風太郎の見せ場を残しつつオリ主絡ませるの難しい
「五つ子ゲーム!」
「イェーイ!」
車内に響く楽しげな声
なんでも隠した手から伸びる指を当てるゲームだそうで
で、親指から順に五つ子に見立てて答えるのだそうな
「私はだーれだ?」
現在の出題者は二乃
広げた左手から隠した右手の指先だけが見える
「二乃」
「三玖かな」
「四葉!」
「二乃です」
指の太さ的に一花と五月はないだろう
てかこれ実質的選択肢は3つしかないのでは?
風太郎は何故か触って確かめようとして二乃に怒られてる
「くっ…
二乃だッ!」
風太郎答え決める
で
「あんたは?」
「…………三番で」
「ぶっぶー!
ダメですよ!下川さん!
五つ子ゲームだから名前で答えてください!」
お前だって俺と風太郎のこと苗字呼びじゃん?
なんて言っても聞き入れてもらえなさそう
「…三玖、さんで」
しぶしぶ答えると二乃は風太郎の方に向けて
「残念、三玖でした」
「なぜ裏返ってる」
世界のフィンガーくたばりやがれ
放送コードに引っかかるぞ?
「くそー!!次、俺な!」
「やけにハイテンションですね」
五月の指摘通り風太郎のテンションが車の中では終始こんな感じ
車乗ってすぐこっちは寝落ちしたんだがこいつもしかしてずっとはしゃいでた?
「お前たちの家や優希の家を除けば外泊なんて小学生以来だ
もう誰も俺を止められないぜ!」
楽しんでるなら何よりだ
「後こいつ未だにお前ら名前で呼べないのは恥ずかしがってるだけだから」
「よしブチコロガス
表出ろ」
少し頭冷やそうか
「わーっ!下川さん落ち着いてください」
「そ、そうですよ
外は猛吹雪なんですよ!?」
そう、現在目的地よりだいぶ手前
絶賛大雪で立ち往生中なのであった
「おおっ!
なかなかいい部屋だな!」
結局、近くの旅館へ急遽チェックイン
車の方は午後から仕事があるので帰ってしまった
しかも
「こいつらと同じ部屋なんて絶対に嫌!」
そう、俺たち以外にも急な団体客が入ったとかで取れたのは一部屋のみ
しかも7人に対して5人部屋…
「ほら、旅館の前にもう一部屋あったでしょ」
「あ、明日死んでるよ…!!」
今のテンションの風太郎ならノリノリで犬小屋に収まりそうで恐ろしい…
当の風太郎は荷物を開けて何やら手紙?を読んでいる
「良い旅館だ!文句言ってないで楽しもうぜ!」
なんか知らんけどさらに楽しそうに
らいはあたりからの手紙だったかな?
「はーい女子集合」
二乃の号令に中野達は部屋の隅に集まって何やら会議中
俺も今のうちに荷物確認しとくかな
それと
「ほれ、風太郎」
「あん?何だよこれ」
「栄養ドリンク
不味いけど効くから飲んどけ」
「はあ?何で?」
「らいはの看病かで徹夜だろ?
あと、風邪もらってるかもしれんから早めに対策」
こちらもこちらでコソコソ話
風太郎の方は怪訝な顔はしたが大人しく飲んでくれた
すげー不味そうにしてたが
これでさらに誰かにうつすようなら洒落にならんし
そんでトランプをカバンから取り出し部屋の隅の中野たちに近づいていく
「やろうぜ」
突然声をかけられたからなのか警戒しろって話をしてたからなのか風太郎の言葉にドタドタと後ずさる中野たち
「な、何を!?」
「トランプ持ってきた!やろうぜ!」
まあ、いくらテンション高くても風太郎は風太郎ってことで
なんだかんだでみんなしてトランプ、七並べをすることに
あいつ昔から好きだったからな七並べ
「ユーキ君はやらないの?」
「七人は多いでしょ
見学してるよ」
「ああ
こいつ笑えるくらいこういうの弱いから」
「やってやろうじゃねぇかこの野郎!」
「えぇ……」
その後しっかり挑発通り連続最下位で凹まされる羽目になることに…
「すげえ!
