にじさんじ▶︎パラライブ   作:大羽ひつじ

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オリキャラ、オリ設定注意。小説というよりシナリオです。


2-3, 願いをつれて

〈十四〉

 

朝方。集落。

呼び鈴を鳴らす日焼け娘。

もうもうと上がる煙の方へ集まる子供達。

いくつかのたき火の周りで、続々と骨付き肉が焼き上がり、子供達に配られる。

 

〈十五〉

 

子供達の寝床場。ぽつ、ぽつ、と二、三人の子供達が一組になって食事をしているのが見える。

隅っこで一人、肉を片手に物思いにふけるデビ。

そこにロアがやってくる。ぶたっぱなのまま。

 

ロア「おはよー!」

デビ「……なんだよ?」

 

うっとうしそうにロア見るデビ。

 

ロア「ご飯一緒に食べるのだ!」

デビ「なんで?」

ロア「一緒に食べたほうがおいしいと思うのだ!」

デビ「……気分じゃないからどっかいけ」

 

デビはロアから目を背ける。

困り顔のロア。

そこに屋外から女児がやってくる。

 

女児「ロアちゃん!皆でご飯食べよう?」

デビ「ほら、僕と一緒だと、お前も嫌われるぞ?」

 

あごで女児を指すデビ。

少し考えて決めるロア。

 

ロア「今日はデビ先輩と一緒に食べるからごめんなのだ!だからお昼ご飯一緒に食べるのだ!」

女児「あ…うん。約束ね」

ロア「おー!」

 

ロアに手を振り、屋外へ身を引く女児。

デビに向ってにぱっと笑うロア

 

ロア「ロアはデビ先輩のこと嫌いじゃないから大丈夫なのだ!」

 

なんとも言えない顔をするデビ。

 

デビ「うええええ!くっちぇ!くっちぇ台詞!うええ!」

 

吐くフリをする。

 

ロア「なんでよ!!くちゃくないよー!」

デビ「フン、そんなこと言ってるとまた空中でブンブン振り回すぞ」

ロア「それも大丈夫でよ」

デビ「はぁ?」

ロア「だってデビ先輩本当は優しい人ってロア知ってるのだ」

 

胸を張って答えるロア。

 

デビ「お前さぁ、さっきから微妙に理由になってないってわかってる?」

ロア「お?」

 

ロアは首をかしげる。

デビは呆れかえる。だるそうに、立てた膝に頬杖をついて、

 

デビ「…もういいよ。勝手にすれば?」

 

にんまりロア。

 

ロア「おお!」

 

〈十六〉

 

集落の離れ。

お椀型に掘られた大穴。

そこに肉の骨を投げていく人々。

穴に向うデビとロア。

満足そうな顔のロア。おそらく満腹。

 

ロア「あ、デビ先輩さぁ、昨日の夜どこか行ったの?」

デビ「別にぃ?どこにも行ってないぞ。お前より早く起きたんだよ」

ロア「えー?でもロア夜一回起きた気ぃするよ?その時もういなかったでよ?」

デビ「気がするだろ?気のせいだよ気のせい」

ロア「えー、その言い方なんか怪しいのだー!」

デビ「なんだよ。あ、怪しくないよ」

ロア「今もごもごしたのだ!なんか隠してる証拠でよ!」

デビ「あーそうだよ。あのあと実は寝床に戻って寝たの」

ロア「絶対嘘でよ!」

デビ「ほんとほんと」

 

大穴に骨を放る二人。

ロアは顔に憂色をにじませる。

 

デビ「ロア?どうした?」

ロア「……お母さんお父さん達、ちゃんとご飯食べれてるのかなぁ?ひもじいひもじいってなってたらどうしよう……」

デビ「フン、まぁたそんなしょうもない心配してんのか。いいかロア、そーいうのもちゃんと考えて皆旅してるんだよ。だから、きっと気にすることじゃ……」

 

大穴に積まれた骨肉の残骸。

それに目が釘付けになるデビ。

 

