渚ニテ、綾ナス波。   作:hekusokazura

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耳をすませば。《後編》

 

 

 

 

 公会堂の敷地から出て、そのまま緑地公園へと駆ける3人。

 3人の先頭を行くのは、このところの運動不足を自覚している青年。ずっと走り続けて、すでに息が上がり始めている。

 そして芝生エリアに入ったところで、ついに彼の両足がもつれてしまった。

 

「わっ!」

「わわっ!」

「きゃっ!」

 

 3人の短い悲鳴が重なった。

 青年が前のめりに転んでしまい、青年に腕を引っ張られていたカヲルもレイも、必然的に転んでしまったのだ。

 柔らかい芝生の上で、青年とカヲルは尻餅をつき、レイはぺたんと膝を内股に折って座り込んだ。

 

 3人が、息を弾ませながらお互いの顔を見つめ合って。

「ぷっ…」

 まずは青年が吹き出し。

「はははっ」

 続いてカヲルが声に出して笑い始めて。

「うぅー…」

 レイだけは「酷い目に遭った」とばかりに唇をとんがらせて唸っていたが。

「はははっ」

「はっはっは」

 男2人が肩を揺らせて笑い続けているものだから、レイも仕方なくといった様子で口もとに手を当てて、クスクスと小さく笑った。

 

 

 一頻り笑った青年はくくくっと笑い声を押し殺しながら、雪すら降らせる寒空を見上げた。頬を撫でる風は凍てつくほどに冷たいが、久しぶりに全力疾走したおかげで体はポカポカだ。無理をさせた体を労わるべく、ぐぐっと両手を天に突き上げ、伸びをする。そして、

 

「あ~、やっぱり歌はいいね~」

 

 何時か何処かで誰かが言ったかもしれない言葉を呟いた。

 青年に吊られるように、カヲルも灰色の空を見上げる。

 

「ええ。歌は人類の生み出した文化の極みです」

 

 彼らしい、少々大げさな言葉を添えられ、青年は空を見上げたままふふっとまた笑った。

 そんな2人に、レイは鼻でふ~と溜息を漏らしながらも、2人と同じようにふわふわとした不思議な白いものが舞い降りてくる空を見上げた。

 

 青年は空を見上げながら言う。

「それにしてもアレだね。今の僕たちって、まるで授業サボって遊んでたところを先生に見つかって慌てて逃げてきた中学生みたいだね」

 カヲルは視線を空から青年の顔へと移す。

「中学生…、ですか…」

「うん。そう思わない?」

 青年も視線を空からカヲルへと移す。カヲルは困ったように後ろ髪を掻いた。

「僕、学校に通ったことないからな~。君はどう?」

 カヲルに問われたレイは、「よく分からない」と首を傾げている。

 そんな2人に、青年は苦笑いした。

「かく言う僕も、実は小卒なんだよね。まあ僕の世代はみんなそうだろうけど。そう言えば中学校には1年ちょっと通ったけど、学校をさぼったのは1度だけだったな~」

 あの時自分を見つけたのは先生ではなくて、もっとおっかない黒服のSPたちだったけどね。

 

 何かを懐かしむように遠くを眺めていた青年。

 芝生が広がる公園の広場。部活動の帰りなのだろうか。露店に集まっていた学生服を着た少年少女たちが、露店員から渡された鯛焼きを頬張りながら、笑顔で歩いていく。

 

「時代が違えばさ…」

 青年はぽつりと呟いた。

「僕たちも、どこかの学校で、ふつーに学校生活を楽しんでいた子供だったかも知れないね」

 青年の呟きに、カヲルはにっこりと笑った。

「だったら僕たちが同級生で」

 隣でぺたんと座り込んでいるレイの膝の上の手を握って。

「イカリさんが僕らの先輩ですかね」

 カヲルのその言葉に、青年は眉をハの字にした。

「そこは僕も同級生にしておいてくれよ。寂しいじゃないか。一緒に修学旅行とかに行きたいしさ」

「ははっ。いいですね」

「うん。僕たち3人だけじゃなくてさ。赤毛の女の子がいたり、メガネの女の子がいたり、雀斑の女の子がいたりして。いつもジャージの彼や、いつもカメラ持ち歩いてる彼とかとふざけ合ったりしてさ」

「妙に具体的ですね」

「ふふっ。放課後はみんなで何処かに寄って買い食いとかしたりしてさ。休みの日はみんなで遊園地とかに遊びに行ったりして。テスト前はみんなで集まって勉強会とかするんだ」

