〈十六〉
村男2「セポネちゃーん!アルスちゃーん!どこだー!」
多くは大人達だが、比較的年長の男子達も複数人で組を作って捜索を手伝っているようだ。
セポネ母「セポネー!返事をしてー!!」
セポネ兄「セポネェー!!」
幼女(以下セポネ)の家族と思わしき人物達が、ひときわ懸命に声をあげている。
頭上からは、小刻みな口笛の音が聞こえてくる。村の青年が木の上から呼びかけているのだ。
〈十七〉
アルマル宅内。ベッドに腰掛け、思いつめているアイデン。近くではエクス母が開け放たれた窓から外の様子を
室内灯の明かりによってできた
その様子を、窓側の方から
窓を通して、森林の方に不安げな視線を送る。
…………
森林の前。村長、女の子達、それと初老の女性が一人、森林の中で点々と揺らいでいる灯り達を見守っている。
泣き喚き声の主である女の子に寄り添い、
「ねぇおばあちゃん、やっぱりあたしも探しにいきたい」
「わたしも!」
その横からは、なにやら抗議の会話が聞こえる。
短髪娘「マリはまだ小さいからダメ!」
天パ娘「やあだあ!いくーぅ!」
短髪娘に向って地団駄踏んでだだこねる天パ娘。
その二人に頭を悩ましている様子の初老の女性…短髪娘の祖母。
短髪祖母「何言ってんのあんたもダメだよ。ほんっとに夜の森は危険なんだから」
首を振って短髪娘にそう答える。
短髪祖母「ね、ダメだよ」
天パ娘にも目配せして
短髪娘「ねえお願い!」
短髪祖母「大丈夫、きっと見つかるから」
短髪祖母は聞く耳を持たず、そのまま短髪娘にランタンを持たせ、自身はいじける天パ娘を抱きかかえる。
短髪祖母「村に戻るよ。みんなも」
その場にいる女の子達をまとめ、村長に
不満げな短髪娘や女の子達を連れて、短髪祖母はアルマル宅横を通り、村へ下っていく。
その様子を見送る村長。
ふともどかしげにため息をつき、厳しいまなざしを森林に向ける。そこへ、
アイデン「村長殿」
その呼びかけに後方、アルマル宅の方へ振り返る村長。
そこには杖をついたアイデンが、ランタンを持ったエクス母に支えられて立っている。
アイデン「嫌な予感がします。私も協力を」
その語気からは、どこかひどく
〈十八〉
森林と向き合い、丸太に腰掛けているアイデン。深呼吸を繰り返している。
その様子を数メートル距離をとって見守っている村長。
エクス母「村長さまー!」
エクス母の呼びかけに応じ、村長は手持ちのランタンを掲げて揺らす。
森林の中から、村男1や2など、計四、五人の村人達が村長のもとへ急ぎ足で向ってくる。その後方でエクス母がランタンを掲げて揺らしている。
エクス母「連れてきましたー!」
村男1が真っ先に村長のもとに到着する。
村男1「村長、頼みとは?」
村長「うむ、」
やがて残りの四人も到着する。それを確認すると、村長は五人に目配せをしながら、
村長「よいか。アルマル殿が今、二人の居場所を見つけようとしてくれている」
村長が一度アイデンの方を見やり、5人もアイデンの存在に気づく。
村長「主らには、森の中で探している者達にその場所を伝える役割を担ってほしい」
解せぬ顔をする村男2。
村男2「魔法使ってるんですか?今の体じゃ危険なんじゃ…」
村男2はアイデンの方を目で指し、村長に訴える。後方で、エクス母が遅れて到着する。
村長「いや、魔法ではない」
一つ、間を置いて、村長は再び語りだす。
村長「……“
続けて語る。
村長「この世に存在している、生きとし生けるあらゆる万象を司り、それらを形作っている、いわば生命の源のようなものだ…目では見えぬが、私や主らの中にも、その“
そう言って、己の片手の平を見つめた後、村長はアイデンの方に向き直る。
星々が歌い合う夜空の下、風がそよぎ、アイデンのまとめられた銀の長髪がなびく。アイデンはただ、身動き一つとることもなく、ただただ
村長「魔法の使い人となる素質を持った者は皆、産まれながらにしてその“
アイデンの目線が動きだす。その霞んだ瞳が、森林を見据える。
村長「アルマル殿は今、この森のどこかにいる、娘さんとセポネの中に流れる“天の血”を見つけ出そうとしているのだ」
アイデンの瞳に映るのは、ぼやけて歪みきった世界。
しかし、その瞳は確かに「何か」を認識している。
……ぼやけた世界…………徐々に……そして鮮明に……「キラキラ」達が浮かびあがる……。
「キラキラ」――すなわち“天の血”。生命の輝き。その暖かき
やがてアイデンは、
光の森林へ、アイデンの意識が突入する。木々や地面の起伏も関係無しに、奥地へと直進する。
『アルスちゃーん!』『アルスー!!』
『セポネー!アルスー!どこぉー!?』
『おおーい!セポネちゃーん!』
人の形をした“天の血”、アルスとセポネを探す村人達の気配だ。しかしそれすら通り過ぎる。
アイデン(もっと広く…もっと奥へ…どこだ…どこにいる……)
もっと広く…もっと奥へ……森林の存在を感じ取るアイデンの意識。やがて村人達の気配は消え、清閑な森林の中を意識が
アイデン(どこだ……どこだ……)
集中を高めるアイデン。眉間に皺が寄り、額を汗が伝う。
アイデン(どこだ………!!)
不意に、アイデンの意識は“天の血”が極端に希薄な
アイデン(これは…この痕跡は……)
その空間はある方向に向って、地を
アイデン(見つけた…!!)
瞬間的に、アイデンは目を見開く。