タッパーに入れて持ち帰りたい」
「やめてください…」
テーブルの上の夕食を見た風太郎の一言に五月が思わず突っ込む
まあ、俺らこんな食事さすがに食べたことないしな
「こんなの食べちゃっていいのかなー
明日のカレーが見劣りしそうだよ」
「三玖、あんたの班のカレー楽しみにしてるわ」
「うるさい
この前練習したから」
カレーか…
ガキの頃キャンプで作る定番だったなー
「そういえばスケジュール見てなかったなー」
「二日目の主なイベントは
10時 オリエンテーリング
16時 飯盒炊さん
20時 肝試し
三日目は10時から自由参加の登山、スキー、川釣り
そして夜はキャンプファイヤーだ」
流石の、ある意味頭脳の有効活用
中野たちはスケジュール暗記してることに対して少し引き気味だけど
「あと、キャンプファイヤーの伝説の詳細がわかったんですけど」
「またその話か」
「伝説?」
四葉の言葉に何人かは不思議そうにしてる
そりゃこいつらよりこの学校長いはずの俺らですら、風太郎は興味ないからかもだが、知らないってことはそこまで有名な伝説じゃないだろ
「関係ないわよ
そんな話したってしょうがないでしょ
どうせこの子たちに相手なんていないでしょ」
そういうお前はどうなんだ二乃
「ふん
彼女持ちは余裕そうでいいわねぇ…」
睨まれた
てかまたこれ否定すんのマジでめんどくさいんだけど
それはさておき三玖の方は結局風太郎誘えたのかね?
かすかに頬染めて風太郎をチラチラ見てるが、当の風太郎の方が平然としてるあたりまだ何も動いてないらしい…
「そうそう
ここ温泉があるって書いてあるよ」
一花、食事中に読書?は行儀悪いぞ
「お父さんじゃないんだから…
えーっと…
えっ、混浴…」
空気が一瞬凍る
「はあ!?こいつらと部屋のみならずお風呂も同じってこと!?」
「言語道断です!」
「落ち着け
何故一緒に入る前提になる」
二乃と五月が過剰に反応してるなー
そりゃ同級生の男子と一晩ってなると警戒もするかもだが
今回はテストのためとかいう理由もないしなー
「二乃…
一緒に入るのが嫌だなんて心外だぜ…
俺たちとお前は既に経験済みだろ〜?」
ものすごく意地の悪い顔で言う風太郎とそれを見て震える二乃
俺からしたら一方的に風呂場に入ってこられただけなんだが…
「わざと誤解を招く言い方すんな!」
「ははは
いつもの仕返しだ!」
テンションおかしすぎでしょ風太郎…
「「あ"あ"〜〜〜〜」」
大浴場に響く声
足伸ばせる風呂、俺にとっては中野たちの家に泊まって以来の風呂だ
「優希、おっさんみたいな声出てるぞー」
「お前もだろーがー」
時間帯が良かったのか貸切状態だ
で、当然だが男二人だけである
温浴を混浴と読み間違えるとかどんだけベタなんだ
「そーいやーお前、キャンプファイヤーとかどーすんの?」
ふと思い立ったので風太郎に聞いてみる
まあ、答えなんて予想ついてるが
「くだらねー
興味ねー」
ほらね
三玖もそうだし四葉あたりも憎からず思ってるはずだから不憫な思いさせてるよなぁ…
「三玖さんとか誘ってみたらどーよ?」
「なんでだよ
あいつも興味なさそうにしてただろうが」
そーいや昨日図書館でそんな話題になったような
「お前の方こそ一花と踊るとか踊らないとか」
「踊らねーよ
昨日の今日でどっからそれ聞きつけた」
といっても当事者は俺除いたら二人しかいないわけで
車で寝てるうちに三玖が口滑らせたか…
「優希」
あん?
「来てよかっただろ?」
「……まーなー」
厳密にはまだ始まってもいないんだが
だいぶ気遣わせたんだなやっぱ…
こいつもそうだが帰ったら親父さんにもちゃんと礼言わねえとな
って
「おい、こんなとこで寝んな
起きろ」
「無理
このまま寝る」
だー!面倒くせぇ
ここにきて一気に眠気きたか
文字通り首根っこ引っ掴んで風呂から上がる
今にも寝そうな風太郎を着替えさせなんとか部屋まで誘導して、着いた途端布団へダイブ
あっという間に寝息が聞こえてきた
しかし、五人部屋に七人分の布団だからしゃあないけど布団同士の距離が近い
誰がどこで、というか誰が俺たちに隣接して寝るかで揉めるのでは
…………ま、いっか
こいつもこの様子じゃよっぽど起きなさそうだし、俺も久しぶりの遠出でもう大分瞼が重い
風太郎の向かいに敷かれた布団に入り目を閉じた
明日、林間学校に合流したらどう立ち回ろうかなんて考えてるうちにあっという間に意識は落ちていった
微睡んでいた意識が徐々に浮上してくる
いつも夢見の悪い俺にしては珍しく朝まで一気だったな
というか目覚ましとかかけてなかったけど今何時くらいなんだ
あと、なんか額がひんやりしてるのといつもなら感じる目の周りの髪の感触がない
誰かが前髪かきあげてる?