「うんうん」

 青年が頭の中でどんな想像をしているのか。学校というものに通ったことがないというカヲルも、不思議と心の中で思い描くことができた。

「君は何したい? もし学校生活を送れるとしたら」

 青年に訊ねられ、カヲルも空を見上げながら想像を膨らませる。

「そうだな…。運動会とかは無駄に体力使いそうだからいやだなあ。あの応援合戦って代物も、大声出しあって品がないしみっともないしね」

「ふふっ。君は学校行事とか尽くサボってそうだよ」

「ああ、でも文化祭とかはやってみたいかな。クラスで喫茶店とかやって。もちろんレイにはメイド服を着せる」

「おお、それいいね~」

「ですよね~」

 男2人にニヤニヤ顔で見つめられ、レイは居心地悪そうに肩を窄ませている。

「レイはどうかな?」

 「わたし?」と目を大きく開くレイ。

「うん。もし学校に通ってたらやってみたいこと」

 カヲルに訊かれ、レイは目を大きく開いたまま、まん丸の赤い瞳を空に向ける。

 暫く虚空を見つめていて。

 そのまま暫く固まって。

 そしてそのまま、くてんと首を傾げる。

 よく分からないというレイの仕草に、カヲルはいじわるそうな笑みを浮かべる。

「合唱コンクールとかどうだい? もちろん、レイの独唱付きで」

 カヲルのやや大き目の口から放たれたその言葉を聴いた途端、レイはすぐに顔を真っ赤にさせ、勢いよく頭をぶんぶんと横に振り始めた。自分の歌声を大勢の人に聴かれたことが、すっかりトラウマになってしまっているらしい。

「はははっ」

 普段は滅多に動じたり驚いたり恥じらったりしない恋人が、まるで瞬間湯沸かし器のように簡単に顔を真っ赤にさせている。思いもよらず良い弱みを掴んでしまったと満足げに笑ってしまうカヲルに対し、レイは頬を膨らませて抗議の視線を送っている。

 そんな2人を微笑ましく見つめながら、青年は改めて訊ねてみる。

「何かしてみたいこと、ないかな?」

 

 レイはじっと地面を見つめて、しばし考えこみ。

 あやふやな記憶の中にある学校の教室に自分の姿を立たせてみて。

 カヲルと出会った時はあの人形以外で唯一の持ち物だった、白のブラウスとコバルト色の吊りスカートと赤のリボンタイを着た自分の姿を、想像上の学校の中にぽんと置いてみて。

 それでもやっぱり自分なんかが学校生活を満喫している姿なんてとても想像できなくて。

 

 でも。

 

 でも一つだけ。

 

 たった一つだけ。

 

 かつてあったかもしれない学校生活の中で一つだけ、たった一つだけ、とても心残りだったことがあったような気がする。

 

 

 レイは、ぽつりと呟いた。

 

「お食事会…」

 

「食事会?」

 カヲルはレイが呟いた単語を繰り返してみる。

 レイはゆっくりと頷きながら、一言一言を確かめるような口調で言う。

「ええ…、お食事会…。みんなを…、おうちに招いて…、食事会…、したい…」

「いいね…」

 恋人の素朴な望みに、カヲルは微笑んで同意する。

「みんなに招待状書いてさ。君がご馳走つくって。僕はケーキでも焼こっかな」

「カヲル、ケーキ、作れるの?」

「これはIFの話しなんだから、どんな想像したって構わないんだ。せっかくだから僕の秘蔵のワインの栓も開けてみよっか」

「中学生はお酒、飲んでもいいの?」

「変なところで常識ぶるんだね、君は…」

「それにカヲル。お酒、全く飲めないじゃない…」

「いや…、だからこれは想像上の話しなんだから…」

 

「いいね!」

 

「え?」

 見ると、青年が前のめりになってレイを見つめている。

「いいじゃないか! 今度やろうよ! 食事会!」

「は?」

「へ?」

 レイもカヲルも、青年から放たれる妙な熱気に若干引いてしまい、間抜けな声を上げてしまった。

「食事会だったら別に学生時代じゃなくてもできるんだからさ」

「はあ…」

「だったら…」

 レイがぽつりと言う。

「今晩どうですか?」

 レイの誘いにカヲルも同意する。

「ああ、それがいい。我が家に来てみませんか」

「え? 本当に?」

 青年は目を輝かせた。

「ええ。まあ大したものは出せませんけど。でも彼女が作る味噌汁だけは逸品ですよ」

「味噌汁?」

 青年に見つめられ、レイは恥ずかしそうに頬を赤く染めて目を伏せた。

「彼女の味噌汁へのこだわりはちょっとしたものですよ。なんでも昔誰かに食べさせてもらった味噌汁の一口が忘れられないんだそうです」

「へ…、へー」

 何故か青年も頬を赤らめている。

「じゃあ早速」

 カヲルは立ち上がり、隣でぺたんと座り込んでいるレイのはだけてしまっていたケープコートを整えてやり、そして手を差し伸べる。カヲルの手を握ってレイも立ち上がり、スカートに付いた芝生を手でぱらぱらと払い落とす。