ロア「え?なんで黙るの!?やっぱり食べれてないの!?」

 

デビの瞳には、「フワフワ」が溢れ漏れている骨の山が映っている。

 

デビ「……」

ロア「デ、デビ先輩…?」

デビ「そっか…」

ロア「お?」

 

翼を名一杯広げ、勢いよくしゃがむデビ。

 

ロア「おおぉ!」

 

そのまま翼をはためかせ、打ち上げ花火のように飛び上がる。

周囲に強風が巻き起こり、しりもちをつくロア。

 

ロア「せんぱーい!!どうしたのー!!」

 

急上昇するデビ。辺り一面を見渡せる高度で停止する。

360度見渡し、額に汗を浮かべて目を凝らす。

少し離れたところに、濃度高く「フワフワ」が満ちた地を見つける。

 

デビ(違う。あれは一昨日埋めたところだ…)

 

更に遠方を見渡すデビ。

()の目(たか)の目。はるか先に、周りよりも微かに濃い「フワフワ」。

見つけるやいなや、それ目指して発進するデビ。

浮遊する鳥にぶつかりそうになるも目もくれない。

その様子を地上で見届けたロアは首をかしげる。

 

ロア「おお??」

 

〈十七〉

 

雑木林の中。

地上に降り立つデビ。

周りよりも微かに濃い「フワフワ」。そこには地面を埋め直した跡がある。

その跡を凝視するデビ。鼓動が聞こえる。

鼓動の速度が上がっていく。何かを考えているのか、デビの目が泳ぐ。

デビはもう一度空中に。

またはるか先を見渡す。

ある。もう一カ所、微かに濃い「フワフワ」がある。

 

〈十八〉

 

三角座りで空を見上げているロア。

 

ロア「お!」

 

デビがこちらへ飛んでくる。

先ほどぶつかりそうになった鳥がデビにちょっかいをかける。

 

デビ「おわ!てめ!やめろ!」

 

鳥を払いつつ、地上に降りるデビ。

デビにロアが駆け寄る。

 

ロア「どこ行ってたのだ!?」

デビ「……」

 

仏頂面のデビ。お構いなしに足早に進む。

 

ロア「ねえねえ!どこ行ってたのぉ!?」

 

立ち止まるデビ。

ロアを睨む。

びくつくロア。

 

デビ「…一応、礼だけは言っとく……まだ、僕もわからないけど……」

 

そう言ってデビは歩みを進める。

とり残され、ハッとするロア。

 

ロア「またなんか隠してるー!!」

 

集落へ帰るデビの背中を見て、不満げなロア。

上空から、鳥の鳴き声が聞こえる。

ふと見上げるロア。デビにちょっかいかけた鳥が木に留まる。

 

『それ、間違いなくお前の力だよ。無意識でやってるかもしれないけどさ、お前がそいつらを呼んでるんだ』

 

ロア「……」

 

両腕を回して大きく深呼吸するロア。

もう一度鳥を見つめ、指を組み、祈る。

そよぐ風がロアの髪を撫でる。

 

〈十九〉

 

繰り返される朝と夜。

伐採された集落周辺の木々。

遊び駆ける子供達の傍ら、じっと時の経過を待つデビ。

 

〈二十〉

 

曇天が(おお)う白昼。集落の中心。

密集する数百人の大人子供。

強弱気まぐれな風が彼らの間を縫って吹き抜ける。

人々は、大きさはまばらだが、それぞれが荷物をまとめている。

その中で百人余り、子供達だけが集まった一角がある。

日焼け娘含めた数人が子供達の点呼をとっている。

駄弁る子供達の中でじっと黙っているデビ。

デビを一瞥する美男子。

人々が向く方に、木製のお立ち台があり、髭男が立っている。

そちらに手を振る日焼け娘。

髭男は手を挙げて頷き、お立ち台から降りる。

そして、尊が登壇する。

それを合図に、波紋が広がるように一斉に静まりかえる人々。

尊は、自分を見つめる人々を見渡す。

頷き、手をかざす尊。

 

