっと一言で表すのは難しいかなーみたいな。別に、後ろめたいことがあるとか、そういう訳では決してないんだけどさ・・・」

「あれ?急に歯切れ悪くなってません?大丈夫です?」

「いや、大丈夫なんだけどな?本当に大丈夫なんだけどな?ただ、ちょっと纏めるのが上手くいかないというか・・・」

「まぁ、そういうこともありますよね。じゃあ、つーちゃんならどうですか?」

「あぁ、つくしとの関係なら・・・」

 

 

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 「お兄ちゃん」と呼ばせたり・・・。(9話)

 

「・・・『レンお兄ちゃん』ですね」

「お兄ちゃん!そこはっ、本当にダメ・・・!」

「ねぇ、お、お兄ちゃん」

「もう少し、撫でて欲しいな」

 

 「お兄ちゃん」と呼ばせたり・・・。(25話)

 

「・・・お兄ちゃん♡」

「お兄ちゃんありがとっ♡」

「お兄ちゃんから撫でられるの、好き」

「もっと撫でて?」

「だって頑張ってるんだもんっ。お兄ちゃんはもっと褒めてくれていいと思うけど」

 

 「お兄ちゃん」と呼ばせたり・・・。(45話)

 

「レンさんは私のお兄ちゃんなの!」

「私は世界で一番、お兄ちゃんが大好きなんだからあぁぁー!!」

「私だけの「お兄ちゃん」じゃなきゃイヤ・・・」

 

 もう開き直って『妹』にしたり・・・。

 

「『ヒミツの関係』って、なんかドキドキしない?」

「私を、『妹』にしてください。『お兄ちゃん』に、なってくれますか?」

「お兄ちゃん!好き・・・!大好き・・・!」

「もう我慢できない!!好き。好き!好き・・・!」

 

 

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 もっと言えるわけない・・・。

 挙句、その後に頬にキスまでやっちゃってることなんて尚のこと言えるわけない・・・。

 

「あれ?またダメな感じですか?」

「いや、ダメではない。・・・まぁ、アイツらとは本当にただの友達だよ。なんか話しやすいから、自然とそういう接し方になったんだと思う」

「ふぅん・・・?」

「なんだよ?」

「いやぁ?突いたら面白そうな関係だなーって、思っただけですよ?」

「悪い顔だ・・・」

 

 完全なる平常運転。若干俺が七深に押される状態ではあるが、いつも通りの楽しい雑談タイムだ。

 

「そういえば、レンさんの手って大きいですよね。頼れる感じがして安心します」

「今の場合だとお前の方が100倍頼れるぞ?」

「いえ、そうでもないですよ。多分広町1人だったら、不安になったりしてたと思いますし・・・」

「なんで・・・?」

「うーん。自分より怖がってる人がいると冷静になれる、みたいな。それと一緒です」

「複雑だな。俺としてはもうちょっと甲斐性出したいけど」

「でも、いざとなったら頼みますよ?2人で仲良くお喋りするという選択が合ってるかどうかは、結局分からないままですから・・・」

 

 そうだ。俺は誤解していた。七深だって不安じゃない訳がないのだ。それなのに、俺のことを・・・。

 俺は、繋いだ手に少しだけ力を込める。

 

「七深、悪かったな」

「何がですか?」

「確かにお前はこの手の状況に詳しいけど、それ以前に、七深は普通の女の子なんだってこと、忘れてた。甲斐性見せるのは、年上の男がやるべきなのにな・・・」

「へっ・・・?」

「マジでヤバくなったら、俺が絶対守るからな」

「は、はい・・・」

 

 少し驚いた様子だが、どうやら納得はしてくれたらしい。

 

「あの、レンさんの中の私って「普通の女の子」なんですか?」

「そりゃそうだろ。守るべき対象だし」

「そ、そうですか~」

「・・・何だよ?」

「広町を守ろうとするレンさん、ちょっとカッコいいですよ」

「うるせぇな・・・」

 

 

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 ここが碌でもない場所であることも忘れ、しばらく七深とイチャついていた時、遠くで電車の駆ける音が聞こえてきた。

 

「これ、向こうから聞こえたってことは・・・」

「向かう方面は、帰りの向きですよね・・・?」

 

 帰りの電車。それだけを聞くと嬉しいものかもしれないが、生憎、そう簡単に浮かれることは出来なかった。

 

「七深。これは、乗ってもいい電車か?」

「分からないです。私が知ってる話はどれも、帰りの電車で帰った終わり方は見たことがありません。私の中にあるセオリーは通用しない」

「勝率は?」

「五分五分ですかね。そのまま帰れるかもだし、下手したらもっと抜け出せなくなるかも・・・」

「でも、こうして待つのも、絶対助かる訳じゃないんだよな?」

「はい。来もしない助けを待ち続ける可能性もあるし、そもそも駅構内が安全じゃないかもしれない。日の出までの我慢比べをしたとしても、前提として『この世界』に朝そのものが無いことだってある」

「そうか」

「もしかしたら、今ここに向かってる電車こそが、さっき言った『都合よく助けてくれる存在』である可能性もあります」

「考えれば考えるほど、分からなくなってくるな」

「はい。だから、広町の一存では、どうすればいいかの決定は出来そうにないです・・・」

「じゃあ、どうする・・・?」

 

 七深はじっくりと考える素振りを見せる。そして・・・

 

「レンさんが決めてください」

「何?」

「いやぁ、広町的にこの決断のプレッシャーは重くて・・・」

「まぁ、そうだよな」

「だから、私はレンさんの直感を信じます。どう転んでも恨みっこ無しです」

「いいのか?」

「はい。お願いできます?」

「まぁ、「いざって時は頼む」って言われてたからな。この程度のプレッシャーぐらいは背負ってやる」

「レンさん・・・」

 

 といっても、どうしたものか?生きるも死ぬも、全ては俺の選択に掛かってしまった訳だ。当然、これは女の子1人に背負わせるものじゃない。

 

「選んでください」

「・・・」

「次に来る電車に乗り込むか」

「・・・」

「それとも、ここで『別の何か』を待つか」

「・・・」

「さぁ・・・」

 

 この問いは、考えて正解が分かるものじゃない。どちらを選択しても助かるかもしれないし、どちらを選択しても助からないリスクがある。

 

 

 

 俺は・・・、

 

 

 いや、俺達は・・・

 

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