「うん」

 青年もウキウキしながら芝生から腰を浮かせて。

 

「あっ!」

 

 何かを思い出したように声を上げ、すぐさま腕時計を睨んだ。

「ご、ごめん。僕、14時のリニアに乗らなきゃいけなかったんだ」

 カヲルも腕時計を見た。

「14時って…、あと15分じゃないですか! 急がないと!」

 青年は地面に投げてあった鞄とチェスターコートを慌てて拾い上げる。

「え、えっと駅は…」

「あっちです。あっち」

 青年はカヲルが指差す方向へと小走りで向かいながら、レイに人差し指を向ける。

「今度! 今度必ず君の味噌汁食べさせてもらうから!」

 何だか知らないが青年の味噌汁に対する並々ならぬ執念を感じてしまい、レイは戸惑いつつも微笑みながら頷いた。

「絶対だよ! じゃあ!」

 青年は2人に背を向けて、駆け出す。

 駆け出そうとして…。

 

 急いでいるはずなのに、何故か足を止めてしまう青年。

 ゆっくりと振り返った。

 

 カヲルを指差しながら見つめる。

 

「カジ…くん?」

 

 今度はレイを指差す。

 

「ツバメ…ちゃん?」

 

 

 カヲルもレイも、青年が言わんとしていることに気付き、「あっ」と目を丸くした。

 カヲルは後ろ頭を掻く。

「ごめんなさい。それ、僕たちの本当の名前じゃなかったみたいなんです」

 

 青年は改めてカヲルを指差し、2人がお互いを呼びあっていた名前を呟いてみる。

 

「カヲル…くん?」

 

 続いてレイを指差し。

 

「レイ…ちゃん?」

 

 青年がレイの名前を呟いた瞬間、カヲルの右頬が一瞬引き攣ったが、笑顔を保ったまま答えた。

「ええ。僕が渚カヲルで、このコが綾波レイです」

 

 青年はカヲルを見つめる。

「渚…カヲル…」

 続けてレイを見つめる。

「綾波…レイ…」

 

 暫く2人を交互に見つめていて。

 青年の顔にゆっくりと笑みが広がる。

「僕は碇シンジだ…」

 

 カヲルもレイも、ふふっと笑った。

「それは知ってますよ」

「ああ、そうだったね」

 青年はきまりが悪そうに後ろ頭を掻いた。

 

「改めてよろしくね、渚カヲルくん」

 青年はカヲルたちの側に歩み寄り、カヲルに右手を差し出す。

「カヲルでいいですよ」

 カヲルはにっこりと笑いながら青年の手を握った。

「僕も、シンジでいいよ」

 青年もにっこりと笑い返す。

 

 青年はレイの方にも手を差し出し。

「じゃあ君はレイ…ちゃんでいいかな?」

 「レイ」と呼ぶのはちょっと恥ずかしい、いい歳して未だにうぶっ子な青年は、「ちゃん」を付けてみた。

「ええ…」

 レイも小さく微笑みながら、青年が差し出す手を握ろうとして。

 

「それは…!」

 

 青年の手を握る寸でのところで、カヲルが上擦った声を上げながらレイの肩に腕を回して抱き寄せてしまったため、レイと青年の手は触れることのないまま離れてしまった。

「それはどうでしょうね」

 急に自分を抱き寄せてしまった恋人の顔を見上げるレイ。

 青年を見つめるカヲルの表情は変わらず笑顔。ただし、右頬だけがぴくぴくと引き攣っている。

「レイちゃんは…だめ?」

 カヲルに向かって青年がおそるおそる訊ねてみる。

「どうでしょうねえ…」

 笑顔のカヲルは明言こそ避けつつも、その態度ははっきりと「ダメ」と言っている。

 

 カヲルの友好的な眼差しの中に潜む、独占欲を孕んだ警戒心を感じ取った青年。ちらりと、カヲルの腕の中で窮屈そうにしているレイを見た。

「彼って、いっつもこんな感じ…?」

 カヲルに聴かれてることは承知で、あえてコソコソ声で訊いてみる。

 レイは少しだけうんざりとしたような顔で言う。

「時々…、ちょっと…、めんどくさい…」

 とは言いつつも、眉をハの字に曲げる困り顔の彼女の両頬は、照れ臭そうにしっかりと赤く染まっており、好いた人の腕の中の温もりに浸って何とも幸せそうだ。

 

「じゃ、じゃあ綾波…、はいい…のかな?」

 そう言われ、カヲルは青年に向けた密やかかつダダ洩れな警戒心をようやく緩めた。

「ええ、いいですよ」

「そ、そっか。じゃあ…、よろしく、綾波…」

「ええ、碇さん」

 青年は、「手以外に触れたら承知しないよ」とでも言いたげな眼差しのカヲル監視下のもと、ようやくレイと握手を交わすことができた。

 

