今回はリクエストのつくしちゃんと花火するシチュ
お泊りで一生分書いたとは思ったけど、夏じゃないと書けそうにないシチュだったので。
川辺には、俺とつくしの二人きり。
水を溜めたバケツを置いて、その手前に2人で座る。
そんな2人を照らすのは、バケツの隣に置いた一本のロウソクと、2人で仲良く手に取った花火から勢いよく飛び出す火花。
「夏って感じだな」
「そうだね」
暗がりの中で、ツインテールの愛らしい顔立ちが照らされている。
「綺麗だね」
「……そうだな」
「どうかしたの?」
「別に」
『花火より、キミの方が綺麗だよ』
なんて言ったら、彼女は笑うだろうか?
それとも、花火の炎色反応にも負けない程の赤らんだ照れ顔を見せてくれるのだろうか?
でも、花火を眺めながら優しく微笑む彼女を見ているとからかう気も失せてくる。
からかいの言葉も浮かばないぐらいに、彼女に見惚れてしまう。
「(横顔、綺麗だな……。近くで見るとまつ毛も長いし……)」
「……?どうしたの?」
見惚れていると、彼女が首を傾げてこちらを見返してきた。
「いや、なんでもないよ。幸せだなって思っただけ」
「そっか。私もレンさんと一緒に居られて幸せだよ」
そう言っていると、花火が消えた。
持っていた花火をバケツに突っ込み、また新しいものに火をつける。
せっかく火花が勢いよく飛び出しているというのに、俺たちは大してはしゃぎもせずに、ただ座り込んで肩をくっつけ合うだけだった。
……それだけで、満たされていた。
「また来年も、こうやって花火が出来ればいいんだけどな」
「難しいんじゃない?お互いに忙しいし、今年だってやっと集まれたけど、もう夏休みの終わりだよ?」
「だよなぁ。もう夜は冷えるようになってきたし」
「確かに、ちょっと肌寒くなってきたよね」
「あ、じゃあ俺のパーカー着る?薄手だけどちょっとはマシだろ」
「いいの?」
花火を置いて、つくしの肩にそっとパーカーを羽織らせてやると、また随分と嬉しそうな表情を見せてくれた。
「大きいね」
「ご不満か?」
「まさか」
「それは良かった」
「好きな男の子にこんなことされてるんだから、嬉しいに決まってるよ」
「……そう」
「ねぇ、レンさん」
「ん?」
いつの間にか、距離感が近いのをいいことに、つくしは俺の耳元まで口を近づけていた。
そうやって彼女は無邪気に囁く。
「好きだよ」
「……!」
俺の驚いた表情を見て、いたずらっ子な笑みを浮かべるつくし。
『何すんだ』って言いたいのに、そんなに可憐な笑顔を浮かべられると、もう俺は何も言えない。
ダメだなぁ。やっぱり俺はこの子の笑顔に弱い。
好きだなって気持ちが溢れて、こっちまで笑みが零れてしまう。
「ビックリした」
「レンさん、意外と可愛いとこあるよね」
「やり返すぞ」
「……やるなら、お手柔らかにお願いします」
「冗談だよ。ホントにやるなら不意打ちでやるから」
花火が消えた。
勢いよく出る花火は切れてしまい、残るは線香花火と、なんとなく最後に取ってる小型の打ち上げ花火。
2人で線香花火に火をつけ、ただゆっくり、パチパチと散る火花を見守る。
ぱちぱち、ぱちぱち……。
「花火、誘ってくれてありがとな。今年は花火大会も行けなかったし」
「そうなんだ。忙しかったの?」
「バイトだよ。花火大会の日は他の人も抜けやすくなるし、だからまりなさんに頼まれて」
「もう。また断らなかったの?レンさんは充分働いてるんだから、断って花火見に行ったって誰も責めないと思うけど」
「俺が行けなかった分、他のスタッフが楽しめるんなら、俺はそれでいいよ。それに、今こうしてつくしと花火できてる時点で幸せだし」
花火を持ってない方の手で、つくしの頭を撫でる。
そうしてるうちに、線香花火の火が落ちて、辺りを煙だけが支配する。
「ねぇ、レンさん」
「ん?」
「来年は、一緒に花火大会も行こうよ。その時は浴衣も着てあげる」
「おぉ、マジか」
「ふふーん。私の浴衣姿、似合うって評判なんだから」
確かに、つくしの可憐な雰囲気は浴衣にもよく似合うだろう。
あと、浴衣は胸の膨らみが控えめである程よく似合う、ということも聞いたことがあるが、これは黙っておいた方がいいだろう。
「……今、失礼なこと考えたでしょ」
「考えてないよ」
「ふんだ。どうせぺったんこですよーだ」
何も言ってないのに、自分の胸に触れて、頬を膨らませてそっぽ向くつくし。
どうしよう。怒っていても可愛い。
「まだ何も言ってないだろ」
「……」(ぷいっ)
「頼むから機嫌直してくれよ。どうしたんだ?」
「どうせ『浴衣が似合うのはお前の胸がちっぱいだからだろ』とか思ってたんでしょ?」
