ガールズバンドとシチュ別で関わっていく話   作:れのあ♪♪

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 今回はリクエストのひまりちゃん。

 免許合宿や内定式をやっと片付けたのでゆるっとした日常を書きたくなって。




81.上原ひまりと秋スイーツなシチュ

 

 秋と言えば、読書の秋、スポーツの秋などという言葉が散見されるようになるが、やっぱり世間での一番人気は食欲の秋だろう。

 特にスイーツの誘惑は数多くの女性たちを虜にしている。

 そして世間の注目が集まっているということは、当然取材をしないという選択も存在しない訳で。

 俺は今、駅前のスイーツ専門店でリニューアルされた秋限定のスイーツを調査すべく、男1人で休日の女性客がひしめき合う場所に乗り込んでいたのだった。

 

「にしても女性客ばっかりだな。もしかしなくてもアウェーか?俺」

 

 多少の心細さはあるが、怖気づいてはいけない。

 俺はジャーナリストとして、花咲川の女性陣に秋スイーツの情報を提供する義務があるのだ。

 

「ふぅむ。モンブランやサツマイモのタルトみたいな旬の人気スイーツは無難に抑えとくとして、ハロウィン系のスイーツも確保しときたいよな。カボチャのケーキに、この茶色いやつは……ドクロのデザインか?なんだこの是非も無いチョコ。食欲無くすだろ。でも写真に撮ったら映えるな。表紙にも使えそうだ」

 

 銀のトレーに、どんどん秋スイーツが乗せられていく。

 この専門店はパン屋のように、トレーに思い思いに気になったスイーツを乗せてその後で会計、という形式を取っているので、油断するとすぐに多くの商品を取ってしまう。

 だがまぁ、取材である以上はたくさんの商品を頼んだ方がいいのは確かだ。

 困ったらお持ち帰りも出来るみたいだし、わざわざテーブルで食らいつくさなきゃいけない訳でもない。

 問題は、専門店だから値段が高いことぐらいか

 

「福沢……樋口……野口でもいい……誰か、生きてる奴はいないのか……?」

 

 また口座からバイト代を引き出さなければ。

なんてことを考えながら会計を済ませて、テーブルを探していると、見知った顔と出くわした。

 まぁ、秋の限定スイーツが売られてる場所でコイツと出くわさないことの方が難しいか。

 どうやら向こうも、特徴的な二つ結びと豊満な乳房を揺らしながら、こちらの存在を捕捉したようだ。

 

「あ、レン」

「お、ひまり」

 

 ・・・

 

「「よぉ」」

 

 店も混んでたから取り敢えず一緒に座ることにした。

 

 

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「レンが今やってる取材の話とか、色々と聞きたいことはあるんだけどさ……」

「そうだな。でもそれはやるべきことをやってからだ。せっかく俺たちは秋の限定スイーツを確保し、テーブルに座って落ち着ける環境に辿り着いたんだ。だからまずは……」

 

 ひまりはスマホを、俺はデジカメを取り出す。

 

「「写真撮ろう!!」」

 

 まぁ、これは基本だ。

 

「あ、レン。せっかくだからスイーツと一緒に私もカメラで撮ってくれない?自撮りじゃないやつもSNSに投稿したいからさ」

「おっけー。やっぱ俯瞰の構図は欲しいもんな」

 

 パシャパシャッ!パシャパシャッ!

 

「そうだ。せっかくだし私のスイーツ、レンのトレーに乗せようよ。2人分の量でスイーツ盛りだくさんな感じも演出できた方が映えるよね?」

「あ、それいい。一面飾れそう」

 

 パシャパシャッ!パシャパシャッ!

 

「レン~。こんな感じっていいと思う?」

「そうだな……悪くないけど、もうちょっとカメラの位置を下げてもいいと思うぞ。ほら、このスイーツをこっちに向けて……ほら、こっちの方が可愛くないか?」

「ホントだ!あ。じゃあ、このスイーツもさぁ。こうして……」

「あ、凄ぇ。超可愛い!後でデータ送ってくれよ!」

 

 パシャパシャッ!パシャパシャッ!

 

「待ってひまり。いいこと思いついた。いっそのこと横から超アップでモンブラン撮ろうぜ」

「お、いいじゃん流石」

「まだ早いぜ。ここで敢えて風景をぼかせばよぉ……」

「ちょっ、待ってよ天才!?」

「これ神っただろ!」

「じゃあこのケーキも撮ろう!そのやり方でいくなら絶対この子が一番強い!この子なら照明が反射して艶が出てくれる!」

「ひまりよぉ。相変わらず頼りになる女だぜお前は!」

 

 パシャパシャッ!パシャパシャッ!

 パシャパシャッ!パシャパシャッ!