もうちょい目閉じときたかったけど渋々目を開けてみれば
「お、おはよう…」
何故か隣に寝ていた一花の顔が間近にあった
「……何の真似?」
「い、いやぁ
寝苦しそうだなーって」
前髪で寝苦しいとかないから…
ふと、頭だけ少し上げて周りを見渡せばまぁしっちゃかめっちゃか
綺麗に敷かれてたはずの布団と共に全員があらぬ方向を向いて眠っている
風太郎の腹には四葉の足が乗っかり苦しそうにしてるし…
部屋にかかってる時計を見れば7時少し過ぎ
普段からしたらあり得ないくらいの寝坊だが
もうちょい寝るか
「……あんましつこいと怒るぞ流石に」
一花と反対方向にわざわざ体の向き変えたのに体起こしてまで覗き込んでくる
というかそっち側の髪あげるとアレが見えてるはずだが…
「普段髪下ろしてるのはこれ隠すため?」
核心をいきなり突いてくるな
まあ、こいつには花火の時にある程度事情話したりとかしてるから今更隠すこともないんだが…
「そういうこと
ついでに言っとくと腕もこんな感じ」
浴衣の下のシャツの袖を少し捲って見せる
まだ目が冴えてはいないから一花の顔はしっかりと見えない
ただ何故か額を撫でる手つきはひどく優しい
そのまままた意識が微睡んできたところで
「もう朝ですよ
朝食は食堂で」
五月の声が部屋に飛び込んできた
それと同時に一花の手の感触も離れていった
部屋のドアが再び閉じられた音から五月の方も慌ててまた部屋を出たらしい
これは…どう考えてもいらない誤解をされてしまったのでは?
「まさかこいつらも同じ宿にいたとは…」
「あはは
ホントだね」
あの後、なんと先にバスで出発したはずの学校の連中と遭遇
あの吹雪で足止めを食らっていたのは俺たちだけでなかったようだ
同じ宿だというのによく誰とも会わなかったもんだ
しかし、別のクラスのバスに乗り込む前に五月の誤解を解きたかったがその機会が無かった
つい昨日、一線を引いて云々の話をしたばかりでこれではせっかく改善された五月からの信頼を損ないかねん…
「なあ、お前からも五月さんに誤解だって言っといてくれない?」
何故か自然に隣に座ってる一花に言うが、当の一花はスマホの画面を思案顔で見ていてこちらの話が耳に入ってないようだ
「中野?」
「ーーっ!あ、ごめん
聞いてなかった」
慌ててスマホをしまい表情を繕ってる
「仕事の連絡かなんか?」
「うん、そんなとこ…」
歯切れが悪い返事
昨日、仕事優先って言ってたしこいつもそれなりに悩み抱えてそうだな…
「それで、ユーキ君の話って?」
「いや、そっちもなんか取り込んでそうだし
俺の方で何とかしてみるよ」
とはいえ、違うクラスの五月と話す機会なんて作れるかどうか…
「……何その顔?」
「いやぁ、ユーキ君が珍しく優しいなんて
雪でも降るんじゃ…あ、昨日の吹雪はそれが原因?」
お前普段俺のことなんだと思ってるわけ?
と自分の普段の行いを棚上げしてジト目で睨むが一花はニヤニヤ顔…
まあ、林間学校中ずっとあんな顔されてるよりはマシだが
「まあ、そっちもなんか悩みあれば聞くよ
多分聞くだけしか出来ないけど」
「うん
また相談させて」
溜息混じりにそう返してやれば一花もそんな返事
そっからは表面上はいつもの調子に戻った一花と取り留めないこと話しながら移動時間は過ぎていった
思わぬハプニングはあったがようやく林間学校が始まる
色々心配事は多いがどうなることやら
短めですがキリいいのでここまで
連休中に林間学校編は書き切りたい
てか、風太郎とアホな会話してる方が書きやすいってどう言うこと?
オリ主の好きな動物はフクロモモンガ
苦手な動物は大型犬
小学校時代に盛大に噛まれ軽いトラウマになってます