「そこまでは思ってないって」
「『そこまでは』ってことは、ちょっとは胸のこと考えたんでしょ?」
「そりゃあ、確かにチラッとつくしの胸は見たけどさ」
「ふんだ。どうせ着付けの時に潰す手間も無いですよ~だ」
「だから気にし過ぎだって」
つくしのコンプレックスは、思ったより根深いようだ。
「これでもおっぱいのマッサージとかしてるのに。背も胸も子供っぽいまま……」
「まぁ、あんまり気負うなって。まだ高1だろ?身長も体格もこれからだ」
「女の子の成長って割と早めに止まるよ」
「それに俺、つくしの小っちゃい胸は好きだぞ。可愛いし」
「……そう?」
「お泊り会の夜で暴走してしまう程度にはな」
「……そういえば、そんなこともあったっけ?」
「あと身長だってそのままでも可愛いと思うぞ。俺にとってはハグしやすい身長だし」
「レンさん……」
「まぁ、大きくなったら大きくなったで好きだとは思うし、取り敢えず俺は、つくしがつくしでいてくれるなら、それで大満足だよ」
そっぽ向いてたつくしも、いつの間にかこちらを見てくれている。
まったく、可愛い顔立ちだな。
「レンさん」
「どうした?」
少し恥じらいながら、つくしが言葉を続ける。
「こんな……ちんまりした女の子が彼女でも、大好きでいてくれますか?」
「当たり前だろ。じゃなきゃ俺から告白なんかしないっつーの」
「……そっか」
お、耳元がら空き。
せっかくなのでそっと口をつくしの耳へと近づけて囁く。
「大好き☆」
「ほあっ!?」
可愛い
「むぅ。レンさんの気持ちは分かったし、花火の続きするよ!」
「そうだな。後の残りは……」
「あれ、線香花火もさっきので最後だったんだ。夢中で気づかなかった」
「ってことは」
さっきの花火よりも異彩を放つ、少し大きな筒が目に入る。
「じゃあ、これで締めだな」
「結構早かったね」
「まぁ、2人しかいないからそこまで大量に買ってないし、こんなもんだろ」
筒を設置し、導火線へと火をつける。
そして火が付いたことを確認し、俺とつくしは急いでその場を離れた。
「さて、どんな感じなんだろ。家庭用の打ち上げって」
「そうだね。前の時は──」
ボンッ!
「「うわぁ!!」」
ヒューーーン パァン!!
「「……」」
・・・
「勢いはあったけど、思ったよりショボ──」
「レンさん、それ以上いけない」
「ははっ、まぁ締めくくりには丁度よかったな」
つくしの言う通りに打ち上げ花火への感想を程々にし、俺たちは花火を片付けながら撤収の準備に取り掛かったのだった。
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つくしとの帰り道は、人通りの少ない夜で、花火の音が耳に残ってることも重なって、随分静かに感じるものだった。
しかし、不思議と気まずさは無い。寧ろ安心する。
「つくし」
「なーに?」
「折角だし、手繋いで帰るか?」
「もう」
少し困った顔を見せられた。
気分じゃなかったか。
なんてことを考えようとした瞬間に、つくしの手が俺の手を掴み、そのまま指が絡み合った。
「……!」
「男の子なんだから、そんなの聞かずにサラッと来てよ」
「悪いな。付き合ったばっかだし、そこまでは経験無いもんで」
「ふふっ、初心なんだから」
「お前だって人のこと言えないだろ~~?」
「え~。そんなことないも~ん」
こうして、騒がしい帰路に手を繋いで歩きながら、俺のひと夏の思い出は幕を閉じた。
花火に照らされるつくしの写真も、2人で花火を楽しむ写真もたくさん撮った。
あまりにも楽しかったのでそのままスマホの待ち受けにしようと思ったりもしたが、流石に周りに関係がバレそうな気がしたのでそれだけはやめておいた。
『もっp』さん。対戦ありがとうございました。
レン君とつくしちゃん2人で花火する回、ご満足いただけたなら幸いです。
3000字は超えたけど難しいですね。今回の話の手応えはちょっと怪しめ。
感想待ってます。
次の更新は9月1日
【ガルシチュこそこそ裏話】
つくしちゃんがここまでメインに食い込んでくるキャラになるとは、書き始めた当初は想像もしてなかった。
『お兄ちゃん』って呼ばせたらなんかハマって、修羅場の時にもっとハマって、バレンタインでもとんでもないイチャつき方しだして、とうるいの尾行でもディープになって、終章で完全に化けて……。書いた自分が一番驚いてる。
ガチの最初は、もっと、美咲ちゃんとか友希那さんあたりがメインになると思ってた。
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