ガールズバンドとシチュ別で関わっていく話   作:れのあ♪♪

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 今回も前回に引き続きリクエストのつくしちゃん。




72.二葉つくしと夕食を作るシチュ(中)

 

 今日の分の宿題を片付け、つくしとくっついてダラダラしていると、時間は想像よりもずっと早く過ぎ去っていった。

 昼食も食べずに昼過ぎからくつろぎ、気付けば時計はもう午後の5時を指し示していた。

 

「お兄ちゃん、そろそろ夕飯にしない?流石にこれ以上は……」

「そうだな。名残惜しいけど」

 

 そう言いながらつくしの腹部に回していた腕を開放すると、話題はそのまま夕飯の話に移行した。

 

「さて、そうと決まれば今日はどこに行く?せっかくだから奢るよ」

「えっ、何言ってるの?」

「へ?」

 

 そう言って立ち上がった俺の妹は、そのまま自分のバッグに手を突っ込み──

 

 バサッ!

 

 なんて効果音と共に、一着のエプロンを取り出した。

 

「お前、まさか……!」

「さっきの質問、そのまま別の質問で返そうか」

 

 両手を自分の腰に当て、つくしは今日一番のドヤ顔で問うた。

 

「今日は何食べたい?せっかくだから作るよ」

「つくし先生ェェェェ!!!」

 

 そう言えば少し前に、つくしは手料理を家族に振舞うこともあるなんてことを言っていたような気がする。

 とてもじゃないが俺には出来ない芸当だ。

 

「それで、期待の眼差しは嬉しいけど、リクエストはある?」

「リクエストか。正直な話、大好きな人が作ってくれる料理なら何が出てきても嬉しいぞ」

「もう……。でも、確かにいきなりリクエストって言われても難しいよね。じゃあ、もうちょっと絞ろうか」

「絞るって?」

「お兄ちゃん、今日は『ガッツリ食べたい』?それとも『優雅に頂きたい』?」

 

 生粋のお嬢様の手から作り出される『優雅に頂く』料理というのは凄く気になるが、生憎、今の俺は軽い朝食を食べて以降、一切の食べ物を口にしていない。

 食べ盛りの男子高校生がそんな胃袋のコンディションでそんなかったるいことは言えない。

 

「ガッツリ食べたい。肉とか使ったボリューミーなやつとかだと凄く助かるんだけど、いけるか?」

「ボリューミーに、お肉も、かぁ。ふむふむ……」

 

 ・・・

 

「ふぅむ……」

 

 ・・・

 

「うーん……」

「あの、先生?」

 

 つくし先生、束の間の思案。そして──

 

「よし、整った!」

「うおっ、マジか!」

「大丈夫。レシピもちゃんと頭に入ってる!お兄ちゃん!そうと決まれば買い出しだよ!この時間帯のスーパーはそろそろ混み始める!」

「よっしゃあ!荷物持ちは任せろ!」

 

 つくしの頭が整ってからの行動は早かった。

 数少ない会話をサクサクとこなしながら、つくしと俺はエコバッグに財布を突っ込み、暑い夏空の下、2人でスーパーへと駆けだしたのだった。

 

 

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 今井家、キッチン。

 

「という訳で、材料が出そろいました」

「それで、今日は何作るんだ?買った材料を見るに、モニカの連中が推してたつくしの特製カレー……ではなさそうだけど」

「まぁ、今日は2人だけだからね。鍋いっぱいのを作っても食べきれないと思うし、よその家の他人が作ったカレーの鍋がキッチンの空間を占領しちゃうのはよくないかなって。洗い物が増えるものも避けたいし。だから、仮にに余ったとしても手頃で気軽に食べられる感じのものを考えてるよ」

「手頃で気軽にって……それはガッツリ食べたいってリクエストには応えてるのか?」

「ちゃんと応えられるよ。まぁ見てなって。プロが生み出す手頃さとボリュームの合一をね☆」

「おぉ……」

 

 料理のために髪型をポニーテールに変えてエプロンを纏ったつくしは、そう言いながら頼もしいウインクを飛ばしてくる。

 やっばい。もうお腹空いてきた。

 