尊「皆の者!!」

 

響き渡る呼号(こごう)

 

尊「これより我らは、新天地へ向う!!母なる生地(せいち)を離れる選択、頷いてくれたことを心より感謝する。だからこそ断言しよう。この地と共に、我らに刻まれた歓喜も、悲哀も、運命に斬りつけられた傷も、いつか友や家族と結んだ小指も……全てだ!全てを抱き寄せ、我らは今日ここから一歩を踏み出すのだ!」

 

人々は、涙ぐみながらも勇ましく、尊の言葉を敬聴する。

 

尊「同胞達は必ず現在(いま)を繋ぎ止める!なれば、我らの使命は、それを未来へと運ぶことのみ!!胸を張れ!目を見張れ!己に宿る(つるぎ)を掲げよ!新時代の幕を開ける!」

 

(ひるがえ)る尊。

 

尊「(わらわ)に続け!!」

 

髭男や髭皺爺(ひげしわじい)を始めとし、人々は片手の(しょう)に、片手の拳を乗せ、尊に(かしず)く。

尊は両手の平を繋ぎ、瞼を閉じる。

尊の体中に浮き上がる隈取(くまど)り。艶麗(えんれい)かつ、烈烈(れつれつ)極まる。

開眼する尊。

 

尊「ポアリオウル!!!」

 

煙が渦を巻いて尊を包み、突風を起こして弾ける。

二本の王角、天を指して尖る耳輪(じりん)、艶やかな『黒髪』は見事な『薄藤色(うすふじいろ)』に早かわる。

それまさしく、〈鬼〉。

 

尊「鬼扉顕現(きっぴけんげん)!!」

 

尊の眼前一帯に、竜胆の花びらが輝き舞い広がる。

 

尊“木格子を溶かし入れ、唐紙を鍛え打つ、阿門(あもん)(のぞ)みて一歩跨げば、吽門(うんもん)くぐりて旅路の続き”

 

空中で点々と、格子状に光の線が描かれ、繋がり、やがて巨大な(けい)となる。

 

尊“溢れろ、誇れ、乱れろ、狂え”

 

罫に触れた花びらが、それに溶け込み、光の花を咲かせる。罫の目を消し尽くす程に咲き乱れる。

 

尊“()(えぐ)(とら)()如く、獄囚(ごくしゅう)貫く(うし)(かく)如く、先鬼(せんき)紫苑(しおん)の名の下に、二大の門穿(うが)ち立つなれば、我らが誓願(せいがん)に、開闢(かいびゃく)を以て応えよ!”

 

花々は吹雪を起こして舞い散る。

巻き起こる強風に、人々は立ち上がり、身構える。

その中の誰かが、目の前の光景に目を見開く。

向き合い、鬼の形相で咆哮をあげる双対(そうつい)(とら)が彫られた極大の鋼鉄門が、轟轟と鎖の音をかち鳴らし、地響きを立てて降臨する。

絶句し、(おそ)れる人々。

 

髭皺爺「ふぉおぉお!?」

 

腰を抜かす髭皺爺。

生唾を飲み込む子供達。年少の者の中には年上の子供にすがりつき号泣する者もいる。

皆が門に目を奪われる中、デビはしゃがみ込んで手の平の上に黒点を作り出す。

その近くで、反応を示す美男子。デビの方を見やる。

密集する子供達の中に、人一人分の間隔が空いていて、代わりに黒い何かが消滅する。

美男子はそれを見届けると、悶々と俯く。

尊は、繋いだ手を震わせ、門に集中する。

額からは汗が噴き出ている。

 

尊「く…ふっ…!」

 

門が轟音を立てて開門しだす。

 

尊「っ…はああああああ!!!」

 

尊の額に血管が浮き出る。片方の鼻から血が滴る。

時間を掛けつつ、両の門扉(もんぴ)が左右対称に開かれていく。

門の奥から、差し込む陽光。

 

