今はパスパレの子の妄想をコネコネしてる段階です。
改めてここに示しておくが、俺は新聞部に所属している。ガールズバンドの連中と平穏に日常生活を過ごし、CiRCLEでなけなしのバイト代を稼ぐ傍ら、取材で学園内や街中を駆け回り、部室に引きこもって取材内容をまとめ、記事に落とし込んだりしている。
今回は助っ人を引き連れつつ、取材目的で茶道部の部室に足を運んでいた。そして今回の取材を手伝ってくれるメンバーがこちら。
「おい香澄。これはあくまで取材なんだから、あんまり失礼なことしなようにな。」
「もう、有咲ってば肩肘張り過ぎだよー。レン君だって「軽い気持ちでいい」って言ってたじゃん」
そう、俺のクラスメイトであり、学園内でいちゃついている現場が度々目撃されるポピパの名コンビ、戸山香澄と市ヶ谷有咲である。
「でも有咲、今回は本当に軽い気持ちでいい。失礼ってことを言うなら取材内容自体がそれなりに失礼だからな。まぁ、花音先輩は優しいから快く受けてくれたけど」
「内容自体が失礼って、それ大丈夫なのか?」
「そう言えば何の取材するのかって聞いてないよね」
「それは後で説明するよ。お前らを呼んだ理由もな」
俺は改めて頭の中を取材に切り替えて、茶道部の扉を開くのだった。
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茶道部の部室の雰囲気は好きだ。畳が敷かれて、お茶の残り香が楽しめる。掛け軸に掛けられた『花鳥風月』の字も良い味を出している。THE和風って感じだ。
和室の雰囲気に和みつつ、俺は今回の取材相手に向き直る。
「今日は時間を取らせてすいません。部室まで借りて頂いて」
「大丈夫だよ。取材だって言ったら普通に開けてくれたし」
松原花音、ハロハピのゆるふわ系美少女であり、今回の取材相手だ。ゆるふわ系美少女とは言ったものの、彼女には年上特有の風格と言うか、頼りがいを感じる相手でもある。花音先輩にはお世話になることも多い。
「うぅ・・・足しびれてきちゃった。ねぇレン君、まだ正座しなきゃダメ?」
「当たり前だろ。ただでさえこっちが協力してもらってる立場なんだから」
「もう!軽い気持ちでいいって言ったじゃん!嘘つき!」
「あはは・・・別に崩して大丈夫だよ?今日はお茶点てる訳でもないし」
「花音先輩優しい・・・」
そう言って香澄は遠慮なく足を崩す。有咲も崩しているが俺は正座のままだ。流石に俺は正式な新聞部として来てるので今ぐらいはその体裁を保つ。
「で、今回の取材内容なんですが」
「うん。聞いてるよ。私の膝枕を取り上げたいんだよね。最初は冗談だと思ってたけど」
ただでさえ突飛な内容なので香澄たちも反応する
「えっ、花音先輩の取材って膝枕のことだったの?」
「お前まさか、花音先輩の膝枕だけで一本書くつもりなのか?」
「そうだ。こころからのタレコミや花音先輩の人柄があらゆるところで愛されまくってることを見越していけると判断した。記事にはなるし、多分みんな読んでくれるはずだ」
「じゃあ、私たちがレン君に呼ばれたのって・・・」
「ああ、お前ら二人には花音先輩の膝枕を実際に体験してもらう」
「本当に軽い気持ちで良かったんだな・・・」
「でも、感想とかは言ってもらうぞ。具体的だと助かる」
でも有咲はともかく香澄に具体的な感想を求めるのは不安だな。花音先輩の膝枕でもキラキラドキドキしだしたらどうしてやろう。
「ねぇレン君、二人に膝枕をするのは構わないけど、これで記事一本書くのは難しいと思うよ?私の膝枕なんて、全然大したことないと思うし」
「花音先輩、しらばっくれても無駄ですよ。証拠は揃ってるんだ。あなたがハロハピのいつもの悪ノリで開催されたベスト膝枕決定戦で1位になっていることはこころから聞いてますし、同率3位の美咲やはぐみ、薫先輩まで虜にしたそうじゃないですか。言い逃れはできませんよ・・・!」
「ふえぇ・・・」
お決まりのセリフを聞きながら、俺たちの取材は始まった。
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「いつでもいいよ」
「じゃあ、有咲から」
「お、私からか」
「いつも忙しそうだからな。遠慮なく休め」
「「休め」は私のセリフじゃないんだ・・・」
「じゃあ花音先輩、失礼しますね」
早速有咲が花音先輩の太ももに頭を乗せ、その様子を取材用のちびっこいカメラで撮影する。許可は取ってるので様々な角度から有咲を捉える。
「有咲、そろそろ感想とか聞きたいんだけど、どうだ?」