「……さ、料理開始だよ☆」

 

 

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【STEP1 きゅうりとニンジンをスティック状にカットする】

「野菜か……ボリューム要素は?」

「あぁ、これはメインじゃないよ。流石に野菜無しなのはダメだからね。きゅうりもニンジンも夏バテ対策にはピッタリだし、あ、もしかして嫌いな野菜とかある?」

「いや、俺は野菜でもちゃんと好き嫌いなく食べるぞ。強いて言うならミキサーでスムージーとかにされるとちょっと抵抗あったりもするけど、それでも余所で出されたら飲み干せるし」

「おぉ、お兄ちゃんいい子だね。妹たちにも見習わせたいよ」

 

 そう言いながら、つくしは手際よく野菜を切っていく。

 

「……」(さく、さく、さく、さく)

「(じーっ……)」

「……」(さく、さく、さく、さく)

「(じーっ……)」

「……」(さく、さく、さく、さく)

「…………」(暇になってきた)

 

 ただ待ってるだけの時間は退屈だが、エプロン姿で料理に取り組んでいるつくしの姿は、なんというか絵になる。

 おまけにつくしは美少女で、妹で、恋人でもある。

 そう思うと、俺は居てもたってもいられなくなった。

 気付けば立ち上がって、野菜と向き合っているつくしのすぐ後ろまで歩いていた。

 そして。

 

「つくし」

「うわっ!」

 

 そのまま、そっと後ろから腕を回して抱擁した。

 新婚さんのような、そんな気持ちで。

 

「もう、ちょっとお兄ちゃん。離してよ」

「いいだろちょっとぐらい」

「ダメだってば……」

「もしかして照れてるのか?こんなスキンシップ、前にだっていくらでも──」

「今、包丁持ってて危ないから本当にやめて!!!」

「あ、はい。すいませんでした」

 

 秒で解放した。

※料理音痴あるある シェフの邪魔してガチギレされる

 

「まったく油断も隙も無いんだから。買い物行く前も抱き合ったでしょ?」

「いや、今のは本当に申し訳なかった。なんか欲しがっちゃったというか……」

「普段もこんな風にお料理の邪魔してるの?」

「いや、普段は邪魔なんかしてないって」

「嘘だね。絶対つまみ食いとかしてるでしょ」

「そんな。俺はつまみ食いなんて…………いや、ごめん。バリバリしてるわ。割と毎回、姉さんに怒られてる」

「何してるのホント……」

※料理音痴あるある つまみ食い常習犯

 

「とにかく、今の私が包丁持ってるってこと忘れないでね。次やったら刺し殺すよ?」

「怖いよ悪かったよ。反省したって……」

 

【STEP2 袋の中にカットしたきゅうりとニンジンを入れ、更に顆粒だしと塩を入れ、密封して入念に混ぜる。混ざったら冷蔵庫に入れて放置】

 

「これで終わりか?」

「そうだね。本当はもっとしっかりした手順を踏んで一晩以上漬けておきたいんだけど、流石にそんな時間は無いからお手軽にね。でも、夕飯食べる頃にはいい浅漬けが出来てる筈だよ」

「浅漬け……随分さっぱりしたの作るんだな」

「当たり前でしょ。だってこれからガッツリしたの食べるんだから」

「おぉ……」

 

 つくしの料理は浅漬けだけじゃ終わらない。

 俺の感嘆の声も聞かずに、つくしは次の準備に取り掛かった。

 

「それにしてもお兄ちゃんは料理とかしないの?苦手なのは聞いたけど、何も作ったことがない……ってこともないでしょ?」

「そうだな。確かにチュチュと親子丼作ったり、ましろに野菜炒め作ったり、最近は姉さんと一緒にポテト作ったりとか、苦手なりに色々作ったりはしてるけど」

「それでも、普段キッチンには立たないの?」

「まぁ、キッチンにおいてはそれなりの実績を重ねてるからな」

「実績?」

「訳の分からない創作料理を作ろうとしてダークマターを精製すること13回、油の引き忘れでフライパンをダメにすること5回、電子レンジに金属製のボウルをぶち込んで爆発事故を起こすこと3回、ご飯を炊こうとしたら火力の設定か何かを間違えて炊飯器の外殻のプラスチックが熔解すること1回。ほとんど小学生の頃のやらかしだけど、主な実績はこんな感じだな」