尊「ああああああああ!!!」

 

重々しく響き渡る厚い金属音。完全に開かれた門が動きを止める。

手をかざす尊。

 

髭男「進めえ!!」

 

声と共に、前進しだす人々。

先頭の尊が、それを導く。

門の先の陽光を目指して進む人々。

 

あの夜、既に別の道へと旅だった友と、一度だけ殴り合った川辺。あの夏、勇姿を見せて旅だった夫と結ばれる前、彼と初めて手が触れた花畑。あの日、世界の為に旅だった息子を初めて抱き、祝福を捧げたこの地。

 

それぞれに、それぞれの思いがよぎり、人々は涙ぐみ、笑顔を見せ、苦しみ、しかしどこか清々しく、門をくぐり抜ける。

誰かの頬を伝う涙に、淡紅(たんこう)の花びらが触れる。目を見開き、感嘆の息を吐く。

人々を迎え入れる新天地。広がる景色は、絢爛(けんらん)たる桜の森。

桜吹雪が人々を祝福する。

皆、ただ見惚れ、感情が顔に出る。

尊はその様を、息を切らしながらも見つめ、安堵する。寝息のように時間を掛けて、鼻から口へと一息つく。

目が虚ろになり、力が抜け、尊はよろめく。

それを支え、肩を貸す髭男と長髪。

 

髭男「おつかれさまです。我らが長よ」

 

そう言って微笑む髭男の目にも、涙が溜まっている。

尊も微笑み、頷く。そして桜の木を見上げる。

 

尊(尊は…やり遂げました…。母上…どうかご武運を……)

 

門は紫の煙となって、天空に巻き上がり、消滅する。

尊達とは別の場所。桜の光景に、頬を赤く染めて歓喜する子供達。

舞い散る桜に手を伸ばし捕まえようとする。

それを並ばせて、もう一度点呼をとる日焼け娘たち。

桜に見惚れる美男子。風にそよがれ、目を閉じて静かに息を吸う。

 

――――――

 

美男子に語りかける彼の両親。二人は美男子から離れていき、美男子はそれを切なげに見届ける。

 

――――――

 

 

閉じた目から、涙が一粒頬を伝う。

 

 

――――――

 

他の子どもたちと虫を捕まえ、それを母に見せに行く。笑顔があふれている。

一緒に遊んで、笑いあう。その中にはデビもいる。

 

――――――

 

美男子「あぁ…!」

 

目を開け、取り乱す美男子。慌てて走り出す。

人をかき分け、詰まる息をそのままに、支えられている尊の前へ。

 

尊「どうした?九龍(クーロン)

 

肩で息をしながら喋る美男子。

 

美男子「はぁ…!はぁ…!尊姉ちゃん!デビが!はぁ…!デビがどっか行っちゃって!転移する前!」

 

血相を変える尊。

 

美男子「ごめん!はぁ…はぁ…ああ…!俺最低だ!俺、止めれなくて!友達なのに!ほんとは、ちゃんと仲間なのに!俺、俺!あいつのこと!」

 

泣きじゃくりながら伝える美男子。

顔が青ざめていく尊。息が更に荒くなる。

 

『……そんなのさ、納得できねぇよ……』

 

あの夜、微かに聞こえたデビの言葉がよぎる。

そこに日焼け娘も狼狽しながら駆けてくる。

 

日焼け娘「みこっち!大変!ロアちゃんとデビくんがいない!転移前の点呼ではちゃんといたのに!」

尊「くっ!」

 

尊は髭男たちの支えをはずし、踏ん張る。

 

髭男「尊様!」

尊「妾だけ一度戻る」

長髪「今の状態で転移は!」

尊「ほかに術はない!!」

 

たじろぐ長髪。

眉間に皺を寄せて目をつむり、集中する尊。

開眼する。

ふすま扉が現れるが、既に煙になりつつある、脆い状態だ。

日焼け娘「みこっち!」

尊「大…丈夫…。すぐに戻るから…少しの間…皆を頼む…」

 