「それじゃ、次の機会には必ず! だよ!」

 青年は2人に手を振りながら、今度こそ走り去っていった。

 

 

 

 芝生の上を駆けながら青年は思う。

 久しぶりに訪れたこの街。

 良い思い出もたくさんあるけど、どちらかと言えば辛い思い出の方が多いこの街。

 立ち寄るのに躊躇われ、ついつい背中を向けてきたこの街。

 でも今度からは二の足を踏むことなく、この街を訪れることができるだろう。

 なんてったって、あの2人に会える街だから。

 これからはちょくちょくお墓参りにも来よう。

 父の遺品も、あのお墓に収めてしまおう。

 ああ、今から次にこの街に来るのが楽しみでならない。

 

「あっ」

 青年は走りながら短い声を上げた。

 そう言えば、結局今度も彼らとはまともな連絡先を交わさないまま別れてしまっていた。あの駅で会った日から月日は流れた。もしかしたら今は電話などの連絡手段を所持しているかもしれないし、この街の近くに住んでいるのであれば、家までの地図くらいは書いて貰っても良かったかもしれない。

「まっ、いっか」

 それでも青年は強く後悔する様子なく引き返す様子もなく、公園の出入り口に向かって走り続けている。

 あの2人と電話で連絡を取り合うなんて、何となく柄じゃないような気がするし、それにきっとまた何時か何処かでばったりと会えるような気がするから。

 きっと彼らとは、いつかまたどこかで綾をなす運命なのだから。

 次にこの街を訪れる時は、突然食事会に招かれてもいいように、スケジュールを真っ白にして来ようじゃないか。

 

 公会堂から逃げ出した時は30代を迎えた肉体の体力の衰えを感じてしまったものだが、今の自分の体はまるで10代の頃に戻ったように精気に満ち溢れている。四肢を思いっきり伸ばして、芝生の上を駆けた抜けた。

 目の前を、散歩中の大きな犬が横切っている。

 普段なら立ち止まったり迂回したりしてやり過ごすものだが、この時の青年は止まることも迂回することもせず、右足で力強く地面を蹴ったのだった。

 

 

 

 芝生の上を駆けていく青年の背中を見つめる。

 青年の前を散歩中の大きな犬が横切った。何を思ったか、青年はそのまま犬に向かって突っ込んでいる。そして無謀にも犬を飛び越えようというのか、地面を蹴って跳躍してしまった。

 

「あ…」

「あ…」

 

 案の定、後ろ足がリードに引っかかって、地面にすっ転んでしまった青年を見て、カヲルもレイも短い声を上げた。

 大きな犬が青年に向かって吠えまくる。犬を連れていた中年のご婦人が青年に向かって金切り声を上げている。

 立ち上がった青年はご婦人と犬に向かって平謝りしながら、公園の外へと走っていくのだった。

 

 

 まるで春の訪れを告げる風のように走り去っていった青年が消えた方向を、しばらくぼんやりと見つめていたカヲル。

 そのカヲルの顎に、ぽかっと、固い感触。

 見下ろすと、自分の腕の中の彼女が、白い手で作った攻撃力皆無のような拳を、カヲルの顎に突き当てていた。

 少しだけ責めるようなレイの視線。

「何…? さっきの…」

「さっきのって?」

 レイが言わんとすることはカヲルもすぐに理解できたが、あえてすっとぼけてみる。

「名前の呼び方なんて、なんでもいいじゃない」

「よかないさ!」

 突然の恋人の大声に、彼の腕の中のレイはびくっと肩を竦めてしまった。

「この国での名前の呼び方は互いの親密度を表す指標といってもいいんだ。相手の下の名前で呼ぶのなんて、それこそ大事件だよ。僕は僕以外の者が馴れ馴れしく君の下の名前を呼ぶことなんて、とても耐えられないね」

 何を言ってるんだこの人は、とばかりにレイは眉を顰める。

「おばさんは、私のこと、「レイちゃん」と呼んでるわ」

「同性同士がどう呼び合おうが別に知ったこっちゃないんだよ。ここで僕が言ってるのは異性同士。もちろん同姓であってもその関係が将来恋愛関係に発展する可能性が1ナノグラムでもあればこの条件に含まれることになるけどね。分からないかな? それじゃ例えばだよ。君が知らないカワイイ女の子に僕が「カヲル」って呼ばれてるところを想像してみたらいいんだ」