「そうだな・・・」
花音先輩の太ももに後頭部を乗せながら、有咲はゆっくりと目を閉じる。そしてそのままとても満足そうな声と笑顔で
「すげーいい匂いする」
「おいてめぇ、膝枕の感想はどうした?」
「あはは・・・」
「いや、花音先輩の太ももはちゃんと気持ちいいんだ。ただ、なんて言うか、感想は後にして欲しい。もうちょっと堪能させてくれ」
「まぁそれなら仕方ないか。あと5分だぞ?」
「了解」
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5分後
「すぅ・・・すぅ・・・」
「レン君、有咲もう寝ちゃってない?」
「こいつ、感想も言わねえで夢の世界へ飛び込みやがった」
「まあまあ。有咲ちゃんを責めないであげて?気持ちよく寝ちゃうのは、頑張り屋さんな証拠だよ?」
「分かってるんですか?先輩のそういう優しさや包容力が、有咲をこんな風に寝かしつけてしまったんですよ?」
「あれ、もしかして私怒られてるの?」
「まぁいいです。こんな時の保険として香澄も連れてきてるんですから」
花音先輩の膝枕で寝落ちした有咲の写真を撮った後、座布団のある場所へ運び、今度は香澄を投入する。
枕が座布団にすり替わってもなお、有咲は気持ちよく眠っている。
「で、香澄。花音先輩の膝枕はどうだ?」
「そうだね。すっごくいい匂いするよ!」
「お前ら・・・」
「あ、膝枕も気持ちいいよ。なんか丁度いい高さだね。あと感触は柔らかいんだけど、柔らかすぎず硬すぎずって感じかな。」
「へぇ。花音先輩のことだし、太ももは柔らかさの極致だと思ってたんだけど」
「それは多分、私がドラムやってるからだと思うな。ドラムって足腰使うし、自然と太ももにも筋肉ついてるのかも。スネ周りの筋肉痛はドラマーなら必ず通るし」
「「ほへ~」」
「でも、気に入ってくれたなら良かった。香澄ちゃん、どうかな?」
「気持ちいいですけど、私はあっちゃんの膝枕の方が好きですね。有咲みたいな寝落ちはなさそうです」
「そっか。妹さんと仲良くできて偉いね。いい子いい子・・・」
「あっ、頭なでるのはダメっ・・・」
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1分後
「すやぁ・・・」
「香澄ちゃん。寝ちゃったね」
「先輩が頭なんて撫でるから・・・」
「香澄ちゃんも活発に動き回るからね。こころちゃんみたい。いい子いい子」
花音先輩は香澄を撫でたまま優しいく微笑んでいる。その様子を撮っていると花音先輩はこっちを向いた
「あとは君だけだね」
「いや、俺は撮影が仕事なんで」
「記事を書くのも仕事でしょ。実際に体験した方がいいと思うけど」
「いや、ダメですよそんな。俺男なんですよ?」
「ほら、私は大丈夫だから遠慮しないで?」
「・・・はい」
ダメだ。先輩の膝枕の誘惑に抗えない。抗おうという気すら起きない。俺は寝落ちした香澄を有咲の隣に寝かせ、先輩の膝枕へ身を任せた。
「レン君、どうかな?」
「めっちゃいい匂いします」
「私、そんなにいい匂いする?」
「はい。すごく落ち着きます。膝枕も、最高です」
「よかった。このまま寝ちゃう?」
「いえ、流石にそれは・・・」
「遠慮しないで?先輩としてご褒美ぐらいあげなきゃ」
「いや、本当に大丈夫ですから」
「いつも頑張ってて偉いね。いい子いい子・・・」
「あっ、これヤバい・・・」
「いい子いい子・・・」
先輩に優しく撫でられて、俺の意識はあっけなく落ちた。
しばらくした後に有咲に起こされた俺は、香澄と三人で挨拶をした後、茶道部の部室を退出し、膝枕の感想を語り合いながら二人と帰路についたのだった。
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後日、花音先輩の膝枕を題材にした記事は瞬く間に話題となった。元々学園内で人気の人だったため、話題となった瞬間に膝枕を頼みに来る生徒が大量に押し寄せたらしい。花音先輩からいい匂いがするという話も広まり、抱き着かれる回数も増えたそうだ。
「待って。そんなに大人数で来られても困ります!ふえぇ~!!」
思った以上に花音先輩への被害がすさまじかったので、今度ケーキでも奢ろうと思う。
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感想、一言でも書いてくれたら嬉しいです。待ってます。
花音さんの膝枕、絶対に寝心地いいと思いません?