開かれるふすま扉。

尊は倒れこむように、中に入る。

 

〈二十一〉

 

前の集落地。暗雲が立ち込めている。

ふすま扉が揺らめきながら現れる。

扉部分が煙となって消える形で開く。

中から、ふすまの枠に寄りかかりながら満身創痍の尊が出てくる。

呼吸が乱れ、地面に(ひざまづ)く尊。とうとう過呼吸を引き起こす。胸を手で押さえる。

ふすま扉は弾け消え、尊も人の姿に戻る。苦悶しながら、呼吸を安定させる。

尊は跪いたまま、乱れた髪をそのままに、顔を上半身ごと空に向ける。息を吸い込み、胸を膨らませる。

 

尊「デビいいい!!!はあ…はあ…ロアああ!!!…はあ…はあ…どこじゃあああ!!…はあ…どこにいったのじゃあ!戻ってこおおい!!」

 

〈二十二〉

 

雑木林の中。振り向くデビ。

辺りは自然の音が聞こえるのみである。

向き直り、深呼吸をし、デビは先を見据える。

 

デビ「……行くか」

ロア「おおー!」

 

固まるデビ。

デビの隣で、大荷物を背負ったぶたっぱなのロアがにっこにこで拳を掲げている。

固まるデビ。

 

デビ「へ?」

ロア「お?」

デビ「……へええああああああああ!?」

ロア「おお!?なになにー!?」

デビ「なになにー!?っじゃっねえよ!!なんでお前がいるんだよ!!」

ロア「ふっふっふ…」

 

得意げなロア。

 

ロア「ロアもデビ先輩と一緒に旅に出かけるんでよ!」

デビ「はあ!?」

ロア「先輩これからよろしくなのだ!」

 

手をデビに差し伸べるロア。

デビはそれをはたいて払う。

 

デビ「ダメ!お前は一緒に行かない!新天地に行け!」

ロア「でももう皆行っちゃったのだ。すごかったねえ!あのでっかーい門!ロアちょっと怖かったのだ…」

デビ「んなこと知ったこっちゃねえんだよ!とにかくお前は村んとこに戻れ!ワラワの奴がきっと迎えにくるから!」

 

首を振るロア。

 

ロア「いやなのだ!ロアもデビ先輩と一緒にお母さんお父さんに会いに行くのだ!」

デビ「っ!!」

 

腕を頭の後ろに組んでとぼけるデビ。

 

デビ「ほぇ?にゃんのことお?」

ロア「なんてわかりやすいすっとぼけなのだ…。無駄でよ先輩。名探偵ロアの前では全てはくじつのもとにさらわれてしまうのだ!」

 

――――――

 

木に留まる鳥に向って、地上から祈るロア。

口を一文字にして念を送る。しかし何も起こらず、ロアは気を落とす。

羽音。顔を上げるロア。

目の前に鳥が降りてきて、ロアの方を窺っている。

表情が晴れ渡るロア。

 

ロア『デビ先輩が教えてくれたんでよ。これはロアの力だって!』

 

鳥に身振り手振りで訴えるロア。

鳥はロアが着いてこられる速度で、雑木林の方へ飛んでいく。

ついて行くロア。

 

ロア『あの時先輩がぶつかりそうになった鳥さんに、先輩がどこにいったのか案内してもらったのだ!』

 

雑木林の中、鳥に連れられて泥だらけで進むロア。

デビが辿り着いた埋め立て跡に辿り着く。

鳥にお辞儀するロア。

 

――――――

 

デビ「お前、あそこまで行ったのか?」

ロア「おお!」

デビ「……」

ロア「あれ、お母さん達がご飯食べてった跡でしょ?デビ先輩、マキナが見えるから、他にも食べた場所探して、お母さん達とこまで会いに行くんでしょ?」

デビ「……」

 