「待って!?炊飯器って溶けるの?」

「あの時の家族は怒りも忘れて驚愕してたよ。悪気は無かったんだけどなぁ」

「お兄ちゃん、それもうテロだよ……」

※料理音痴あるある 洒落にならない罪の数々

 

 そしてこんなことを話しているうちに、つくしの準備も終わったようだ。

 

【STEP1 じゃがいもの皮をむく】

「今日はいっぱい作りたいから、お兄ちゃんにも手伝ってもらいたいな」

「さっきの罪業を聞いておいて、よく俺にそんなこと言えるな」

「別にいいでしょ。共同作業とか憧れてたの」

「なるほど。だったら仕方ないか」

 

 手を洗い、じゃがいもを洗い、つくしと並んでピーラーを振るう。

 

「……」(手際よく皮をむいていくつくし)

「……」(手際は悪いなりに頑張るレン)

「「……」」

「じゃがいもの皮、お兄ちゃんがむいたやつだけ妙に分厚くない?」

「違うって。お前のがペラペラすぎなんだよ」

「そんな訳ないでしょ。もうちょっと優しくしてってば」

※料理音痴あるある 力加減できない

 

【STEP2 皮をむいたじゃがいもをラップで包み、電子レンジで温める。温まったらじゃがいもが熱いうちに潰す】

「よし。いい感じになってきたね。じゃあ気持ちよく潰しちゃおっか」

「そうだな。俺の黄金の右手が火を吹くぜ!」

「ちょっ、温めたばかりのじゃがいもを素手で触ったら──」

「熱っつ!!!!」

「ほーら言わんこっちゃない」

※料理音痴あるある すぐ触りにいく

 

【STEP3 潰したじゃがいもが熱いうちに牛乳、チーズ、コショウを入れてよく混ぜる】

「ところでつくし。俺たちは今、何を作ってるんだ?そろそろ教えてくれてもいいだろ?」

「確かにね。今作ってるのは、『アリゴ』っていうマッシュポテトの仲間みたいなやつだよ。フランス料理なんだけどさ」

「フランス料理とは、また随分オシャレなものに手を付けてるな。でもつくし。これ、ちゃんとボリュームあるのか?肉要素1つもないし、お前、優雅に頂こうとしてないか?」

「お兄ちゃんったら心配し過ぎだよ。フランス料理って単語、そんなにブルジョワに聞こえた?」

 

 俺がちょうどじゃがいもの熱さにも慣れ、全ての食材がよく混ざった頃、つくしは更に追加の食材を持ち出した。

 

「お肉はこれから、だよ」

 

 ドヤ顔でそんなセリフを言い放ったつくしの小さな両手には、溢れんばかりの数を誇るベーコンがひしめき合っていた。

 何をするかは分からなかったが、そんな俺も1つだけ確かなことは理解できた。

 

「おまっ、それ絶対に美味いやつじゃねえか……」

 

 

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【STEP4 混ぜたじゃがいもをベーコンで巻く、巻いたらベーコンが剥がれないように爪楊枝で留めておく】

「巻くっていっても、どんな感じで巻けばいいんだ?」

「そうだね。円形に巻いてもいいんだけど、今回は横長に、楕円形で巻いてくれると助かるかな。その方がベーコンの部分をじっくり焼けるから」

「了解」

 

 その後も俺たちはじゃがいもの形を整え、ひたすらにベーコンを巻いて、つなぎ目に爪楊枝を刺していく。

 

「なんか楽しいね。こういうの」

「そうか?」

「うん。なんか新婚さんみたいじゃない?2人で仲良くキッチンに並んでさ」

「どうだろ。まだ姉弟の方が近いんじゃないか?今日のつくしも、俺のこと『お兄ちゃん』って呼びたい気分みたいだし」

「それもそっか」

 

 ・・・

 

「つくし」

「なに?」

「いつか本当に結婚しても、またこうやって仲良くキッチンで料理しような」

「…………ばーか」

 

【STEP5 ベーコンのつなぎ目を下側にしてフライパンに置いて、爪楊枝を抜いて火をつける。後は焦げないよう適度に裏返しつつ、中に火が通るまで鼻歌でも歌いながら気長に待つ】

 

「「『走り出せ そのゼロを超えるために!