「「カワイイ」という形容詞は必要なのかしら」

「別にかわいくてもかわいくなくてもいいけど。とにかく想像してごらんよ」

 レイは赤い瞳を空に向けて、カヲルが言う状況を想像してみる。

「……」

「……」

「……」

「……」

 赤い瞳を、恋人のやはり赤い瞳へと向けた。

「…ちょっとムカついた…」

「だろ! シンジさんには悪いけど、生物学上のオスに分類される限りは、幾らシンジさんであっても、君を下の名前で呼ぶことを許すわけにはいかないね」

「でも…」

「でも?」

「カズオさんは私のことを、ずっと前から「レイちゃん」って呼んでる」

「ここにきてオリキャラを登場させるか…。誰なの、そのカズオさんって…」

「お店によく来るお客さん」

「なぜ君までそのカズオ何某を下の名前で呼んでるんだい?」

「カズオさんが「カズオさんって呼んで」と言うから…」

「レイ。今度そのカズオ何某が店に来たら言うんだよ。もう「レイちゃん」って呼ぶのは止めてって」

「でも…」

「でももストもない。いい? 絶対だよ?」

「んー…」

「…何か問題でもあるのかい?」

「カズオさんが、悲しむと思うから…」

「カズオさんが…、って。じゃあ僕の気持ちはどうなのさ」

「そこまで名前の呼び方にこだわる必要、あるのかしら」

「君だってさっきムカついたって言ったじゃないか」

「でも、ほんのちょこっとだけだし…」

「ちょこっとだけって…。そんな…。僕はシンジさんが君のこと「レイ」って呼んだ時は、胸をぎゅっと締め付けられたような気がして、立っているのもやっとだったとゆうのに…」

「そうなの…」

「愛が足りない…」

「え?」

「僕に愛を…」

「カヲル…?」

「僕に愛をもっとおくれよーーー!」

 何かの歌詞の一節のような言葉を叫びながらレイから体を離し、駆けていくカヲル。

 そんなカヲルの前を大きな犬が横切り、リードに引っかかったカヲルは盛大にすっころんでしまった。

 犬には吠えまくられ、飼い主のご婦人には金切り声を上げられまくる惨めな恋人のもとに、慌てて駆け寄るレイだった。

 

 

 

 * * * * *

 

 

 

 よく磨かれたガラスは街並みの様子と歩道を行き交う人々、そしてショーウィンドウを熱心に覗いている一人の男性を写し出している。

 渚カヲルは前屈みになりながら、ガラスに額をくっ付ける勢いで、リサイクルショップの店先にあるショーウィンドウの中に並ぶ商品の一つに、熱い視線を送っていた。

 カヲルの数歩後ろに立つ綾波レイは、ショーウィンドウの前で立ち止まってから、かれこれ30分も動かずにいる恋人のお尻を見つめながら、もうこの店の前をデートコースに選ぶのは止めようと思いつつ、鼻で小さくため息を吐いた。

 

 スニーカーの踵をコトコトと鳴らして、彼の側に立ち、彼の視線を独り占めにする憎らしい品物に目を向ける。

 彼の視線の先にあるもの。それはやたらとゴツい1眼レフのカメラ。

 ではなく、その隣に置かれた白と黒の鍵盤が並ぶ電子ピアノ。

 

 彼女は隣の彼にポツリと呟く。

「欲しいの…?」

 わざわざ訊ねるまでもないが。

「うん…」

 上の空で返事をする彼。

 

 彼の横顔を覗き見る。

 その表情は物欲を刺激されてウズウズしている、と言うよりも、視線の先にあるものに焦がれて切なささえ漂わせている。

 

 彼女は改めて電子ピアノに視線を送る。

 白と黒が並ぶ鍵盤を見ていると、彼女の脳裏にも1月前に体験した不可思議な出来事が、まざまざと蘇ってくる。

 あの日から暫くは、自分のみっともない歌声を大勢の人に聴かれてしまい、ただただ恥ずかしかったという思い出しか残らなかったけれど。

 今振り返れば、彼と彼が奏でるピアノの伴奏に乗せられてあの歌を懸命に歌っている間は、彼らとの不思議な一体感を感じ、そして歌い切ってから観衆から拍手を浴びるまでの僅かな静寂の間では、今までに感じたことがないような高揚感に包まれていたような気がする。そしておそらくあの時間、あの場所、あの体験を共有した彼も、同じような、あるいはそれ以上の一体感と高揚感に包まれていたことは疑いない。

 あの日以来、彼はすっかり音楽という小悪魔の虜だ。一緒に台所に立っている時も、一緒に草刈りをしている時も、一緒にバイクに乗っている時も、一緒にお風呂に入っている時も、彼の口からは鼻歌が絶えることはない。

 そんな彼が、店先に置かれた電子ピアノに恋い焦がれてしまうのは、無理からぬことだろう。

 

 彼女は、ふと電子ピアノの端っこに貼られた値札を見る。

 1眼レフカメラほどではないにしろ、こちらの値札も彼と彼女の数か月分の生活費に相当する額が並んでおり、レイは思わず目を瞑ってしまった。

 

 

 

 * * * * *

 

 

 

