にじさんじ▶︎パラライブ   作:大羽ひつじ

1 / 17
オリキャラ、オリ設定注意。


プロローグ

 それが、いつの時代のものだったのか。いずこの大地を照らしたのか。そして、いかなる世界線のものであったのか。とある村に、いつもと変わらぬ朝日が昇った日の出来事であった。

 ──日の光に照らされた村の石畳は、徐々に白銀(はくぎん)の光を帯び、やがて板石の隙間からは蛍のように光の粒子が飛び立つ。蛍は白銀を連れて村の中心、円形の広場へと集束し、まばゆい輝きへと姿を変えていく。

 異変を感じ取った村人達は目を覚まし始め、自然とその輝きを囲んでいった。その明らかに非常な光景を前にして、人々は何故か不可思議な安堵を覚え、呆然として見とれた。

 ──輝きは広がり、ほのかな暖かさすら感じられる。眩しさに耐えながら目を凝らせば、その内部で石畳が砂状に崩れて宙を舞い、新たな「何か」を再構築していくのがわかる。

 好奇心や警戒心、期待や畏れ、恍惚に感動、人々の感情が最高潮に達した次の瞬間、輝きは閃光となり、彼らのまぶたは無理矢理閉ざされた。

 ──光が、緩やかに、緩やかに弱まっていく。小さくなって別れた光一つ一つが、白銀の蛍となり、空へ昇って消えていく。

 村人達は警戒しながら細目を開けたが、結局のところその目は大きく見開かれることとなる。

 夢と疑う現象とともに、想像は軽々と超えられてしまった。広場の中心には、石造りの祭壇のようなものができあがっていたのだ。

 祭壇の側面には見知らぬ文字列、壇上には魔法陣のようなものが刻まれていて、現象が自然的に起こったものではないことが窺えた。しかし、中でも村人達の目を引いたのは、壇上の中心であった。そこには重厚な雰囲気を纏った両手持ちの(つるぎ)が一振り、垂直に突き立てられた形で祭壇に収められていた。自らのそばで、わずかに残った光の粒を漂わせながら……。

 沈黙を破ったのは誰かの感嘆の声。村人達は恐る恐る、一人、また一人と祭壇へ引き寄せられていった。凝視する、触れてみる、登ってみる、踏みしめてみる、各々が別々の興味を示し、祭壇に人だかりを作っていった。

 その中に、「少年」はいた。

 出遅れた少年は人だかりの後ろの方にいて、その周りをうろちょろしていた。その先にあるものをどうしてももう一度見たかったのだ。水面から顔を出して息継ぎをしようとするみたいに、必死に背伸びをしてみたり、ぴょんぴょんと跳んでみたりしたが、どうも水位が高くて見えない。とうとう痺れを切らした少年は、人だかりの中に潜っていった。ぎゅうぎゅうに押されながら少年は人をかき分けて進んだ。朝日が昇っているのに、周りは人で固められて真っ暗で、色んな臭いがしたのを覚えている。それでも進んだ。まだ小さい体で、必死に手を伸ばした。その手がとうとう祭壇の端を捕らえる。少年は指に力を込めて自分の体をグッと引き寄せた。

 景色が開けて、透き通った空気が肺に流れ込んでくる。少年は初めて、空気はおいしくなるものだと知った。

 息を整え、壇上を見据えた。目の前には、自分よりも背の高い剣が、その荘厳にして厳格な出で立ちを持って佇んでいた。村の力自慢が引き抜こうとしているが、微動だにしていない。

 二度目の興奮が、今度は言い知れぬ歓喜を伴って湧き上がってきた。思わず笑みをこぼしてしまう。

 ──瞬間、剣を瞳に映し少年は直感した。言葉ではなく、肌で感じ取った。自分が生きるこの世界に、計り知ることなど到底に不可能なほどの希望が溢れていることを。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。