デビはポケっと首を傾(かし)げる。

 

デビ「違うよ??」

ロア「嘘つき!!」

デビ「うっ…」

 

デビはロアの憤慨に押される。

 

デビ「そうだよ!!会いに行くんだよ!!」

 

開き直る。

 

ロア「ほらやっぱりー!」

デビ「でぇぇも!!お前まさかただ会いに行くだけとか思ってんじゃねえだろうな?」

 

ロアを高圧的に覗き込むデビ。

 

ロア「お、おぉ……」

デビ「あのねぇ…。いいかロアぁ?僕はこれから父上達の力になりに行くんだぞぉ?つぅまぁりぃ、命懸けの旅に出るってことだよ。お前それわかってんのぉ?」

 

表情が沈み、黙りこくるロア。

デビは逆さになって浮遊し、物理的にもロアを見下す。

 

デビ「ポアリオウルもロクに使えないお前は足手まといなの!ほら、さっさと帰れ。しっし」

 

逆さのまま手をヒラヒラさせるデビ。

 

ロア「……」

 

口をまごつかせるロア。か細くつぶやく。

 

ロア「……つ、使えるようになるのだ……」

デビ「なぁにぃ?」

 

デビは耳に手を当ててロアを煽る。

 

ロア「……ちゃんと、ポアリオウル使えるようになるのだ…足手まといにならないのだ…」

デビ「どうやってぇ??」

 

思案するロア。

上目遣いでデビを見上げる。

 

ロア「デビ先輩に教えてもらうのだ……」

 

デビはきょとんとする。やがて深いため息を一つ。

ロアの周りを浮遊しながら語り出す。

 

デビ「おい、ロア。やめておけって。おっそろしい旅なんだぞ?どんなやばいことが待ってるか僕でもわかんないんだ。ゲロゲロ血ぃ吐いたり、頭とかちぎれたりさ、何回も何回も死にかけた挙げ句、結局会えずに死んじゃうかもしれないんだぞぉ?」

 

血の気が引いたロアの顔に詰め寄る。

 

デビ「お前そんな旅に着いて行きたいのかぁ?」

ロア「ぁ…」

 

思わず、といった具合に退くロア。

そのまま俯き、固まってしまう。

 

デビ「フン…」

 

地に足をつけるデビ。固まったままのロアを置いて進み出す。

 

「……うん」

 

デビの背中に声が掛かる。立ち止まるデビ。

振り向くと、ロアは顔を上げてこちらを見ている。

 

ロア「いいよ」

 

声は震えている。

デビの眉がピクつく。

 

ロア「だって……だって、ね……もう、寂しいのだけはこりごりなのだ。なんとかしなきゃいけんくて、なんとかしたくてロアきっとここにいるのだ。だから、絶対着いて行くでよ!そっちの方が、メソメソしてるよりずぅっとずぅっとマシ!!」

 

そう言い放つロア。

デビは黙って聞いている。

 

ロア「ロア、頑張ってもっと強くなるのだ!絶対強くなるから!約束なのだ!」

 

息が上がるロア。

デビは眉を(ひそ)めて俯く。

 

ロア「……それで、みんなで帰るのだ。またみんなで一緒に暮らすのだ!!」

 

一瞬涙ぐんだ自分の目を乱暴にこするロア。

 

ロア「そうでしょ?先輩」

 

デビは顔を上げ、ロアを見やる。

まっすぐとデビを見つめるロア。ぶたっぱなが白煙となって消える。

デビは深いため息をつき、ロアに背を向けて歩き出す。

 

デビ「……勝手にしろ」

 

目が見開かれるロア。そして笑顔がこみ上げる。

慌てて荷物をしょって、デビの後を追って駆ける。

雑木林の中を、二つの小さな背中が奥へ進んでいく。木々をざわめかせる程の風が吹き荒れる中、まっすぐ進んでいく。二人の行く先には、途方もなく山々が続いている。

 

 

 

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