 夕暮れ前。

 一日の作業を終え、海がよく見える高台のハンモックに寝っ転がって涼んでいたら、下の方からトットットと軽いエンジン音が聴こえてきた。見ると、彼の恋人が跨る原付バイクが、長い坂道を今にも止まってしまいそうなスピードで上ってきている。

 

「やあ、おかえり」

「ただいま」

 彼らの住処がある海辺の高台。その麓にある村の道の駅でのアルバイトから帰ってきた彼女。彼は彼女に代わってエンジンが切られたバイクを押して、彼女はバイクの前籠に入っていた紙袋を持って、2人肩を並べて家へと向かう。

「今晩は何にしよっか」

「タケノコのご飯とタケノコの煮物」

「え? また?」

「カヲルが毎日のようにタケノコ貰ってくるから…」

「田舎に住んでいる以上、この季節のタケノコ包囲網からは逃れられない運命なんだよ…。え? まさかそれもタケノコ?」

 彼は、彼女が持っているやや大きめな紙袋に目をやる。

「これは…違う…」

 彼女は、何故か彼の視線から隠すように紙袋を抱き締めた。

 

 

 夕食の後片付けを終え、就寝前のまったりタイム。

 昨年の秋に手に入れた家庭用ソーラーからもたらされる文明の灯りの下で、床に寝っ転がりながら何処かで手に入れた分厚い歌本を眺め、鼻歌を歌っている彼。

 

 シンプルな白の寝巻に着替えた彼女が、彼の側で膝を折る。

「もう寝るかい?」

 彼が布団を敷くために立ち上がろうとしたところ。

「ねえ、カヲル」

 彼女に呼び止められたため、彼はその場で胡坐をかく。

「今日、カズオさんがお店に来たの…」

「ああ、例のカズオさん…」

「あなたに言われた通り、言ったわ。もう、「レイちゃん」って呼ばないでって…」

「うん…」

「私も、もうあなたのこと、「カズオさん」って呼ばないから、って…」

「うん…。相手の反応、どうだった?」

「とても悲しんでた…」

「そっか…」

 顔すら知らない男の悲しんだ顔を思い浮かべる彼。ただ己のつまらない独占欲を満たすためだけに、その男を悲しませてしまったこと、そして彼女に親しい相手に辛い宣告をさせてしまったことを、今更になって後悔し始めたていたら。

「「せっかく孫が出来たみたいで嬉しかったのに」って…」

「え?」

「え?」

「ちょっと待って」

「ええ、待つわ…」

「その…、カズオさんって、お幾つ?」

「年齢は知らない」

「えと…、じゃあ、カズオさんって、髪の色は何色?」

「髪はない」

「え?」

「髪はない。つるっぱげ」

「それは自分で剃ってるの?」

「自然脱毛…」

「顔の皺は?」

「しわくちゃ」

「歯は?」

「入れ歯」

「おじいちゃん?」

「おじいちゃん」

「ぐああああ」

 彼は万歳しながら背中から床に倒れる。そんな彼の顔を、心配そうに覗き込む彼女。

「どうしたの?」

「いや。うん。僕が言葉足らずだったのがまずかったんだね。あの時僕が言ってた異性って言うのはつまり…、なんて言えばいいのかな。言葉を濁さずに言えば生殖能力を有している異性のことを言ってるんだ。だから「かつては男だった」おじいちゃんや「まだ男になれていない」お子さまたちは対象外になるんだよね、これが」

 彼女は「めんどくさ」とでも言いたげに眉根を寄せながら。

「でも…」

「でも…、なんだい?」

「カズオさんの奥さん。再々婚でまだ30代」

「え?」

「この前も、前妻と前々妻の時を合わせて12人目の子供が生まれたばかり」

「え?」

「カズオさん、まだ現役バリバリ」

「レイ…」

「なに?」

「その絶倫好色ジジイには2度と近付いちゃいけないよ」

「なぜ?」

「いや…、むしろ人生の先達として彼からは色々と学ぶべきことがあるかもしれないね…。今度僕に紹介してくれるかい?」

「…分かった」

 

 絶倫好色翁についての報告を済ませた彼女は、ちゃぶ台の下に置いてあった紙袋を持ち出す。

「それと…、カヲル…」

「なに?」

 返事をしながら、彼女がアルバイトから帰ってきた時からずっと気になっていた紙袋を、興味深そうに見つめる彼。

 彼女は紙袋を抱き締めながら、どこか不安そうな面持ちで言う。

「私…、たぶん、昔から。あなたに出会う、ずっと前から、きっと、想いや感情を表現することが下手だった…の」

「うん…」

「だから、きっと、これからも、そんな私が知らないうちにあなたの心、傷付けてしまうこと、あると思うの」

 そんな彼女の言葉を、彼は慌てて否定する。

「何を言ってるんだい。僕は君に魂を射抜かれたことはあっても心を傷付けられた事なんて一度も無いよ」

「でも、あの時…」

「あの時?」

「うん…。愛が足りないって…」

 後悔に打ちひしがれる彼は、頭を抱えながら言う。

「過去を取り消すことなんて出来ないことは分かっているつもりだけど、あえて言わせてほしい。あの発言については忘れてくれないだろうか。僕も所詮は強欲に負けてしまう弱い人間の一人に過ぎなかったんだ。君からの愛を日々感じていながら、更に求めてしまうなんて。あの時、あんな事を言ってしまった僕を、捻り潰してしまいたいよ」