 

 撮影会は、しばらく続いた。

 

 

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「なるほど。秋の限定スイーツ特集ねぇ……」

「まぁ、花咲川は女子が多いから、やっぱり秋スイーツの話題は外せなくてな」

「確かに。私なら絶対に食いつくよ。そんな記事があったら」

 

 撮影会も落ち着き、俺たちはテーブルでスイーツに舌鼓を打ちながら雑談に興じていた。

 

「ん……。これは、カボチャの味が強いな。素材の味を活かしてるってとこか。これもメモっておかないと」

「フォーク持ったりボールペン持ったり、レンはスイーツ食べてる時まで忙しそうなんだね」

「書くこと書いたらちゃんと味わって食べるよ。このためだけに腹空かせて来たんだから」

「そっかぁ。あむ、うまっ……」

 

 それにしても……

 

「んん~~~っ♡」

 

 ひまり、凄く幸せそうにしてるな。

 

「美味しい?」

「うんっ!」

 

 可愛い。

 

「そういえば、今日は食欲のセーブしてないんだな。いつも苦しんでるのに。この前だって秋は誘惑が多くて大変だとか言ってたのに」

「今日は良いの!この一週間、この日の為だけにスイ禁してきたんだから」

「『スイ禁』て……。でも、そうだったのか。CiRCLEでもいつも通りにライブとかしてたのに、ひまりがあのスケジュールをスイーツ無しで乗り切るとは」

「お陰で蘭たちから変な心配とかされたけどね。ちょっと我慢しただけで『風邪ひいた?』とか言ってくるんだよ?」

「そんだけ大事にされてるんだろ。流石リーダー」

「ふふん。まぁね~。けど、それも今日で終わり。やっぱりいつも頑張ってる人間はこれぐらいの贅沢をするべきなんだよ」

「なるほど。今日は自分へのご褒美って訳か」

「イグザクトリー!あむっ、んん~~っ♡」

 

 よほど楽しみにしてたんだろう。

 ただでさえ癖の強いAfterglowのメンバーをリーダーとしてまとめあげ、その上でバイトや部活にも手を抜かなかいような奴だ。

 そう考えると、どうしてひまりは普段からカロリーのことなんて気にしているのだろうか?

 寧ろこんだけ動きまくってるなら糖分は必須だろうに。

 まぁでも、バンドマンは人前に出るものだし、年頃の女の子だから細かい体重の増減も気になってくるのだろう。

 

「ねぇレン。この黒猫のパンケーキ、すっごく美味しいね!」

「……そうだな」

 

 だからこその今日。

 いつも頑張ってる奴が、折角こうして羽を休めているのだ。

 だったらカロリーの話をするのも無粋だろう。

 頑張ってる奴は、ちゃんと『頑張ってるな』って認められるべきなのだから。

 そう思うと、俺はいつの間にか自分のワッフルをフォークで切り分けていた。

 

「ひまり、良かったら俺のワッフルも食べるか?」

「えっ、いいの?」

「いつも頑張ってるひまりに、俺からのご褒美だよ。あと、お前のお陰でいい写真が撮れたから、そのお礼も兼ねて」

「いや、悪いよそんなの!レンの分なんだから味わって食べなよ!」

「ご褒美って言ったんだから気にしなくていいんだよ」

「それに、こんな予定外のスイーツはカロリーも──」

「はい、あーん☆」

「あむっ!」

 

 向かいの席のひまりの口にワッフルをねじ込んで文字通りに有無を言わせず黙らせる。

 今日という日のこの場所で『カロリー』なんてふざけた単語を言わせる訳にはいかない。

 そういう現実から離れるために、ひまりはここに居るのだから。

 

「どう?美味しい?」

「うぅ。美味しいけど意地悪だよ。こんなに甘やかされちゃったら私……」

「スイートポテトもあるけど?」

「ちょっ、いいから!いいってば!いくら旬のサツマイモをふんだんに使用してる上にパリから取り寄せた上質な生クリームと北海道産のバターがスイートポテト全体の風味を優しく包み込んでるからってそれを私の口に持ってくるなんて太っちゃうから絶対にダメ~~!」

「美味そうな食レポしてくれたお礼にあ~ん☆」

「あ~ん♡」

 

 まったく。今日ぐらいは誰かに甘やかされてもバチは当たらんだろうに。

 

「私、ダメになっちゃう……」

「今日ぐらいダメになってもいいだろ。いつも頑張ってるんだし」

「本当にそう思ってる?」

「本当にそう思ってるよ。俺がひまりなら、あの4人をまとめてリーダー張るなんて絶対無理だし。お前は凄いやつだ。それにさ……」

「それに?」

「俺、いっぱい食べてるひまりが好きなんだよ。見てるこっちが幸せになってくる」

「本当にそう思ってる?誘惑に負けそうな私を見て面白がってるだけじゃないよね?」

 

 負けそうってか。スイートポテト食べた辺りで誘惑にはもう負けてるような……。

 まぁ、美味しそうにスイーツを食べてるひまりを見てると幸せな気持ちになるのは事実だし。

 