  『夢』という名の衝動に任せて』~~♪」」

 

 

 ジュゥゥゥ……

 

そして、そうこうしている間にキッチンが良い匂いに包まれ始めた。

そろそろ出来上がりの時間だろう。

 

「美味しそうだな」

「そうだね。そろそろ盛り付けだから、お皿の準備お願い」

「了解。いやー、それにしてもつくしは凄いな。こんな料理まで作れるなんて。コレ、家族にも作ったのか?」

「ふふーん。そうだよ。家族に振舞った時もみんな美味しいって言ってくれて好評だったんだから!ご飯にもすっごく合うんだよ」

「そうかぁ、ご飯にも……ん?」

「お兄ちゃん、どうかした?」

「あの、先生」

「はい」

「ご飯、炊いてましたっけ?」

「あっ……」

 

 

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 ちょっとしたトラブルはあったがつくし作の夕飯は無事にリビングのテーブルに並ぶことになった。

 ご飯も冷蔵庫に作り置きがあったので問題は無かった。

 功労者のつくしも、今はエプロンを脱ぎ、ポニーテールだった髪型もいつものツインテールに戻っている。

 

「という訳で、あなたの妹が丹精込めて作った『アリゴのベーコン巻き』になります」

「いい見た目だな。食べるのが楽しみで仕方ないよ」

「じゃあ、もう食べちゃおっか」

「そうだなぁ。朝から何も食べてないから正直ずっと限界だったんだよ」

 

 パンッ

 

「「頂きます」」

 

 さて、頂こう。

 それはいいが、これは俺のリクエストに応えられた料理なんだろうか?

 つくしは、よその家である以上、料理が余っても手頃で気軽に食べられる感じにするとは言っていたが、ちょっと手頃すぎやしないだろうか?

 ガッツリ食べたいと言ったのだから、もっと『鉄板!!肉!!』みたいな感じを想像していたのだが、この料理は俺の胃袋を満足させるほどのボリュームになってくれるだろうか?

 朝からずっと何も食べてない男子高校生の食欲をうちの妹は分かっているのだろうか?

 そんな一抹の不安のような何かを残しながら、俺はアリゴのベーコン巻きにかぶりついた。

 

「うっっま……」

 

 口に入れた瞬間にベーコンの味が口を満たし、噛み締めた瞬間に肉汁とじゃがいもの風味、牛乳とチーズで構成されたまろやかさととろみ、コショウのアクセントが一気に襲い掛かってくる。

 『美味い』以外の感想が出てこない。

 大量の味と食感の情報量が洪水のように俺の脳を支配する。

 気付いたら、1つ目を食べ終わり、すぐに2つ目を口に放り込む。

 

「お兄ちゃん。その反応は嬉しいけど、そんなに慌てて食べちゃダメだよ。ただでさえアリゴって物理的な密度も高いし、急いで食べたらお腹とか苦しくなるよ?」

「(お腹が……?)」

 

 そう言われて、俺は初めて自分の腹部を撫でた。

 ……あんなに、空腹で限界だった俺の腹が、たった1つのアリゴでなんともなくなっていた。

 いや、寧ろこれは……。

 

「見た目の割に結構お腹に溜まるでしょ」

「確かに。想像よりボリュームあるぞコレ。なぁ、もっと貰っていいかな?」

「慌てちゃダメって言ったでしょ。ただでさえ朝から食べてないんだから、お腹ビックリしちゃうよ」

 

 分かっている。でもそんな言葉じゃもう我慢できないところまで来ているのだ。

 この味と肉汁、お隣のご飯が進みに進む。

 お口が、幸せ……。

 

「……美味しい?」

「うん。美味しいよ」

「そっか。ふふっ」

 

 あぁ。今まさに頬杖をつきながら俺の顔を嬉しそうに見つめているこの少女と、もしも一緒に暮らすことがあったりしたら、俺は毎日こんな料理を食べることが出来るのだろうか?