「でも…、愛が足りないと思わせてしまったのは事実だわ…」

「そんなことないさ。僕もすまなかった。咄嗟に滑らせてしまった言葉で、君を不安にさせてしまったみたいだね」

 彼は、眉をハの字に曲げ、目を伏せてしまっている彼女の空色の髪を、ぽんぽんと優しく撫でてやる。

 彼の言葉と彼の手の温かさに、彼女の不安そうな顔が少しだけ和らいだ。

「分かってほしい…。私はあなたのことを、この世界の誰よりも愛してるということ…。足りないというのなら、この体を絞り切ってでもあなたに私の中の愛を伝えたい。そう思っている…」

「レイ…」

 いつになく情熱的な彼女の言葉に、思わず目を潤ませてしまう彼である。

「でも…、私は気持ちを表すことが下手だから。言葉にするのが苦手だから」

 彼の前に、抱き締めていた紙袋を差し出す。

「…これは?」

「あなたへの贈り物。おばさんが言ってった。この国の人は昔から想いを伝え合うのが苦手だから、代わりに贈り物を届け合うんだって…」

 彼女から差し出されたものを受け取る。 

「開けていい?」

 彼女はこくりと頷いた。

 

 彼の中では密かに期待が膨らんでいた。

今、自分が一番欲しいものを、彼女は知っているはず。

 頭の中に浮かぶのは、あのリサイクルショップのショーウィンドウの中に置かれた、白と黒の鍵盤が並ぶ電子ピアノ。

 それにしては、ちょっと紙袋のサイズが小さすぎるような気がしないでもないけれど…。

 

 贈り物と呼ぶには、何の飾りっ気もない、茶色の紙袋。口を留めているのも、ただのセロハンテープ。

 そのテープを丁寧に剥がし、袋の口を広げる。

 袋の中に手を入れ、中身を取り出す。

 袋から出てきたのは、合成樹脂で出来たケース。

 片手で抱えることが出来る程度の大きさの、青色のケース。

 

 彼はケースを床に置き、留め具を外してゆっくりとケースの蓋を開けてみた。

 蓋の下から現れたのは、白と黒の連なり。

 それはあの公会堂で弾いたグランドピアノや、ショーウィンドウの中にあった電子ピアノと同じ、紛れもない鍵盤楽器。

 ただし、グランドピアノや電子ピアノの半分以下の鍵盤の数。そして鍵盤の大きさも、彼の指程度のサイズしかない。

 

「これは…?」

「カズオさん…、じゃなかった…。新本さんの下から3番目の子が小学校卒業して不要になったものを、安く譲ってもらったの…」

「小学校…?」

「うん。子供でも、大人でも、誰でも簡単に弾くことができるそうなの…」

「ふーん…」

「ほらここ。ここに息を吹き込んだら、音が鳴るんだって…」

「ふーん…」

「電気もいらないし、置く場所にも困らないから、我が家にはぴったりだと思うの…」

「ふーん…」

「カヲル…?」

「ん?」

「ごめんなさい…」

「え? どうして謝るの?」

「あまり、嬉しくないよう…だから…」

「そ、そんな訳ないじゃないか。嬉しいよ。ありがとう。レイ」

「ほんとに…?」

「もちろんさ」

 彼はケースから鍵盤ハーモニカと取り出し、手に取ってみる。

 本体の端っこに、楽器の中に空気を吹き込むための短いパイプが挿し込まれている。使っていた子が散々噛んできたのだろう。プラスチック製のパイプのあちこちに、歯の痕があるのが何とも生々しい。これ、ちゃんと洗ってあるんだろうね。

 見ると、彼女が「本当に喜んでくれているのだろうか」と不安げな様子でこちらを見つめている。あんな顔で見つめられたら、どこの誰がどれだけ舐め回しただろうか分からないこのパイプを、咥えないわけにはいかない。

 なるべく鼻で息をしないように気を付けながら、口をパイプに近づける。覚悟を決めて、パイプを咥えた。

 

 ふー、と、楽器の中へと息を吹き込む。

 ふー、と吹き込んだのに、何故か楽器は音を鳴らさない。

 吹き込みようが足りないのか。強めに、ふー、と息を吹き込む。

 やはり音は鳴らない。

 