「今日は自分へのご褒美なんだから気にしなくていいんだよ。ほら、何食べたい?」

「まだ甘やかすの?流石にこれだけ食べた後に注文なんかしないからね?」

「『らせん階段』、『カブト虫』、『廃墟の街』……?」

「『イチジクのタルト』?」

「はい、ご注文いただきました~☆」

「ちょっ、待ってよ!今のは誰だってそうなるじゃん!こんなの卑きょ──」

「あ~ん☆」

「んんっ♡果肉と生クリームが紡ぎ出す色とりどりのハーモニー♡」

 

 文句を言いながらも、フォークで切り分けたタルトにしっかりと舌鼓を打つひまり。

 やっぱ面白いなコイツ。

 

「ねぇ、レン」

「何?」

「私、いつも頑張ってると思う?」

「無論だ」

「いっぱい食べる私を見ると、幸せ?」

「まぁな」

「こんな私を可愛いと思ってくれる?」

「うん。ひまりは可愛いよ」

 

 あぁ、堕ちたな。これは。

 

「カボチャのケーキ、ちょうだい?」

「いいのか?」

「いいの!今日は自分へのご褒美なんだから、嫌なことは考えるのは明日から!」

「オッケー。じゃあ今度は大きめに切っとくな」

「うんっ」

「はい。あーん☆」

「あ~ん♡」

 

 もう彼女に迷いは無かった。

 

「んん~~~っ♡」

 

 そして、迷いが無くなってからのひまりは、さっきまでよりもずっと、ずば抜けていい表情でスイーツを食べるようになったのだった。

 やっぱりスイーツを食べる女の子は、何も気にせずに満面の笑みを浮かべて幸せそうにしているのが一番なのだ。

 一切食べないというなら、それはそれで尊重されるべきだとは思うが、食べると決めてもう店に入った以上は、中途半端に我慢せずに満足いくまで食べた方が後腐れなく済んでいいに決まってる。

 

「ほらひまり、あーん☆」

「あむっ♡」

 

 そしてそんな今日一番の幸せそうな表情を遠慮なく振りまいてくる少女の笑顔をコッソリと撮影して、俺は悪い顔でほくそ笑むのだった。

 

 ──計画通り☆

 

 

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【後日、花咲川学園、掲示板前】

 

 しばらくして、俺の計画した秋スイーツ特集は無事に完成を迎えた訳だが、見出しに使うことになった写真はスイーツではなく、そのスイーツを美味しそうに頬張っているひまりの写真が採用された。(本人の許可はちゃんと取った)

 こういう宣伝は、ひたすら美味そうに食ってる人間が一番強いのだ。

 可愛い子が幸せそうに食ってるだけで、この記事は8割完成してるとも言っていい。

 そして『Afterglowリーダー上原ひまり、憩いの休日』というタイトルは大きく注目を集め、花咲川の女性陣からはかなりの好評を得ることが出来た。

 話題の秋スイーツの宣伝もしっかりこなすことが出来たし、ひまりの食レポがあったお陰で秋スイーツの味や魅力も想像以上に伝えられた。

 だがしかし、心無いアンチは何処にでもいるようで……。

 

『月曜の朝から飯テロなんてサイテー!』

『せっかく今まで秋スイーツの誘惑を我慢してたのにこんなのって無いよ!』

『なんであたし達の居ないところでひまりを甘やかしたの!週明けの朝から体重計の上で泣いてる幼馴染を連れ出すのがどれだけ面倒か分かってるの!?』

 

 なんて苦情も大量に寄せられた。

 

 ひまりには取材の協力をしてくれたお礼に、コンビニスイーツでも買ってやろうかと思っていたのだが、どうやらそれはやめておいた方が良さそうだ。

 

 薫先輩のブロマイドでも渡せば、ちょっとはダイエットのモチベに繋がるだろうか?

 取材協力はマジで助かったし、食わせた責任もある。

 今回のお礼は、『ギターのチューニングで思わず真剣な表情を見せる瀬田薫』の写真で手を打つとしよう。俺が持つ交渉材料の中でもかなりのとっておきだ。

 文句は言わせん。言ってきたらそのうるせぇ口にコンビニスイーツをねじ込んでやる。

 





 今回のリクエストは『とあるお店で限定スイーツを食べに来たらひまりちゃんとあってそのまま一緒に限定スイーツを食べたりバンドのこととか話し合うシチュ』でした。
 『ヤミマクロン』さん。対戦ありがとうございました。
 注文が多かったので意に沿えたかは不明ですが、ご満足いただけたら幸いです。
 いつも感想ありがとうございます。

 続編(おまけ)と言いつつ、続きを求める読者様が多かったり、リクエストが止まらなかったり、私が思ってたより書けてしまうこともあって、結局ズルズルと書き続けてしまってるの、なんかカッコ悪いなと思いつつ、でも書きたいと思うから書いてます。

【ガルシチュこそこそ裏話】
 1か月近く何も書いてないと話の書き始め方がマジでわからん。

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