 

「なぁつくし。ちょっと結婚したいんだけど、今から市役所行かね?」

「そういうプロポーズは大人になって、もうちょっとムードを作ってからお願いします。気持ちはすっごく嬉しいけどね♡」

「確かに。こんなに脂っこくなった口で言っていいセリフでもなかったか」

「肉汁凄いもんね。この料理。そろそろ、浅漬けも取ってきてあげよっか」

 

 俺のプロポーズを華麗に断ったくせに、そう言いながらゆったり立ち上がって、トコトコと冷蔵庫に向かっていく姿は、もう俺の中では奥さんのそれにしか見えなかった。

 

「はい。取ってきたよ~」

 

 ほら、奥さんだ。

 そんなことを考えながら、俺はきゅうりの浅漬けを食べた。

 

「あっさりしてていいな。脂っこくなった口に凄くいい」

「ありがと。体にもいいからいっぱい食べてね」

「言われなくても」

 

 きゅうりの水気、きゅうりの塩気、きゅうりの冷たさ、脂っこくなった口にそれらの要素が刺さる。

 刺さった影響で、アリゴで上がったテンションも落ち着く。

 

「つくしには、いつか大きめのお礼をしないとな」

「別にいいよ。お礼が欲しくてやった訳じゃないし」

「そう?何かして欲しいこととか無いのか?」

「そうだね。欲を言うなら、お兄ちゃんの手料理が食べてみたいかな」

「俺の?でも下手だぞ?」

「でも、ましろちゃんは美味しいって言ってたよ。お兄ちゃんの手作り野菜炒め」

「いや、あの時だって苦戦したからな。でもましろに作ってつくしには作らないってのもダメだし……」

 

 その時が来たら頑張らないと……。

 

「それに、ましろちゃん。『嫌いな野菜もあーんしてもらった』って言ってたし」

「ましろ……」

「口移しもしたんでしょ?」

「あいつ、そんなとこまで話したのかよ」

「私にしか話してないけどね。まったく。私と付き合う前とは言え、相当イチャイチャしてるね」

「……もしかして、嫉妬とかしてる?」

「いや、嫉妬はしてないよ。さっきも言ったけどあれは私と付き合う前の話だし──」

「まったく仕方ないつくしだな」

 

 つくしの言葉を遮って、俺はニンジンの浅漬けを口にくわえる。

 

「はい、どうぞ」

「ちょっ、お兄ちゃん……」

「んー?」

「(どうしよ。私、これに関しては本当になんとも思ってないんだけどな……)」

 

 つくしは渋った様子を見せたが、しばらくするとこっちに身を寄せてきた。

 

「お兄ちゃん……」

 

 そして、顔を近づけて──

 

「よいしょ」

 

 俺の口にあった浅漬けを箸で取り上げ──

 

「chu-」

 

 浅漬けがあった筈の場所に、そのまま唇を押し当てた。

 ふわりと、柔らかい感触が包んだ。

 

「!?!?!?」

「食べ物で遊ばないの」

 

 そう言いながら、つくしはすまし顔で俺から奪った浅漬けを食べたのだった。

 

 

「~~~~~ッ!!!」

 

 完全に攻めるつもりだった今井レン、見事にカウンター喰らって敗北。

 

 ちなみにこの後は普通に夕食は食べ終わり、余ったアリゴを冷蔵庫に入れて、一緒にお皿を洗い、入浴の時間まで仲良く喋って時間を潰したのだった。

 

 





 いや、申し訳ない。話をうまくまとめることが出来なくてここまで膨大な感じに。

 マジ(中)を出すことになるとは思わなんだ……。

 1話分の軽っるい話で終わらすつもりやったんです……。

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