 鍵盤ハーモニカという児童用の楽器の存在は知っていたが、実は触れたのはこの時が初めてだった彼。

 いくら息を吹きこんでも音が鳴るどころか、吹き込んだ空気が楽器の中に充満してしまい、逆に口の中に押し返されてしまう始末。

 隣では彼女が「いつ音を鳴らせてくれるのだろう」と期待に満ちた顔で待っている。

 まったく…。

 普段は殆ど表情を変えない癖に、たまに見せるこんな顔だったり、先ほどのような不安げな顔だったり。表情一つで、自分の行動をいとも簡単に操ってしまう彼女をズルいな~と思いつつ、彼は額を汗だくにさせながら、顔中を真っ赤にさせながら、うんともすんとも言わない楽器に懸命に息を吹き込み続けた。

 

 ぴゃーーー!

 

 その間の抜けたような音は、酸欠状態の彼がもう間もなく意識が飛びそうになった時に鳴り響いた。

 見ると、赤から青へと顔色を変えつつある彼の顔を、前のめりになって心配そうに覗き込んでいる彼女の右肘が、鍵盤に触れていたのだ。

 鍵盤を押さえることで楽器の中に溜め込まれた空気が音源となるリードの中へと流れ込み、ようやくその楽器は本来の仕事を始める。

 息を吹き込む彼も、鍵盤に触れてしまった彼女も、急に音を鳴らし始めた小さな楽器に、驚いたように目を丸くしてお互いを見つめ合った。

 

 息を吹き込むだけでなく、鍵盤を押さえることでこの楽器は初めて音を鳴らすということを知った2人。

 彼女が人差し指で鍵盤の上をちょいちょいとつついていくと、それに合わせて楽器はピャラピャラと平べったい音を鳴らしてゆく。

 

 彼の肺の中身が空っぽになってしまったため、楽器が鳴らす音も途切れてしまう。

 萎んでしまった音に、残念そうに眉をハの字に下げてしまう彼女。

 そんな彼女の顔にあっさりと操られてしまう彼は、慌てて息を吸い込むと、ふー、とバルブの中に息を吹き込む。

 すると、彼女が押さえてた鍵盤に合わせて、ぴゃー、と音を鳴らす小さな楽器。

 何とも間抜けな音に彼女はクスクスと笑い、釣られるように彼もクククと笑い、彼の笑いに合わせて楽器が鳴らす音もぴゃぴゃぴゃと揺れる。

 それがまたとても可笑しくて、彼女は珍しくあははと声を上げて笑い、彼もついには噴き出してしまって、一気に空気を吹き込まれた楽器はびゃーー!と悲鳴のような音を上げてしまった。

 

 結局彼は一度も鍵盤には触れず終い。ずっと楽器に息を吹き込む役に専念し、そして彼女は人差し指で鍵盤を押す作業に没頭する。

 小さな灯りが照らす部屋の中を、彼女の小さな笑い声と、ピロリロピロリロと軽く平べったい音が鳴り響いた。

 

 

 彼が密かに思い描いていたこと。

 楽器を手に入れたら、また彼女と素敵な音楽会が出来たらいいな。

 僕が伴奏して、彼女が歌う。あるいは、あの彼としたように、彼女との連弾を楽しんでもいい。

 今宵、その夢が図らずも叶ってしまった。

 音楽と呼ぶには、あまりにも稚拙な音の羅列だけど。

 あのグランドピアノに比べれば、何とも安っぽい音だけれど。

 彼女の笑顔が間近にあって。

 自分の吐息に合わせて、夢中になって鍵盤を押している彼女の顔がすぐ近くにあって。

 

 

 楽器というものに初めて触れる。

 彼の息吹によって命が吹き込まれる音。

 押さえる鍵盤によって、次々と変わっていく響き。

 熱心に鍵盤を次から次へと押さえていたら、何故か音が出なくなった。

 鍵盤から視線を上げると、間近にあるのは彼の顔。

 パイプを咥えていたはずの色素の薄い彼の唇が彼女の顔のすぐ側にあり、やはり色素の薄い彼女の唇へと自然と吸い寄せられていく。

 

 一度目は彼の方から軽く触れ合わせ。二度目は彼女の方から軽く触れ合わせ。

 

 少し離れてお互いの鼻先同士でつんつんと突き合いながらくすぐったそうに微笑み合って。

 

 そして改めてお互いの唇同士をしっかりと重ね合わせ。

 

 その内に彼女の両腕が彼の背中へと回され。

 

 彼は彼女の体を受け止めながら、床に向かってゆっくりと倒れていく。

 

 硬い床の感触を背中で感じながら、彼は思うのだった。

 

 

 

 やっぱり布団、敷いておけばよかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

―おしまい―

 

 

 

 

 

 

 

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